藤原伊織のレビュー一覧

  • シリウスの道(下)
     ハードボイルド・ファンタジーを自称する藤原伊織さんの魅力が、ぎゅっと濃密に詰まった長編。
     ほかの作品とも共通する、ハードボイルドの濃厚な香りが漂いつつも、作者さん自身の職歴がものをいうのか、大手広告代理店の熾烈な世界が、活き活きと描かれていて、働く男の背中が好きな方や、サラリーマンの方には、特に...続きを読む
  • 名残り火
     親友の柿島が死んだ――。とおりすがりの若者たちと思わしき連中からの暴行が行き過ぎた結果、意識不明となって入院していた柿島は、一度は助かると思われたにもかかわらず、容態が急変。あっけなく逝ってしまった。その報を受けた主人公・堀江は、警察に煙たがられるのも一向にかまわず、独力で犯人を捜し始める。はじめ...続きを読む
  • 名残り火
    帯に「藤原伊織、最後の長編小説」とあって、ああ本当に亡くなってしまったのだなと改めて思いました。もっとたくさん書いてほしかった。「人は二度死ぬ、二度目の死は人に忘れられたとき」といいますが、作家は作品が読まれ続ける限り二度目の死を迎えることはないのですね。
  • てのひらの闇
    「好きな作家」のところに『藤原伊織はもう出ないよね』と書いていたけど、文春文庫から「名残り火」が出ててこれに“てのひらの闇2”ってあったので、まずは未読の前作からと、新刊は平積みに戻してこちらを棚から引っ張り出して買って帰る。
    知悉の広告の世界を舞台に、いつもの如く何かを背負いながら生きたいように生...続きを読む
  • 名残り火
    藤原伊織氏の作品は主人公が本当にかっこいい。この作品の校正の途中で亡くなったらしく、途中から文章が藤原氏にしては粗い印象を実際に受けた。でも、キャラもストーリーも魅力的で読み始めたら続きが気になって止まらん。大きなトリックがある訳でもないけど、サスペンスとしてオススメです。
  • 名残り火
    ああ、そうか、もう、去る5月17日で3周忌なんだわ、と、平積みにしてある本書を手にとって、しみじみ感慨深げにつぶやいてしまいました。

    巻末のエッセイで、我が逢坂剛が、「いおりんは・・・」「いおりんが・・・」と、共に直木三十五賞をとった同じ大手広告会社繋がりもあって、親しみを込めた愛称で呼んで懐古し...続きを読む
  • 蚊トンボ白鬚の冒険(下)
    倉沢達夫カッコよすぎです…。にしてもラストは予想外。でも半端なエピローグをつけられるより後味に渋味があって…ハードボイルドですね。
  • 遊戯
    改めて、江戸川乱歩賞と直木賞のW受賞作家の実力を体感する。

    ちょうど、その作品を読んだ直後に亡くなったので、しばらく手に取れなかったんだよね。

    で、次に手に取ったのは未完の遺作。

    氏がどんな結末を描こうとしていたのか?

    今となってはまるでわからないけど。

    連作短篇の一篇一篇は珠玉の出来で。...続きを読む
  • 蚊トンボ白鬚の冒険(上)
    面白い。キャラクターも立ってるしストーリーのテンポもよく非常に読みやすいです。
    突飛な設定とリアルな事件が程よく融合してます。
    下巻楽しみです!倉沢くんカッコよすぎ可愛すぎ。真紀さんの気持ち分かります!
  • 蚊トンボ白鬚の冒険(上)
    ちょっと異色にも感じられるファンタジーもの。
    だが、登場人物の藤原カラーは健在。
    ハラハラしながら先を読みたくなる。

    下巻とあわせてどうぞ。
  • ダナエ
    大好きな作家の一冊、遺作が未完の為、事実上の最終作品かな?
    単なるミステリではない、少し感動的ですらある。
    お勧め
  • ダナエ
    藤原さんが書く男性は魅力的だなぁ。愛するろくでなしというか、モテるオトコ。
    ルーズなんだけど、どっかクレバーでタイト。
    石田さんもそうですが、藤原さん、車谷さん、乃南アサさん、内田さんとか、制作会社とか代理店勤務経験者の作家さんの文体って共通点があるように思えます。
    ここが! という風には即答できな...続きを読む
  • ダナエ
    「ダナエ」「まぼろしの虹」「水母」の3編を収録。
    有名画家が描いた経済界の重鎮の肖像画が傷をつけられる。犯人は、画家の別れた女との娘だった。父と娘の裏側にあるものが描かれている。
    女子サッカーのシュートを見る男二人。一人は両親の離婚に悩む普通の男もう一人は自首直前のやくざ者。これが複雑に絡まって、面...続きを読む
  • 遊戯
    藤原伊織さんの絶筆作品。ネット上で知り合った男と女の二人が恋愛関係に落ちて行きながら、事件に巻き込まれていく。途中で終わっているので、この先が気になってしょうがない。さすが。藤原伊織。
  • シリウスの道(上)
    大手広告代理店・東邦広告に勤める辰村祐介には、明子、勝哉という2人の幼馴染がいた。この3人の間には、決して人には言えない、ある秘密があった。その過去が25年の月日を経た今、何者かによって察知された…。緊迫した18億円の広告コンペの内幕を主軸に展開するビジネス・ハードボイルドの決定版。

    作者の藤原伊...続きを読む
  • 雪が降る
    うーん渋い!贅沢な短編集でした。それぞれにちがった味わいがあって極上の読書タイムとなりました。人物がとても魅力的に描かれていて男性にも女性にも憧れてしまいます。
  • 雪が降る
    藤原伊織は「テロリストのパラソル」や「シリウスの道」でお気に入りの作家で、この短編集「雪が降る」も、らしさ満載でとても心に沁みる。
    昨年亡くなっちゃいましたよね。とても残念。
    表題作の「雪が降る」がとても良い。
    お得意の企業を舞台にし、同期で出世競走の先を行きながらそれを笠に着ぬ上司、気の利いた美し...続きを読む
  • シリウスの道(下)
    面白かったです。堪能できました。なるほどね。勝哉はこう絡んできましたか・・・まあ、妥当なところかな。なんか、みんなかっこよすぎるんだよね。まあ、小説なんだからそれでいいんだけど。
  • シリウスの道(上)
    面白かったです。堪能できました。『テロリストのパラソル』の島村が出てきます。(死んでるんだけど)バーのつまみがホットドッグだけとか、浅井という男が出てきたとき、あれっ?もしかしてと思ったらやっぱりそうでした。今回の話にはつながりがない様にに思うんだけど、下巻で何かあるのかな?辰村と明子との再会は切な...続きを読む
  • シリウスの道(下)
    現代小説文庫で上下巻を俺が買うのは珍しい。
    上下巻って中途半端な気がしていたんだが、初めて買ったセットがこの2冊!