馳星周のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
久々に馳作品を読んだが、既読作品ほどディープな感じはしなかったものの舞台が新宿でアジア系の裏社会を取り扱ってる部分では、馳ワールドとしての構成要素はしっかりと踏襲されている。まぁ、今までに比べると主人公のドス黒さは薄れているが。。。
そして、地下鉄サリン事件や歌舞伎町浄化計画、更にタイトルにもなってる9・11などの実社会での事件、背景を元にテロ行為によって生ずる歪や行政に対する皮肉を描いたような作品に仕上がってる感じかと。。。。
展開的にはテロによって妻子を亡くした主人公 織田の哀しみ、考え方は十分に伝わってきて共感できる部分は多い。それ故に感情移入はしやすいのだが、彼の取る行動自体には -
Posted by ブクログ
・電車に乗るのに読む本がないので、東京駅構内の書店で平積みになってたのを購入。2冊続けて馳星周。
・おっさんがたまたま出会った少年たちと心の触れ合いを、って話は嫌いじゃない。最後まで馴れ合いはせずに、かすかに垣間見える心の繋がった描写に心打たれる。最近観た「Welcome to the Rileys」に通じるものを感じる。
・なんかこれが馳星周だ!ってのはまだ見つけられないな~。きれいにまとめた梁石日、って気もするし。出てくる刑事はみんな誉田哲也の小説に出てくる人物に見えたりもする。せっかくだから馳星周じゃないと書けないよ、ってのが読みたいんだけど、そういう作家って稀有だよね。がーっと読んで消 -
Posted by ブクログ
馳星周作品に私が惹かれる理由は、主人公に「いい所」がないところである。
泥棒だけど悪徳商人からしか盗まず、盗んだものは貧しい人に分けるとか、悪党なんだけど最後の最後で子供の身代わりになる、とか、そんな「実はいい人の悪党」が多い中、馳星周の描く主人公は、最後まで自分の為、金の為にしか動かない。
ストーリーは台湾球界で八百長に手を染めるどうしようもない男の生き様だ。自らを慕う台湾人を殺し、その妻を手に染め、殺し屋になる。それでも生き延びる。自分の欲望のために。
馳星周作品を読むのはこれが初めてだった。かなりの長編ではあったが、歯切れのいい文章でほぼ一晩で読破。
長編だけど長編と感じさせない一作 -
Posted by ブクログ
読み終わって何か残るか、と聞かれたら、
何も残らない、としかいえない。
前作、『不夜城』の二年後。
とはいえ、『不夜城』を読んだのは何年も前なので
内容なんてまったくもって覚えてない。
舞台は前作と同じく歌舞伎町の中国マフィア社会。
当然のことながら未知の世界だけれど、
細かい描写とテンポのよさで、まるで映像を見ている感覚。
別世界のようで、自分のすぐ隣にある世界のようで
現実離れしているようで、妙にリアル。
裏切りだらけの毎日。
自分の味方は自分だけ。
殺伐とした社会。
生と死の重さと軽さ。
裏社会といわれる場所のほうが
生を意識する場面は多いのかもしれない。
読み終わって残るも -
Posted by ブクログ
僕の大好きな不夜城シリーズの完結編ということで読書。だがしかし、実は既読だったことに途中で気が付きました…。
・あらすじ
残留孤児二世と偽り、日本にやってきた武基裕。
ある日、武の属するグループの頭が、バイクで乗りつけた二人組みに銃殺される。麻薬取締官の矢島に脅された武は、この事件を調べるハメになり、情報屋・劉健一のもとへ足を運んだ。
どこまでリアリティがあるのか、全くないのか歌舞伎町。よくわからないけど、銃、薬、ヤクザ、マフィア、ここまで荒廃した都市が逆に面白くてたまらない。劉健一がどんどんオカしくなっていくけど、やっぱりこのシリーズはなんだか面白くて大好きです。にしても、中国語名は覚え