あらすじ
ある土曜の朝、アル中のバーテン・島村は、新宿の公園で一日の最初のウイスキーを口にしていた。その時、公園に爆音が響き渡り、爆弾テロ事件が発生。死傷者五十人以上。島村は現場から逃げ出すが、指紋の付いたウイスキー瓶を残してしまう。テロの犠牲者の中には、二十二年も音信不通の大学時代の友人が含まれていた。島村は容疑者として追われながらも、事件の真相に迫ろうとする――。小説史上に燦然と輝く、唯一の乱歩賞&直木賞ダブル受賞作!
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Posted by ブクログ
他の人も書かれていますが、ほんの数頁で引き込まれました。
物語の重要なカギにもなる公園でのやり取り(本文より引用)
「神様についてお話ししませんか」と彼はいった。「申しわけないが、いま仕事中なんでね」「仕事? なんの」「これだよ」酒瓶をふった。「プロの酔っ払いでね」
・・・もう、これだけで面白いの確定です。
結末での主人公の「私たちは世代で生きてきたんじゃない。個人で生きてきたんだ」、この台詞が全てです。
出版当時に「乱歩賞と直木賞、初のダブル受賞作は?」とアタック25で児玉清さんが出題されていて、とりあえず読んでみた記憶が有ります。
当時、自分にはそこまで響かなかった物語が今回の再読では全く違うモノになっていました。
小説には読むべき時期があるのだと再認識しました。読めて本当に良かった。
Posted by ブクログ
冷静で勘が冴えているが機械やテクノロジーに疎いバーテンの島村、頼りになる奇妙なやくざの浅井、若くして知性と行動力(それから魅力)を兼ね備えた塔子、ほかにも個性的で生き生きとしたキャラクターが、ハイテンポで展開していく物語を鮮やかに味付けしている。
展開もハイテンポで目まぐるしく進み、線と線がつながって新たな線が浮かんでくる。島村と共に新宿を駆け回って謎を解いていくような感覚で読めた。
クライマックスで島村と桑井が出会う場面。それまで物語のキーパーソンとして舞台装置的な印象であった優子が、桑井との会話によって一気に人間味を帯びてくる。島村との関係、桑井の絶望、優子の涙のわけ、NYでのふたり、ひとつひとつ語られていく真相が優子の輪郭を深めていく。切なく、諦念を帯びた人間像が悲しい。それを無二の親友だった桑井から聞かされる島村の心中たるや。
桑井の動機も、横恋慕の行き着く先と言ってしまえば簡単だが、優子に拘っていたというより島村への複雑な感情と全共闘の異様な雰囲気が綯い交ぜになって醸成されてしまったものではないかと思える。
自分は全共闘世代が持っているらしいそうした雰囲気、熱気がどんなものだったのかわからない。作中で塔子が言及しているように、オジサンたちの懐古的な口調ばかりが耳につくという印象だ。しかし読後それについて想像するに、瞬間的な熱にうかされた若者たちが、闘争を終えて皆すぐ社会に適合していくとは考えづらい。中には抑えきれない感情を抱えたまま社会とのズレにさらされる者もいたのでは。そうしたある種の屈折が桑井の源流にもあるのだろうか。
Posted by ブクログ
だいぶ前に読んだことがあることに冒頭で気がついたけど、詳しい内容を思い出せず。
再読完了した時思ったのは、こんなにインパクトがある話を人は忘れられるものなんだ…と。
だいぶ昔の話しではあるけれども伏線がはられまくっていて面白い。
少し頭がついていかないところがあったが…
嫉妬心は人を突き動かす負の力となるし、その力はかなり膨大。
しかも桑野の20年間を思うとこんなことをしてしまうまで人格が曲がってもしかないない気もする…
してしまったことはどんな理由があっても決してダメなことだけど。
Posted by ブクログ
情景が目に浮かんだ
テロリストの考えはよくわかりません、、、
学生運動のくだりとかよく分かんなかったら時間空けてもう一回読んでもいいかも