藤原伊織のレビュー一覧

  • ひまわりの祝祭

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     七年前、妻が自殺した。自分以外の男の子どもを身ごもったまま。
     妻を失って以来、それまでの事業からいっさい手を引き、めったに外出することもなく、ただひっそりと平板な毎日を生きていた主人公。そこに突然、昔の上司が奇妙な依頼を持ち込む。ある事情から五百万円のカネを処分してしまいたい、手を貸してくれ――
     その奇妙な依頼に付き合った夜から、突然、主人公の周りに奇妙な連中が顔を出し始める。亡くした妻によく似た顔をした女性、経済界の裏の顔らしい老人、暴力団関係者。周到な、あるいは直接的な方法で、彼らは心当たりのない主人公から、あるものの所在を探り出そうとする。それは、ゴッホの知られざる遺作、もう一枚の

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    2009年12月03日
  • 遊戯

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    相変わらず面白い。


    主人公が格好良すぎるのが、難点。


    藤原伊織が亡くなったのは残念とともに、彼の作品を読めないという悲しさもある。

    遺作となったこの作品も、もっと書きたかったろう。これから更に謎が深まり、謎が解き明かされていくのだろうと思うと読みたかったな。

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    2009年10月04日
  • 遊戯

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    ネットの対戦ゲームで知り合った二人に謎のサラリーマン風の男が絡んでくる短編連作。そして、藤原さん最後の作品集。主人公が暗く地味なのと対象に、ヒロインがあまりに自由すぎて大丈夫かと思うんだけど、読み進むうちに惹かれる不思議な人柄。二人の掛け合いが楽しく、謎のサラリーマンも気になり、あっという間に読破。魅力ある人物の表現がうまいなぁと思います。

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    2009年10月04日
  • ダナエ

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    2009/5/8 ジュンク堂住吉シーア店にて購入。
    2021/10/6〜10/8

    5年半ぶりの藤原作品は、最後の短編集。「ダナエ」、「まぼろしの虹」、「水母」の3遍。独特の文体は相変わらず。表題作「ダナエ」が一番良かった。直木賞を同時受賞した小池真理子さんの解説も素晴らしかった。

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    2021年10月09日
  • 雪が降る

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    それぞれに過去に痛みを抱えた人間の6つの短編集。静かに過去を回顧しながらも、その痛みを受け入れて自らの責任を取るところが渋い大人の態度を伺わせてくれた。しんみりずっしりくるいぶし銀のような短編集だった。

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    2011年09月17日
  • 雪が降る

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     藤原伊織のこの短篇集には「驚き」があった。どの一篇にも、読み終える寸前のところに「驚き」が待っていた。六篇それぞれに異なる驚きが仕込まれていたのである。読み終わった直後、軽い眩暈のような虚無感に包まれ、物語を振り返った。会社組織の冷血さ、恋の儚さ二つ、むごたらしく悲惨なこと、やくざの帰結、夏のアルバイトで得たもの、が語られていた。いずれも人生の真実というべきものかもしれない。不思議だったのは、よい作品だと感じながらも小説の中に感情移入しなかったこと。スクリーンに映し出されたよくできたフィクションを自分は観ているのだという気分で読んでいた。しかし、それは悪い意味でいっているのではない。作為がみ

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    2011年09月30日
  • シリウスの道(上)

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    ハードボイルドーって感じ.
    登場人物が皆カッコイイ!ってのが一番の感想.
    辰村は頑固で強気で切れ者.
    立花は美人で仕事もできる女部長.
    平野はデイトレーダーのアマプロ.
    浅井は裏世界に精通する元やくざ.
    そして戸塚.
    政治家の息子でコネ入社でありながら,実は素直でまじめでグングン成長してる.

    広告代理店での競合プレゼンを中心にしたお話で,
    業界の細部が詳細に描かれている.
    広告代理店ってもっと華やかな職場っていうイメージがあったけど,
    そのイメージが完全に覆された.

    残念だったのは競合プレゼンが一番大きなテーマなのに,
    最後があっさりしすぎていること.
    ミステリっぽい最後の最後のどんでん返

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    2009年10月04日
  • 雪が降る

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    母を殺したのは、志村さん、あなたですね。少年から届いた短いメールが男の封印された記憶をよみがえらせた。若い青春の日々と灰色の現在が交錯するとき放たれた一瞬の光芒をとらえた表題作をはじめ、取りかえようのない過去を抱えて生きるほかない人生の真実をあざやかに浮かびあがらせた、珠玉の6篇。

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    「台風」「雪が降る」「銀の塩」「トマト」「紅の樹」「ダリアの夏」の6篇。
    どれも切ない。

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    2014年09月18日
  • 蚊トンボ白鬚の冒険(下)

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    この人の作品は案外突拍子もない展開が多い気がするのだが、何故かすんなり受け入れられる
    主人公の性格付けによるところが大きいのかな
    異形の相棒との共生、というのは寄生獣を思い起こさせる
    情報栽培、というのもイイ
    しかしこの終わり方は…うう

    超人化した配管工が(えらく年上の)お姫様を悪者から助ける……?

    ハッ!…スーパーマリオだ…

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    2009年10月04日
  • シリウスの道(上)

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    (文庫版 上下2巻)面白かった。企業小説は小生のツボジャンルであり、さらにキャラクターの設定の上手さも加わり贅沢な味わいでした。広告代理店の営業部という特殊な企業の内部のことが詳細に描かれており、より関心が深まった。主人公の飄々とした外面と情け無い内面に共感を覚える。難点は仕事のOFFに小説読むんですが、展開がリアルで仕事の延長のような気がして緊張してきてしまったことかな。

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    2011年09月13日
  • シリウスの道(上)

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    高校生が藤原伊織作品を読むなんて、驚きです。「このミステリーが面白い6位」に選ばれた作品ですが、ミステリーというよりハードボイルドですね。様式美とダンディズムの世界です。僕は藤原先生のファンなのですが、今年の春にお亡くなりになってしまいとても残念です。もっと藤原先生の作品が読みたかった。文壇がまた寂しくなってしまいました。心よりご冥福をお祈りします(金子)

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    2009年10月04日
  • シリウスの道(下)

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    上巻後半までは広告業界用語が多様されていて読みにくかったですが、下巻にはそれがなく、スイスイ読めました。こんなビジネスマンになりたい!!と思わせる作品に仕上がっています。そしてああいう女上司、うちの会社にもいます。名前はあえて書きませんけどww
    藤原伊織先生のほかの作品では「ダナエ」と「テロリストのパラソル」がお勧めですよ。けど、登場人物はだいたいこの作品と同じキャラです。それが藤原先生の特徴ですね。とにかくお亡くなりになったのが悔しいです(金子)

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    2009年10月04日
  • シリウスの道(上)

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    以前より気になっていた作家、藤原伊織。
    ただ、なんとなく手にすることがなかったが、先月の訃報を聞き、読んでみることにした次第。

    ハードボイルドという言葉の先入観が大きかったが読み始めると、会社という組織の話ということもあってか、意外に読みやすく、今まで読まなかったことが、悔やまれる。

    主人公はもちろんのこと、登場人物の描写がわかりやすく、そして魅力的。
    ただ、主人公の幼なじみが元アイドルで今は重役夫人とか、上野で似顔絵書きをしているとか、やや大層な気もしたが。。

    個人的に、東京と大阪のそれぞれの舞台になる地域に縁があるので、それだけで親近感を持ちながら読めたように思う。

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    2009年10月07日
  • 蚊トンボ白鬚の冒険(上)

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    アメリカにいるときに、友人が送ってくれた本。白髭の設定が面白い。その設定に無理を感じる人はダメだろうが、そこさえクリアすればあとは結構楽しめる。

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    2010年02月08日
  • 雪が降る

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    新規購入ではなく、積読状態だったもの。
    2012/2/15〜2/16

    藤原伊織氏の短編集。「台風」、「雪が降る」、「銀の塩」、「トマト」、「紅の樹」、「ダリアの夏」の六編。何かを背負った男達の意地、諦め、悔恨などなどが藤原氏独特の文体で綴られていく。お気に入りは「紅の樹」か。
    亡くなられた作家の作品は、読んでしまうと残り少なくなってしまうので、手に取るのを躊躇してしまうが、やっぱり読みたいよなあ。

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    2012年02月16日
  • シリウスの道(上)

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    文春で連載していた時に途中まで読んでいた。
    ずっと作者は女性だと思っていた。

    広告業界が舞台なので、片足突っ込んでみた世界だけになんだか懐かしい。&妙な敗北感もあったりする。

    でもマスコミの人以外に理解できるのか??って不思議な部分も多々あり。

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    2009年10月04日
  • 蚊トンボ白鬚の冒険(下)

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    とても満足でした...あとがきにファンタジーハードボイルドってありましたけどその通り!藤原さんてこの手の物が凄く面白いと思います。また期待してます

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    2009年10月04日
  • 蚊トンボ白鬚の冒険(上)

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    ハードボイルド&ファンタジー作品!構成がすばらしく、また人物描写がすばらしいため、どんどん引き込まれ、そのうちとまらなくなります。

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    2009年10月04日
  • 蚊トンボ白鬚の冒険(下)

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    藤原氏のファンタジー作品!
    最後に向けての盛り上がり、そして壮絶な・悲壮な結末・・・読んで見てください。

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    2009年10月04日
  • ひまわりの祝祭

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    ゴッホのひまわりの絵は7枚とされているが、8枚目が存在したという、ミステリアスな設定で描かれたハードボイルドミステリー。
    ゴッホ、あるいは美術界に興味がある読者にとっては、興味を惹かれ見逃せないテーマかも。
    高校生時代の作品で天才と、もてはやされたが、己の才能に見切りをつけ、プラスチックみたいな平板な生活を送っていた主人公。
    彼は、亡くなった妻とそっくりな女と出会ったことから、闇の大物、暴力団も絡む騒動に巻き込まれる。
    ゴッホの8枚目の「ひまわり」はどうなるのか、その行方に目が離せない。

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    2025年09月17日