清水真砂子のレビュー一覧

  • 帰還 ゲド戦記4

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    ネタバレ

    3冊目のゲド戦記から16年後に発表されたゲド戦記4番目のお話。訳者の清水さんが書いているように、竜の親分カレシンに乗ってゴント島に帰ってきたゲドを迎えたのは、2巻目でゲドとともにハブナーに伝説の腕輪を持ち帰ったテナーだった。
    この巻は、そのテナーが再び主人公になり、養子に迎えたテルー、そして一切の魔法を失って普通の中年男になったゲドが脇役となる。
    3冊目までの冒険小説ぶりとは全く違う内容なのだが、まず驚くべきことは、この話の主人公が40過ぎの中年の未亡人だということだ。どこが少年少女向けの小説なのか。私は中年女だから、このテナーのぼやきやら疑問やらが手に取るようにわかるが、若い人にはたぶん全然

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    2018年02月14日
  • 大人になるっておもしろい?

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    今までの子育て関連の本で、一番じっくり読んだ。勉強になった◎

    心に響いたことをざっと書く。

    ・怒りの感情を大切に…
    怒りの底には、自分自身を大切にし、人間としての尊厳を手放すまいとする意志とともに、相手に対する期待なり信頼感がある。

    ・子供の素直さとは…
    大人の言うことに逆らわず、疑問を持つ持たずにいること=素直さ、ならそれは危ない

    ・家族とは…
    「結婚して家庭を持ったら、毎日帰りたくなるような家庭を作るべき」なのか?人間、子供はそんなひ弱ではない。何かしら問題を抱えながらも共に生きていくのが家族

    ・尊敬する人は…
    「尊敬する人は?」と聞かれて「親だ」と答えるのではなく、今すぐ親など

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    2018年02月06日
  • こわれた腕環 ゲド戦記2

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    ネタバレ

    第1作目のゲド戦記は、少年ゲドの成長物語だったが、これは主に少女テナーのが囚われの身から自由になるまでの物語である。
    闇の者、名のなき者たち、つまりは死の世界に属する精霊の世界で大巫女アルハ(「名がない」という意味)は、「選ばれた少女」として特別な位置にいながらも、実際には闇の世界の奴隷として生きている。生まれた時の名前は剥奪され、暖かい愛情も知らずに、大巫女として義務のみを果たす生活。つまり、自分自身がない状態で生きている。そんな生活のなかで、異邦人である南方の魔法使いゲドが、神聖な墓地の地下迷宮に忍び込んで、宝を奪いにくる。中盤まではこんな感じ。
    大巫女としての務めを果たしながらも、決して

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    2018年02月11日
  • 大人になるっておもしろい?

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    素晴らしい本です!
    「我が意を得たり!」と思ったり「なるほどねー」と唸ったり。
    今の日本の空気とか常識とかをひっくり返して、堂々と歩いて行ってほしい、若い人への応援歌。
    一人でも多くの人に読んでほしいな。

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    2016年02月12日
  • 大人になるっておもしろい?

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    うわー、久しぶりにこんないい本に出会った。内容はもちろん、文体から人柄がにじみでてくるような本。自分がこれまで考えてきたこととかを、一つひとつ言い当てられていくような感覚。いや、参りました。本とか映画も豊富に紹介してくれて、ぜんぶ読みたいし、ぜんぶ観たくなる。読んでよかった。

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    2015年10月25日
  • 大人になるっておもしろい?

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    これまでいくつも清水真砂子の文章を読んできた。その度に自分の頑ななものの見方が変わってきた。今回はKさんへの書簡という形式をとりながら、違和感と向き合い、さらにその先へ進んでいく。人間が本来個として持っている強靭さ、ワイルドネスに目覚めていく。四十代のわたしもまだまだだなあ、と感じいった、「鋭さ」が健在でした。

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    2015年05月20日
  • 大人になるっておもしろい?

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    目次にまず目をやると、”第1信 「かわいい」を疑ってみない?、第2信 怒れ!怒れ!怒れ!、第3信 ひとりでいるっていけないこと?”と気になるタイトルが続きます。周囲の目を必要以上に意識し、それに雁字搦めになって”自分らしさ”を見つけることのできない若い世代に向かって『ゲド戦記』の翻訳者であり児童文学者である清水真砂子さんの直球勝負の手紙です。「おとなになるっておもしろい?うん、だんぜん‼でも焦らないで。現在をていねいに生きてほしい。自分をごまかさず、はぐらかさず、スマホからも解放された独り居の時間を確保して。孤独と孤立が全く違うことは、ここまで読んできてくださったあなたには、もう十分おわかりで

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    2015年04月28日
  • 帰還 ゲド戦記4

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    このゲド戦記シリーズは大魔法使いの一生の中で一貫して
    人間世界がもたらした視野の狭い知識と知恵と所有意識によって
    自然界の調和した食物連鎖に見る営みからはみ出した
    人間の強欲と対立関係が必要とする嘘と秘密による暴力と
    イジメ真理からなる無理心中とも言える共食い問題について
    文化的な無限なるモノとして掘り下げている

    この自滅的問題を逆手に取ることで自分とその環境が不安恐怖に陥り
    全体観を見失っているという事実を知って
    自らの意識をもって自然界の真理を解き明かし
    自律へ向かう集いの道を切り開けるようになっている

    このパラドックスこそが
    無限なる全体観と有限なる部分からなる自己簡潔構造が示す

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    2014年11月20日
  • さいはての島へ ゲド戦記3

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    一貫してこの作者は自主性を貫いて
    けして脅しや不安恐怖による命令で
    人の心を奪って自分の思惑で物事を動かし
    無理強いした解決を良しとしない

    浅知恵であろうと怯えからであろうと
    本人のその時その場の意思と選択を尊重し
    むしろこの物語の主人公の成長を可能にするために
    自分の肉体を提供しようとすらしてみせる

    この自主性の村長こそが全体観につながる
    調和を目指すことで
    どの部分にとっても最善の喜びへ向かう旅になることを
    意味しているのだと伝えたいようだ

    何かを決断するときには
    「ある」と「する」のどちらかを選ばなければならない
    そこに「ある」人生に添うことと
    何かを選んで「する」人生に踏み出すこ

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    2014年11月12日
  • こわれた腕環 ゲド戦記2

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    過渡的で中途半端な知識と知恵がもたらしている
    神と崇めて依存する闇に包まれた死の世界と
    全体観という限りない成長を理解して
    調和の循環で共生する大自然とに迷い
    先取りという権利に依存することで
    不安恐怖に陥り混乱してきた迷える人間社会

    富と保障に依存するお互いの契約による安全のほかに
    もっと確かだけれども重さと摩擦による負荷を伴う
    信頼というお互いを認め合う集いがある
    一人では確信が持てずに弱いけれども
    向き合う相手によって自分を確認できた時のお互いには
    限りない信頼が生まれて強くなる(171)

    安全に執着するための依存というシガラミから
    自分で選ぶという不安と希望を秘めた自由自在の環境に

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    2014年11月07日
  • アースシーの風 ゲド戦記6

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    玉石垣で有名な八丈島で、石垣の上に腰掛けて読みました。

    生死の国を分ける石垣。
    アースシーとは違う風にのって西へ行くとたどり着く死者の国。
    東の、最新技術の魔法は遅れてるけれど太古の力の残る国から渡ってくる輪廻思想。

    3巻目から登場するレバンネンの葛藤がいいです。
    王子と慕われ、優れた王として治世をおこなってますが、表面を取り繕いつつ内面は些細なことを他人のせいにしていらっとしてる。
    皇女に対する蔑みと恋心を混乱させてる風情。

    抽象的な描写の大円団だけど、落ち着く場所に落ち着いてるし、これで本当に最終巻だなって思います。

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    2013年09月21日
  • ドラゴンフライ ゲド戦記5 アースシーの五つの物語

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    外伝と言いつつ、6冊目「アースシーの風」につながってます。
    ひとつひとつの小さな短編にも、著者が全力で立ち向かってるのがよくわかります。これぞファンタジー。

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    2013年09月21日
  • 帰還 ゲド戦記4

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    が、それだけでは十分ではなかった、正義と真実とでは。正義と真実との先にまだ何か、隙間とも、空白とも、深淵ともいうべきものがあった。

    ゲド戦記4巻目。
    相変わらず完成度が高いわ~。児童書というより哲学書に近い。

    地に足をつける。
    女の生きかた。
    距離があってこそ愛することができる肉親。
    偉大な人物では手に入れられないもの「幸福」。

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    2013年08月22日
  • アースシーの風 ゲド戦記6

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    ネタバレ

    ゲド戦記最終作。

    アスーシー全体の成り立ちや竜と人間の関係性等
    1つ1つの謎が解き明かされていく。

    常に物語の中心にあったはずのハード語圏が
    そういう場所だったのかと、気づかされた時に
    やられたなーと思った。

    この話のあと、人は人として生きていくのか
    すごく気になるところ。

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    2012年11月10日
  • 帰還 ゲド戦記4

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    今は、多分、この巻が一番好きだな。誰も彼も弱くなっていて。弱りきっていて、寄り添ったり、そっと見守ったりしている。力とか男とか女とか不条理だとか恋だとか愛だとか・・・・呆れるほど盛りだくさん。「子どもであるということ」まで描いてる。読む側にも準備ってものが要ります。

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    2011年07月21日
  • アースシーの風 ゲド戦記6

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    こっちでもドラゴンフライになってるんですねぇ。
    この、”物語が終わった”巻がものすごいです、ホントに…!

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    2009年11月07日
  • さいはての島へ ゲド戦記3

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    ゲド戦記第三巻。

    …苦戦しました…お好きな方には申し訳ないですが今回けっこう辛口感想です。

    決して単調なお話ではないはずなのに、文章がとっても静謐で、しっかり気を張って読まないと心が他所へ彷徨い出しそうになっちゃう(つまり集中するのが難しかった)

    ネタバレしつつ感想言うと、要するに「地獄めぐり」というか「黄泉平坂」というか…まあ、生と死の狭間の話ですね。

    きっとゲド戦記の、アメリカ人が書いたのにどこか東洋っぽい感じが人気なのかなと個人的には思ってます。そういう世界観を味わうにはいいんだけど、なんだか新鮮味に欠ける気がしちゃいました。たぶん後世の作品にこの作品の要素がバンバン入っちゃって

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    2025年11月12日
  • 影との戦い ゲド戦記1

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    ネタバレ

    面白かった!!!
    魔法の解釈が面白い、言葉の延長線上にあるような感じ、言葉というものの力について考えさせられた
    広大な海に散らばる島も、それぞれの文化も、当たり前に竜が生きているのも、現実的でありながらちゃんとしたファンタジーで良かった
    内なる闇との闘い
    口は災いの元と言うが、オジオンが寡黙なのはこれなんだろうな、ゲドが寡黙になったのもこれなんだろうな、と思った

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    2025年08月18日
  • 火明かり ゲド戦記別冊

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    ゲド戦記の別冊…どういう内容なのか?
    ゲド戦記の大ファンとして興味しんしんで読み始める。まさに別冊であって、前6冊の後日談的なものではない。大部分を占めるル=グウィンのエッセイに、ゲド戦記全体に対しての作者の思いがよく伝わってきた。最初の3冊を読んだときの感動と、長い時間を経て出版された「帰還」の衝撃。
    別物だ、と感じたのは正しかったのだと思う。
    未発表だった「オドレンの娘」は、ル=グウィンらしさを感じられる作品で、好きだ。

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    2025年07月10日
  • ドラゴンフライ ゲド戦記5 アースシーの五つの物語

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    ネタバレ

    ゲド戦記、読み終えた。どこかで読んだような。と思ったら、西のはての年代記と似た作り……いや。作者さんが同じだから似てて当たり前なのだけど、ゲド戦記から魔法と竜をぬいたら西のはての年代記になるのねと思った。

    本編を終えてから、伝外を読んでよかった。『アースシーの風』を先に読むか、伝外を先なのか……迷った。結果。私は伝外を後にしてよかったと思った。
    迷うのはこの伝外に帰還とアースシーの風の間の物語が入ってるから。時系列順に読みたいというこだわりがあるなら、伝外が先の方がいいのかも。……私、時系列よりもメイン重視。脇道の話は後からじっくり読みたい。

    物語は5つ。
    「カワウソ」
    魔法の島、ロークの

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    2025年06月21日