藤原伊織のレビュー一覧
-
無駄は1文字たりともない。
人生の半分の逃亡生活は無駄ではなかったし、ここに書かれていること以上に読者が知らなければならないこともないのだと思う。なのに、「私も年をとったのだ」だけが2回繰り返されたのは、決して菊池の生活が無駄だったからではなく、それでも繰り返さざるを得ないほどに長すぎたのだと訴え...続きを読むPosted by ブクログ -
全共闘世代、団塊の世代の学生運動を背景に持つハードボイルド小説。
東大卒かつアマボクサーで、とある特定の電子機器に強く、しかもアル中でいて素敵な女性達、男性達にモテるというてんこ盛りキャラクターだけど、現状は独りで都内の狭いカウンターバーを切り盛りする一介のバーテンダーに過ぎず、店では酒とホットド...続きを読むPosted by ブクログ -
冷静で勘が冴えているが機械やテクノロジーに疎いバーテンの島村、頼りになる奇妙なやくざの浅井、若くして知性と行動力(それから魅力)を兼ね備えた塔子、ほかにも個性的で生き生きとしたキャラクターが、ハイテンポで展開していく物語を鮮やかに味付けしている。
展開もハイテンポで目まぐるしく進み、線と線がつなが...続きを読むPosted by ブクログ -
【2023年22冊目】
読んでる途中から「いや、これもうよっぽどのことがない限り★5です、満点です」って思ってたんですけど、めっちゃ面白かった〜!
江戸川乱歩賞と直木賞ダブル受賞ね、ふーんて思いながら読み始めましたが、ダブル受賞伊達じゃなかった。
のどかな公園からスタートする物語が、どんどんと複...続きを読むPosted by ブクログ -
'95,'96の乱歩賞&直木賞W受賞作!
評価に違わぬ、素晴らしい小説でした。
本書は、世間一般でいうところのハードボイルドの位置付けのようですが、特定感情に流されず、精神的・肉体的にも強靭で、時に冷酷非情とも言えるような、所謂〝カッコいい〟主人公とは趣きが違います。
中年でくたびれたアル...続きを読むPosted by ブクログ -
昔いつだったか一度手に取ったがほとんど読み進められなかった。
身だしなみを整える為の場所として、
主人公が「タツ」から
デパートのトイレを勧められるシーンだけが何故か印象に残っていた。
時代を経て自分も歳を重ねて味わえるようになっていた。
90年代初めの空気が蘇る。
文体がとにかくかっこいい。
Posted by ブクログ -
この『テロリストのパラソル』の冒頭数ページを読んだだけで「ああ、これは好きな小説だ」となりました。
アル中の中年バーテンダーの島村は朝起きると、いつも通り公園に行きウイスキーをいれたカップを傾ける。そんな島村を見つめる一人の女の子。会話の流れから、女の子がバイオリニストを目指していることが分かり「...続きを読むPosted by ブクログ -
ものすごく不自然な設定なのに 読み出すとすんなりこの世界に入れる。不思議。
題名が 違ったら もっと早く読んでただろうなぁ。残念。
達夫 めちゃカッコいい。
親方もめちゃカッコいい。
あと瀬川もめちゃカッコいい。
みんな ハードボイルドだなぁ。Posted by ブクログ