藤原伊織のレビュー一覧
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内容(「BOOK」データベースより)
飲料メーカーの宣伝部課長だった堀江の元同僚で親友の柿島が、夜の街中で集団暴行を受け死んだ。柿島の死に納得がいかない堀江は詳細を調べるうち、事件そのものに疑問を覚える。これは単なる“オヤジ狩り”ではなく、背景には柿島が最後に在籍した流通業界が絡んでいるのではないか―。著者最後の長篇。
敬愛する藤原伊織の遺作で、てのひらの闇の続編です。やはりアル中気味の主人公と彼をそれとなく慕う切れる元部下の美女。そして友の死の謎。伊織ハードボイルドに必要な物が過不足なく盛り込まれており、一層早い死が惜しまれる出来となっています。
今回は重厚な大企業の海坊主のような社長が、 -
Posted by ブクログ
直木賞作家、藤原伊織氏のミステリー。元電通社員だった頃に作家デビューしたそうで、広告代理店での経歴が活かされている。
主人公は飲料メーカーを自主退職することに決めた、中年の会社員。仕事はでき人望もあるが、奥さんに逃げられ、私生活はイマイチ。ある日、会社の会長に呼ばれ、彼が撮影したテープを社のCMにしたいと言われるが、次の日にその会長は自殺する。彼の死の真相を探る。
緻密で複雑な構成、ミステリーとしての完成度は非常に高い。読みやすく、内容と長さのバランスもちょうどいい。ちゃんと読者の裏をかくポイントもある。彼の本は「テロリストのパラソル」を読んだことがあるが、安定の面白さが期待できる。著者が早く -
Posted by ブクログ
大きな余韻。謎多き終わり方が何とも言えず心地良い。以前一度だけ浅田作品で似たような作品があった。その時は読者への挑戦状に思えたが、本作は読者に委ねられているといった優しい雰囲気を感じた。初読みの作家さんでしたが、すでに他界されているようで新刊が出ないのはとても残念。刊行済の他作品も読んでみたいと思う。
あらすじ(背表紙より)
世界的な評価を得た画家・宇佐美の個展で、財界の大物である義父を描いた肖像画が、切り裂かれ硫酸をかけられるという事件が起きた。犯人はどうやら少女で、「これは予行演習だ」と告げる。宇佐美の妻は、娘を前夫のもとに残していた。彼女が犯人なのか―。著者の代表作といえる傑作中篇など全