あらすじ
『悪い人にさらわれました。着替えと宿題を持って、今すぐ助けに来てください』―そんな文面で呼び出され、貴重な夏休みを姫倉の別荘で過ごす羽目になった心葉。“おやつ係”として呼ばれたはずが、麻貴の挑発に乗せられた遠子に引きずられ、昔屋敷で起こったという惨劇の謎解きをする羽目になり―!? 不敵に微笑む麻貴の望みとは? 自らの“想像”に心を揺らす“文学少女”の“秘密”とは―?
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こういう、アンハッピーな今で言うメリーバッドエンドなラブストーリーが大好きなので月花を孕く水妖を読む度に心臓がズキズキと傷んで、心が高揚してしまいます。
泉鏡花の夜叉ヶ池を読んでみたくなりました、逆に何故今まで読んでこなかったの私…!!
誰か一人に恋焦がれて、己の一生を捧げても良いと思えるほどの愛を余すところなく味わえて幸せでした。
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"文学少女"シリーズ第6巻。番外編として過去の時間軸の話。夏休みに姫倉の別荘を舞台に文芸部の面々を襲う過去の惨劇の影とは…。遠子先輩と心葉君の関係性を掘り下げるエピソード、次の話は遠子先輩に焦点が当たるようでどのような話になるのか。麻貴先輩と流人君との組み合わせは意外だった、先輩のその後も気になります。
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今回は遠子さんが添い寝してくる位でれでれで、かわいかったです。心葉君もいつにもまして男らしく毅然としている。めんどくさがりなのに、スリッパでがんばってお屋敷まで歩いて行く、そして出迎える遠子さん。麻貴先輩とデートしてきた心葉君にヤキモチを焼く遠子さん、あまりにもかわいすぎます。時系列的にはこの後美羽が現れて、ななせとの交際めいたことも始まるのですが…夏休みにこんな体験をしたら、遠子さんにでれでれになりそうですが。エンディングのように、この二人はもう一緒にいるしかないんじゃないですかね。
それとユリのおこさんのお話はなんかの伏線?ちょっと思いつきません。
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ついに最終話を残すだけとなった文学少女シリーズ
kitanoは教養がないので、肝心の文学の話がわから
ないのですが・・・遠山先輩と心葉の先輩後輩を
超えたお互いを補い合うペアぶりが好きです
ななせ?美羽?・・・いやいや、遠山先輩こそが
心葉の壊れやすく脆い心を救う天使なのです
この作品は楽しめる!
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今回は夏の避暑地での怪談。幽霊の正体は今回すぐに分かりました。もっとも”文学少女”には敵いませんでしたが。ひと夏の思い出という感じで今回はいつもより柔らかめ。
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文学少女シリーズ番外編。夏休み中のお話で、舞台は姫倉の別荘。いつも以上に切なく、そして最終章へと感じさせるラストで良い読後感でした。今回は泉鏡花の小説が主題。読んだことない本を読んでみたい気にさせるのは、このシリーズの魅力であり、すごいなぁって感じてしまう。読書感想文にはぜひ文学少女をおすすめしたいですね。
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今作は泉鏡花の『夜叉ヶ池』より
シリーズ番外編
過去の惨劇に巻き込まれる心葉君と遠子先輩
語り継がれる物語と、過去の日記と出来事
新たに動き出そうとする惨劇は、誰かが秘密を握ってる
このシリーズに出てくる子達は、皆闇を抱えていて可哀想だなぁ…
まだ皆若いのよ
当たり前の青春を謳歌すれば良いのにと思わずにはいられない
せっかくの夏休みの殺伐
麻貴先輩、結構恐ろしい少女だ
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先輩のおやつを作らなくていい夏休み、と思いきや
突如の呼出、突如のお迎え。
そうしてこうして、夏休み途中から、見覚えのあるメンバーと
過ごす事になってしまったという…。
あの子の名前が頻繁に出てくる、という事は
あの後なのか、と。
そういえば、次の話が寒くなってました。
色々と、微妙に引っ張っている状態。
毎度のことですが、最後まで読んで納得状態。
しかし、まさか『犯人』が…思いっきり予想外というか
それはもう疲れるだろうな、と。
お疲れさまでした、というのもありますけど
何言う教育を施してくれたのですか、と
文句の一つも言いたくなりそうです。
本人にとったら、そうでもなかもしれませんが。
いつもの太文字心の声は、一体誰なのか。
なるほど、と思いつつ読みましたが、最後の太文字に驚きです。
確かに、対抗するために爪を磨いでいたわけですし
よくやった! と思います。
が、本人にしてみれば、まだ第一関門、という所なのでしょうか?w
Posted by ブクログ
夏休みも終盤突然電報が心葉宛に届く。
遠子先輩から助けて欲しいと、そして二十分後に麻貴先輩のお付き?
高見沢さんが家に押しかけてきて、心葉を麻貴先輩と遠子先輩の居る
姫倉の別荘へと連れて行かれてしまう。
余興と言って
東京から来た井上心葉と言います。聖条学園二年生です。
こちらにぼくが探しているものがあると聞いて、うかがったのですが、
ご当主はいらっしゃいますか
という事を言わされる。
今回の話は限られた閉鎖空間で起こる事件を解決、想像する話。
と言っても登場人物が少ないから本当に最初から誰が犯人かというのは
結構バレバレ。
でも事件としては80年前、50年前、そして現在へと繋がる。
文学少女の醍醐味でもある心葉パートと遠子先輩パートで二人で手に入れた
情報を統合して遠子が想像を披露するというのが今回はあまり。
結構一緒に行動している事が多かったからあまりない。
麻貴の目的は80年前のエミュレート。
麻貴=白雪、心葉=秋良、遠子=ゆき、バロン=バロン。
この役者で麻貴の筋書きで行動を操作する事によって、80年前と50年前の約束を
聞き出して、姫倉家への反逆の切り札にしようとしていた麻貴。
牙を抜かれ傀儡のようになった父のようにならないが為に。
歯向かうための武器を麻貴は手に入れようとしていたのではないかと思う。
事件としての解決よりも、卒業編前の、伏線を散らす役目が今回の話には
あると思う。
美羽と心葉との伏線が多方回収されてしまって。
謎という謎が殆どなくなってしまっているから。
遠子関連の伏線を散らすのが今回のこの話の目的なような気がする。
固有名詞は一切出てないけど、
将来麻貴が姫蔵家が用意した婚約者とは結婚せずに、心葉の知ってるある人と。
これは、伏線ではあるけど、芥川一詩では、ないだろうから。
流人だろうなー。不倶戴天の天敵のような関係なのに。
心葉も結婚せずに仕事を通い妻のような人がいるようで、
これはななせだと思う。
でないとななせは不憫すぎる・・・。
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序盤から「時間軸がおかしい??」と思ったら、番外編でしたか(笑)
私服姿の遠子や、いつも以上に男らしい心葉を拝む事が出来て、なんて美味しいお話だろうとしみじみ思いました。
次巻からいよいよ本シリーズにおいて最大の謎が語られる事になりそうです。
エピローグを見ると多少不安はありますが、『文学少女』ならではの素晴らしい結末を頂ける事を信じて、前へ進もうと思います。
Posted by ブクログ
2010.10
番外編ということで少し時系列が戻ります。
今回のネタ本は泉鏡花『夜叉ヶ池』です。
夏休み・・・「悪い人に攫われました。助けに来て下さい。」と遠子先輩から手紙が届き、姫倉先輩の別荘へと招かれる心葉。
呪いの屋敷と地元で噂される別荘で80年前の事件を思い起こさせる出来事が次々と発生する。麻貴先輩の思惑、明かされた真実。そして心葉と遠子の近づく距離。
ただの番外編では終わらない。本編へと続く物語。
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最後の一行はとても印象的でした。
本編を最後まで読んだあともう一度読み返してほしい一冊です。
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今回は番外編ということで時系列的には戻るが、心葉の発作は起きないし、やけに遠子先輩の感情が前に出てきてる気がする。
今回もやはり心葉君は振り回されてるけど、最終巻こそは・・・期待するだけ無駄か(ぇ
オバケに怯える遠子先輩かわいすぎです(*´Д`)
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内容の一部一部を見ると、魚の腸が姫にかかってたり、それなのに姫笑ってたりするのに、読後は爽やか。
心葉たちがみんなの分お土産を買ったりする場面が長閑で好きです。
一方で姫の内面がちょっと明らかになったりもします。
でもやっぱり気になるのは、最後の心葉の回想みたいな部分。
あのレモンパイの女性はどちら様なのか! 個人的には七瀬なら良いなと。
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番外編とは聞いていたもののクリスマスプレゼントは、珠玉の短編集の詰め合わせではなく、サスペンスフルな長編だった(時系列的には2巻と3巻の間で、夏休みのお話)。 存在価値をさほど感じていなかった麻貴がメインで、彼女自身にまつわる物語。ある幻想作家の作品が物語にこの上なく有効に使われていて、、、。でもそれよりも何よりも、普段なかなか見ることができない遠子先輩の、あーんな表情やこーんな仕草がふんだんに盛り込まれていて、遠子先輩ファンにはたまらないお話でした(笑)。遠子先輩って、やっぱいいわあ。「“文学少女”のこのわたしが…」って啖呵切る姿に、惚れ惚れしちゃう(はあと)。 しっかし、この番外編だとばかり思っていたこの物語が、まるまる最終巻である「卒業編」への伏線だったとは!うすうすどんな内容になるのか想像がついているけど、一番美しく綺麗な終わらせ方をしていただきたいなあと。期待しています。ドキドキ。
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麻貴先輩に遠子先輩に呼ばれて姫倉の別荘に行き、そこで姫倉の過去の因縁に巻き込まれる話。
モチーフは夜叉ヶ池という作品。
確かに遠子先輩には人にバレてはいけない食事の問題が切実にあるんでしたね。
時期的には全然解消されていないであろうコノハのトラウマが全然話題に上らなかったけど、読む順番を間違えたかな?
おや、犬猿の仲のように見えた麻貴先輩と流人くんの関係が?
未来の話については少し衝撃でした。
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起こったことだけが、本当のことじゃない。
麻貴のたくらみに載せられて姫倉の別荘に呼び寄せられた遠子先輩と心葉。その館で起こった惨劇の真相は。
番外編であり、時系列は2巻の後とのことだが、話としては発行された順に読むべき。傍若無人な姫倉麻貴が、何に縛られていて、そしてどうやってその呪縛を解くか。なかなか衝撃的な人間関係も明かされる。ラブコメディというには血が多く、悲恋というには透き通っている。
ラスト、心葉くんの語りが未来のもので、それはちょっと意外な将来を暗示している。残り2巻でその謎が明かされるのか。とはいえ、15cmの短編集で実際どうなったかは知っているのだけれど。
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シリーズ本編第6弾。今回は少し時系列を遡って、夏休みの話です。
心葉と遠子は、姫倉麻貴(ひめくら・まき)の別荘に招待されます。この別荘で、80年前に惨劇が演じられたと伝えられていました。姫倉の令嬢・ゆりは、屋敷を訪れた学生の敷島秋良(しきしま・あきら)と恋に落ちますが、やがて秋良は屋敷を去り、その後ゆりは自殺し、巫女の彼女が封じていた「白雪」という妖怪が封印から解き放たれ、5人が殺害されたというのです。その後、妖怪の噂のせいで、この屋敷を解体しようとする計画は頓挫し続けます。
麻貴は、この事件の真実を突き止めるため、心葉と遠子を呼び、さらに屋敷の解体計画を進めることで、妖怪にまつわる秘密を明るみに出そうと考えたのでした。
クライマックス直前の、一休みといった感じのストーリーです。ただし最後のほうで、遠子の秘密がちらっと示唆されていて、ますます期待が高まります。
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番外編。
いきなり、時間が2巻の直後に戻るので、2巻を読み直すはめになりました。
「雨宮蛍」って誰だっけ?的な。
キーになるのは泉鏡花の『夜叉ヶ池』。
これも後で読もう…とこっそり思ってます。
エピローグの数年後の描写が、文学少女シリーズの最終章に期待を持たせます。
どうなるんだろー。
明日あたり、続きを買いに行けたらいいなぁ。。。
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ここまできて番外編なのには驚きですが、遠子先輩に見え隠れする寂しげな表情が次巻に向けての伏線なのかなと。運命だなんて決めつけないで、諦めずに自分の力で未来を切り開いていってほしいものです。個人的にはある意味、超展開でした…麻貴先輩、まじですか(笑)
Posted by ブクログ
番外編的なお話で、時系列も少し前に戻っています。モチーフにウンディーネが使われているのでもうそれだけで胸きゅん! 泉鏡花も読んでみたくなりました。番外編だけあって、前巻までの重苦しさが少しだけ軽減されているのも読みやすくてありがたかったです。次巻からは遠子先輩の謎が明かされるのかな? また重い展開がありそうです。
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うーむ、決してつまらなかったわけじゃないんだけど、パンチ不足というか。
登場人物に共感できず、ストーリー展開のわくわく感もそれほど強くなく。
うまいなとは思ったけど、面白いなとはそこまで感じず。
…というか、個人的に美羽の巻が最高すぎたから、ハードル上がりすぎちゃってるんだろうなー。
僅かな期待も持ちつつ次の上下巻読もうと思います。
Posted by ブクログ
以下、短編を含めて全部読んだ感想をば…
全く好きな筋のお話じゃないのに、次から次へとすいすい読めた。
思春期の甘い香りを思い出しながら、懐かしいような、恥ずかしいような、かわいらしいような、そんな感じ。
文章が整っていて読みやすいし、構成もしっかりしている。
時々設定が「なんじゃそりゃ!」ってなる時もあるけど、そこも少女マンガと同じように上手に構成に組み込んであると思えば読めるし、
登場人物の心情もしっかりと描いている。
しかし、後書きに何回も「バイト先で」という言葉が出てきていて、
こんなに売れている作家さんでもバイトしないと生活できないの?!
となんか切ない気持になった。
Posted by ブクログ
この巻は最終巻の前の番外編で、最終巻のために心葉と遠子の関係性をより深く掘り下げてるものです。ななせ派な自分としてはあまり好きになれません。ただ、内容としてはやはり十分なものがありました。
Posted by ブクログ
今回は番外編!
なんとなくですが普段のお話と少し違う気がしました。
普段の話は恋が招いた災難みたいな感じでしたが、今作は女どうしの嫉妬みたいな…
今回はちょっと文面が普段と違っていたので読みづらさがありましたが、話の内容はかなり面白かったです!
神に挑む作家も早く読みたいと思います!
Posted by ブクログ
激しく展開した前作から時系列が少し戻るので、ちょっと肩すかしな感じを受けます。
内容的には、麻貴先輩回なのですが、ところどころで垣間見せる遠子の心の動きが最終巻への橋渡しになっているように思います。
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遠子の友達の麻貴が主役。お嬢様ゆえの苦労話。
泉鏡花はずっと気になっているけれど読めていない作家の一人。
これを機会に再チャレンジしてみようか。
Posted by ブクログ
“家族に梅味の煎餅を、舞花にうさぎのぬいぐるみを選んで、さっさとレジへ行こうとすると、遠子先輩がぼくの手元を見て言った。
「心葉くん、それだけ?お友達の分はいいの?」
「旅行土産を渡すような知り合いは、いませんから」
ありのまま淡々と告げると、身を乗り出してきた。
「ななせちゃんは?最近よく一緒にいる芥川くんは?それに千愛ちゃんだって」
「竹田さんには遠子先輩から渡すでしょう。芥川くんとはそういう仲じゃないし、琴吹さんには、嫌われてるみたいです」
遠子先輩が、驚いたように目を見張る。
「ええっ、心葉くん。ななせちゃんから暑中見舞いをもらったでしょう?」
「いいえ」
何故、暑中見舞い?
遠子先輩は腕組みして「うーん……」と唸り、すぐに顔を上げてにっこりした。
「やっぱり、ななせちゃんにお土産を買いましょう。芥川くんにも千愛ちゃんにも!日々のおつきあいは、ささやかなことの積み重ねが大切なのよ。お土産からはじまるロマンスや友情もあるんだから。ほら、この干し柿なんか美味しそうよ」
「干し柿からはじまるロマンスって、どんなですか!」”
太文字が一体誰の視点なのかが最後に明かされるところが好き。
すごいなって思う。
だけどこれ、太文字はすべて同一人物視点と考えていいのか少し迷う。
“あの夏、彼女の心の中で揺れ動いていた、ひそかな葛藤と哀しみを想像するとき、ぼくの胸は、あたたかく、切なく、締めつけられる。
卒業してゆく彼女と最後に交わした約束や、彼女がぼくに残していった小さな憎しみや、痛みが、甘くよみがえる。
変化はあの夏から、すでにはじまっていた。
花のような、月のような、夢のような――やっぱり、あの夏は特別だった。
時計を見ると、じきに午後三時になるところだった。
キッチンで、お茶の支度をしているのだろう。時折、ぱたぱたと歩く音や、棚を開け閉めする音が聞こえてくる。
今日はレモンパイを焼くのだと、酸っぱくて美味しいのだと、張り切っていた。
合い鍵を渡してあるので、仕事場兼自宅のこのマンションに、毎日のようにやってきて、ぼくの世話を焼く。
もぉ面倒くさいから引っ越してこようかなと、この前も甘えるように言っていた。いいかげん結婚しちゃえよと、よく友人にひやかされる。
そろそろドアを開けて、呼びに来るはずだ。
ぼくは書きかけの原稿を保存し、ワープロソフトを閉じ、立ち上がった。
――あなたは、私を知りますまい。”