【感想・ネタバレ】わたしは孤独な星のようにのレビュー

あらすじ

遠い未来のスペースコロニーで、亡くなった叔母の弔いを巡る情景を描いた表題作のほか、商業媒体やウェブ媒体で発表した池澤春菜のSF短篇を集成。人間が異文化と接するときの情景や、未知なる動植物の生態をときにコミカルに、ときに抒情的に描き出す傑作集。

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Posted by ブクログ

ほんタメ文学賞あかりん部門を受賞された時に池澤春菜先生を知りましたが、声優さんとしての活動の内容を知ったらまさかのあの声も!あの声も!と大感動。YouTubeのオススメ動画でたまたま本屋さんで一万円分買い物をする企画のものに出演されていて、あ、知っている方だ〜と思い開いてみるとその圧倒的な知識量とSFへの熱量に大好きになりました!
ほんタメ文学賞の時からずっと積読していたものを引っ張り出して読んでみたところ
めちゃくちゃ面白い!!読みやすい!!!
SFへのちょっとしたハードルの高さは、小さい時に挑戦したスター・ウォーズの小説を読み切れなかったところにありまして。海外の方の名前が覚えにくいという世界史苦手マンのせいだったんですけれども。それでもほんタメで紹介をされていた「ゆきあってしあさって」「まず牛を球とします」であったり、お友だちがオススメしてくれた「プロジェクト・ヘイル・メアリー」でSFが大好きになりました。もしもの世界を妄想するのもガンダムSEEDも大好きな自分がSF嫌いなわけないんです。でも余りにも宇宙戦争は難しい用語のオンパレード、宇宙人の設定の複雑さについていけなかったのは自分とかけ離れすぎているからだったと気づきました。
池澤春菜先生のこの作品は、自分の日常にちょっとしたifを混ぜてくれる、そんなSFです。今の生活がちょっと良くなること、逆に宇宙人が来て今の生活が一変しちゃうこと、そんなもしもが散りばめられて(もしも自分がこうなったら…)なんて妄想も出来ちゃう。そんなに遠くない世界を覗き込んでみる、そんなワクワクと不安が入り混じったようなお話がたくさんですぐに読み終わっちゃいました!

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2025年09月22日

Posted by ブクログ

どの話も好きだったけど、1話目の「糸は赤い、糸は白い」と、表題作「わたしは孤独な星のように」が特に好きだった。

他の話で、設定があまりにも壮大?突飛?で頭が混乱して、なんだか笑ってしまったけど、SFって枠にとらわれない設定が自由で面白いなぁ。

また、著者がいろんな媒体で進めている本も面白い作品が沢山ある(私の読書の参考にさせてもらっている)。
それ込みで池澤さんという人がこれからも楽しみ。

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2025年09月06日

Posted by ブクログ

SF短編集。ちょっと新井素子的「女のコ感」を感じつつも、こちらの方が新井素子よりもちょっと年齢が上かな?って印象。全体的に結論が明確に出ないことで、ふわっとした余韻が残る。

祖母の揺籠、が一番気になる話だった。最初読み始めた時は「なんだ、これは?」という感じだったけど、何度か読み直すと希望があるような悲しいような印象。このまま気候変動を放置していると、陸の生活はこうなっていくよね(海のほうが流石にこうはならん気がするが)。

糸は赤い、糸は白い、も「それでどうなったんだろう、気になるな」という話だった。どのような形になってもコミュニケーションというのは悩ましいなぁ。

しかしSF作家ってアイディアが豊富だなぁ。
あと、1984を読んでるとクスッとする表現があったりする。SFってハイコンテキストだなぁ(というほどでもないが。知っていた方が楽しめるという意味で)

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2025年04月19日

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読みやす面白い!!
時間がゆったり流れる作品もあれば、コミカルにどんどん話が進んでく作品もあって、ジェットコースターで振り回されている小説集。

Yours is the Earth and everything that's in itが好き。
空気感が良い。
もったりした感じの中にちょっと花が咲く時があって、それがすごく良かった。

糸は赤い、糸は白いも良かった。
恐ろしい結末になるんじゃないかとドキドキしながら読んで、終わりは終わりで息が止まった。
若い子のエネルギーに振り回された。

高校生くらいの子に読んでほしい作品。
この本を読むことでSFに興味を持ってほしい。
読んで大正解の本でした。

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2025年03月17日

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SF短編集でディストピアぽいのからコメディまでバリエーションに飛んでいるがどれも池澤さんらしい世界観に包まれてる。お気に入りは表題作。20数Pの作品なのに永い物語を感じさせラストはなんとも言えない感動がジワッと込み上げてきた。

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2024年09月17日

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ほんタメ文学賞あかりん部門大賞受賞という事で久々に読んだSF。
小説集という事で一つ一つのお話は短くて、たくさんの世界を楽しめる素敵な物語ばかりだった。
ハラハラしたり、ゾワゾワしたり、キュンとしたり、さまざまな感情を楽しめた。
2つだけ繋がっている話があったけど全7本の物語はどれも味わったことのない未来や近未来や、違う国や世界の話もあったけも、時々今の現実に繋がるキーワードもあったりして、近くて遠い距離感だった。
コメディタッチのものや、ディストピアものもある中で、最後の表題作は世界や文化、人がどんなに変容しても、普遍的な想いを描いていて、最後の2ページで胸がギュンッと掴まれてしまった。
ぜひ読んでたくさんの人に体感して欲しい。

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2024年09月09日

Posted by ブクログ

ほんタメ文学賞あかりん部門から

SFを読んだことがなかったので、初の試み
短編集なのでサクッと読める感じは良いけれど、毎回設定が変わることで、設定に追いつくまでに苦慮はしました
でも設定が分かればその物語の面白さにハマる感じです
他の著者でもSF作品も読んでみたいと思いました

あかりんの言っていた作品は確かにこう、性癖に刺さる感じがします
友情を超越したそれは愛なのか、恋なのか、執着なのか
はたまた勘違いかもしれない
第二次性徴期の時期に、自分であったらどれだけ物事を理解して決定出来ていたものだろうか

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2024年08月20日

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過去作やインタビュー記事の中で、名門の文学一家に生まれ、池澤の名前で小説を書く事への葛藤や重圧を、度々口にされていた春菜さん。
今回の作品で、堂々と作家を名乗って、胸を張って良いと思います。
短編ですが、タイプの違う多様なお話の詰め合わせで、本当にSFが好きな方が書いたのだと感じる部分多々。きのこや紅茶、クトゥルフなど、春菜さんらしい専門性が垣間見えたのもファンとしては嬉しい。
脂肪とビスカチャのお話が特に好きでした。
お忙しい方なので難しいかもしれませんが、是非長編も発表していただいて、春菜さんのSF本棚を作りたいです。

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2024年07月25日

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池澤春菜「SFのSは、ステキのS+」に続く2冊目。初の小説集という。先に出典(初出一覧)を見たら、幾つかは既に読んでいる。最近偶然ではあるが、2回読むことでその作品の真価を再認識できることが判ったのでしっかりと読んでいきたい。久々に、作品を個別に語りたい。

「糸は赤い、糸は白い」
ステキS+で既に読んでいる。本作品で池澤春菜の素晴らしさに感動し、次の作品を読みたくなった訳だからこの本を買うことは自然な事。今回読むのは2回目なのだが、当然のごとくこの作品の評価は最上級に推したい。所謂、GLSF作品なのだが、GLとSF(マイコパシー)のバランスが良い。最近GL作品を読む機会が多くなってきたので目が肥えてきたかも。この作品を冒頭に持ってきたことで、本書を手に取った読者は池澤春菜の推しになること間違いなし。
「祖母の揺籠」
本作品は2084年のSF(ハヤカワJA)で読んだはずなのだが、読んだ記憶が無い。たぶん2084年で私の心に刺さらなかったのかもしれない。同じジャンルである上田早夕里の「オーシャンクロニクル」シリーズと比べるとどうしても見劣りしてしまうからだ。私が上田作品を知らなければもう少し評価が上がったかもしれない。
「あるいは脂肪でいっぱいの宇宙」
とても面白い作品、宇宙に行くまでは。宇宙以降はSFで最近多くなっているドタバタへSFへと向かう。実に惜しい。最後を何とか打開して作品を締めることができれば良かったのだが。
「いつか土漠に雨の降る」
本作品はなかなかの秀逸な一品となった。基本的なファーストコンタクトものなのだが、視点・発想が優れている。とてもサイエンスな作品なので、とても作品にのめり込むことができた。ビスカチャの(美化した)イラストがあればいいのになぁと思った。読者に将来の方向性を考えさせる手法はなかなか心地良い。
「Yours is the Earth and everything that's in it」
これもWIREDで既に読んでいた作品。よくある同時並行ストーリーもの。2067年、2040年、2038年の三元建て。AIに関しては批判的な作品が多い中、本作品は数少ないハッピーエンド。終り良ければ全て良し。AIと人間との融和性に新たな一面を投げかけた作品と言える。
「宇宙の中心でIを叫んだワタシ」
「あるいは脂肪」の続編という立ち位置。「声俑」という新しい要素を加えてみたものの、基本路線が「脂肪」を引き継いでいるので、どうも作品にのめり込めない。実に面白い作品であることは間違いないのだが。惜しいな。
最後に、表題作である「わたしは孤独な星のように」
さすが表題作に位置するだけのことはある。池澤春菜がエクセレントなSF作家であることをものの見事に証明した作品だ。もうちょっと長ければ、より作品の良さが顕れてくると思うのだが。個人的にはなかなか上品なSF作品と言いたい。

今回の作品は、ゲンロン大森望SF創作講座がらみのものが多いが、もうちょっと様々な媒体に作品を投稿して武者修行をすれば、または思い切ってシリーズものに手を広げるか、積極的に御自分の作品を売り込めば大化けするのではと予想する。まあ、お忙しい方なのであれこれ多くを求めることは避けるが、少なくとも大森望から卒業して作品に磨きをかけて欲しい。

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2024年06月11日

Posted by ブクログ

色んなSFが楽しめる短編集。
SFといっても化学や宇宙の難しい用語が並ぶようなタイプのものではなく、世界観は掴みやすい方かと思いました。

最初の2篇は入り込むのにちょっと時間がかかったけど、3つめの「あるいは脂肪でいっぱいの宇宙」で急に、
久しぶりに女子会をするからダイエットをしなきゃとSNSのアカウント(アカウント名もえたま)を開設して励む32歳の女性、
という、ものすごく現実感のある話が始まって、
そこでわたしはなんとなくこの本好きかも、思って一気に読みました。

結局、このお話もとんでもない方向へ向かうわけだけど。笑


AIddyの話は近未来の世界を1番リアルに描いている気がして、他人事じゃないなあという感じだった。
AIddyって、ありそうなんだけど、ないのかな。20年もしたらもしかして、と思わなくもない。
ほっこりいい話で感動してたら次のお話でまたもえたまがとんでもないことになって出てきて笑ってしまった。

そして最後に表題作。わたしはこれが1番好きでした。
出てくる人物の人間味とかあたたかさをしっかり感じるけど、暮らしている世界はコロニーで、死に対する捉え方も少し違っている。

“遠い昔に聞いた歌のように、聞いたことは憶えていても確かには思い出せない、そんな存在でいいよ。“
大切な人には、わたしを失った悲しみなんて忘れて欲しい。
遺書に書きたい1文です。

今にもこうなりそう、って思うような近未来の話からぶっ飛び展開まで色々あったけど、無機質に見えるような世界でも、AIとより近くなった世界でも、人のあたたかさや優しい繋がりはいつもそこにあって感動したし、嬉しかった。
SF読みなれてない方にもおすすめです。

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2024年10月23日

Posted by ブクログ

同じ作者によるとは思えない多彩なSF短編集。「糸は赤い、糸は白い」はキノコを植菌する近未来、二人の女子高生の恋愛感情。体温と甘酸っぱい湿り気に満ちていていい。
一転、「あるいは脂肪でいっぱいの宇宙」は宇宙スケールに絶対痩せなくなったもえたまの独り言とオタクのスミスや脂肪ちゃんとの会話が疾走していて思えず笑ってしまう。
「Yours is the Earth and everything that's in it」2038年のAiddyの独り語りで語られるサクランボ農場に生まれた青年の人生は、AIがまだぴんと来ていない自分にとって、なるほどAIによるユートピアってこういうことなのか、とやたらに腹落ちした。表題作は「流れた」孤高の叔母からの遺言で一つだけ頼まれごとをした姪がそれを果たす旅に出る。心を打つ。

P102 この宇宙にいる意識あるものみんな、似たようなこと考えてるんだよ。多いとか少ないとか尖ってるとか丸いとかスカスカとか密密とか、自分の今に不満があるんだよ。【中略】でもいつかみんながその足りない部分や余っている部分を交換できるようになったら、みんな満ち足りて幸せになれるかもしれない。あ、そうか、古事記でやった「成り合はざるところ」「成り余れるところ」ってそういうことなのかも

P180 「文章ってやつを、わたしたちはリボンとして見ている。でもあなた(ディスクレシアの姪)には紙吹雪に見えている。元はおんなじもんなんだけど、見え方が違うだけだね。【中略】叔母は、わたしが紙吹雪をどうやったら捕まえられるか、いろいろ考えてくれた。

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2024年10月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

SFでありながら、人の柔らかさや暖かさを感じる短編集。表題作と祖母の揺籠が叙情的で好き。
生命はみな孤独で、しかし他者と関わらずに生きることはできない。人ならざる姿となっても、人との関わり方が変わっても、世界がどんなに荒廃しようとも、結局人は誰かを愛し繋がりたくて、そして誰かを失って悲しむのだ。永遠の孤独を生きるセニョールたちに想いを馳せて。

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2024年09月30日

Posted by ブクログ

こういうSFにありがちな絶望的な終わり方じゃなくて
ほっこり優しい気持ちになれたりする
池澤さんらしいなぁ
設定がわかるまでちょっと時間かかるけど
すぐそこにある近未来な設定が面白い!

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2024年09月22日

Posted by ブクログ

あかりん言ってた通り
糸は赤い、糸は白い がめちゃくちゃ好みだった。

すごいSFなのになんとも言えない女子同士のリアルな感じが頭から離れない。

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2024年08月16日

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近未来SFぽいところがあって面白かった
きのこの話はべつとして、ほかのはなしは語り手が、受け身ではないけれどちょっと浮いている(「まあいいか」みたいな印象がある)のが読んでいてここちいい

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2024年07月02日

Posted by ブクログ

菌類のミクロ(ナノ?)の世界から宇宙まで。途中、ついていけない話もあったけど独特な世界に惹き込まれた。キノコやもえたまの話が好きかなーと思ってたけど、私的に、最後にとても素敵な話が待ってた。

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2025年07月27日

Posted by ブクログ

SFだけど人間味もあり、
冷たさと温かさとか、色相環の反対色同士とか、
相反するものか混がざりかけて
マーブル状態になっている
そんな物語たちでした。

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2025年04月21日

Posted by ブクログ

七編からなるSF短編集。バリエーションが楽しめる。「あるいは脂肪でいっぱいの宇宙」、「宇宙の中心でIを叫んだワタシ」のダイエット女子×宇宙続きもの、「糸は赤い、糸は白い」が特に良かった。

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2025年01月13日

Posted by ブクログ

美しい表紙に魅了されて読んだので、内容は想像していなかったが、想像していたとしてもこの超SF感は想像を超えてくると思う。

個人的には1話目「糸は赤い、糸は白い」が好きだった。
菌類を脳に埋め込むことが常識になった世界。
思春期を迎えた少年少女には選択の時が訪れる。

ミステリアスで少しロマンチックなお話だった。

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2025年01月12日

Posted by ブクログ

オーディブルで聴いた。

短編集。不思議で非現実的な話が多くて途中ついていけなくなったけれど、ダイエットしても痩せない話が途中まで面白かった。

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2024年12月28日

Posted by ブクログ

昔、新井素子を読んだときのように、これは女のコ(良い意味です)でなければ書けないなあと思わされる作品から、SFならではの自由さにクラクラする作品まで、たいへん楽しく読みました。ずっと気になっていたSF者を、SF作家としても追いかけることができるようになったことを喜びたい。

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2024年10月27日

Posted by ブクログ

短編小説、計7作。
書店で見かけ、同姓同名か?と思ったら、声優の池澤春菜さん御本人だった。
作家としても活動されていたとは、驚いた。
全体的にSF色が強いが、それもそのはず、クラブの会長を務めるほどにそちらへの造詣が深いようで、さらに驚いた。

7作のうち5作は、どこか退廃的な雰囲気が感じられる、センチメンタルな作品。
特に冒頭の「糸は赤い、糸は白い」は、女の子同士のリアルな感情が描かれつつも、背景は強くSFであり、不思議な雰囲気だった。

残り2作は、文章のノリからして明らかに毛色が違うライトノベルのような作品。
ここで「微レ存」なんて言葉を見ることになるとは思わなかったし、節々にオタクさ加減が感じられ、楽しみながら読むことが出来た。

どの作品もSFを基調とした世界観ではあるが、その使われ方は様々で、バラエティに富んだ一冊。

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2024年09月21日

Posted by ブクログ

著者初の小説集 
って日本SF作家協会の元会長じゃないの?

まあそのへんよく知らないけど本を出してなくても会長になれるんだ ふーんって感じ

著者は声優さんでもありその辺りの舞台裏経験を絡められた短編2作はかるく読めて面白かった

あと表題作の茸の話は最近の流行りらしい百合SF小説なのかな 面白かった

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2024年07月15日

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