野村美月のレビュー一覧
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“そう言いながら、夕日の色をした大粒の涙をあふれさせる。
ああっ、本当にっ!なんて、早とちりなんだっ!森!
オレは呆れるやら、腹が立つやら、胸が切なくなるやらで、気がつくと、言えなかった言葉を口にしていた。
「オレが好きなのは、琴吹じゃねーよ」
「えっ」
「オレが好きなのは、おまえだ、森」
鼻水をすすりながら、手で顔をごしごしこすっていた森が、目をまんまるに見開く。
「なに……言ってんの?反町くん?」
「だから、オレが好きなのは、最初からおまえなんだっ」
ああ、言っちまった。やべ、顔が熱くなってきた。”
ななせがすごく可愛い。
あと、森ちゃんと亮太君のカップルは本当楽しそう。
“「けどさ! -
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“「心葉くんはわたしのものよ!あなたなんかには、絶対に渡さないわ!」
水風船みたいに頬をふくらませて叫ぶ“文学少女”の背中で、ぼくは顔を真っ赤に染めて、口をぱくぱく動かしたのだった。
その、二十分後―――。
「いいかげんにしてくださいっ!いつ、ぼくが、あなたのモノになったんですか!」
牛園さんが男泣きに泣きながら走り去ったあと、ぼくは文芸部の部室で、遠子先輩に文句を言っていた。
この人はよりによって、牛園さんに向かって、心葉くんと両想いなのはわたしのほうよとか、心葉くんをとっちゃダメぇとか、叫んだのだ。
「だって―――だって、心葉くんは、大事な文芸部の後輩なんですもの」
ぼくが本気で怒って -
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“家族に梅味の煎餅を、舞花にうさぎのぬいぐるみを選んで、さっさとレジへ行こうとすると、遠子先輩がぼくの手元を見て言った。
「心葉くん、それだけ?お友達の分はいいの?」
「旅行土産を渡すような知り合いは、いませんから」
ありのまま淡々と告げると、身を乗り出してきた。
「ななせちゃんは?最近よく一緒にいる芥川くんは?それに千愛ちゃんだって」
「竹田さんには遠子先輩から渡すでしょう。芥川くんとはそういう仲じゃないし、琴吹さんには、嫌われてるみたいです」
遠子先輩が、驚いたように目を見張る。
「ええっ、心葉くん。ななせちゃんから暑中見舞いをもらったでしょう?」
「いいえ」
何故、暑中見舞い?
遠子先輩 -
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