清水真砂子のレビュー一覧
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目次にまず目をやると、”第1信 「かわいい」を疑ってみない?、第2信 怒れ!怒れ!怒れ!、第3信 ひとりでいるっていけないこと?”と気になるタイトルが続きます。周囲の目を必要以上に意識し、それに雁字搦めになって”自分らしさ”を見つけることのできない若い世代に向かって『ゲド戦記』の翻訳者であり児童文学者である清水真砂子さんの直球勝負の手紙です。「おとなになるっておもしろい?うん、だんぜん‼でも焦らないで。現在をていねいに生きてほしい。自分をごまかさず、はぐらかさず、スマホからも解放された独り居の時間を確保して。孤独と孤立が全く違うことは、ここまで読んできてくださったあなたには、もう十分おわかりでしょう。人は個が確立してこそ、初めて他者とつながることができる。そして個の確立には独り居の時間の確保は不可欠だと思います。人と人がつながるのではなく、ただ群れているにすぎないとしたら、それこそさびしすぎませんか。」(あとがきより p224)教育者として40年以上若い世代と向き合って来られた清水真砂子さんの力強い言葉は、悩める10代に希望の灯火を点けてくれることでしょう。巻末に本文で引用された本や、「●他人の悪意にうれたとき ●心惹かれる他人の支配下にとりこまれそうになったとき」など、さまざまな気持ちや状況になった時に手にしてほしい本のリストが掲載されていて、この本から次の読書へとつなげていくきっかけにもなります。ぜひYA世代向けにおすすめしたい1冊です。でも、まずおとなのあなたが手に取って読んでみてください!
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このゲド戦記シリーズは大魔法使いの一生の中で一貫して
人間世界がもたらした視野の狭い知識と知恵と所有意識によって
自然界の調和した食物連鎖に見る営みからはみ出した
人間の強欲と対立関係が必要とする嘘と秘密による暴力と
イジメ真理からなる無理心中とも言える共食い問題について
文化的な無限なるモノとして掘り下げている
この自滅的問題を逆手に取ることで自分とその環境が不安恐怖に陥り
全体観を見失っているという事実を知って
自らの意識をもって自然界の真理を解き明かし
自律へ向かう集いの道を切り開けるようになっている
このパラドックスこそが
無限なる全体観と有限なる部分からなる自己簡潔構造が示す
この世の有り様なのだろう
これは空想大冒険物語のメルヘンであると同時に
正しくリアルな知識と知恵を取り込んだ人間社会が抱える
大自然と遊離する対立と暴力の問題を取り上げた
ドキュメントの要素を十分に表現してその解決策を模索している
大人にとっても最大の難問を提示し
子供と対等な立ち位置に立って正面から取り組んでいる -
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一貫してこの作者は自主性を貫いて
けして脅しや不安恐怖による命令で
人の心を奪って自分の思惑で物事を動かし
無理強いした解決を良しとしない
浅知恵であろうと怯えからであろうと
本人のその時その場の意思と選択を尊重し
むしろこの物語の主人公の成長を可能にするために
自分の肉体を提供しようとすらしてみせる
この自主性の村長こそが全体観につながる
調和を目指すことで
どの部分にとっても最善の喜びへ向かう旅になることを
意味しているのだと伝えたいようだ
何かを決断するときには
「ある」と「する」のどちらかを選ばなければならない
そこに「ある」人生に添うことと
何かを選んで「する」人生に踏み出すことの
どちらかを常にイヤでも選んで行かなければならない
つまりどちらにしても選ぶことから始まっていく
そして何かをすることから何かをすることへと
大きな変化を迎えるときの踊り場では
ソコに「ある」人生に身を任せながら
咀嚼する時間を必要とする(63ページ)
歪むことで流れを生み出し学ぶことを
可能にしているこの世だけれども
歪み過ぎた時に自己修復する治癒力によって異変が起こる
又コレとは別の利己的で邪悪な欲望によって
自然に見せかけた密かな思惑による異変もある
この飴と鞭で心をくすぐる異変を利己心を離れた心で
全体を加味する冷静さで見つめることは難しい
本文より(65)
「まちがいではないさ。しかしただ行きたいと思うだけではなく、例えば限りない富とか・絶対の安全とか・絶対の命とかを求めるようになったら、その時人間の願望は変わるのだ。そして知識がその欲望と手を結んだら、よこしまなるものが立ちあがる。そうなるとこの世の均衡はゆらぎ、破滅えと傾いていく」
これは学問とか宗教とか魔法とも同じことで
性善説をとるか性悪説を取るかが問題になる
「恥を知るものにこそ栄光がある」(66〜67)
「ソプリは死を求めていたのでない。死にも生にも背を向けて安心を求め死の不安に終止符を打ちたかったのだ」
「でも、死を超えて生に通じる道があるはずでしょう。私達はそれを求めているしあなたはそれを知っているでしょう」
「ワシは知らん。勿論彼らが探していると思っているものが何かということは知っている。だがそれが嘘だということも知っておる。いいかソナタはいつか死ぬ。永久に生き続けることなどない。俺等は幸いな事にいつか必ず死ぬことを知っている。これは人間が天から授かった贈り物だ。そなたは一つの波を救うために、自分を救うために海を鎮め潮の流れを止めようと思うかい?永久の身の安全を得るためになら、持っている技を放棄し喜怒哀楽の情を放棄し太陽の輝きを見られなくなってもいいとおもうかい?」「生を拒否することによって死を拒否し、永遠に生き続けるという!だがな、ワシは絶望から発した勧めなど受け付けない。」「そなたの生身の人間としての恐怖がそなたを引っ張っていく所に行き着かなければならない」(201〜)
「わしらの心の中には裏切り者がひそんでいる。そいつの囁きがわかるのはほんの少しの人間だけだ。魔法使いとまじない師に吟唱詩人と職人たちと英雄がいる。自分自身であろうと務めている人だ。自分であることは偉大なことだ。だが永久に自分自身であることはどうなんだろう?」
「不死を願い気持ちが強いほどその魂が健康だとも言える。」
「よこしまな王が支配し人の術は忘れられ詩人が言葉をなくし皆盲になる。今がこの状態だ。この世では二つのもの、相対立するものが一つのモノを作り上げている。万物の影。光と闇。天の両極。そして生は死から死は生から生まれている。対立しながら求め互いに生を与え合い、永遠に蘇りを続けていく。だとすると変わること無く永遠に続く生とは?死を他にして何がある?」
「誰が許す?誰が禁止する?(誰が善悪を決める?)」(224〜)
(自分以外に決定をくだし責任をとれる者などいないだろう) -
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ゲド戦記第三巻。
…苦戦しました…お好きな方には申し訳ないですが今回けっこう辛口感想です。
決して単調なお話ではないはずなのに、文章がとっても静謐で、しっかり気を張って読まないと心が他所へ彷徨い出しそうになっちゃう(つまり集中するのが難しかった)
ネタバレしつつ感想言うと、要するに「地獄めぐり」というか「黄泉平坂」というか…まあ、生と死の狭間の話ですね。
きっとゲド戦記の、アメリカ人が書いたのにどこか東洋っぽい感じが人気なのかなと個人的には思ってます。そういう世界観を味わうにはいいんだけど、なんだか新鮮味に欠ける気がしちゃいました。たぶん後世の作品にこの作品の要素がバンバン入っちゃってるから、それを先に読んじゃってるからなんだろうなとは思います。
続編もあるとのことだけど、とりあえず三部作読んだから満足です。 -
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ネタバレゲド戦記、読み終えた。どこかで読んだような。と思ったら、西のはての年代記と似た作り……いや。作者さんが同じだから似てて当たり前なのだけど、ゲド戦記から魔法と竜をぬいたら西のはての年代記になるのねと思った。
本編を終えてから、伝外を読んでよかった。『アースシーの風』を先に読むか、伝外を先なのか……迷った。結果。私は伝外を後にしてよかったと思った。
迷うのはこの伝外に帰還とアースシーの風の間の物語が入ってるから。時系列順に読みたいというこだわりがあるなら、伝外が先の方がいいのかも。……私、時系列よりもメイン重視。脇道の話は後からじっくり読みたい。
物語は5つ。
「カワウソ」
魔法の島、ロークの学院がどうやってできたのかという物語。最初のゲド戦記のようにあちこちに移動するのは楽しかった。そして、最初の成り立ちには女性たちの力が必須だった……というのを読みながら、でも権威が確立したら女たちを追い出してしまうのはえぐいなぁと思う。
「ダークローズとダイヤモンド」
魔法使い見習いと魔女の恋愛の物語。うーん。恋愛? 書かれてない部分が多すぎて、正直いまいちわかりづらい。
「地の骨」
地震を食い止めた魔法使いの物語。
地面の中の骨の描写が好き。この雰囲気すごく好き。魔法は結局よくわからないけど、こういう描写が好きだなぁ。
「湿原で」
最初の「影との戦い」を思い出してしまった。影との戦いは思いあがったゲドが影に追われる物語だったけど、これは思いあがった男がそれに破れ自分の愚かさに気が付く物語。追いかけてくるのがゲドだけど、結局ゲドは一人でロークに戻る。
「トンボ」
帰還とアースシーの風の間のアイリアンの物語。アイリアンがロークの学院に行き、ロークの学院でどのように過ごしていたのかが描かれてる。これはこれで面白いんだろうな。
「アースシー解説」
アースシーの世界の事があれこれ書かれてる。
今までの物語の設定を、アースシーの歴史に沿って説明してあるので、わかりやすかった。
これ、ゲドの物語だと思ってたけど違うのね。『アースシーの物語』だったのね……と思った。『ゲド戦記』というタイトルが紛らわしい。
世界設定が緻密だけど、あちこちの文化を入れてるなぁとわかるのが楽しいな。
ごちそうさまでした。 -
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いやはやこれは凄い。
これが児童文学ってジャンルなのは本当か。本当なのか。私には禅問答だったり哲学だったりのルグウィンさんの思う世界の有り様のようなお話と思う。これ全世界の子供が理解できるのか。
今回はアレンという若き王子の物語。テナーの巻もそうだった。若き者の驕り~己の事を知り成長する過程が、心情が詳細に綴られるので見えてくる。そんでそれをゲドが付かず離れずで見守る。
ドラゴンとか出てくるのでファンタジーなんだけど、人間であるということはどういうことか、を突き付けられてる感じ。でてくる「敵」は一体何なのか(ネタバレなので書かないケド)。
読後は、いやぁこれは凄い本よ。
ゲド戦記はここで一端終わり。
ルグウインさんはこの後18年の月日を経てその後を書くのだが、どうしてこの続きを書くことにしたのか、また何故18年もの月日の後に書こうと思ったのか実に興味深い。
確かに私もカレシンとゲドが向かった先ゴントでのその後を聞きたいけどね。 -
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ずっとずっと、いつかは読むべき本だと、ファンタジーに刮目してから思っていた本にとうとう着手してしまった。
テレビでジブリ作品として見たときは、アニメキャラが他の作品とかぶる(ナウシカのクロトア、千と千尋のカオナシ)とか、ファンタジーのモチーフとしてデジャブ感が、、そしてこの本を読んでもやっぱり既視感が。もしや過去に読んだことあるのか?と思うほど。これって他のファンタジー作家さんが滅茶苦茶本作に影響を受けてるのかしら!?
50年以上前に書かれたもはや古典といってもいいのかと思うけど、世界観が素晴らしい。本の見開きにアースシーの世界というマップがついてるけど、小さい群島まで名前がついてて圧巻です。名前つけるだけで時間経ちそう、、。
地図の先にあるのは果てなのか。
ハイタカがアースシーの無二の魔法使いになるまでの物語。
ちなみに巻末の訳者あとがきは先の巻のあらすじになっているので読む際にはご注意を。先のことを知らずに読みたければ後書きはスルーしましょ