清水真砂子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2019/05/21
死を拒絶することは生を拒絶することでもあるんだよ。
生きている者が死にたくないと思うのは当然かもしれないが、そのことと永遠の命を求めることは全く別のこと。その永遠の命を求めた者の愚かしさと、それを手にした者の寂しい末路が描かれていた。と同時に、道に迷う者の足元をそっと照らす灯火のようなゲドの言葉が、なんだか身にしみた。力を持ったとするならば、それは世界の調和や均衡を守るために使われるべきなんだろう。そして正しい判断のもと、正しい行動をとるには世界のことをもっと知らなくては。何を正しいとするかは、人によって異なるということを根底に。 -
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ゲド戦記の第四作。
回を重ねるごとに、どんどん暗くなっていくゲド戦記だが、この作品はマジに暗い。
親から虐待により、身も心もボロボロになった少女テルー(顔や身体の半分は醜い火傷)。虐待のおぞましい体験で心を閉ざしてしまった彼女を引き取る、魔法使いであった過去を持つテナー。
物語は、ふたりの女性を軸に、邪悪が支配しつつあるゴント島の人々を描く。
ゲドはどうしたか?
もはや力をなくし、世捨て人のような存在で登場する。
暗い。。。暗すぎる。。。
この物語、宮崎二世監督が映画化したらしいが、エンターテイメント要素は0なのに、子供達を喜ばせる事ができたのか不思議。
観てないのでなんとも言えないが、アニメになるような題材ではないと思う。
ファンタジーの姿はとっているものの、この作品は人間と世界の関係を哲学的な示唆をあたえつつ、寓話的にまとめた傑作だと思う。
怪物や魔法はほとんど出てこないが、大人のためのファンタジーといった印象です。
ちなみに本屋に行くと、「子供の読み物」ってところにあったりするのだが、小学生だと読み手をかなり選ぶと思います。
大人のためのファンタジーではないでしょうか? -
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ゲド戦記シリーズの最終巻。
第一巻が30年以上前に書かれたもののに対し、本作は原作が書かれてから10年程度しか経過していないため、随分と読みやすい。
これまで、作者が無意識にはっていた伏線のいくつかが、一本になり、気持ちよい形で終わる。世を反映してだろうか、自分の生き方や心の琴線に触れるフレーズがいくつか見られた。
レビューでは、ゲド戦記とハリーポッターシリーズを比較して書くことが多かったが、全館を読み終えたいま、訳者によるあとがきもヒントにして両者の作品の最大の違いにやっと気がついた。
ハリーポッターシリーズのJ.K.ローリングが、第一巻から意図的に多数の伏線を用意して最終巻まで物語を綴っているのに対して、アシュラ・K.ル=グウィンは、本能の赴くままに物語を綴り、その物語をたどっていくうちにまた新たな物語と自身が出会い、執筆していくスタンスである、ということだ。
もちろん、二人は世代も、作家がすべて同じスタイルで執筆するとも限らない。国民性が違えば、たとえ同じ言語を操る人間でも考え方も異なってくるだろう。
この2ヶ月間、私は全く間違った方法でゲド戦記をとらえようとしていたようだ。
世の中にはまだまだ、たくさんの良書と呼ばれる児童書が存在する。今後様々な作品に触れる際、今回の反省が生かされるとよい。 -
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ゲド戦記の4作目。最初の3作から十数年の間を空けて執筆、出版されたものらしい。それなのに、作品の世界では時の流れをあまり感じさせず、「さいはての島へ」のすぐ続きへとなっている。
これまで、「はてみ丸」とともに多くの航海に出て、様々な島や街へと移動し続けていたゲドが、彼の故郷であるゴントというひとところにじっとしている姿が印象的だった。
大きな仕事をやりきったあとの達成感、そしてそのあとにやって来る二度ともう同じ姿には戻れないという虚しさ・・・
そんな思いがゲドから感じられた。そして少しうらやましく思った。
今作品では、幼い少女が登場する。きっと残りの2巻ではこの少女の生きる道について多少なり描かれるのだろう。未来への希望を残すことを忘れない。作者の心づかいである。 -
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異世界ファンタジー。魔法使いや竜の存在する、アースシーという架空の世界を舞台に生きた伝説の大賢人・ゲドの生涯を綴った壮大な叙事詩。
第一巻では、飛びぬけた魔法の才をもって生まれたゲドの少年時代、若さゆえに犯した過ちとその償い、自分自身の影との長い戦いについて描かれています。
以後、巻を重ねながら、やがて大賢人となったゲドが人々を襲う竜と戦い、闇の世界に囚われた巫女を外に連れ出して平和の象徴である伝説の腕輪を取り戻し、長らく不在だった王を即位に導き、不死を求めた魔法使いによって崩された世界の均衡を取り戻し……と、さまざまな伝説を残していきます。
第四巻からは、それまでの戦いによって力を失い魔法使いではなくなったゲドの、その後や、竜でもあり人でもある不可思議な宿命を背負った娘たちの話などが綴られていきます。
アニメ映画にもなりましたね、あっちはどうも今ひとつだったけど。(つまらなかったということはないのだけれど、途中から理解を超える超展開だったような……)
「ファンタジー好きなら読まないと嘘だ、映画のことは忘れろ」と人に言われていたので、そのうち読もう読もうとずっと思っていたのだけれど、なんとなく先延ばしになっていました。馬鹿か私は。さっさと読んでおくべきでした。面白かった!
歴史、人々の行動様式や言語、文化、宗教や神話、自然などの背景、魔法等々の設定がとても緻密で、そういうのが好きな人間にはかなりたまりません。
ストーリーはというと、やや好みがわかれるかもです。神話的なものが好きならハマると思います。シリーズの後半になるにつれて、壮大さが増すと同時に抽象性が増してきたような感じがあって、個人的には三巻までのほうが、より好きだったかなあ。でも五・六巻の竜と人間の間のエピソードそのものはすごく好きで、最後まで読んでよかったとも思うのですが。
ともあれ、とても楽しめました。ファンタジー好きな方なら一度は読んでおいて損はないと思います。 -
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魔法学院のあるロークで大賢人となったゲドのもとへエンラッド国から王子アレンが国の異変を告げにやってきた。
西のナルベデュエン島では魔法の力が失われているのだという。しかし、魔法の力の喪失はアースシーのあらゆるところで起きていた。
ゲドはアレンと共に問題の解決のために旅立つ。
老成し、大賢人として、そして唯一の竜王となった魔法使いのゲド。前作『こわれた腕環』から本作までの間には、結構な時間的隔たりがあるのだが、ゲドはアースシー各地で多くの逸話を残したことがわかる。
この3巻はこれまでの『影との戦い』『こわれた腕環』以上に冒険モノとしての側面が大きく、アースシーの世界各地で始まっている異変解消のために、アレンとゲドは各地を旅して回る。
相変わらず面白くはあるのだが、個人的にはこの3巻は前2作ほどの力強さはなくて、肩透かし感を感じてしまった。
これまでのシリーズ同様にビルドゥングスロマン的な側面もある。だが、3巻は冒険モノとしてもビルドゥングスストーリーとしても物語の強さが薄い気がした。
生と死というテーマを描くには、ページ数的にも時間の空白が大きすぎたのかも?
とはいえ、世界観構築もストーリーも高レベルなのは間違いない。これまでの2作が個人的にはとても面白かったので、そのせいもあってか大きな落差を感じてしまった。