梅原猛のレビュー一覧
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○最澄と空海の人物学と思想を分かりやすく理解出来る一冊
過去に梅原さんの他の書を読んで、最澄と空海についてもっと知りたいと思い購入しました。
本書では二人の生い立ちと天台宗、真言宗の成り立ち、お互いの確執などを梅原さんの考えを交えて解説しています。(もともと解説は難しいと思いますが、現代の私達にも分かる様に易しく解説していると感じます。)
この後に続く鎌倉仏教はこの本を読んだあとだと良く理解出来るのではないかと思います。
私も仏教学についてはまだ勉強不足で理解しづらい所が多かったですが、彼らが日本仏教にもたらした物と今日まで続く日本人の神仏習合の心の一つを創造していったのだと勉強にな -
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親鸞 の弟子 唯円による 「 歎異抄 」
歎異抄は 最も平易な宗教哲学書だと思う。易行他力、「悪人こそ救われる」という言葉に触れただけでも 懐の深さと大きさを感じる
100分de名著 で、「自力で 生きていると思ってたが、実は 生かされていたと気づくと 人間と世界の見方が変わってくる」とあった。悟りや救いを求めていなくても、人間と世界を見る目が変わるなら、歎異抄を知る価値は 十分ある
易行=誰でも極楽浄土に行ける
他力=阿弥陀様が導いてくれる
悟り型の宗教から 救い型の宗教へ
南無阿弥陀仏=阿弥陀様にお任せします という意味
親鸞は 一度も悟ったと言ったことがない
悪人こそが救われる -
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日本人なら必ず知っている古事記。
梅原猛が現代語訳していたので初めて全編読んでみた。
日本の古代の神々が人間味を持っていて面白い。因幡の白兎、ヤマタノオロチ、国譲りなど知っている話でも流れが掴めた。
また戦闘においては非常に騙し討ちが多い事にも驚く。勝者の歴史なので都合が悪ければ書き換えれば良いのにしていない事を考えると、騙し討ちが恥ずべきことでは無いのだろう。現代と倫理観というか感覚の違いが大きい。
下ネタも多い。糞の中から神が生まれたり名前の意味が糞だったりと深読みの遣り甲斐がある。
巻末の解説を読むともう一度読み返したくなる。別の人の訳と比べてみたい。 -
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ネタバレ主に気になったところや勉強になったところを以下に記します。
・インドでは、命を持っているのは動物までで、植物に命はない。仏教者はベジタリアンで、命あるものを食べない。……P14
・アイヌの再生の祭り。……P29
・アイヌの思想はまさに「草木国土悉皆成仏」。山も川も人間も生きている。昔の日本人もそう考えていた。……P33
・神道は多神教。明治以来の神道は一神教的。本来の神道ではない。……P36
・デカルトの『方法序説』第5部は「人間機械論」。「医学の発展で、人間は100歳まで生きられるようになる」とデカルト。……P58。今、確かにそうなった。
・イギリスの歴史学者 トインビーによると、西洋近 -
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各地の講演録をまとめたもの。読みやすいが物足りない部分もあった。タイトルから想像される文明論的な内容はあまりなかったが、日本の土着の信仰が仏教の中に入り込んでいく流れはおもしろかった。
縄文土器の文様は木の精への信仰をあらわしている。アイヌのイオマンテは、クマの魂を送るという意味で、死んで天国へいった魂はミアンゲを持ってこの世に戻ってくる。ミアンゲは「身をあげる」という意味で、肉や皮を持ってきたお客様ということ。生命はみな死んでまた蘇るという循環を繰り返している。ハシラの「ラ」はアイヌ語で「下ったもの」という意味で、神が下りたり霊が上ったりするところ。神様は柱で数える。弥生時代、古墳時代以降 -
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源氏物語、平家物語、世阿弥、近松門左衛門、宮沢賢治の作品から地獄の思想を読み説くのが本書の内容なのですが、僕はそういうのを求めていたわけじゃないので、ちょっとがっかりでした。
『地獄の思想』というタイトルから、地獄の体系と歴史が書いてあると思っていたのですが、どうもそれらは末節のようです。
生の中に地獄あり。愛欲、人情、義理に見る個々人の葛藤こそが地獄であり、死によって罪を贖い、来世に希望を託すのは、まさに仏教思想の真髄ですが、『割りとキリスト教と似てるんじゃね?』と、表面的には現世が辛く、死後報われる世界観という共通点があります(大雑把に言えば)。
宮沢賢治の修羅の世界(食う・食われるの連 -
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西洋文明により、豊かで便利な生活が生まれ、デカルトの哲学に基礎づけられて自然科学文明が勃興し、近代医学の発展があった。
著者は、西洋文明の偉大さを認めながらも、「現代は、もうそのような科学の進歩を謳歌する思想がそのまま通用する時代ではない」と近代西洋的な人生観では、駄目であるという。
確かに今まで人類が歩んできた歴史に、現代人は恩恵を受けているが、果たして受けているのは恩恵だけだろうか。原発にしてもそうだが、その利便性は危険を伴っている。
本書に何度も出てくる「草木国土悉皆成仏」という、仏教の思想のように、自然も生きていて、その中で人間はどのように生きるかということを考えるべきだと思う。
人間 -
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人類文化を持続的に発展せしめる原理とは?......
かつてとんでもないSF映画があった。
「インデペンデンスデイ(ID)」。
地球人が宇宙人のマザーシップにコンピュータウイルスを感染させてバリアを破壊、攻撃するというあまりにも想像力プアーなあらすじは、ゴールデンラズベリー賞の最低脚本賞にもノミネートされたほどだ。
この映画を揶揄したのが「マーズ・アタック!」で涙が出るほど笑える傑作だったが、IDは笑うどころか退屈して寝てしまった。
IDまでひどくはないものの、宇宙の知的生命体を探している科学者の多くも、それらは宇宙船に乗って来ると思い込んでいる。
宇宙は気が遠くなる広大さなのに、三次元の -
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ネタバレ最も澄める人ー最澄 空と海のような人ー空海
誰がつけたが知らないが、名前が人柄のすべてを物語っている。この偉人二人が同時代に存在した経緯とかを知ると、何かに導かれているようにしか思えない。
タイトルの通り最澄と空海の詳しい概略をまとめてくれている本。これだけで二人のことがだいぶわかる。これに加えて、司馬遼太郎や陳舜臣の空海の伝記小説を読むことを進める。最澄の伝記小説はなんか無い。誰か書いてくれないかな。
天台宗と真言宗の教義についても簡単な解説があるんだけど、そこはやはりハードルが高い。これ以上ないくらい砕いてくれているけれど、素人には難しい。とはいえ、そこを飛ばして読んだとしても -
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「草木国土悉皆成仏」をキーワードとして日本仏教・文化を説明できるとの考え方が貫かれている明快な日本文化、哲学の入門書だった。特にデカルト、ニーチェ、ハイデッガーの説明は最高! デカルトが近代哲学の父としてどれだけ重要な存在なのかが、改めてよく分かった。デカルトの人生を生きていく規則(4つの格率)、方法序説の4ヶ条の説明など。ニーチェの「アンチクリスト」ではキリストを無私、愛の人として高く評価しているというのも面白い。ショーペンハウエル、ニーチェ、ハイデガーが「意志」に重きを置く哲学だという説明も分かりやすい。なお、世阿弥「白楽天」の紹介の中で、和歌の神・住吉明神との問答は実に楽しい話。「日本で
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久々に待ちかねて買った本。
著者はもともと西田幾多郎にあこがれ、「西洋哲学」学者ではなく、独自の哲学の完成を志していた。その彼がある時期から仏像評論やら古代史ならびに仏教研究へ、はては縄文・アイヌ研究へと手を広げる。初期のころの作品から追い続けている読者からすると、自前の哲学の完成という初志とはずいぶん遠回りをしているかに思えた。出版業界では、しかし売れっ子であった。
哲学へと回帰するチャンスは何度かあった。少し前は90年代の「森の思想」のころ、あるいは「日本冒険」のころである。しかし哲学へは帰ってこなかった。ようやく3.11を契機に、原発事故を文明災とみなし、ようやく西洋哲学批判と -
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西洋哲学の行き詰まりから、
その思想に基づいた近代とその果ての現代もまた行き詰る。
若い頃、西洋哲学を研究しており、、
それを日本に根付いた東洋的な思想で打開しよう、と考えた
梅原猛さんに興味を持ったので、
読みやすそうな本を選んで、読んでみました。
当時の僧の偽善を謗り、人間の持つ欲望を認めて、
どんな悪人も(だからこそ)、
とりあえず念仏を唱えときゃー救われるんだよと
語る親鸞は魅力ある人物だと感じました。
また法然、親鸞、「歎異抄」を書いた唯円の関係について
歴史的資料から梅原さんが思いめぐらせており面白いです。
「歎異抄」の中に書かれている親鸞が語るパラドックスは
どれもハッとさ