藤原伊織のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
藤原伊織を読んだのはは「テロリストのパラソル」に続き2作目。ハードボイルドという括りで扱われる彼の作品はそうなのかしら?と疑問に思ってしまう。
今回のひまわりの祝祭は、静謐で美しい。確かにハードボイルド的な要素があるにはある。ハードボイルドといえば、酒はバーボン、汗臭い男、肉質な美女。マグナム系の銃器。血なまぐさい肉。この本では、バーボンが牛乳、汗臭い登場人物がインテリ系、美女は薄倖の才女。マグナムがライフル。肉がコンビニのドーナッツ、に置き換わっている。
まるで文学作品を読んでいるようでした。
ラストシーンは特に美しい。
最後に女が主人公へ「あなた」と語りかけるところが、すごく気になる。な -
Posted by ブクログ
時間さえ潤沢にあれば、多分一気読みしていたであろうくらいストーリーに引き込まれる。
主人公の堀江が飲んだくれて、雨のなか路上で寝ているところから始まる物語。
というわけで、作中ほとんどずっと堀江は風邪をひき、高熱で朦朧としたまま謎を解き、大立ち回りをやってのけるのである。
なんで解熱剤を呑まないんだろう?
退職勧告に従いあと2週間で退社する予定の主人公堀江が、会長から直接呼び出され、偶然撮影した人命救助のビデオを自社CMとして使えないかと打診される。
宣伝部とはいえ、実際に広告を制作しているわけではないのでノウハウを知っているものがほとんどいない中、堀江は制作会社に勤務していたこともあり、プ -
Posted by ブクログ
ネタバレ幼い頃の傷を抱えて死んだように生きている"jamrice"こと本間と、感性が澄み、透明感のかたまりみたいな"パリテキサス"朝川みのり。このまったく接点のないように見えるふたりが、ふとした出会いから少しずつ距離を縮め、いつの間にかお互いを必要としている。
ふたりのちょっとしたやりとりが核心をついていてとても惹かれてしまう。
「ネットって銃をうつのに似ていると思うんです。
ほんとうに人を殺したという実感がともなっていない」
ふたりの周りに謎の男が現れ、不気味な影を残す。
5つの連続した短編のなかで本間とみのりのふたりの距離は近づいていくが、謎の男の正体は