ヘニング・マンケルのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレヴァランダー警部シリーズの作者だったので。
うーん、政治的な事にも、国際関係にも興味がないので、
読み進めるのがつらかった。
スウェーデンの村とも呼べないような小さな集落で、
ある冬の日に起こった残酷な大量殺人。
その動機がアメリカの大陸横断鉄道の苦力の子孫の復讐だということがうっすらとわかってきたあたり、
つまりは上巻の途中から、とくにつらかった。
(そうそう、死体を発見し心臓発作を起こして亡くなってしまったカメラマンはかわいそうだった)
さらにどう関係あるのか全く分からない中国とアフリカの話になった時には、
完全に興味を失ってしまった。
いったい、話をどこへもっていってまとめるつもりなのかと、
それしか読む進める動機がなくなっていた。
(下巻へ続く) -
Posted by ブクログ
ヴァランダーの20代から、第一作『殺人者の顔』前日譚までを集めた中短編集。
刑事を目指していた巡査時代から、イースタ警察署の刑事捜査を担うベテラン刑事までの長期間の年代を追っている。私生活でも、夫婦関係や父親との微妙な確執など、その変化が順を追って垣間見える構成はまさにヴァランダー・ファンのための一冊と言えるだろう。
話によって頁数が大きく異なるので、ストーリーの厚みに多少の差はあるが、短編であってもシリーズらしさは出ていると思う。社会的背景を色濃く出したやるせなさも印象に残るが、やはり警察ミステリとしてのプロセスが秀逸。特に巡査時代である前半が面白く、優秀だが風変わりな刑事の元で、戒められながも評価されていくヴァランダーの成長は読み応えあり。
ミステリとしての謎解きは弱いけれども、情けない部分も含めてやっぱりヴァランダーに魅力を感じてしまうのだと再認識した一冊でした。未訳作品がまだかなりあるそうなので、それを読むまでは元気でいよう(笑 -
Posted by ブクログ
「ピラミッド」
北欧ミステリの帝王ヘニング・マンケルが生んだ刑事、クルト・ヴァランダー。ガラスの鍵賞受賞の第一長編『殺人者の顔』以前の、若き日のヴァランダーを描いた短編集。
クルト・ヴァランダーが初めて登場したのは「殺人者の顔」で本作は9作目。前作「ファイアーウォール」で打ち留めになる所を「殺人者の顔で描かれた1990年より前のヴァランダー刑事(のち警部)を見たい」との読者の声に答えた形で発表されたのが本作「ピラミッド」である。本作では、新米巡査時代からシリーズが始まる直前42歳までのヴァランダーの活躍を描いた5編の短編(とはいっても表題は原書で237ページもあるらしく、それは短編じゃないでしょ!)であり、これで読者は大満足間違いなし。
最初の短編「ナイフの一突き」は、ヴァランダー22歳。バリバリのナイーブで正義感がバリバリに強い警察官である。若者がアメリカを非難し、ベトナム支援を叫ぶデモに参加していた時代に、デモを規制する側に立つヴァランダー。自分は警官である前に一人の若いアメリカ人であり、そこに葛藤が生まれます。2番目の「裂け目」は、ヴァランダー28歳。マルメ警察の刑事課に勤務。上司に認められ、有能な警察官に育っている。ヴァランダーが目指す警察官の姿がよく描かれています。
「海辺の男」では、事件の遺族と法制度を執行する人間をテーマにしたものです。法制度そのものではなく執行する人間に向けられる要求という、倫理的には遺族側に肩入れしたい気持ちがあるものの、執行する側も人間であるということから一概に全て肩入れできない。法制度を改善していくことで、遺族が生まれること、執行する側の負荷が生じることを防ぐ。やはりそれが最善ではないだろうか。
「写真家の死」では、町の写真家が殺され、その犯人を追うヴァランダー。写真家が作成していたアルバム、希薄な人間関係等、様々な要素が絡み合って複雑な物語になってます。民主主義に関する切り込みもあり、深い。
そして表題の「ピラミッド」は、ヴァランダーの父親が、今まで以上に重要な役割で登場します。この父親、ヴァランダーシリーズではもう一人の主人公と言っていいほど強烈なキャラクターで、ヴァランダーとは対極の位置にいる存在です。そんな父親を疎みながらも、どこかで安らぎを感じることもあるヴァランダー。彼と父親の関係性が変わるのか?が注目な短編です。
どれも若きヴァランダーを知る上で読み応えあるもの。ヴァランダーシリーズファンにはお勧め。 -
Posted by ブクログ
キナ臭い世界(社会)情勢をテーマにしているもののそうした問題性を映した物語としては凡庸というか残念な作の印象。ルポ(報道)が伝えるところの圧政(暴政)の現状など易く知ることが出来るワケで、そこ(ラトヴィア)に招かれてほとんど旅行客然の主人公の暢気さに対しては、いくらなんでも・・の認識(思慮)の不足がうかがえるように思われた(言い過ぎか?)。しかしそれでも惚れっぽい主人公ヴァランダーの人間臭さの魅力はよくとらえられ、また物語展開の緊張感あるその最中にも巧くユーモアを織りこんだ筆致はよかった。終盤は緊迫感ある展開で惹きこまれはしたのだけれどやはりもう少し物語に厚みが欲しかった。
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Posted by ブクログ
30歳になるリンダは、紆余曲折を経て父親と同じ道を選んだ。そんな赴任前の彼女の友人がいきなり失踪する。矢も楯もたまらず勝手に調査するリンダ。だが彼女の行動が強引で、友人の留守宅に入り込むわ、日記は読むわ、車は乗り回すわで、いくら身を案ずるためとは言えなかなかの暴走っぷり。案の定、父クルトは怒りを爆発させるが、それでも娘の想いを汲んで捜査に参加させるのは、警察官としての熱意を買っているのかな。
リンダの視点でストーリーは進むが、彼女が見ているのは事件だけではない。娘の暴走を抑制し、時には厳しく諌める父親を冷静に分析し、そんな父譲りの気難しさを受け継ぐ自分自身についても理解している。これはヴァランダー・ファミリーの話でもある。父娘、母娘の複雑な関係、祖父への想いや自身の過去など、ファミリーのエピソードが随所に登場する。シリーズ・ファンには意外な発見があって興味深いトコロ。
肝心の事件だが、これは早々に犯人が判り、捜査陣がいかに犯人に辿り着くかのプロセスが鍵を握る。特に目新しい展開ではないが、警察ミステリとしての安定感は言うまでもないだろう。事件の背後に見え隠れするテーマは生と死かな。作者が亡くなった今、こういうテーマで描かれると、色々と考えさせられることもあるわけで…。
マンケルの構想の中に、リンダ・シリーズはあったのだろうか。私は結構好きだったな、先が思いやられる女性ではあるけど。未刊作品があるうちはまだ大丈夫。すべて読みつくした後に喪失感を味わうのでしょうねー。 -
Posted by ブクログ
ヴァランダー警部の本。
個人的にヴァランダーさんはあまり好きになれない人だと思いますが事捜査の進め方、発想に関してはピカイチだなとは思います。が。毎回不満なのがラストの捕り物シーン。というか個人プレイが多すぎる気がするんですよね。日本だと必ず二人一組で、ってイメージがあるんですがヴァランダーさんとこは人員不足だかなんだか知りませんが毎回一人で必ず痛い目にあってるのに懲りない。今回も駅で応援頼んどいたら彼女の怪我は防げたんじゃないのかなあ?それが不満です。バイパさんも…なんか本当に彼女が好きというよりは自分が疲れた時に女性に家に居てほしいだけって気がするんですが。
そして表に出されず被害を受けている女性たちが居る事実。彼女たちの捜査は誰がするんでしょうか?日本ももっとDVとか刑を重くすれば良いのになあ…。