清水真砂子のレビュー一覧
-
-
-
-
Posted by ブクログ
これまでの冒険活劇とはまた打って変わって、2人の途方もない旅のように見せかけて生と死・それに立ち向かう人の内面的なお話。
一巻では傲慢でどこか勢いのあったゲドが、大賢人となり若い頃自分が疑問に思っていた筈のことを説く立場になっていたのは、歳を取り様々なことを知ることは臆病になる訳ではないんだなと言う説得力が凄くあった。
アレンの自己との闘い、自分自身の影の部分とのせめぎ合いの描写が本当に良い……。
この作者は本当に人間の内面を描くのがものすごく丁寧で登場人物の心情が手に取るようにわかる。
映画は3・4巻を基にしたとどこかで聞いたけど(鑑賞したのがかなり前で記憶が朧げとは言え)なぜこの原作で -
Posted by ブクログ
第一巻の魔法の世界を期待して読み始めたら!
全然違う!
なんだこの閉鎖的過ぎる世界は!
というかゲドはどこ!
となったけどちゃんと最後まで楽しく読めました。
とにかく最初からテナーの思考回路というか、価値観の描き方が凄く良い。確かにそう思うよな、私も行った方がいいと思う….とまるで自分がテナーと共にあるような錯覚を覚えながら読んでいた。
テナーとして生きるのか、アルハとしてここに留まるのか。テナー自身の葛藤と、その後選択をしてからもなお自由の重さに潰されてしまいそうになるテナーの姿を見て自分自身の愚かさとテナーの強さに涙した。奴隷でいることは簡単だけど、自由でいることって本当に険しい道な -
Posted by ブクログ
思ってたものと全然違くてびっくりした。
めちゃくちゃ魔法の世界やん…………
紙で本読むの久々だし途中で眠くなるかと思ったのに一気に読んでしまった。
本を開いてすぐ、びっしりと細かく書かれた地図が出てきたところで「ああこれは土地の名前でわけがわからなくなって飽きるな」と思っていたけれど全くそんなことはなく、寧ろゲドと共に私も旅をするために、何度も何度も地図の頁を開いていた。そのくらいこの旅に魅了されていた…。
前半はゲドの行動にひたすらハラハラし、華やかに見せかけて大きな力を持つために地道な訓練を積む魔法使いや賢者達に感心し、後半はゲドの戦い・行動に圧倒されながらも自分もその場に居合わせてい -
-
-
-
-
Posted by ブクログ
※※※ラストまで完全ネタバレしていますのでご了承ください※※※
「ゲド戦記」シリーズ2冊目。
ゲドシリーズとは言っても、ゲドががっつり主人公なのは1冊目だけで、他の本はそれぞれ主人公が別になる。
こちらの「こわれた腕輪」は、「影との戦い」から30年後くらい。
舞台も、海に浮かぶ島々と魔法が日常の「影との戦い」とは違い、古代の神「名もなき者」たちを祀る神殿のあるアチュアンの墓所。
近隣の村から集められた巫女と、国を治める大王の巫女と、そして何千年もの間古い体から新しい体へと魂を移す大巫女とがいる。
「こわれた腕輪」の主人公は、大巫女に選ばれた少女で、彼女は最初はテナーという名前があったが、大巫 -
-
-
Posted by ブクログ
ネタバレ新キャラ登場です。今回はゲドとアレンの物語。2巻からかなり時が経っていて、3巻ではゲドは大賢人になっている!びっくり。世界から魔法や言葉や光が失われていって、ゲドとアレンがそれを取り戻す話。取り戻すというか、開いた闇へのドアを閉じたという感じです。アレンが旅の始まりの初々しい若者から中盤の反抗期、後半の逞しさの移り変わりが見てとれて面白い。昔のゲド程ではないけど、やはり若者ならではの傲慢さというか、そういった要素をアレンから感じた。最後には、アレンはアースシー全てを束ねる王になることが分かる。ゲドは力を使い果たしてしまったようだが、この後ゲド戦記はどう話が進んでいくんだろう?1〜3巻までは、ゲ
-
Posted by ブクログ
ネタバレ最初は一切ゲドが出てこないから、???という感じだったけど、それが逆によかった。今回の「壊れた腕輪」は、ゲド戦記の中の一つの冒険、物語だけど、アルハ=テナーが主人公なのだ。アルハの生活、未熟な若い娘ならではの傲慢さや負けず嫌いな性格、コシルへの恐れや憎しみと、ペンセとの会話による発見(神を信じない人がいること、人は違う考えを持つこともあること)、うまく描写、レイアウトされている。「影との戦い」から数年後のゲドが、エレスアクベの腕輪の片割れを探しにアチュアンへ来て、名なきものと戦いつつアルハのことも闇から救い出す。ゲドは数年経って何歳になったのか分からないけど、魔法使いとしての実力や周りからの信
-
-
Posted by ブクログ
ネタバレ久々に読みました、小学生か中学生ぶり。テレビで映画やってたので読み直したくなった。ファンタジー小説は人によっては馬鹿にしてくるジャンルだけど、個人的には大好きだし凄いと感心することばかり。その世界観にいかにどっぷり浸れるかで凄さを感じられる。ゲド戦記もそんな中の一つ。世界観の壮大さ、ディテールの細かさ、登場人物の魅力や共感、応援したくなる性格、友情や愛情、嫉妬などの人間らしい感情。そんな色んなものが詰め込まれてると思う。
ゲド戦記1に関しては、全ての始まり。ゲドの魔法使いとしての傲慢さや荒々しさ、未熟さが描かれている。影は結局、ゲド自身のそういう人間としての暗黒部分なんだよね。己と向き合うこと -