【感想・ネタバレ】影との戦い ゲド戦記1のレビュー

あらすじ

大魔法使いオジオンに、才能を見出された少年ゲド。自分に並はずれた能力がそなわっていることを知ると、魔法の力にさらに磨きをかけようと、魔法の学院に入る。得意になった彼は禁じられた呪文を唱え、自らの〈影〉を呼び出してしまい、〈影〉との果てしない戦いに引き込まれていくことになる。大賢人ゲドの若き日の物語。

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内容 アースシーという架空の世界の物語。たぐいまれな魔法の力を持って生まれたゲドだったが、若さゆえの過ちから、恐ろしい影に追われる身となる。
感想 ファンタジー大作というイメージから想像するような冒険活劇ではない。暗く寒々しく果てしない海を、いつどこから現れるか知れない影に追われていく、自分を知り、世界を知ろうとする物語。淡々として地味ではある。そのため若い頃は読めなかったが、40代にして夢中になって読んだ。声に出して読むと沁みる無駄のない名文(名訳)にも感心する。どなたにも、ご自分に合うタイミングで、いつか読んでいただきたい。

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2025年12月14日

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言わずとしれたアーシュラ・K・ル・グィンの代表作の一つ。
ル・グィンが没後に発表した『火明かり』を読むために、かなり久々に1作目から読み直してるのだけど、今回が一番面白く読めたかもしれない。

アースシーと呼ばれる多島海世界で、魔法の才能を持って生まれた少年ゲド。しかし、才能故の傲慢な性格が災いして、死の影を呼び出し、放ってしまう。影はゲドを執拗に狙い、ゲドはその影から逃げ続けるが、ついに対峙することを決意する、という成長譚。

表面的には児童向けのファンタジー作品という様相を呈しているが、読む時期によって全然印象が変わる作品。
自分は小学生の頃に読んだときに後半になるにつれてよくわからなくなっていった記憶がある。特に、影との対決は、何でこんなにグルグルしてるんだ、と思ったような……笑
今読んでみると、この作品の様々な要素を象徴的に見ることが出来る。そういった視点を持たない、持ってたとしても少ない子どものときに読むとそりゃよくわからなくても当然なのかも。展開するイベントを、純粋にイベントとして消化していくと、どうしても味気なさ過ぎる感はあるので。
だが、自らが招いてしまった影や、それによって負った傷、そして逃げ続けるしかない相手に立ち向かうなど、それ自体に別の意味を見いだせるなら物語はもっと、深く、楽しめると感じた。

この後に続く作品も今読んでどう感じるのか、楽しみになってきた。

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2025年11月21日

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面白い!
中高生の頃から少し気になっていたけど、大人になってようやく読み始めることが出来た。
序盤4分の1程やきもきするかもしれないが、どうか読み進めて欲しい。そこからはハラハラドキドキ、どうなってしまうのか息を飲みながらグングン読み進められた。
ファンタジーとしての面白さはもちろん、物語の根っこに誰かと関わることの温かさ、大事にすべきものが静かに広がっている感覚があった。
大人になって読んでとても面白かったけど、今の小中高生にもぜひ勧めたいなぁと思う1冊だった。

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2025年10月01日

購入済み

ラストで感動

脳外科の手術で入院しているとき、友人が差し入れてくれて 読みました。
主人公の魔法使いゲドと自分が重なる部分が多く、読み応え充分でした。
ラストは映画「ニュー・シネマパラダイス」を彷彿とさせるものでした。

#泣ける #感動する #共感する

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2025年04月19日

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世の中のものには名がある。本当の名を知られてしまうと反撃されてしまうという、バーティミアスの面白い発想はここからだと気づきました。影と戦うところは何度も読み返しました。とても面白かったです・Soybb

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2024年08月13日

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それほど長い話ではないのに世界観が壮大で、描写が細かくない分、想像力の入る余地なら大きく楽しい。さすが読み継がれていくファンタジー。

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2024年03月31日

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夏読55冊目。
#ゲド戦記 シリーズ1作目。
15歳の少年ゲドが、ロークの学院で禁じられた魔法を使い、影を呼び出してしまう。
そして影を探す旅に…
まだまだ青臭く、初々しいゲド

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2023年08月28日

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久々にファンタジーの世界に浸れた
魔法ものだったの全く知らず、戦争物かと思い敬遠していた自分に早く読めと言いたい

一人の青年の物語として構成されているけど、読み方を変えるとそれは私たちにも反映されるし、投影できますね

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2022年07月28日

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不評価だったジブリアニメと全く違い、面白かった。母親を知らず我儘に育ったダニーだが、女呪い師に教えられた魔法の呪文で、魔力を操れるアビリティを強く持った稀に見る少年だった。
ある日、侵略者ガルガドの兵士を魔法で追い返し、廃人のようになるが、オンギンに助けられて、真の名〈ゲド〉を授けられる。普段はハイホーク(ハイタカ)と名乗る。ある傲慢さから悪霊を呼び出し、その影から逃げる旅を続け、その途中でエクス・アクべの腕輪のかけらを託される。親友・エスカリオルの助けで、影と対決することになる。
寒さと暗い情景、孤独との戦い。
虜になってしまいました。

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2022年03月29日

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「映画とベツモノすぎる!!」が最初の感想です。
宮崎吾朗監督のジブリ映画を最初に知っていた分、驚きました。あれは原作から舞台と設定、名前を拝借した全く違う作品です。
ル=グウィンが怒ったのも納得…


主人公が背負った運命から、美しい文体に惹き込まれ、ページを捲る手が止まりません。
“真の名”を教えてはいけない…はここからきていたんですね。
誰もが抱えている自分の「闇」との闘い。それは年をとっても付き纏い、向き合うことになる。
普遍的なテーマで、子供から大人まで楽しめる作品だと思いました。
このままシリーズ一気に読破したいです。

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2022年01月19日

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久々にファンタジーにのめり込んで夢中で読んだ。
長い旅だったが、最後の結末に、なにか自分と重ねてじわりと染み入るものを感じた。
2巻を読むのが待ち遠しい。

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2021年10月19日

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何度目かの再読。
にもかかわらず、忘れすぎてて普通にドキドキしながら読めた。
以前同様、世界の均衡や、光と影など響く言葉がいくつかあったのだけど、学んだ陰陽五行思想と合致するところが今回はたくさんあり、より面白さを感じられた。さいはての地へ向かう冬至の説明は、そのまま天中殺だったし。光と影は陽と陰。一極二元論。
自然界をありのまま、じっくりと眺めたひとに見えてくる自然界のルールというものがあり、それが陰陽五行なのかもしれない。とまさかの感想を持てた。
文章も翻訳も素晴らしく、何度でも読み返したい小説のひとつ。

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2021年05月10日

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ネタバレ

ことばは沈黙に
光は闇に
生は死の中にこそあるものなれ
飛翔するタカの
虚空にこそ輝ける如くに
『エアの創造』


この言葉の意味を、最初はオジオンから、そして学院での長たち、自己顕示欲とそれに伴う失敗からゲドと共に少しずつ感じ取っていった。そしてラストシーン。それを本当に自分のものにできたような気がして、これがあれば彼のように自分の生を生きていけるような気がして、涙がでた。
一読だけでは、あまりにもゲドの心の成長が早すぎて私の心の成長はまだ完全についていけてはいないのだと思う。しかしだからこそこの物語は私にとっての希望の光、さらには人生の師として心の中にあり続けるだろう。
オジオンが、ゲドが好きだ。

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2024年02月04日

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ネタバレ

面白かった!!!
魔法の解釈が面白い、言葉の延長線上にあるような感じ、言葉というものの力について考えさせられた
広大な海に散らばる島も、それぞれの文化も、当たり前に竜が生きているのも、現実的でありながらちゃんとしたファンタジーで良かった
内なる闇との闘い
口は災いの元と言うが、オジオンが寡黙なのはこれなんだろうな、ゲドが寡黙になったのもこれなんだろうな、と思った

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2025年08月18日

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ジブリ映画の内容をいい感じにほぼ忘れたところで、読み始めた。が、十分すぎる大人の自分が読んでしみじみわかるなぁと思う内容で、視点が大人だし、自分が子供のときに読んだらこんなにいいとは思わなかっただろうなと思った。世界観もいいし、影の描き方など、とにかくこれぞ正統派ファンタジー。面白い。シリーズ次作も気になる。

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2025年04月05日

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ずっとずっと、いつかは読むべき本だと、ファンタジーに刮目してから思っていた本にとうとう着手してしまった。

テレビでジブリ作品として見たときは、アニメキャラが他の作品とかぶる(ナウシカのクロトア、千と千尋のカオナシ)とか、ファンタジーのモチーフとしてデジャブ感が、、そしてこの本を読んでもやっぱり既視感が。もしや過去に読んだことあるのか?と思うほど。これって他のファンタジー作家さんが滅茶苦茶本作に影響を受けてるのかしら!?

50年以上前に書かれたもはや古典といってもいいのかと思うけど、世界観が素晴らしい。本の見開きにアースシーの世界というマップがついてるけど、小さい群島まで名前がついてて圧巻です。名前つけるだけで時間経ちそう、、。
地図の先にあるのは果てなのか。

ハイタカがアースシーの無二の魔法使いになるまでの物語。

ちなみに巻末の訳者あとがきは先の巻のあらすじになっているので読む際にはご注意を。先のことを知らずに読みたければ後書きはスルーしましょ

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2025年03月18日

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名作はできたときから名作だそうです。まだ一巻しか読んでませんが。魔法の解釈が素晴らしい。影の正体も。それ以上に自然の描写や港の人々の何気ない会話にもちゃんと血肉が通っていて、ファンタジーはスパイス程度にうまく混ぜ込まれていて、隠された真実を語っているようでした。子どもの時に読みたかったかも。

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2024年11月28日

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1970年のファンタジーだけあって、というか偏見ではあるけども、しかし暗い。子ども向けかと思いきや文字数も多くて心理描写も多くて悶々としていたり、こういうのが好きって人はそりゃ暗いわっていうかオタクっていうか実際にオタクって動物出てたけども。
とまぁゴムゴムの~、みたいな勢いはないけど、いちいちウンチクというかためになるコメントが出てきたりしてそういうのが読書家にはそれなりに響くわけでそんなに悪くはなくてね。6巻までか、しばらく付き合ってみたいと思うわけですよ。

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2024年07月22日

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ついに超大作ファンタジー小説を読み始めた。
2023年の自分の誕生日にセット買いし、今年こそはと2024年から読み始める。
ジブリ映画のゲド戦記は何度か見たが、やはり原作を読みたい気持ちになり手に取った。

訳本だが、すごい。ファンタジーで想像し辛いかと思いきや、ゲドの心象からカラスノエンドウとの友情、影との戦いをしっかりと表している。
魔法使いは均衡を保つために生き、目的を果たす。
ゲドは影を放出することで挫折するも、才能を活かし成長し、影を対処する。
一緒に冒険をした気分だ。

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2024年04月30日

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ネタバレ

68歳の老人が読んだ所感
現実を忘れて、ファンタンジーの世界に感情移入するのはなかなか大変です。むずかしいのは事前に自分が作者の世界に同調する必要があることです。たとえて言えば、おもしろいであろうと期待して映画館に見に行く感じ、途中で期待外れとわかっても、お金を払ってまで見に来たからには最後まで見る覚悟をもつ、みたいな。
1.魔法使いは、日本で言えば高僧。偉人のようにあがめられる慣習がある世界。
2.魔法使いは、魔法の専門学校を卒業して地方に派遣されている。東大寺で修行した僧が国分寺に派遣されるような感じ。魔法の専門学校も東大とか早稲田とか慶応とかみたいに、いろいろ流派があるらしい。
3.情景描写が多く自分で、文字から映像を想像しなくてはいけない。それを楽しむ必要がある。これはマンガと逆ですね。
4.アースシーという世界の海図を、読みながらたどっていくのも旅行気分で楽しい。ジクソーパズルのようでもある。
5.上陸する島ごとに、「ヤマタノオロチ」のような伝説がある。(各所に東洋的な世界観がある)
6.ノコギリソウとか人の名前に違和感あり(ねじまき鳥クロニクルみたい)。覚えきれないので、相関図を作成したほうが良い。
7.時々、展開が唐突で、シーンとシーンの経過時間の説明がない。映画のシナリオを読んでると思えばいいのか?
8.風の谷のナウシカのテト、オーム。もののけ姫のおっことぬしみたいのが出てくる。(宮崎駿さんはゲド戦記を何度も読んだと言っていた、原点はこれか?)
9.100マイルは160km、100kmは62マイル
10.最初に「昔々あるところに」がないのに、最後に「だったとさ」という語り部のことばがあり、違和感を感じた。(最初に説明はあるが、「じゃ、お話をはじめようか」がないのだ。幕があがり急に役者がしゃべりだす感じ、幕が開く前に語り部が登場してほしかった)
などが雑感です。
大人が読んでもタメになるかは、ちょっと疑問。68歳でタメになる人は、よほど順調で挫折のない人生だったのでは・・・。

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2024年07月07日

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ファンタジーだと思っていたら、真の名前を知る必要があったり、土地が細かく最初に開いたページで驚かされた。お話の中だとわかっていながら、妙にリアルで引き込まれた。

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2022年12月28日

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思ってたものと全然違くてびっくりした。
めちゃくちゃ魔法の世界やん…………
紙で本読むの久々だし途中で眠くなるかと思ったのに一気に読んでしまった。

本を開いてすぐ、びっしりと細かく書かれた地図が出てきたところで「ああこれは土地の名前でわけがわからなくなって飽きるな」と思っていたけれど全くそんなことはなく、寧ろゲドと共に私も旅をするために、何度も何度も地図の頁を開いていた。そのくらいこの旅に魅了されていた…。

前半はゲドの行動にひたすらハラハラし、華やかに見せかけて大きな力を持つために地道な訓練を積む魔法使いや賢者達に感心し、後半はゲドの戦い・行動に圧倒されながらも自分もその場に居合わせているような気持ちでいた。 オジオンの行動に涙してしまった……。

早く次の旅に出たい気持ちがたまらない。次巻も早く読みます。

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2022年10月22日

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久しぶりにファンタジーを読んだ。魔法使いの話だからファンタジーを期待したけど、魔法を使うには真の名を知らないといけなかったり、使えば使うほど体力と気力がいるだったり、妙にリアルな情景が浮かんでゲドと一緒に旅してる気分になった。精霊のシーンでは、自分だったら絶対に精霊に助けを求めて取り込まれるなと思った。目の前の敵に立ち向かって疲弊した先に手を差し伸べられたら信じてしまうのにゲドは誘惑に負けず打ち勝ってすごい。

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2022年08月05日

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主人公と宿敵「影」の闘いが迫力もありラストにも満足できた。難しいイメージの物語だが、面白く、是非次巻も挑戦したい。

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2022年07月07日

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めちゃくちゃ面白かった
重厚な世界観、島の名前など固有名詞が溢れてるのに、これほど読みやすいのは話の軸がしっかりしているからだろうか
翻訳文が日本語文学として成立するレベルで書かれていることが大きいか
良くも悪くも翻訳物らしくなく、だからこそ得られる没入感
とても良質

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2022年02月25日

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児童文学で読んでない有名な本、今更感があって避けてたけど、貸してもらって読んだら良い!
この長い独白系の感じも結構好き。

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2021年06月29日

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これが名作ファンタジー冒険譚かーという感じ。
魔法の一番の効力が「名前」なのがおもしろい設定だった。
影との戦いは内面の恐怖をうまく表現していてなるほどさすが……感があった

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2021年05月07日

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ネタバレ

久々に読みました、小学生か中学生ぶり。テレビで映画やってたので読み直したくなった。ファンタジー小説は人によっては馬鹿にしてくるジャンルだけど、個人的には大好きだし凄いと感心することばかり。その世界観にいかにどっぷり浸れるかで凄さを感じられる。ゲド戦記もそんな中の一つ。世界観の壮大さ、ディテールの細かさ、登場人物の魅力や共感、応援したくなる性格、友情や愛情、嫉妬などの人間らしい感情。そんな色んなものが詰め込まれてると思う。
ゲド戦記1に関しては、全ての始まり。ゲドの魔法使いとしての傲慢さや荒々しさ、未熟さが描かれている。影は結局、ゲド自身のそういう人間としての暗黒部分なんだよね。己と向き合うこと、己の人としての悪いところに気づけることの難しさを考えさせられる話です。

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2021年05月04日

ネタバレ 購入済み

面白かった。
どこか懐かしい気分のする昔懐かしい牧歌的世界、魔法、夢を持った青年ゲド。ゲドは多くのものを失ったり自分から手放したりするけれど、魔法には一途だったと思います。ゲドの中で魔法の意味も変わってはいるのだろうけど、青年ゲドの変わっていないしょっぱさは最後までしっかりあったように感じました。個人的にはゲドが龍と戦うところが漫画みたいでロマンがあって良かったです。ゲド戦記は1968年の作品でルグウィン39歳の時の作品です。主な出来事はベトナム戦争、ビートルズが解散する2年前のようです。この物語には影という恐ろしい敵が出てきますが、真っ直ぐに恐ろしい味を出すやつでした。

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2020年02月09日

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ネタバレ

物語は『ダニーがゲドの名前を得て、魔法使いになり影と戦う』までが書かれている。

1 霧の中の戦士
ダニーの幼少期。叔母から教えてもらったまじないで敵(ガルガドの兵)を追い払い、師匠であるオジオンに出会う。オジオンから『ゲド』の名を授かり、旅に出るまで。

事件がポンポンと起きるので、引き込まれてしまった。そして、最初の場所はどこだ……と地図で探す。島が多すぎて探すの大変。と思ったらページを少しめくると拡大地図があった。わかりやすい。

10世界のはてへ
影を追い詰めたゲドはやっと影の名前を知り、影と一つになる。

ここ、映像化したら面白いシーンなのだろうなぁと思いながら読んでしまった。最後は圧巻だけど、正直文章だけだと何が起きてるのかわかりづらい部分もある。

最後に気になった部分。
『そなた、エボシグサの根や葉や花が四季の移り変わりにつれて、どう変わるか、知っておるかな? それをちゃんと心得て、一目見ただけでも、においをかいだだけでも、種を見ただけでも、すぐにこれがエボシグサかどうかがわかるようにならなくてはいかんぞ。そうなって初めて、その真の名を、その全存在を知ることができるのだからな。用途などより大事なのはそちらのほうよ。そなたのように考えれば、では、つまるところ、そなたは何の役に立つ? このわしは? さてはて、ゴント山は何かの役に立っておるかな?』32p

ゲドの言葉を受けた、オジオンの言葉。役に立つかどうかではなくて、相手を知ることが大切だと説いている。これが巡り巡って『影(自分の中の邪なる心)』も知る必要があるという物語なのだろうな。

影におびえる必要も逃げる必要も追いかける必要もなくて、それはただ『そこにある』というだけの物語だから、別に影に勝ったわけではないのよね。
『「な、終わったんだ。終わったんだよ。」彼は声をあげて笑った。「傷は癒えたんだ。おれはひとつになった。もう、自由なんだ」』270p
ゲドが共に旅について来てくれたカラスノエンドウに言った言葉。
『ひとつになった』となってるので、影は消えてない。そこにあるものとして、ゲドが影を受け入れてる。戦いだけど、勝敗がない。

これはそういう物語……。

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2025年05月16日

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ハリーポッターの児童書みたいなかんじ。自分の中の負の面を影という形で表すのは、より存在を強調させ、わたしたちにも認識させる。ただ、私達がより快適にと世界を変えることは悪いとこではない。

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2023年07月20日

Posted by ブクログ

岩波少年文庫70周年のタイミングで再読。ジブリのゲド公開ぶりだから、何年ぶり再読なのかな。改めて読むとゲドという青年は鼻持ちならない。圧倒的な才能に気がついてしまった少年は大人たちの忠告も気が付かず、痛い目に何度もあう。時には命を引き換えにして、生き延びたこともある。手柄をたてることもある。失敗と挫折を繰り返し、彼が呼び出してしまったものとケリをつけるまでが1巻だが、オジオンや長の辛抱強さや偉大さに気がつかされる年になってしまったようだ。

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2020年10月18日

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