梅原猛のレビュー一覧

  • 教養としての将棋 おとなのための「盤外講座」
    将棋本としてはイマイチかな。
    将棋そのものというか、それに関連する周辺の話というか。それぞれが逆に短すぎるような気がした。
    小学生に将棋を教える先生の話が一番面白かったか。まず、「負けました!」と大きな声で言えるところから始まる。
  • 文藝春秋2021年4月号
  • 歎異抄
    浄土真宗の家系だが、あまりにも何も知らないので読んでみた。

    全ての人は念仏で救われるという、浄土真宗の教理は懐が深いが、同時に突き放したものだなと感じた。
    多くの宗教は、戒律や修行、こうした生き方をしなさい的なものが大概あると思うのだけど、浄土真宗は現世の生き方についての指針を特に示してくれていな...続きを読む
  • 教養としての将棋 おとなのための「盤外講座」
    将棋をいろんな角度からとらえた本。今の将棋と昔の将棋の違いや、日本将棋が誕生したとされる頃の分析とかもあって面白かった。
  • うつぼ舟II 観阿弥と正成
    梅原猛 「 うつぼ舟 観阿弥と正成 」

    観阿弥について論じた本。異説「観阿弥の伊賀出生説」「観阿弥と楠正成は姻戚関係がある説」を展開。定説に立ち向かう姿勢は素晴らしい


    観阿弥の主要作品の解説もある。「自然居士」は 見てみたい。世阿弥より 観阿弥の方が 興味あるが、あまり 一般向けの本がない
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  • 人類哲学序説
    中国で密教を学んだ円珍・円仁が天台宗を密教化し、良源が天台密教を完成させた。草木国土悉皆成仏で表現される天台本覚思想は、浄土、禅、法華の鎌倉仏教の共通の思想的前提になったことから、日本仏教の根本思想であるといえる。

    釈迦の弟子たちは、人里離れた地にある寺院にこもって厳しい禁欲生活を送ったが、龍樹は...続きを読む
  • 生ききる。
    東日本大震災後に行われた瀬戸内寂聴さんと梅原猛さんの対談を1冊の本にしたもの。
    ともにアラナインティーでそれなりの地位を確立された方々なので、まさに歯に衣をきせぬ対談でした。

    でも、ちょっと梅原さんは思想が凝り固まってるかな…。
    柔軟性で言えば女性で僧侶でもある瀬戸内さんのほうが、どんな意見もいっ...続きを読む
  • 老耄と哲学 思うままに
    幅広く深い思索は、お歳を召されても衰えることはなく、保守派なのに、平和主義・反戦・反原発が小気味よい。
    歌舞伎、縄文文化、仏教への蘊蓄等も面白くかつためになり、著名人との交友も広く、様々な組織や企画の役職も歴任されているので、その記述は示唆を多く含むが、一般庶民からしてみればちょっと自慢気と感じられ...続きを読む
  • 法然 十五歳の闇 上
    「浄土仏教の思想」シリーズ(講談社)の一冊として刊行された本の文庫版。著者独自の視点から、法然の生涯と思想を論じています。

    上巻では、法然の生い立ちから、師の叡空を批判して独自の思想的立場を確立しつつある時期までを扱っています。

    例によって著者は、田村円澄に代表されるアカデミズムの通説に反旗を翻...続きを読む
  • 法然 十五歳の闇 下
    下巻では、法然の思想形成後の経歴と、後世への影響が論じられています。

    法然は、源信の『往生要集』を論理的に分析すると同時に、彼自身の思想を強く読み込もうとしました。それが、念仏において「観念」よりも「称名」を重視する発想です。こうした法然の強い信念は、『選択本願念仏集』にも見いだされています。

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  • 生ききる。
    東日本大震災後におこなわれた対談。瀬戸内が89歳、梅原が86歳。瀬戸内は、壮絶な恋愛の末に出家するという経歴を持っています。梅原は、日本古代史の分野で大胆な仮説を次々と提示し、さらにはスーパーカブキの原作をも手がけるという異端の思想家です。

    人生の酸いも甘いも噛み分けた二人の対談なので、東日本大震...続きを読む
  • 古事記 増補新版
    28年ぶりの再読であったが,やはり,理解出来ず…残念ながらまたしても「古事記」の面白さを理解することは出来なかった…己の文学的センスのなさを恨むばかりだ.

    長たらしく難解な登場人物の名前に翻弄され,物語の内容は,欺きと権力闘争,そして近親相姦,親子兄弟の殺し合いというタブー,などなど…ある意味非常...続きを読む
  • 人類哲学序説
    物語や神話ではなく理性で世界を説明してくれるのが哲学だと思っているから、生きる理由を宗教で解説されても説得力がないんだよな。じいちゃんになると西洋哲学から離れて、日本の宗教に傾倒して死への恐怖から逃れるんだろうなと思った。
  • 人類哲学序説
    人間中心の西洋哲学の論理では先行き不透明な現代を救済できないということで、武器として天台本覚思想「草木国土悉皆成仏」を引っ張りだす。

    文明・科学技術 VS 自然との共生。

    実にストレートな提言。
  • 仏教の思想 4 認識と超越<唯識>
    読み終えると、何となく唯識がわかった気になるのが、この本のすごいところです(笑)

    実際に良書で、佛大のテキストに指定されています。

    唯識3年、倶舍8年と言われるように、アビダルマに比べて、とっつき易いのは確かだと思いますが、理屈では理解できないのが、唯識をむずかしくする理由だと思います。

    しか...続きを読む
  • 人類哲学序説
    著者の哲学に対する思いが良く伝わってくる。
    講義録をベースにしているからか、高校生くらいまでの読者を想定した哲学の本よりも理解しやすかった。
  • 人類哲学序説
    第四章の、プラトンのイデアはエジプトに起源を持つという説を吉村作治が唱えてる、という話が面白かった。カーという概念がイデアの原型ではないかいうことです。ユダヤ教の起源に関して吉村作治がイクナトンのアテン教ではないかと言ってると、書いてあるが、これは少し不正確かも。この説は既に昔からあって、フロイトな...続きを読む
  • 仏教の思想 12 永遠のいのち<日蓮>
    長かった仏教の思想シリーズも最終巻「日蓮」である。

    仏教宗派の中でただ一つ創始者の名前が宗派の名前になり、のちの
    多くの新興宗教の母体となる日蓮の思想が、今となっては明らかな
    間違いである(決して無価値ではないが)天台宗の祖「智ぎ」の教判に
    基づいているというのが興味深かった。

    迫害を受けること...続きを読む
  • 古事記 増補新版
    梅原猛のバイアスがかかっているかもしれない「古事記」の現代語訳。

    スサノオはマザコン[p21]、アマテラスはひきこもり[「岩戸隠れ」p26]。 ヒーローで名高いヤマトタケルは、あのまま現代にいれば凶悪な犯罪者になるだろう[p127]。神話全体がスカトロジーに貫かれている(これは糞が肥料になるなど、...続きを読む
  • 仏教の思想 11 古仏のまねび<道元>
    只管打坐。とにかく座禅をしろと言う道元の思想は、私の中で今ひとつ
    確固たる像を結ばなかった。

    出自から来る潔癖なまでの反権力と世俗との決別。
    十五歳にして大乗仏教の根本に疑問の視線を向けうる驚くほど聡明な
    知性。
    そしておそらくは如浄のもとで経験したのであろう座禅による宗教的
    体験。
    道元の中の様...続きを読む