藤原伊織のレビュー一覧

  • シリウスの道(下)

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    私にとって最後の藤原伊織作品だったので、
    温存したかったけど、いつも通り一気読みだった。

    辰村と立花の掛け合いがおしゃれで粋でオトナでいいなぁって思う。
    (毎回ながら、もの凄い自制心のある男の人が出て来るな)
    他も女性は皆、ワガママじゃないけど感情に素直で、素敵だ。

    同僚も後輩も、手助けになるあの人や、美味しそうなあの食べ物も、
    いいスパイスになってる。香ってきそうだ。

    肝心の謎については、ミステリー・ハードボイルド色は薄いかもしれないが、その分、仕事に向き合うことがどういうことか、藤原伊織さんなりの哲学が、他のものよりも実に即して書かれていたと思う。

    なんてみんなかっこいいんだろう。

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    2012年04月13日
  • 遊戯

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    なんでこんなにキューっとなるんだろう、
    連作短編だけど、1編ごとにちょっとした小休止のような結末を見せ、
    でも確かに繋がっている。
    本間とみのり。この二人が素晴らしい。
    出会いも、距離のつまり方も珍しい二人だが、すごくいい。

    全体としては未完であるけど、二人が近づいたところまで
    読めて良かった。
    本当は先が知りたいし読みたいけど、もう仕方ない。

    オルゴールも素敵だった。
    なんていうか、ロマンチックな藤原さんが凝縮されている感じだ。

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    2012年04月04日
  • 雪が降る

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    表題作、ある部分が、めちゃくちゃに、最高に、もう、ほんとに!いい‼
    たまらない気持ちにさせる、奇跡のような告白。
    なんていう想いなんだろう‼


    <再読>2012.07.30

    は〜〜、もうほんとに好きな本だな〜。
    初回は「雪が降る」の余韻にきゅうきゅう締め付けられていたが、
    今回は「紅の樹」の儚い切なさにも同様に締め付けられた。

    藤原さんの視点が大好きだ。

    趣きの違う「トマト」も、軽妙でいいもんだなぁ

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    2012年07月31日
  • シリウスの道(下)

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    主人公辰村や立花部長なんかはめちゃめちゃ藤原伊織ぽいんだが、戸塚の存在が印象的すぎた。

    歴代好きな登場人物ランキングTOP3にはいる。自分の目指すべき仕事人像そのままだった。

    振舞いは謙虚に、普段の仕事は愚直に、いざという時ほどスマートに、内にはプライドを。

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    2012年01月24日
  • ひまわりの祝祭

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    一時遠ざかっていた、読書の世界にひきもどしてくれたのが彼の作品群です。
    彼が食道がんでなくなったのは、個人的に衝撃的なできごとでした。
    酒量は彼に匹敵しそうなので、本当は控えないといけないのだけど。

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    2012年01月18日
  • 雪が降る

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    短編集。

    飽きがこない、全篇違う姿を見せてくれます。

    『台風』が一番好き。
    すごく好き。

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    2011年09月26日
  • てのひらの闇

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    主人公の堀江ははくたびれたアウトローっぽいおっちゃん・・・
    しかし、うだうだしているのに知的でカッコイイ。また、堀江の部下の大原や
    友人の柿島、バーの姉弟、やくざの親分など堀江の周りの人達も魅力的な人ばかりでほれぼれしちゃいます。

    堀江の育った特殊な環境や
    会長の自殺など非現実ぽいんですがストーリーと展開が面白く
    あっという間に読んでしまいました。







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    2017年09月20日
  • シリウスの道(下)

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    こんなに面白い会社小説(?)は初めて。

    サラリーマン社会も悪くない とも思える(錯覚する?)。
    まあ結局は、どんな人達と仕事ができて 自分がどうあるか によるのでしょうが。

    とにかく、大きな事件があるわけではないが、とても生き生きとした楽しい小説でした。

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    2010年12月29日
  • ダナエ

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     収められているのは「ダナエ」「まぼろしの虹」「水母(くらげ)」の中篇3篇。
     タイトルとなった「ダナエ」の主人公・宇佐見は萩原朔太郎の詩の一節に象徴される「何物をも喪失せず、同時に一切を失ってしまった男」として描かれている。人もうらやむ成功を収めた今も、過去を引きずりどこか世捨て人のような生き方しかできない男。伊織さんは溢れんばかりのロマンティシズムとリリシズムをもって描ききっています。主人公の想いに思わず涙してしまったほどです。
     こうした男のリリシズムは、この本に収められている「水母(くらげ)」の主人公にも共通しています。昼日中から酒場の椅子に腰掛け酒を飲んでいる男、酒を愛し、博打を愛し

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    2010年12月18日
  • シリウスの道(下)

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     ハードボイルド・ファンタジーを自称する藤原伊織さんの魅力が、ぎゅっと濃密に詰まった長編。
     ほかの作品とも共通する、ハードボイルドの濃厚な香りが漂いつつも、作者さん自身の職歴がものをいうのか、大手広告代理店の熾烈な世界が、活き活きと描かれていて、働く男の背中が好きな方や、サラリーマンの方には、特につよく進めたい一冊。

     小説の楽しさや味わいって、それぞれに色んな方向性がありますが、たとえば、普段とは違う上等のお酒を味わいながら呑むように、美味しいコーヒーを楽しむように、一冊の本にうっとりと酔う、藤原さんの小説には、そういう上質の娯楽のような、なんともいえない陶酔感があります。端々で重厚なリ

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    2010年08月26日
  • 名残り火

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     親友の柿島が死んだ――。とおりすがりの若者たちと思わしき連中からの暴行が行き過ぎた結果、意識不明となって入院していた柿島は、一度は助かると思われたにもかかわらず、容態が急変。あっけなく逝ってしまった。その報を受けた主人公・堀江は、警察に煙たがられるのも一向にかまわず、独力で犯人を捜し始める。はじめはただのオヤジ狩りだと思われていた事件は、調べるにつれて妙な点が目立ち始めて……

     やっぱり藤原さんの小説はいい……!
     エンターテイメント色の強い作品にもいろいろありますし、大衆向けのスナック菓子のような、軽い娯楽として楽しめるチープな美味しさの小説も、それはそれで大好きなんですけども、藤原さん

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    2010年08月03日
  • 名残り火

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    帯に「藤原伊織、最後の長編小説」とあって、ああ本当に亡くなってしまったのだなと改めて思いました。もっとたくさん書いてほしかった。「人は二度死ぬ、二度目の死は人に忘れられたとき」といいますが、作家は作品が読まれ続ける限り二度目の死を迎えることはないのですね。

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    2010年06月30日
  • てのひらの闇

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    「好きな作家」のところに『藤原伊織はもう出ないよね』と書いていたけど、文春文庫から「名残り火」が出ててこれに“てのひらの闇2”ってあったので、まずは未読の前作からと、新刊は平積みに戻してこちらを棚から引っ張り出して買って帰る。
    知悉の広告の世界を舞台に、いつもの如く何かを背負いながら生きたいように生きる堀江、そしてまた周りには気の利いた美しい女性の部下と同期で出世競走の先を行きながらそれを笠に着ぬ上司。
    登場人物の類型は変わらねれど、堀江の素性や自殺した会長との過去を小出しにしながら事件の輪郭をたどっていく展開は予想もつかせず、そして見事に収束する。
    借り着の生活の中で過去に封印した筈のものに

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    2020年10月25日
  • 名残り火

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    藤原伊織氏の作品は主人公が本当にかっこいい。この作品の校正の途中で亡くなったらしく、途中から文章が藤原氏にしては粗い印象を実際に受けた。でも、キャラもストーリーも魅力的で読み始めたら続きが気になって止まらん。大きなトリックがある訳でもないけど、サスペンスとしてオススメです。

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    2010年06月20日
  • 名残り火

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    ああ、そうか、もう、去る5月17日で3周忌なんだわ、と、平積みにしてある本書を手にとって、しみじみ感慨深げにつぶやいてしまいました。

    巻末のエッセイで、我が逢坂剛が、「いおりんは・・・」「いおりんが・・・」と、共に直木三十五賞をとった同じ大手広告会社繋がりもあって、親しみを込めた愛称で呼んで懐古しているのを読んで、もうダメ、一気にドッと涙があふれてきてしまいました。

    書店の中で、周りの人も怪訝そうな顔をして遠ざかる気配がします、もう、格好悪いったらありません。

    確かに、これが最期の小説でした。何度読んだかわかりません。

    『てのひらの闇』と本書を、これからも何度も何度も読む自分の姿を想像

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    2011年07月22日
  • 蚊トンボ白鬚の冒険(下)

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    倉沢達夫カッコよすぎです…。にしてもラストは予想外。でも半端なエピローグをつけられるより後味に渋味があって…ハードボイルドですね。

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    2010年05月03日
  • 遊戯

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    改めて、江戸川乱歩賞と直木賞のW受賞作家の実力を体感する。

    ちょうど、その作品を読んだ直後に亡くなったので、しばらく手に取れなかったんだよね。

    で、次に手に取ったのは未完の遺作。

    氏がどんな結末を描こうとしていたのか?

    今となってはまるでわからないけど。

    連作短篇の一篇一篇は珠玉の出来で。

    つくづく、惜しい方を亡くしたなぁ。。。と今更ながら体感した私です。

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    2010年04月07日
  • 蚊トンボ白鬚の冒険(上)

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    面白い。キャラクターも立ってるしストーリーのテンポもよく非常に読みやすいです。
    突飛な設定とリアルな事件が程よく融合してます。
    下巻楽しみです!倉沢くんカッコよすぎ可愛すぎ。真紀さんの気持ち分かります!

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    2010年03月27日
  • 蚊トンボ白鬚の冒険(上)

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    ちょっと異色にも感じられるファンタジーもの。
    だが、登場人物の藤原カラーは健在。
    ハラハラしながら先を読みたくなる。

    下巻とあわせてどうぞ。

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    2009年12月26日
  • ダナエ

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    大好きな作家の一冊、遺作が未完の為、事実上の最終作品かな?
    単なるミステリではない、少し感動的ですらある。
    お勧め

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    2009年10月22日