馳星周のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
馳星周を読むのは久しぶりだ。「不夜城」の頃から、読んでいた作家だけれども、最後に読んだのは「弥勒世」で2009年、だからほぼ3年ぶり。
一読、変わらないな、と思った。それは、マンネリということではない。プロットや文体は工夫が凝らされていて、以前の著作の焼き直し、という印象は全く受けない。それでも、変わらないな、と思ったのは、物語の本質的な暗さだ。
僕が読んだ馳星周の本では、主人公が何らかの理由で、何か抜き差しならない状況に追い込まれていき、徐々に体力と健全な精神・思考力を蝕まれていく。狂気の世界に足を踏み入れていく感じがするのだ。その展開が馳星周の本の魅力なのだと思う。