無料マンガ・ラノベなど、豊富なラインナップで201万冊以上配信中!
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
※期間限定無料版、予約作品はカートに入りません
Posted by ブクログ
本作は3巻の『さいはての島へ』から18年という期間を空けて出された4作目であり、物語は『さいはての島へ』の直後から始まる。
ゲドと共に墓所を抜け出した少女テナーは、ゴント島で魔法使いでゲドの師オジオンに預けられていた。
しかし、魔法使いになることを望まなかったテナーはオジオンの元を離れる。テナーは新たに『ゴハ』と自らを名乗り、人並みの生活を送ることを決める。
それから十数年の歳月が流れ、ゴハのパートナーであったヒウチイシは亡くなり、ゴハは未亡人となっていた。娘と息子は家を出ており、ゴハは一人で農場を切り盛りしていた。
そんなゴハの元に友人のヒバリが駆け込んでくる。性加害を受け、その場で生きたまま焼き殺される寸前だった少女がいる、と。
ゴハは名前もわからないその少女を預かり、『テルー』と名付ける。
ゴハはヒバリや、女まじない師コケの助けを借りながらテルーの居場所を作ってあげる。
そんな折にオジオンが亡くなってしまう。時を同じくして竜に乗ったゲドがゴントに戻ってきた。
しかし、ゲドは魔法の力を失っており、かつてのような気力もなく意気消沈としていた。ゴハはそんなゲドも自宅に連れていき看病することに。
そして都ハブナーからは王アレンが戴冠の儀に友人であるゲドを招きたいとやってくるのだが……。
自分はゲド戦記は3巻まで読んだことがあったものの、それ以降のゲド戦記のシリーズ作品はまったく知らないでいた。
4巻目は初めて読むのだが、これはちょっとスゴくて圧倒された。これまでのゲド戦記のシリーズの世界が180度転換するような作品でもあり、より深みを増すような作品だった。
そこには男性の物語であるゲド戦記で、いかに女性たちが虐げられているか、そしてこの世界で女性たちがどのように暮らしているのかが描かれている。
想像の世界の、架空の世界の出来事じゃないか、と思われるかもしれないが、現実世界の写し鏡としても描かれている。なので、アースシー世界ってのは酷いな、なんてことにはならない。今、我々が住んでる世界と大して変わらないと思いながらこの物語を見ていくことになる。
アースシー世界では魔法は男性のものである。村のまじない師(産婆や占いなどを扱う)レベルの魔法は女性たちが扱うが、より高度な学院などで学び、各町に配属されるような魔法は男性の魔法使いだけのものである。
そしてこの世界でも家のことは女の仕事として扱われている。魔法使いはなぜか女性と深い関係になることはなく、独身のまま生涯を終えることが多いらしい。それもあってゲドがゴハの元で一緒に住むことになってからが面白い。
ゲドやオジオンは魔法使いとしてのルールを守って生きているので、自分の身の回りのものは自分でどうにかする。ゴハはこれまで一般人のヒウチイシと暮らしていて家事は女性がやる仕事として生きてきたので、ゲドが自分の皿を洗ったり身の回りのことをすることで衝撃を受ける。
だが一方で、ゲドも内面化している男性的な自分本意な考えなども描かれる。そういう描写には男性である自分もギクッとしたりした。
確かに4巻がフェミニズム的と言われるのも納得ではあるのだが、それは別段ラディカルな描写でもなくてこれくらいは当たり前にやっていいでしょ、そう思う。
また女性が生きていくことで向けられる視線や、抱く恐怖なんかも現実とリンクするようなカタチで描かれているのも印象的だった。
またこれまで以上に内面描写が多い。主人公であるゴハがとても繊細かつ複雑な内面を持っているのが描かれる。その描写がキレキレなのもあってゴハが、これまでのゲド戦記に登場したキャラクターで最も好きになったかも。
一方のゲドは、これまでアースシーの世界で多くの逸話を残した伝説の大賢者的立ち位置で、これまではどこか孤高の人的な存在だった。だが、魔法を失ってしまってからはとても小さくて人間らしく見える。人生のほとんどを共に生きてきた魔法という存在を失ってしまうので、それもしょうがないのだが、やっと人間になれたという感じもあって良かった。
ゲド戦記の世界により深みが出て、更に今後の展開にも期待したくなる作品だった。
Posted by ブクログ
このゲド戦記シリーズは大魔法使いの一生の中で一貫して
人間世界がもたらした視野の狭い知識と知恵と所有意識によって
自然界の調和した食物連鎖に見る営みからはみ出した
人間の強欲と対立関係が必要とする嘘と秘密による暴力と
イジメ真理からなる無理心中とも言える共食い問題について
文化的な無限なるモノとして掘り下げている
この自滅的問題を逆手に取ることで自分とその環境が不安恐怖に陥り
全体観を見失っているという事実を知って
自らの意識をもって自然界の真理を解き明かし
自律へ向かう集いの道を切り開けるようになっている
このパラドックスこそが
無限なる全体観と有限なる部分からなる自己簡潔構造が示す
この世の有り様なのだろう
これは空想大冒険物語のメルヘンであると同時に
正しくリアルな知識と知恵を取り込んだ人間社会が抱える
大自然と遊離する対立と暴力の問題を取り上げた
ドキュメントの要素を十分に表現してその解決策を模索している
大人にとっても最大の難問を提示し
子供と対等な立ち位置に立って正面から取り組んでいる
Posted by ブクログ
ゲド戦記の第四作。
回を重ねるごとに、どんどん暗くなっていくゲド戦記だが、この作品はマジに暗い。
親から虐待により、身も心もボロボロになった少女テルー(顔や身体の半分は醜い火傷)。虐待のおぞましい体験で心を閉ざしてしまった彼女を引き取る、魔法使いであった過去を持つテナー。
物語は、ふたりの女性を軸に、邪悪が支配しつつあるゴント島の人々を描く。
ゲドはどうしたか?
もはや力をなくし、世捨て人のような存在で登場する。
暗い。。。暗すぎる。。。
この物語、宮崎二世監督が映画化したらしいが、エンターテイメント要素は0なのに、子供達を喜ばせる事ができたのか不思議。
観てないのでなんとも言えないが、アニメになるような題材ではないと思う。
ファンタジーの姿はとっているものの、この作品は人間と世界の関係を哲学的な示唆をあたえつつ、寓話的にまとめた傑作だと思う。
怪物や魔法はほとんど出てこないが、大人のためのファンタジーといった印象です。
ちなみに本屋に行くと、「子供の読み物」ってところにあったりするのだが、小学生だと読み手をかなり選ぶと思います。
大人のためのファンタジーではないでしょうか?
※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。
ビジネス・実用
試し読み
小説・文芸