清水真砂子のレビュー一覧
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ゲド戦記シリーズの最終巻。
第一巻が30年以上前に書かれたもののに対し、本作は原作が書かれてから10年程度しか経過していないため、随分と読みやすい。
これまで、作者が無意識にはっていた伏線のいくつかが、一本になり、気持ちよい形で終わる。世を反映してだろうか、自分の生き方や心の琴線に触れるフレーズがいくつか見られた。
レビューでは、ゲド戦記とハリーポッターシリーズを比較して書くことが多かったが、全館を読み終えたいま、訳者によるあとがきもヒントにして両者の作品の最大の違いにやっと気がついた。
ハリーポッターシリーズのJ.K.ローリングが、第一巻から意図的に多数の伏線を用意して最終巻まで -
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ゲド戦記の4作目。最初の3作から十数年の間を空けて執筆、出版されたものらしい。それなのに、作品の世界では時の流れをあまり感じさせず、「さいはての島へ」のすぐ続きへとなっている。
これまで、「はてみ丸」とともに多くの航海に出て、様々な島や街へと移動し続けていたゲドが、彼の故郷であるゴントというひとところにじっとしている姿が印象的だった。
大きな仕事をやりきったあとの達成感、そしてそのあとにやって来る二度ともう同じ姿には戻れないという虚しさ・・・
そんな思いがゲドから感じられた。そして少しうらやましく思った。
今作品では、幼い少女が登場する。きっと残りの2巻ではこの少女の生きる道につ -
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異世界ファンタジー。魔法使いや竜の存在する、アースシーという架空の世界を舞台に生きた伝説の大賢人・ゲドの生涯を綴った壮大な叙事詩。
第一巻では、飛びぬけた魔法の才をもって生まれたゲドの少年時代、若さゆえに犯した過ちとその償い、自分自身の影との長い戦いについて描かれています。
以後、巻を重ねながら、やがて大賢人となったゲドが人々を襲う竜と戦い、闇の世界に囚われた巫女を外に連れ出して平和の象徴である伝説の腕輪を取り戻し、長らく不在だった王を即位に導き、不死を求めた魔法使いによって崩された世界の均衡を取り戻し……と、さまざまな伝説を残していきます。
第四巻からは、それまでの戦いによって力を -
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ゲド戦記別冊。
ゲド戦記の作者アーシュラ・K.ル=グウィンの作品解説、エッセイ、講演などが5編、短編が2編、ゲド戦記の翻訳者である清水真砂子さんと作家中島京子さんの解説が2編という構成の短編集。
岩波少年文庫から出ているのがちょっと驚き。一応ターゲットは少年少女なのか・・・?
ゲド戦記は昔読んで難しくてよくわからなかったというボーとした記憶がある。
(たぶん)未読の「アースシーの風」、「ドラゴンフライ アースシーの五つの物語」を読んでみようかな。
p137
「第一歩はまず振り返って自分の影についていくこと」
p139
「自分自身の影をうまく扱うことを学びさえすれば、この世界のために、なにか -
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ネタバレアースシーの物語をぎゅぎゅっと詰め込んだような物語。竜たちの話にガルガド帝国に伝わる話、さらに不死についての話などいろんな物語が詰め込まれていた。
世界観を楽しんでる人にはたまらない物語なのだろうな。
でも私は、前作の『最後の書』もこの『アースシーの風』も『魔法より愛の方が深く様々なことを知っている』みたいなのには吐き気がしてしまうんだよな。どっちもいいところあるよではダメなのか。ここにきていきなり愛を知らないのは、何も知らないことだみたいなのは気持ち悪いんだよな。
『人は義務を負い、結婚し、この世のくびきにつながれるもの』245p
こういうのも正直、吐きそうになる。前作と同じく。いきなり -
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ネタバレもやもやしたものが残ってしまった。テナーの立場が元々『高位(男の姿がない世界)』だったから、元の地位だったらこうではないのにみたいなものにも見えてしまう。つまり『自分が女性だから不当に扱われている』ではなくて、『自分は高位であるはずなのに、相手(男)が不当に扱ってくる』という対立っぽく見えちゃうんだよな。
では、子どものテルーの立場はどうかと言えば、男たちが執着する必要性がわからない。
この世界設定とテルーの設定と物語のテーマがいまいち合致せず、モヤっとしたものしか残らなかった。個別に見たら素敵だという事はわかるのだけど、合わせると微妙にあちこちズレてるような感じがする。
それとも私が感じた -
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ネタバレ物語は、アレンとゲドが『アースシーで起きている異変』を突き止めるためにあちこちを旅することで進んでいく。
あちこちの島を巡り、アレンとゲドの敬愛と尊敬が徐々に深まっていき、世界の謎が徐々に解き明かされていく。というのはワクワクするのだろうなと思いながら読んだ。
私、こういう物語にワクワクできない……と自分にがっかりしてしまっている。男たちの男たちによる男たちの物語。
この場合は、せめて世界観だけでも楽しめたら……と思うけど、好みの世界なだけにあれこれ読み過ぎて、新鮮味もなく、この辺りの作品と同じだなという類似点でまとめてしまっている私がいる。
読みすぎ注意。歳をとるってせつない。
なんて -
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ネタバレ物語は『墓所の大巫女であるアルハ』を軸に語られていく。生まれた時から『アルハ』として生きることを決められていて、その世界しかしらないアルハがそこに疑問を持ち外の世界に出ていくまでの物語。
ゲドはどこに消えたのかと言えば、墓どろぼうとしてやってくる。正確には『エレス・アクベの腕環の欠片』を求めて墓に入り込み、アルハから酷い扱いを受けつつも信用を勝ち得てアルハを外に逃がす。
地下を出て一安心……ではなくて、地下を出てもアルハは不安にさいなまれているし、どうしたらいいのかがわからないことに不安を抱いている。外に出たのはいいけど、テナーにとっては『戻る場所の喪失』なので、不安で当たり前なのよね。だ -
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ネタバレ物語は『ダニーがゲドの名前を得て、魔法使いになり影と戦う』までが書かれている。
1 霧の中の戦士
ダニーの幼少期。叔母から教えてもらったまじないで敵(ガルガドの兵)を追い払い、師匠であるオジオンに出会う。オジオンから『ゲド』の名を授かり、旅に出るまで。
事件がポンポンと起きるので、引き込まれてしまった。そして、最初の場所はどこだ……と地図で探す。島が多すぎて探すの大変。と思ったらページを少しめくると拡大地図があった。わかりやすい。
10世界のはてへ
影を追い詰めたゲドはやっと影の名前を知り、影と一つになる。
ここ、映像化したら面白いシーンなのだろうなぁと思いながら読んでしまった。最後は -
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2巻は喰らわれし者となったテナーのお話。
ゲドは1巻の時より少し時が経っているようで、青年から大人になっている?
この間にアーキペラゴの各地を放浪して研鑽を積み、魔法使いとしての腕をかなり上げている模様(妄想)。
テナーの生い立ち、成長、そして解放までのお話なんだけど、ゲドが出てくる中盤くらいから俄然面白くなっていき、テナーとゲドの会話は哲学のよう。テナーは今でいう情弱の極みなので、やはり生きていく上で経験や学習を積む事を厭わない事は非常に大切だなと。(テナー自身のせいではない、環境がそうさせている)
1巻を読んだ時、ジブリのゲド戦記を見た時は両方とも既視感があっただけなんだが、この本はハ -
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