梅原猛のレビュー一覧
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空海とその真言密教に対して私の持っていたイメージは「熱帯雨林」。
様々な要素を切り落とし、念仏や禅に特化していった鎌倉仏教とは
違い、空海の思想には宇宙論や思想、哲学と言ったものも含まれる。
そして様々なものを否定し拒絶する「禁」の印象の強い浄土教や禅と
違い、真言宗はすべてを肯定するダイナミズムに溢れている。色彩も
モノトーンな印象の禅とは違い、五色に溢れ実にカラフルだ。
この本を読み、私の真言宗に対するイメージはそれほど間違って
いなかったのだと再認識できた。
この本が書かれた当時から現在に至る時間の流れの中で、空海とその
思想は再評価再認識されていると思う。そういう意味では多かれ
少な -
Posted by ブクログ
ネタバレ歴史の教科書では、どっちが何教を広めた偉い人
というのを覚えさせられるぐらいが関の山だった最澄と空海。
無宗教な上、6年間ミッションスクールに通っていた自分にとって
仏教というのはまったくの未知の存在。
入門編としてとてもわかりやすく、面白かった。
シュメールの神話で、都市文明を作った英雄ギルガメシュが
最初になしたことは森の神の殺戮、というのは興味深い。
自分がどうしても仏教に馴染めない所以として
この中にもあるがすっかり葬式仏教になったせいなのだろうと思う。
逆に山は神と死者の住処であるという本来の考え方には
すんなりと入っていける。
戒律の軽減化というのは、広めるにあたり大切かもし -
Posted by ブクログ
■空海を知るには最澄を知るべし■
空海は、同時代の先輩格であり、エリートであった最澄との対比で見ることで、輪郭がより際立つ。二人は偶然にも同じ遣唐使団で唐に渡っています。最澄は国費で、空海は自費。まずは本書でこの辺の事実関係を押さえた上で、HNK取材班の「「空海の風景」を旅する」を読むのがオススメです。
この著者、梅原猛さんの文章は、他の著作もそうなのですが、何とも心が和みます。瀬戸内寂照さんが、「小説を書いたら私くらいにはなれる」と言ったとか何とかいう話もなるほどと思います。
なお、最澄の偉業を知りたい方は、本書の後に「三人の祖師―最澄・空海・親鸞」を読まれる事をお勧めします