江戸川乱歩賞と直木賞のダブル受賞作ということで期待して読んだ一冊。
ある土曜日の朝、アルコール中毒のバーテンダー・島村は、新宿の公園で爆弾テロ事件に遭遇。
現場から逃げ出した島村は、公園に自分の指紋がついたウイスキーの瓶を残してしまう。
テロ事件の犠牲者に、22年前共に学生運動を行った、音信不通
...続きを読むの友人の名前を見付け、偶然ではないと感じた島村は、過去、自らが起こした事件故、テロ事件の容疑者として疑われながらも事件の真相に迫っていく―。
テロ事件が起きた現代と、学生運動があった時代が交互に描かれる形で物語は展開していきます。
過去に島村と友人が起こした事件、島村が愛した女性、そして明らかになる事件の真相。
学生運動があった時代を知らないからか、些か理解できない心理や感情はあるものの、興味深く、また早く先を知りたい、という気持ちで読み進めることができました。
島村と関わるヤクザの浅井が非常に魅力的で、その魅力の理由も後半明かされてみると納得。
藤原氏の作品は初めて読みましたが、他にも読んでみたくなりました。
☆が3つの理由は犯行の理由が、軽すぎたというか、幼稚すぎたため。
ここまでしっかり書き上げられるなら、もうちょっと何かが欲しかったです。
それとも人間って、詰まるところは幼稚で短絡的な生き物だということを著者は描きたかったのでしょうか。