梅原猛のレビュー一覧
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梅原猛のバイアスがかかっているかもしれない「古事記」の現代語訳。
スサノオはマザコン[p21]、アマテラスはひきこもり[「岩戸隠れ」p26]。 ヒーローで名高いヤマトタケルは、あのまま現代にいれば凶悪な犯罪者になるだろう[p127]。神話全体がスカトロジーに貫かれている(これは糞が肥料になるなど、当時の社会に根差していたか)。男女の生々しいエロティシズムは当たり前で、川でウンコしているときに矢が女性器に刺さって、その矢が男になったり(ウンコが流れる下流からではなく、上流から流れて来たらしい。よかった。[p101])、風俗の写真見学みたいに女を品定めしたり[p102](天皇の浮気は当たり前。ゾウアザラシ並み)、月経の血をみて歌をうたったり[p137]する。また、ボーイズ・ラブに近いようなニューハーフなようなエピソードも[p128]。
とにかく、黄泉の国にいたスサノオから奪った太刀と弓矢で地上(葦原中国)に国らしきものをつくったオオクニヌシ(大国主神)あたりから、地上に神が増殖し(植民か?)、アマテラスでさえ名前を尋ねないとわからない[p67]。それで、アマテラスもイザナギと同じように、地上の統治を他の神に任せようとする。無責任。お前がやったほうが早そう。結局、様々な混乱、争いが地上にはびこる。
古事記が扱うのはおもに天皇が神に近かった範囲内。推古天皇の近くはざっと数行で触れられるのみ[p217]。国を正当化する物語がこれほど人間的、生々しく生理的であるところが圧倒的な魅力。 -
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只管打坐。とにかく座禅をしろと言う道元の思想は、私の中で今ひとつ
確固たる像を結ばなかった。
出自から来る潔癖なまでの反権力と世俗との決別。
十五歳にして大乗仏教の根本に疑問の視線を向けうる驚くほど聡明な
知性。
そしておそらくは如浄のもとで経験したのであろう座禅による宗教的
体験。
道元の中の様々な要素が一つに結びつかないのである。
これは勝手な想像だが、おそらくは道元自信もそんな様々な要素を
抱えたまま修行生活を送ったのではないだろうか。ん、勝手すぎる
か(苦笑)。
次はいよいよ最終巻の日蓮。読み終えてから仏教の「どこ」に
向かうか、が問題だな。 -
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空海とその真言密教に対して私の持っていたイメージは「熱帯雨林」。
様々な要素を切り落とし、念仏や禅に特化していった鎌倉仏教とは
違い、空海の思想には宇宙論や思想、哲学と言ったものも含まれる。
そして様々なものを否定し拒絶する「禁」の印象の強い浄土教や禅と
違い、真言宗はすべてを肯定するダイナミズムに溢れている。色彩も
モノトーンな印象の禅とは違い、五色に溢れ実にカラフルだ。
この本を読み、私の真言宗に対するイメージはそれほど間違って
いなかったのだと再認識できた。
この本が書かれた当時から現在に至る時間の流れの中で、空海とその
思想は再評価再認識されていると思う。そういう意味では多かれ
少なかれ古さを感じる面は否定出来ないが、空海入門としては絶好の
書だと思われる。 -
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ネタバレ歴史の教科書では、どっちが何教を広めた偉い人
というのを覚えさせられるぐらいが関の山だった最澄と空海。
無宗教な上、6年間ミッションスクールに通っていた自分にとって
仏教というのはまったくの未知の存在。
入門編としてとてもわかりやすく、面白かった。
シュメールの神話で、都市文明を作った英雄ギルガメシュが
最初になしたことは森の神の殺戮、というのは興味深い。
自分がどうしても仏教に馴染めない所以として
この中にもあるがすっかり葬式仏教になったせいなのだろうと思う。
逆に山は神と死者の住処であるという本来の考え方には
すんなりと入っていける。
戒律の軽減化というのは、広めるにあたり大切かもしれないが
仕来たりを守ってきた者からすればとんでもない異端であり
反発するのも当然と言えるだろう。
キリスト教を学んだときも感じたことだが
なぜ他の宗教をけなすのだろうか。
愚問と言えば愚問なのだが。
どうしてもそのあたりへの疑問が、宗教というものを
異質にしてしまうように思う。
入門編として次へのステップにするには、
丁度いい難易度の本だと思う。 -
Posted by ブクログ
■空海を知るには最澄を知るべし■
空海は、同時代の先輩格であり、エリートであった最澄との対比で見ることで、輪郭がより際立つ。二人は偶然にも同じ遣唐使団で唐に渡っています。最澄は国費で、空海は自費。まずは本書でこの辺の事実関係を押さえた上で、HNK取材班の「「空海の風景」を旅する」を読むのがオススメです。
この著者、梅原猛さんの文章は、他の著作もそうなのですが、何とも心が和みます。瀬戸内寂照さんが、「小説を書いたら私くらいにはなれる」と言ったとか何とかいう話もなるほどと思います。
なお、最澄の偉業を知りたい方は、本書の後に「三人の祖師―最澄・空海・親鸞」を読まれる事をお勧めします。
本書は、それぞれの彫りは浅いですが、まとめ或いは入門としては好いと思ひます。