ヘニング・マンケルのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
このシリーズがなんで肌に合うと感じるのかわかった。
ヴァランダー警部は常に、自分がこの仕事に向いていないと感じている。
若くなく(この作品では40代だ)、こんなことを言う。
「おれは警察官以外の仕事のことをこのごろしょっちゅう考えるようになっている」
結婚にも失敗した。孤独で、大した希望もない。そんな、中年の諦念と焦りと哀しみとが、見事に描かれていて、読んでるこの中年男に響いてくるのだ。
今は亡い先輩の言葉との間で、ヴァランダーは揺れている。
「おまえさんは一生涯警官だろうよ。もうわかってもいいころだよ。じたばたするな」
ただ、このシリーズ三作目は、これまで読んだふたつにくらべると、息も -
Posted by ブクログ
社会情勢を軸に描くシリーズだが、本作品はその特徴が色濃くなっている。スウェーデンが舞台なのだが、南アフリカの人種差別が物語の根底にあるので、序盤は相当な違和感があった。視点もスウェーデン側と南アフリカ側に分かれており、両者はなかなか交わろうとしない。しかしストーリーの拡がりと比例するように南アフリカの人種問題がじわじわと効いてきて、国際謀略という派手なテーマに取って代わろうとする確かな感覚があった。
今回のヴァランダーは気の毒としか言いようがない。事件への巻き込まれ方が半端ではないので、それが逆に不自然にも見えたが、彼の思考が徐々に病んでいくさまは説得力があったと思う。インパクトの強いキャラが