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圧巻の文章力
今までいろーんな作家を読んできたけれど、藤原伊織さんは本当ずば抜けて文章が上手い。
この作品にただよう静けさ、哀しさ、その中にあるひとひらの情熱のようなモノトーンの世界に僕はあっさりはまってしまった。
これを読んだあとの数日のあいだに、藤原伊織さんの作品を全部買いそろえたのは良い思い出。もう新作が読めないのが残念で仕方ない。
Posted by ブクログ
無駄は1文字たりともない。
人生の半分の逃亡生活は無駄ではなかったし、ここに書かれていること以上に読者が知らなければならないこともないのだと思う。なのに、「私も年をとったのだ」だけが2回繰り返されたのは、決して菊池の生活が無駄だったからではなく、それでも繰り返さざるを得ないほどに長すぎたのだと訴えているからだと思う。
それほどに長い「習慣」は知りたくはない。だが、読者は知るべきだった。だからこそ繰り返された言葉なのだろうと思う。
そして、「私はあやまりを口にした」のあやまりとは、と考える。謝りであり、誤りでもあると書かれているように思った。繰り返しとは逆に、一度で2つを伝えたのだと思う。
2度と繰り返されるかわからない貴重な出会いで知り合えた人間に言いたくはない言葉だ。だがそう思える人間と出会ってみたい。
Posted by ブクログ
全共闘世代、団塊の世代の学生運動を背景に持つハードボイルド小説。
東大卒かつアマボクサーで、とある特定の電子機器に強く、しかもアル中でいて素敵な女性達、男性達にモテるというてんこ盛りキャラクターだけど、現状は独りで都内の狭いカウンターバーを切り盛りする一介のバーテンダーに過ぎず、店では酒とホットドッグしか出さないという主人公。
脇を固める登場人物たちもかっこいい。
乱歩賞新刊、数ヶ月後に受賞する直木賞は発表前という段階で読んで以来ずっと、本棚のお気に入りスペースに鎮座ましましている名作です。
昭和と平成初期のハードボイルドを感じてみたい方は是非。
Posted by ブクログ
【2023年22冊目】
読んでる途中から「いや、これもうよっぽどのことがない限り★5です、満点です」って思ってたんですけど、めっちゃ面白かった〜!
江戸川乱歩賞と直木賞ダブル受賞ね、ふーんて思いながら読み始めましたが、ダブル受賞伊達じゃなかった。
のどかな公園からスタートする物語が、どんどんと複雑化していき、途中で相関図書いて整理しつつ、結末がどうなるか全然わからなかったので、最後までドキドキしながら読み切りました。
「私」の受け答えがいちいちかっこよすぎる、あと頭が切れるのと同じくらいダメっぷりが光る人間味が良すぎました。
あと、あの、浅井ー!浅井かっこよすぎるでしょー!途中から浅井が出てくるたびに「浅井!!」って思いながら拍手してました。
学生闘争の頃とかについて、少し前知識入れておくとより楽しめると思いますが、やー本当面白かったです。
Posted by ブクログ
1995年96年に江戸川乱歩賞と直木賞を受賞した作品。
ある土曜の朝、アル中のバーテン・島村は、
新宿の公園で一日の最初のウイスキーを口にしていた。
その時、公園に爆音が響き渡り、爆弾テロ事件が発生。
死傷者50人以上。島村は現場から逃げ出すが指紋のついた瓶を残してしまう。
テロの犠牲者の中には、22年も音信不通の大学時代の友人が含まれていた。
島村は容疑者として追われながらも、事件の真実に迫ろうとする。
主人公がアル中のバーテンという中々パンチの効いた設定。
この設定も相まり、島村の魅力に瞬時に惹きつけられた。
学生運動、ヤクの密売と小出しにされていく真実のかけらたち。
その度にヤキモキしながらもそのピースをじっくり吟味する。
ミステリーの真相までのロードマップがとてもしっかりした作品だった。
多少、偶然が重なりすぎてやしないかい?とも思うのだが、
登場人物たちそれぞれの感情のズレが上手く表現されていて、
最後までダレることなく駆け抜けることができた。
結局、人が人を憎む気持ちって些細な感情からなんだなと、
読み終えてしみじみ思ってしまった。
だからこそ、人間の怖さというものが際立っているようにも思えた。
島村という人間が歩んできた20数年間を思うと、やり切れなさが溢れてくる。
だが、それもまた島村という主人公の魅力なのかもしれない。
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