池澤春菜のレビュー一覧

  • 別冊NHK100分de名著 フィクションの超越者 筒井康隆

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    書店で必ずあるのがNHKテキストのコーナー。そこに「筒井康隆」と大きく書かれた薄い本が山積みで置かれていた。なぜ筒井康隆の本がNHKテキストなのか?と混乱しながら本を手に取ってみたら、別冊NHK100分de名著のシリーズ関連図書とのこと。他にも、有名人の本がいくつも置かれていた。この本は、今年のお正月にNHKで放送された内容を基に纏められたもの。筒井康隆大好き人間4人とカズレーザーが出演していたとのこと。4人それぞれが自分のスタイルで筒井康隆作品を解説する。そう言えば、昨年もNHK-BSで筒井康隆の特集番組が組まれていた。一時期、「残像に口紅を」がSNSで話題になり、どの書店でも文庫本がこれも

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    2025年11月25日
  • わたしは孤独な星のように

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    ほんタメ文学賞あかりん部門を受賞された時に池澤春菜先生を知りましたが、声優さんとしての活動の内容を知ったらまさかのあの声も!あの声も!と大感動。YouTubeのオススメ動画でたまたま本屋さんで一万円分買い物をする企画のものに出演されていて、あ、知っている方だ〜と思い開いてみるとその圧倒的な知識量とSFへの熱量に大好きになりました!
    ほんタメ文学賞の時からずっと積読していたものを引っ張り出して読んでみたところ
    めちゃくちゃ面白い!!読みやすい!!!
    SFへのちょっとしたハードルの高さは、小さい時に挑戦したスター・ウォーズの小説を読み切れなかったところにありまして。海外の方の名前が覚えにくいという

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    2025年09月22日
  • わたしは孤独な星のように

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    どの話も好きだったけど、1話目の「糸は赤い、糸は白い」と、表題作「わたしは孤独な星のように」が特に好きだった。

    他の話で、設定があまりにも壮大?突飛?で頭が混乱して、なんだか笑ってしまったけど、SFって枠にとらわれない設定が自由で面白いなぁ。

    また、著者がいろんな媒体で進めている本も面白い作品が沢山ある(私の読書の参考にさせてもらっている)。
    それ込みで池澤さんという人がこれからも楽しみ。

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    2025年09月06日
  • ぜんぶ本の話【毎日文庫】

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    本についての池澤親子の対談集。素敵な親娘関係だなと思った。

    日本語でなったものは読むが、日本語で書かれたものは、あまり読まないという娘の嗜好が影響してか翻訳物の話が多め。

    素晴らしい翻訳物は、原書よりもいいとのことで、ちょっと読んでみようかなと思った本も多数。出先で読んだので、ポストイットを忘れたのは痛恨の極み。

    一部の翻訳者への苦言(特に某魔法ファンタジーのベストセラー)や、某ベストセラー作家(誰なんだ?)への悪口など、ダークな一面もポイントかな。

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    2025年06月08日
  • Genesis されど星は流れる

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    ネタバレ

    〇宮澤伊織「エレファントな宇宙」神々の歩法の続編。高次元生命体が仏陀をダウンロードしプリンターで製作しようとする。
    空木春宵「メタモルフォシスの龍」失恋すると女性は蛇化する世界でのMtFの安珍清姫
    〇オキシタケヒコ「止まり木の暖簾」通商網シリーズのスミレが大阪の居酒屋でバイトする話
    〇松崎有理「数学ぎらいの女子高生が異世界にきたら危険人物あつかいです」
    堀晃「循環」
    宮西建礼「されど星は流れる」「宙を数える」と同工
    折輝真透「蒼の上海」

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    2025年05月26日
  • わたしは孤独な星のように

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    SF短編集。ちょっと新井素子的「女のコ感」を感じつつも、こちらの方が新井素子よりもちょっと年齢が上かな?って印象。全体的に結論が明確に出ないことで、ふわっとした余韻が残る。

    祖母の揺籠、が一番気になる話だった。最初読み始めた時は「なんだ、これは?」という感じだったけど、何度か読み直すと希望があるような悲しいような印象。このまま気候変動を放置していると、陸の生活はこうなっていくよね(海のほうが流石にこうはならん気がするが)。

    糸は赤い、糸は白い、も「それでどうなったんだろう、気になるな」という話だった。どのような形になってもコミュニケーションというのは悩ましいなぁ。

    しかしSF作家ってアイ

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    2025年04月19日
  • わたしは孤独な星のように

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    読みやす面白い!!
    時間がゆったり流れる作品もあれば、コミカルにどんどん話が進んでく作品もあって、ジェットコースターで振り回されている小説集。

    Yours is the Earth and everything that's in itが好き。
    空気感が良い。
    もったりした感じの中にちょっと花が咲く時があって、それがすごく良かった。

    糸は赤い、糸は白いも良かった。
    恐ろしい結末になるんじゃないかとドキドキしながら読んで、終わりは終わりで息が止まった。
    若い子のエネルギーに振り回された。

    高校生くらいの子に読んでほしい作品。
    この本を読むことでSFに興味を持ってほしい。
    読んで大

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    2025年03月17日
  • ぜんぶ本の話【毎日文庫】

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    やっぱり本の好みが合う方たちの本談義は読んでて面白いー!!! ガッと一気に読んで、共感したところに付箋を数十本貼って、読みたい本が9冊新たに見つかった。

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    2025年01月30日
  • わたしは孤独な星のように

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    SF短編集でディストピアぽいのからコメディまでバリエーションに飛んでいるがどれも池澤さんらしい世界観に包まれてる。お気に入りは表題作。20数Pの作品なのに永い物語を感じさせラストはなんとも言えない感動がジワッと込み上げてきた。

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    2024年09月17日
  • わたしは孤独な星のように

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    ほんタメ文学賞あかりん部門大賞受賞という事で久々に読んだSF。
    小説集という事で一つ一つのお話は短くて、たくさんの世界を楽しめる素敵な物語ばかりだった。
    ハラハラしたり、ゾワゾワしたり、キュンとしたり、さまざまな感情を楽しめた。
    2つだけ繋がっている話があったけど全7本の物語はどれも味わったことのない未来や近未来や、違う国や世界の話もあったけも、時々今の現実に繋がるキーワードもあったりして、近くて遠い距離感だった。
    コメディタッチのものや、ディストピアものもある中で、最後の表題作は世界や文化、人がどんなに変容しても、普遍的な想いを描いていて、最後の2ページで胸がギュンッと掴まれてしまった。

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    2024年09月09日
  • わたしは孤独な星のように

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    ほんタメ文学賞あかりん部門から

    SFを読んだことがなかったので、初の試み
    短編集なのでサクッと読める感じは良いけれど、毎回設定が変わることで、設定に追いつくまでに苦慮はしました
    でも設定が分かればその物語の面白さにハマる感じです
    他の著者でもSF作品も読んでみたいと思いました

    あかりんの言っていた作品は確かにこう、性癖に刺さる感じがします
    友情を超越したそれは愛なのか、恋なのか、執着なのか
    はたまた勘違いかもしれない
    第二次性徴期の時期に、自分であったらどれだけ物事を理解して決定出来ていたものだろうか

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    2024年08月20日
  • わたしは孤独な星のように

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    過去作やインタビュー記事の中で、名門の文学一家に生まれ、池澤の名前で小説を書く事への葛藤や重圧を、度々口にされていた春菜さん。
    今回の作品で、堂々と作家を名乗って、胸を張って良いと思います。
    短編ですが、タイプの違う多様なお話の詰め合わせで、本当にSFが好きな方が書いたのだと感じる部分多々。きのこや紅茶、クトゥルフなど、春菜さんらしい専門性が垣間見えたのもファンとしては嬉しい。
    脂肪とビスカチャのお話が特に好きでした。
    お忙しい方なので難しいかもしれませんが、是非長編も発表していただいて、春菜さんのSF本棚を作りたいです。

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    2024年07月25日
  • わたしは孤独な星のように

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    池澤春菜「SFのSは、ステキのS+」に続く2冊目。初の小説集という。先に出典(初出一覧)を見たら、幾つかは既に読んでいる。最近偶然ではあるが、2回読むことでその作品の真価を再認識できることが判ったのでしっかりと読んでいきたい。久々に、作品を個別に語りたい。

    「糸は赤い、糸は白い」
    ステキS+で既に読んでいる。本作品で池澤春菜の素晴らしさに感動し、次の作品を読みたくなった訳だからこの本を買うことは自然な事。今回読むのは2回目なのだが、当然のごとくこの作品の評価は最上級に推したい。所謂、GLSF作品なのだが、GLとSF(マイコパシー)のバランスが良い。最近GL作品を読む機会が多くなってきたので目

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    2024年06月11日
  • 火守

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    大切な人の病を治すために、世界の果ての火守のもとを訪れる。
    鯨の体から油を採り、骨や歯を用いてロケットを作る。月へと登り、星を磨く。毎日欠かさず決められた時間に火をつける。
    幻想的な物語が、西村ツチカによるイラストと共に世界を構築する。

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    2024年05月24日
  • 火守

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    病気の恋人を治すため、サシャは火守の元へ赴く。

    なんとあの「三体」の劉慈欣の児童書・絵物語です。日本版では西村ツチカさんが絵を描いているので、原書ではどのような雰囲気なのかちょっと興味がありますね。
    ストーリーは月や星を行くとてもメルヘンな仕上がりで最後はふっと切なくて、他の作品で読み慣れた劉の印象はあまり感じられません。それでもところどころSF作家だなあ、と思わせる描写があったりして面白かったです。
    この世界観を支えるのはなんと言っても西村ツチカさんの絵で、静謐な世界観を美しい、独特のタッチで描き出しています。西村さんといえば映画化もされた「極北百貨店のコンシェルジュさん」などの著作があり

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    2024年02月17日
  • 火守

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    中国のSF作家である劉慈欣による童話です。
    ヒオリの命を救うために、サシャは世界の果てで隠遁生活を営む火守を訪ねます。
    夜空に輝く星は人の数あり、各々の星を磨き直せば体も回復すると火守は語ります。
    三日月へロケットを飛ばしロープを引っ掛けるシーンは、幻想的かつ科学的で素敵な雰囲気でした。
    火守にヒオリを救ってもらう見返りにサシャは仕事を引き継ぐ約束をしますが、ヒオリが回復した後に心変わりはしないでしょうか…。
    世界観、文章、絵、全てが温かい一冊です。

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    2023年08月06日
  • 火守

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    劉慈欣はアイデアの人だ。垢抜けないが、それでもその手があったかと思わせる設定や展開やディテールが次々と出てくる。段取りや手順を語る時は理屈っぽく説明調なのに、たった一言の情景描写で突然詩的になったりする。『三体』と一緒だ。でも『三体』と違って、すごく短くてファンタジック。劉のエッセンスが詰まっている感じがする。挿絵も物語の雰囲気にぴったりで素晴らしい。

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    2023年05月03日
  • 火守

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    劉慈欣氏初の童話。物語はサシャという青年が東の孤島に立っている場面からはじまる。淡々と描かれる情景描写。火守が持つ能力。サシャの願いが叶った後に描かれる火守の仕事に圧倒された。劉慈欣らしいラスト。私は少しだけ怖い。→

    童話を読まずに大人になったので、深読みしすぎなのかもしれないが、火守の仕事があまりにも過酷で驚いた。若き火守となったサシャはこれからずーっと火守なんだろうし、背の高い老人はずーっと火守だったんだ。
    誰かがやらなければならない仕事だし、でもそれを1人の火守にやらせるのはどうなんだろう

    好きな描写は40ページ。三日月の船が星々の間を通る場面。星がぶつかるときに「夏の風になる風鈴の

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    2023年03月22日
  • ぜんぶ本の話

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    ネタバレ

    父と娘の本に関する対談。
    羨ましい。

    私も、読んだ本について思う存分語り、読んでない本について存分に語られているつもりで、つまり第3の話者のつもりで読みました。
    もう本を読みながら心の中で語る、語る。

    だって児童文学、少年文学、SF、ミステリ、好きなジャンルの本ばかりなんですもの。
    比較的少年文学は読んでいないけれど。

    私はイギリスの文化(小説、音楽、映画)が好きなのですが、児童文学というのは圧倒的にイギリスが多いのだそうです。
    なるほど、子どもの頃イギリスの児童文学を読みふけった結果、すり込まれたんやな。

    物心ついた時から周りには本が当たり前にある環境で育った娘は、留学していた時、段

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    2022年06月07日
  • ヒミツのヒミツの猫集会

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    色んな猫写真集を眺めてきたけど、後ろ姿の写真に「これいい!」って感じたのはたぶん初めて。
    背表紙になってる草むらに飛び込む茶トラの躍動感ある後ろ姿もいいけど、路地の薄明かりの中で歩く影のような後ろ姿や寄り添いながら歩く二匹の後ろ姿も良き。
    完全に心の栄養剤的な一冊です。

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    2022年06月02日