梅原猛のレビュー一覧

  • 仏教の思想 10 絶望と歓喜<親鸞>
    日本で最も知られ愛される仏教者と言っても過言でない親鸞。
    その教えは単純で信念と念仏ということになるだろうか。
    この本では単に親鸞の思想を抽出するのではなく、その思想と生涯とが
    不可分だと考え、思想家や学者ではなく、修行者や仏教を生きる者と
    しての親鸞を追っている。

    頭でっかちの私にとっては最も遠...続きを読む
  • 古事記 増補新版
    改めて読んでみて、面白かった。昔の人達と今と通じる所、今とは違う当時の価値観を垣間見れる所、色々感じられました。もう少し、名前が分かりやすいと良いのだけども、そこは致し方無いか。。近畿から九州まで、旅したくなりました。
  • 仏教の思想 9 生命の海<空海>
    空海とその真言密教に対して私の持っていたイメージは「熱帯雨林」。
    様々な要素を切り落とし、念仏や禅に特化していった鎌倉仏教とは
    違い、空海の思想には宇宙論や思想、哲学と言ったものも含まれる。
    そして様々なものを否定し拒絶する「禁」の印象の強い浄土教や禅と
    違い、真言宗はすべてを肯定するダイナミズムに...続きを読む
  • 仏教の思想 8 不安と欣求<中国浄土>
    今まで全くと言っていいほど知らなかった中国における浄土教の誕生
    とその発展の経緯が語られ、実に興味深く読むことが出来たが、
    読後の感想としてはこのまま日本の浄土教に繋がっていくのだろうな
    という感じで、今ひとつ「中国の浄土教」に踏み込めていないような
    気がした。紙幅の都合上仕方がないことなのかも知れ...続きを読む
  • 仏教の思想 7 無の探求<中国禅>
    達磨くらいしか思いつかなかった中国禅だが、その達磨は架空の人物
    と言うことでほぼ触れられず。それほどまでに知っていることの少ない
    中国禅の世界だが、ここでも中国人の現世主義というかリアリズムと
    いうか圧倒的な人間主義のようなものが顔を出してくるのが実に中国
    らしくて面白かった。日本で「禅」と言われて...続きを読む
  • 仏教の思想 6 無限の世界観<華厳>
    この巻は限られた紙幅の中で実によくまとめられていると感じたな。

    天台とは表と裏のような関係にあること。そして、今では東大寺
    くらいしか思い浮かばない華厳の教理が禅の中に息づいているのでは
    ないかという考え方が興味深かった。

    しかし一口に仏教と言ってもこれだけ多様な相を持っているのには
    改めて驚か...続きを読む
  • 仏教の思想 4 認識と超越<唯識>
    4巻目は唯識。実はこれもよくわからない(笑)。

    すべては空であるとして輪廻も否定した中観と比べると、私のような
    頭でっかちの理屈人間には後退のようにも思える唯識だが、それは
    瑜伽行の実践のバックボーンとしての性格が強く表れているという
    ことなのだろう。実際に人間の体や心と対峙して作り上げた唯識を
    ...続きを読む
  • 仏教の思想 3 空の論理<中観>
    第3巻はナーガールジュナを中心とした中観派を扱う。

    途中でどちかというと苦手な論理学が顔を見せたりして、少々
    手強い内容だった。

    ・言葉を尽くしたその先に言葉を否定する形で空が現れる。
    ・無我とは今で言う無心という意味ではなく、あらゆるものが
     それ自体として自立的な普遍の実体(=自性)を持って...続きを読む
  • 仏教の思想 2 存在の分析<アビダルマ>
    1巻目がとても面白くあっという間に読み終えてしまったのに対し、
    このアビダルマ編は非常に手強かった。
    読んでわからない内容では無いのだが、どうも今ひとつ腑に落ちて
    こない感じ。煩雑で極端に細かい理論に走り、その批判から大乗仏教が
    生まれたと言われるのも何となくわかる感じだ。

    ただ、この理論の部分が...続きを読む
  • 森の思想が人類を救う
    前半の日本宗教の歴史に関する部分は非常に勉強になる。しかし、結論の日本の思想が西洋とは異なる平等主義、それも人間以外の生物を。含めた平等主義だという主張は抽象的でぶっきらぼうな意見に感じた。
  • 仏教の思想 9 生命の海<空海>
     平安時代に日本の仏教の礎を築いた真言宗の祖、空海。その一生と教えを文庫にまとめた本。

     一言で言えば…難しい。

     言わんとしていることを一言で言えば

     仏とは己の中にある。己の中の仏は人だけに存在する物ではなく、この世界に存在する物すべてに存在するものである。
     そして、悟りとは己の中にある...続きを読む
  • 歎異抄
    他力本願の世界を知り、親鸞の人柄にふれることができた。
    大教団の創始者としてこれまで抱いていたイメージとずいぶん違うお人柄。
  • 生ききる。
    仏教や源氏物語のことなど、私には勉強不足でわからないことが多かったのです。ただ、どん底はずっと続かない、必ず救われるときがくるというメッセージが強く感じられました。源氏物語、読んだことないので、読んでみようかなと思いました。原文ではきついので、与謝野版か瀬戸内版で。
  • 最澄と空海(小学館文庫)
    歴史の教科書では、どっちが何教を広めた偉い人
    というのを覚えさせられるぐらいが関の山だった最澄と空海。
    無宗教な上、6年間ミッションスクールに通っていた自分にとって
    仏教というのはまったくの未知の存在。
    入門編としてとてもわかりやすく、面白かった。

    シュメールの神話で、都市文明を作った英雄ギルガメ...続きを読む
  • 学ぶよろこび : 創造と発見
    著者の講演や書き起こしに最近の話を加えたもの。著者の人生の回願は『学問のすすめ』から持ってきています。第5章の老木に花が書き下ろしになっています。生い立ちの記は消失する過去を突き付けられて思わず読んでしまいました。
  • 仏教の思想 6 無限の世界観<華厳>
    間違っているかもしれないが、非常に荒っぽく、現段階で華厳のキーコンセプトをいったんまとめる。

    ◆華厳の世界観「法界」ってなに?
    ○事法界
    感じる→感じる→(以上繰り返す)

    ○理法界
    わかる→わかる→(以上繰り返す)

    ○理事無礙法界
    感じる→わかる→願う→行う→(以上を繰り返す)→できる=叶う
    ...続きを読む
  • 最澄と空海(小学館文庫)
    ■空海を知るには最澄を知るべし■

     空海は、同時代の先輩格であり、エリートであった最澄との対比で見ることで、輪郭がより際立つ。二人は偶然にも同じ遣唐使団で唐に渡っています。最澄は国費で、空海は自費。まずは本書でこの辺の事実関係を押さえた上で、HNK取材班の「「空海の風景」を旅する」を読むのがオスス...続きを読む
  • 梅原猛の『歎異抄』入門
    ■親鸞。狂気故に閑寂の中に身を置いた思想。■2006.4.13

     歎異抄の入門書はあまた出ていますが、梅原氏は説教臭くは語らないし、学問一点張りでもなく、つまりご自分が生きる糧としても読まれている。その点で梅原氏は信用して良いのではないかと思ひます。
  • 歎異抄
    「善人なをもて往生をとぐ。いわんや悪人をや。」
    この一節を「悪人のほうが追往生できるってことか」と誤解してる人のために親鸞の弟子唯円が異を嘆くために書いたものです。ていうか有名なあの嘆異抄です。清く正しく美しく貧しく、仏教のそんなイメージとはちょっと違う親鸞の生きざまはむしろ潔い気がします。興味のあ...続きを読む
  • 地獄の思想 日本精神の一系譜
    梅原猛さんで初めて読んだ本。
    ここから梅原さんと日本古代への好奇心は始まった。

    ただ日本史、仏教史に詳しくない自分には理解できたとは言えない。