池澤春菜のレビュー一覧
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色んなSFが楽しめる短編集。
SFといっても化学や宇宙の難しい用語が並ぶようなタイプのものではなく、世界観は掴みやすい方かと思いました。
最初の2篇は入り込むのにちょっと時間がかかったけど、3つめの「あるいは脂肪でいっぱいの宇宙」で急に、
久しぶりに女子会をするからダイエットをしなきゃとSNSのアカウント(アカウント名もえたま)を開設して励む32歳の女性、
という、ものすごく現実感のある話が始まって、
そこでわたしはなんとなくこの本好きかも、思って一気に読みました。
結局、このお話もとんでもない方向へ向かうわけだけど。笑
AIddyの話は近未来の世界を1番リアルに描いている気がして、他 -
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同じ作者によるとは思えない多彩なSF短編集。「糸は赤い、糸は白い」はキノコを植菌する近未来、二人の女子高生の恋愛感情。体温と甘酸っぱい湿り気に満ちていていい。
一転、「あるいは脂肪でいっぱいの宇宙」は宇宙スケールに絶対痩せなくなったもえたまの独り言とオタクのスミスや脂肪ちゃんとの会話が疾走していて思えず笑ってしまう。
「Yours is the Earth and everything that's in it」2038年のAiddyの独り語りで語られるサクランボ農場に生まれた青年の人生は、AIがまだぴんと来ていない自分にとって、なるほどAIによるユートピアってこういうことなのか、と -
Posted by ブクログ
今回のアンソロジーは読みやすい作品が多かったように思える。あくまでも個人の感想であるが、世界観をぱっと理解できる短編揃いなのだろう。個人的に印象に残った作品は2つ。「メタモルフォシスの龍」(空木春宵)は個人的にはあまり好きではないジャンルなのだが、恋に破れると蛇化する女性と蛙化する男性、特に蛇化する女性の描写が生々しくも切ないのが良い。「されど星は流れる」は系外流星を流星同時観測の手法で探索する物語。科学を一生懸命やる話は私の好物である。遠くにある流星の母星と少し離れた観測者の男女の物語が接触しそうでしなさそうな、流星が地球をかすめていくような感じでよい。
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Posted by ブクログ
中華SFの大作『三体』の劉慈欣による、今のところ唯一の童話、だそうです。
挿絵たっぷり、余白たっぷりの絵本の体裁で70ページほど、短ければ数十分もあれば簡単に読み終わってしまう1冊ですが、余韻も感じる素敵な1冊でした。
こういう「夢(夜見る方です)」のような展開を、綺麗にして世に出す、というのは物語としてとってもプリミティブな営みで、短い読書体験ながら、普段と違う脳の部分が刺激されるようで、心が洗われるような気持ちになりました。
1日の色々が全部落ち着いた夜に、ウイスキーかブランデーか赤ワインでも飲みながら、ゆったり読んでいくと、その日の寝付きが良くなりそうな気がします(笑
ただ本著、どう