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Posted by ブクログ
藤原伊織『雪が降る』角川文庫。
最早、絶滅危惧種とっなった男らしい男の生き様を描いた6編を収録した短編集。男女平等だとかLGBTだとかまるで権利を勝ち取ることが正義というような輩ばかりの時代にはそぐわない作品である。昔はこれが当たり前ということがどんどん否定されていく生き難い世の中にこそ読むべき短編集だと思う。
『台風』。深みのある短編。人生は後悔と苦しみの連続なのかも知れない。幸せな思い出はいつの間にか霞んでしまう。台風のある日、会社でかつての部下が起こした傷害事件を切っ掛けに吉井卓也は苦い過去を思い出す。★★★★★
『雪が降る』。表題作。人生で外れ籤ばかりを引いて来た男の再生の物語。「母を殺したのは、志村さん、あなたですね」という内容の一通のメールが、志村秀明の記憶をよみがえらせる。志村がかつて愛した会社のライバルである高橋の妻。★★★★★
『銀の塩』。ミステリー色の強い短編。我々、ある程度満ち足りた生活に甘んじている日本人には気付かぬことが多い。バングラデシュから来日したショヘルという青年と共に軽井沢の別荘で休日を過ごす訳ありな中年の島村。★★★★
『トマト』。奇妙な風合いの寓話めいた短編であるが、文章以上に何かを伝えてくれる。銀座の和光の前で人魚と名乗る女性に声を掛けられた政治家の秘書。★★★★
『紅の樹』。やくざのヒットマンから足を洗い、全うな生活を送っていた堀江はあることを切っ掛けに再び猛獣に変わる。燃えるような男の生き様を描いた短編。北方謙三かクイネルかという位の絶滅危惧種的な短編。★★★★★
『ダリアの夏』。かつて野球に挫折した男が一線から姿を消した有名女優の母子と知り合う。栄光と挫折。未来はまだまだ変えられる。★★★★
本体価格700円
★★★★★
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