感情タグBEST3
圧巻の文章力
今までいろーんな作家を読んできたけれど、藤原伊織さんは本当ずば抜けて文章が上手い。
この作品にただよう静けさ、哀しさ、その中にあるひとひらの情熱のようなモノトーンの世界に僕はあっさりはまってしまった。
これを読んだあとの数日のあいだに、藤原伊織さんの作品を全部買いそろえたのは良い思い出。もう新作が読めないのが残念で仕方ない。
Posted by ブクログ
無駄は1文字たりともない。
人生の半分の逃亡生活は無駄ではなかったし、ここに書かれていること以上に読者が知らなければならないこともないのだと思う。なのに、「私も年をとったのだ」だけが2回繰り返されたのは、決して菊池の生活が無駄だったからではなく、それでも繰り返さざるを得ないほどに長すぎたのだと訴えているからだと思う。
それほどに長い「習慣」は知りたくはない。だが、読者は知るべきだった。だからこそ繰り返された言葉なのだろうと思う。
そして、「私はあやまりを口にした」のあやまりとは、と考える。謝りであり、誤りでもあると書かれているように思った。繰り返しとは逆に、一度で2つを伝えたのだと思う。
2度と繰り返されるかわからない貴重な出会いで知り合えた人間に言いたくはない言葉だ。だがそう思える人間と出会ってみたい。
Posted by ブクログ
全共闘世代、団塊の世代の学生運動を背景に持つハードボイルド小説。
東大卒かつアマボクサーで、とある特定の電子機器に強く、しかもアル中でいて素敵な女性達、男性達にモテるというてんこ盛りキャラクターだけど、現状は独りで都内の狭いカウンターバーを切り盛りする一介のバーテンダーに過ぎず、店では酒とホットドッグしか出さないという主人公。
脇を固める登場人物たちもかっこいい。
乱歩賞新刊、数ヶ月後に受賞する直木賞は発表前という段階で読んで以来ずっと、本棚のお気に入りスペースに鎮座ましましている名作です。
昭和と平成初期のハードボイルドを感じてみたい方は是非。
Posted by ブクログ
冷静で勘が冴えているが機械やテクノロジーに疎いバーテンの島村、頼りになる奇妙なやくざの浅井、若くして知性と行動力(それから魅力)を兼ね備えた塔子、ほかにも個性的で生き生きとしたキャラクターが、ハイテンポで展開していく物語を鮮やかに味付けしている。
展開もハイテンポで目まぐるしく進み、線と線がつながって新たな線が浮かんでくる。島村と共に新宿を駆け回って謎を解いていくような感覚で読めた。
クライマックスで島村と桑井が出会う場面。それまで物語のキーパーソンとして舞台装置的な印象であった優子が、桑井との会話によって一気に人間味を帯びてくる。島村との関係、桑井の絶望、優子の涙のわけ、NYでのふたり、ひとつひとつ語られていく真相が優子の輪郭を深めていく。切なく、諦念を帯びた人間像が悲しい。それを無二の親友だった桑井から聞かされる島村の心中たるや。
桑井の動機も、横恋慕の行き着く先と言ってしまえば簡単だが、優子に拘っていたというより島村への複雑な感情と全共闘の異様な雰囲気が綯い交ぜになって醸成されてしまったものではないかと思える。
自分は全共闘世代が持っているらしいそうした雰囲気、熱気がどんなものだったのかわからない。作中で塔子が言及しているように、オジサンたちの懐古的な口調ばかりが耳につくという印象だ。しかし読後それについて想像するに、瞬間的な熱にうかされた若者たちが、闘争を終えて皆すぐ社会に適合していくとは考えづらい。中には抑えきれない感情を抱えたまま社会とのズレにさらされる者もいたのでは。そうしたある種の屈折が桑井の源流にもあるのだろうか。
Posted by ブクログ
【2023年22冊目】
読んでる途中から「いや、これもうよっぽどのことがない限り★5です、満点です」って思ってたんですけど、めっちゃ面白かった〜!
江戸川乱歩賞と直木賞ダブル受賞ね、ふーんて思いながら読み始めましたが、ダブル受賞伊達じゃなかった。
のどかな公園からスタートする物語が、どんどんと複雑化していき、途中で相関図書いて整理しつつ、結末がどうなるか全然わからなかったので、最後までドキドキしながら読み切りました。
「私」の受け答えがいちいちかっこよすぎる、あと頭が切れるのと同じくらいダメっぷりが光る人間味が良すぎました。
あと、あの、浅井ー!浅井かっこよすぎるでしょー!途中から浅井が出てくるたびに「浅井!!」って思いながら拍手してました。
学生闘争の頃とかについて、少し前知識入れておくとより楽しめると思いますが、やー本当面白かったです。
Posted by ブクログ
'95,'96の乱歩賞&直木賞W受賞作!
評価に違わぬ、素晴らしい小説でした。
本書は、世間一般でいうところのハードボイルドの位置付けのようですが、特定感情に流されず、精神的・肉体的にも強靭で、時に冷酷非情とも言えるような、所謂〝カッコいい〟主人公とは趣きが違います。
中年でくたびれたアル中のバーテンの主人公を始め、他の登場人物も個性が際立っていて、その設定にも感心します。
ストーリーも、客観的で簡潔な描写が淡々と展開され、どんどん引き込まれます。ミステリーを超越し、他のハードボイルドからも一線を画している気がします。
最後は怒涛の驚愕の連続でしたが、破滅の道へ進んだ友人と主人公の想いを中心に、多くの登場人物へ感情移入しながら、哀愁漂う主人公のカッコよさに酔いしれました。
素晴らしい読後感で、しばらく余韻を引きずりそうです。
Posted by ブクログ
昔いつだったか一度手に取ったがほとんど読み進められなかった。
身だしなみを整える為の場所として、
主人公が「タツ」から
デパートのトイレを勧められるシーンだけが何故か印象に残っていた。
時代を経て自分も歳を重ねて味わえるようになっていた。
90年代初めの空気が蘇る。
文体がとにかくかっこいい。
Posted by ブクログ
この『テロリストのパラソル』の冒頭数ページを読んだだけで「ああ、これは好きな小説だ」となりました。
アル中の中年バーテンダーの島村は朝起きると、いつも通り公園に行きウイスキーをいれたカップを傾ける。そんな島村を見つめる一人の女の子。会話の流れから、女の子がバイオリニストを目指していることが分かり「わたし、バイオリニストになれると思う?」とその子は問う。「なれるかもしれない。ツキに恵まれたなら」と島村は返し、そして女の子は……
昼間からアルコールの臭いを漂わせているため、世間の人からは白い目で見られることの多い島村。そんな島村が無垢な女の子との会話から思った世界のこと。そして淡々と無骨ながら、どこか色気やリズム感のある島村の語り口と、彼の視点から描かれる日常世界。そして最初の少女とのやり取りで浮かんでくる、彼の人間性や人生観。
派手ではないけれど、文章や場面、人のやり取りや会話、思考、すべてがいいふうに自分の中で受け入れられた最初の場面。後は流れに任せて、一気に読むだけだった気がします。
女の子との会話は静かなシーンでしたが、そこから一転、物語は一気にギアがかかります。その直後、公園で起こった死者19名の爆破事件。そして島村の元に現われるヤクザに、元交際相手の娘。そして死者の中にいたのは、大学時代の島村の友人。そして警察は島村の過去から、爆破事件と島村の関係を疑い……
爆弾事件の犯人捜しの物語の本筋はもちろん、そこにヤクザや警察からの逃走劇というサスペンスも加わります。そして事件の展開も読ませる。事件は徐々に闇社会の奥深くに入っていく一方で、島村個人の過去とも密接に関わってきます。
島村以外の登場人物たちも魅力的です。なぜか島村を気に入り、事件に入れ込むヤクザの浅井。事情があり、カタギからヤクザへ鞍替えした彼の矜持。一方で島村との関係性は、立場や損得関係を越えたバディものの雰囲気があって、しかし一方でこの浅井もまた事件と密接に関わってきて、この関係性はもちろん、先が読めない展開も面白かった。
作中に登場し、島村に協力するホームレスたちもよかったなあ。それぞれ詳しく書かれるわけではないけど、会話などのやり取り、そして事件や物語の展開で、彼らにもそれぞれの人生、プライド、矜持といったものを抱えて、泥臭く生きていること、そして人生の哀愁も感じさせます。
島村と友人の桑野の回想の場面も良かったです。時代背景もあって、彼らの青春はかなり特殊なのですが、お互いがお互いに一目を置き、そして構築された唯一無二の友人関係が魅力的。完全に理解しきれるか、といえば微妙なのですが、その描写のみずみずしさは、なにか懐かしい気持ちにさせる力があるような気がします。
そして真犯人もなんだか憎み切れない。カリスマ性というか、彼の抱えた闇と空白、社会の不合理や矛盾、そして嫉妬。改めて設定を考えると、なかなかのとんでも設定ですが、それを無理と感じさせない、スケールの大きなキャラでした。それがなんだか惹かれる理由なのかもしれません。
粋な会話や文章、なかば世間から隔絶しているような男主人公、ヤクザや闇社会、男の友情、そしてなぜか主人公はモテる(笑)と話や設定、キャラは今から見ると古さを感じます。ただその古さは、アンティークのようなもので、古さを感じるからといって、まったく出来に影響するものではないと思います。
そして良い意味で男くさい、男のロマンが詰まったハードボイルドだった気もします。本格ミステリや最近のキャラミステリも面白いけど、こういう良い古さと、男くさいロマンが詰まった話も面白いのだなあ、と改めて感じました。
第114回直木賞
第41回江戸川乱歩賞
1996年版このミステリーがすごい! 6位
Posted by ブクログ
主人公の先読みすぎる洞察力の鋭さと、それに反して事件が起きる前の冴えない生活を送るギャップさが読者を飽きさせなかったと思います
周りの登場人物も勘の鋭い人がいて、地頭の良い人ってこういう事を言うのかと感じました
飲み過ぎて事件を起こした失敗のシーンも、人間臭さがにじみ出ていて良かったです
Posted by ブクログ
1995年第41回江戸川乱歩賞
1996年第114回直木賞 受賞作
テレビドラマでは、主人公を萩原健一が演じていたらしい
うん、ぴったり
そして、ギャンブル借金返済の為の作品だったらしい
うん、ぴったり
新宿のバーテンの男、ほぼアル中
ほぼアル中だけど、頭はキレる
新宿公園でいつものように飲んでいると 爆弾テロに遭遇する
偶然かと思われた爆弾テロが自分に関わりが深いものだと気がつく
そして 気がついてからの行動が小気味良いほど悪賢い
この男が 連なっていくトラブルにどう動いていくかと 事件に繋がっていく人達
最後まで緊張感が切れずに楽しめました
東大の学生運動時代に発端があり、その時代を引きずってしまった強さであり弱さ
すべてが繋がっていくストーリーに驚きもありました
ただ繋がりすぎたかなー、そこまで繋がると計算が過ぎるかなーというところなんです
Posted by ブクログ
新宿を舞台にアル中バーテンダーが爆弾事件の真相に迫って行く話。
登場人物の魅力と各場面でのヒリヒリ感が素晴らしかったです。
少しずつ真相に迫る流れがページを次へ次へと捲らせました。
Posted by ブクログ
だいぶ前に読んだことがあることに冒頭で気がついたけど、詳しい内容を思い出せず。
再読完了した時思ったのは、こんなにインパクトがある話を人は忘れられるものなんだ…と。
だいぶ昔の話しではあるけれども伏線がはられまくっていて面白い。
少し頭がついていかないところがあったが…
嫉妬心は人を突き動かす負の力となるし、その力はかなり膨大。
しかも桑野の20年間を思うとこんなことをしてしまうまで人格が曲がってもしかないない気もする…
してしまったことはどんな理由があっても決してダメなことだけど。
Posted by ブクログ
一気読み
久しぶりの活字だったけど先が気になってするする読めた!
ちょっと難しい
完全には理解して無さそう
おもしろい
登場人物がみんな魅力的!
頭が良いから会話がおもしろい
Posted by ブクログ
20世紀末の新宿中央公園、オープニング早々から爆発事件が起こり多数の死傷者がでる。アル中の島村の目線で話が展開していくが、島村とヤクザの浅井のキャラクターがいい。
二人とも見た目によらず頭がキレて、殴りあいも強い。
うまそうなホットドッグと電気箱の描写が印象的。
Posted by ブクログ
偶然がおきすぎのような気がする。
読みやすいハードボイルド。
あの動機であそこまでやるか?というのは「八つ墓村」みたいだなーと思ったけど、作中にも出てきたね。
Posted by ブクログ
日本人でもこんなハードでビターなそして、センスのいい雰囲気をかもせる作家がいた。
私はこんな乾いたシンプルな文章も好きだ。
ゆくりなくもハードボイルド風味をおいしく味わった。
江戸川乱歩賞で直木賞。絶対話題になったはずなのに知らなかった…。
そりゃわたしの不勉強だわさ。
ストーリーもシンプルかつスピーディー。おもしろい。
主人公は全共闘時代の爆弾疑惑事件ですねに傷持つ身、しがないバーテンのアル中。
ある朝公園で飲酒中にそれこそ爆弾テロに遭遇、やばいと逃げだしたのだが。
ことがことだけに安閑としている場合じゃないのに、入り込める展開。
フィクションなのにリアル、会話の多い文体、それがしゃれているのだ。
軽いユーモア、不思議なことに含蓄がある言葉。
もう終盤に近いところのこの言葉
「私たちは世代で生きたんじゃない。個人で生きたんだ。」
うおおお、かっこいい!
これはもうわたしの座右の銘にしたい。
Posted by ブクログ
面白いんやけど、読むの時間かかる…たまにあるな。こんな感じ。
ミステリー要素もあるけど、ハードボイルドって感じやな。
主人公:アル中のバーテンダー
紅一点:ツンデレ(元同士の娘)
もと警察官のヤクザ
学生運動からの同士の爆弾魔
その他色々…
それぞれ個性的な登場人物。
解説ではキャラ立ちしてるって。
学生運動って言っても、今の人は分からんな。という私もあんまり分かってないけど。
その頃にやってもうた事で、姿を隠して20年、酒飲んで、のんびり公園で寝てたら、爆弾がボ〜ン!
爆弾テロやん!犠牲者には、昔の馴染みが何人も!
おかしい!犯人探すで!物語スタート!
ヤクザとは思えん浅井。主人公島村との会話は知的な感じで良い。この2人のタッグはなかなかでした。
でも、直木賞と江戸川乱歩賞の同時受賞の作品なんで、少し期待値高過ぎたかもしれん…
Posted by ブクログ
文体が独特だが読みやすく、軽妙で心地いい。
解説にあった通りキャラが立っている。
特に浅井が好き。
キャラクターの台詞も洒落ている。
賢い人達のやり取りだ。
学生運動というものが一体どんなものだったのか、もっときちんと理解していたら尚楽しめた気がする。
読み返すと伏線(というか今にしてみればネタバレ)が随所にあるので二度楽しめる。
Posted by ブクログ
主人公は新宿に店を構えるバーテンで、アル中の島村。にしては、冷静で頭の切れるキャラでかっこいい。
ヤクザの浅井とのタックもまた、かっこよかった。
時代背景は今とは違い、読み込みにくい場面もあったがそれでもおもしろかった。
文章がちょこちょこお洒落な表現ですき。
Posted by ブクログ
江戸川乱歩賞と直木賞のダブル受賞作ということで期待して読んだ一冊。
ある土曜日の朝、アルコール中毒のバーテンダー・島村は、新宿の公園で爆弾テロ事件に遭遇。
現場から逃げ出した島村は、公園に自分の指紋がついたウイスキーの瓶を残してしまう。
テロ事件の犠牲者に、22年前共に学生運動を行った、音信不通の友人の名前を見付け、偶然ではないと感じた島村は、過去、自らが起こした事件故、テロ事件の容疑者として疑われながらも事件の真相に迫っていく―。
テロ事件が起きた現代と、学生運動があった時代が交互に描かれる形で物語は展開していきます。
過去に島村と友人が起こした事件、島村が愛した女性、そして明らかになる事件の真相。
学生運動があった時代を知らないからか、些か理解できない心理や感情はあるものの、興味深く、また早く先を知りたい、という気持ちで読み進めることができました。
島村と関わるヤクザの浅井が非常に魅力的で、その魅力の理由も後半明かされてみると納得。
藤原氏の作品は初めて読みましたが、他にも読んでみたくなりました。
☆が3つの理由は犯行の理由が、軽すぎたというか、幼稚すぎたため。
ここまでしっかり書き上げられるなら、もうちょっと何かが欲しかったです。
それとも人間って、詰まるところは幼稚で短絡的な生き物だということを著者は描きたかったのでしょうか。
Posted by ブクログ
アル中のバーテン・島村圭介はある土曜の朝、新宿の公園で爆弾テロに遭遇する。容疑者として指名手配されながら真相を追うことに
地の文が若干重いきらいはあるものの、会話文が軽快かつインテリで読みやすく、なによりキャラが立っていて引き込まれる。アル中の指名手配中の中年が主人公って中々見かけない。
Posted by ブクログ
複雑なプロット。
数々の伏線と、後から出てくる答え合わせは、メモを取ってないと混乱する。
結局、事の始まりは、些細なものでした。
でも、タイトルへの帰結が記載されている部分は、余り腑に落ちなかった。
Posted by ブクログ
文章が上手い。
冒頭の大爆発から始まり、緊張感と重苦しさが途切れずラストまで進む。
ハードボイルドだが激しいドンパチはなく、
心理的にキリキリする感じだ。
主人公は脳内では西島秀俊さんに変換された。
しかし、学生運動をよく知らず、
登場人物達の心情に共感できなかった点は残念。
学歴も家族も自分さえも失って、それで良かったのか。
Posted by ブクログ
ある土曜の朝、アル中のバーテン・島村は、新宿の公園で一日の最初のウイスキーを口にしていた。その時、公園に爆音が響き渡り、爆弾テロ事件が発生。死傷者五十人以上。島村は現場から逃げ出すが、指紋の付いたウイスキー瓶を残してしまう。テロの犠牲者の中には、二十二年も音信不通の大学時代の友人が含まれていた。島村は容疑者として追われながらも、事件の真相に迫ろうとするー。
Posted by ブクログ
登場人物の数や物語のスケールの大きさに対して、少しページ数が足りていないように感じた。そのため、人物相関図が徐々に明かされていっても誰が誰だか理解しづらく、物語全体を通して淡々と展開されている印象を受けた。
また、犯人は確かに意外な人物だったが、ミスリーディングのようなものもなく推理する流れでもなかったので、あまり驚くことはなかった。そもそもどんでん返しや驚愕な結末をテーマにしている作品ではないと思うので仕方ない気もするが。テーマといえば、読み終わったときにタイトルが歪んでしまった犯人を表しているとわかり、詩的で素敵だと思えた。
浅井や塔子など魅力的な人物はいたので、もう少し肉付けしてくれれば自分好みの小説になっていたかもしれない。