清水真砂子のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ゲド戦記別冊。
ゲド戦記の作者アーシュラ・K.ル=グウィンの作品解説、エッセイ、講演などが5編、短編が2編、ゲド戦記の翻訳者である清水真砂子さんと作家中島京子さんの解説が2編という構成の短編集。
岩波少年文庫から出ているのがちょっと驚き。一応ターゲットは少年少女なのか・・・?
ゲド戦記は昔読んで難しくてよくわからなかったというボーとした記憶がある。
(たぶん)未読の「アースシーの風」、「ドラゴンフライ アースシーの五つの物語」を読んでみようかな。
p137
「第一歩はまず振り返って自分の影についていくこと」
p139
「自分自身の影をうまく扱うことを学びさえすれば、この世界のために、なにか真に役立つことをしたことになる。」
p140
「三十年か四十年かかって成長してきた影を意識にのぼらせてそれと対面することが何よりも大切」
p151
「道徳的な善をなすための大いなる手立ては想像力である」 -
Posted by ブクログ
ネタバレアースシーの物語をぎゅぎゅっと詰め込んだような物語。竜たちの話にガルガド帝国に伝わる話、さらに不死についての話などいろんな物語が詰め込まれていた。
世界観を楽しんでる人にはたまらない物語なのだろうな。
でも私は、前作の『最後の書』もこの『アースシーの風』も『魔法より愛の方が深く様々なことを知っている』みたいなのには吐き気がしてしまうんだよな。どっちもいいところあるよではダメなのか。ここにきていきなり愛を知らないのは、何も知らないことだみたいなのは気持ち悪いんだよな。
『人は義務を負い、結婚し、この世のくびきにつながれるもの』245p
こういうのも正直、吐きそうになる。前作と同じく。いきなり何言ってるんだ?どうしたんだ?と思った。この、『家族っていいよね』の押し付け感が気持ち悪いんだよな。
『技があるということは、たどるべき道がわかっているのと似ている』258p
こういうの『西のはての年代記』もそうだったけど、普通に暮らしている人間の大半は『自分の技』なんて気が付くこともなく『毎日やるべきことだけをやる』ことの続きで生きていくしかないんだよな。そして、今は『やるべきことすらない』状態の貧困層もいる。なんていうか、持たざる者。何もない人間や奪われつくされた人たち……みたいなのは一切出てこないの平和だなと思う。その辺りをスルーして書く物語なら気にしないんだけど、テハヌー(テルー)を出してきてるせいで微妙に引っかかって転びそうになる。
三冊でやめておいた方がよかったのでは?と思うのはだめだろうか。
三冊で終わってたら『そういう物語』だと思えたけど、続きを読むと……違和感が膨らむ。
ごちそうさまでした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレもやもやしたものが残ってしまった。テナーの立場が元々『高位(男の姿がない世界)』だったから、元の地位だったらこうではないのにみたいなものにも見えてしまう。つまり『自分が女性だから不当に扱われている』ではなくて、『自分は高位であるはずなのに、相手(男)が不当に扱ってくる』という対立っぽく見えちゃうんだよな。
では、子どものテルーの立場はどうかと言えば、男たちが執着する必要性がわからない。
この世界設定とテルーの設定と物語のテーマがいまいち合致せず、モヤっとしたものしか残らなかった。個別に見たら素敵だという事はわかるのだけど、合わせると微妙にあちこちズレてるような感じがする。
それとも私が感じた『物語のテーマ(女子供の苦しみと男たちの苦しみ)』は間違っていて、単に『物語(世界観)を楽しむ』に全振りしたらよかったのだろうか。
ゲド戦記を楽しみにしていただけに、世界観に没頭して楽しむことも、物語に惹かれることも、テーマに感動することも出来ない自分にがっかりし続けてる。
キャラクターが魅力的かと言われても、うーん。これというエピソードが見当たらない。設定が強烈で、設定だけで押してる感じがする。テナーに至っては『普通の女になるために努力した』となっているけど、それは『全てを持ったものの特権』でしかなくて、共感しずらいんだよな。こういうの全部もやんとする。
そして、最初の方は『貧しい人たち』『持たざる人たち』への視線が差別的で、読んでて辛くなってしまった。テナーの特権性がよくわかる。『短気で、無知で、陰険で、みだら』54-55pとコケばばに対して書いてある。これが、最後の方は体調が悪いと聞いたら駆けつけるくらいには仲良くなるのだから不思議だ。
物語は、火の中に放り込まれたテルーをテナーが育てる話。色々あって最後にはテルーは竜であるカレシンから「わが娘」と言われるのをテナーとゲドは聞く。
テルーはゲドとテナーを父母として、今は人間として生きることを決める。
ごちそうさまでした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ物語は、アレンとゲドが『アースシーで起きている異変』を突き止めるためにあちこちを旅することで進んでいく。
あちこちの島を巡り、アレンとゲドの敬愛と尊敬が徐々に深まっていき、世界の謎が徐々に解き明かされていく。というのはワクワクするのだろうなと思いながら読んだ。
私、こういう物語にワクワクできない……と自分にがっかりしてしまっている。男たちの男たちによる男たちの物語。
この場合は、せめて世界観だけでも楽しめたら……と思うけど、好みの世界なだけにあれこれ読み過ぎて、新鮮味もなく、この辺りの作品と同じだなという類似点でまとめてしまっている私がいる。
読みすぎ注意。歳をとるってせつない。
なんていうか、どう読んでいいのかわからない。困る作品。
ごちそうさまでした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ物語は『墓所の大巫女であるアルハ』を軸に語られていく。生まれた時から『アルハ』として生きることを決められていて、その世界しかしらないアルハがそこに疑問を持ち外の世界に出ていくまでの物語。
ゲドはどこに消えたのかと言えば、墓どろぼうとしてやってくる。正確には『エレス・アクベの腕環の欠片』を求めて墓に入り込み、アルハから酷い扱いを受けつつも信用を勝ち得てアルハを外に逃がす。
地下を出て一安心……ではなくて、地下を出てもアルハは不安にさいなまれているし、どうしたらいいのかがわからないことに不安を抱いている。外に出たのはいいけど、テナーにとっては『戻る場所の喪失』なので、不安で当たり前なのよね。だから、ゆらゆら揺れてるのはわかる。そして、ゲドは頼りないくせに、テナーを外に引っ張り出した極悪人に見えてしまう。
そういえば、『西のはて~』も2冊目は女性主人公で女性の物語だったなと思った。
ゲド戦記は闇が『不安・怯え・恐怖』という分かりやすいモチーフで読みやすいなと思う。細かく読むと、他の巫女たちは貧しい子供たちなの? 外の奴隷は何? 女性だけの場所に『アルハの付き人』は男なのになぜそこにいられるの?と細かい不思議はあるけど。気にするのはやめる。
児童書らしくわかりやすく教訓的だけど、いまいち……と思ってしまっている。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ物語は『ダニーがゲドの名前を得て、魔法使いになり影と戦う』までが書かれている。
1 霧の中の戦士
ダニーの幼少期。叔母から教えてもらったまじないで敵(ガルガドの兵)を追い払い、師匠であるオジオンに出会う。オジオンから『ゲド』の名を授かり、旅に出るまで。
事件がポンポンと起きるので、引き込まれてしまった。そして、最初の場所はどこだ……と地図で探す。島が多すぎて探すの大変。と思ったらページを少しめくると拡大地図があった。わかりやすい。
10世界のはてへ
影を追い詰めたゲドはやっと影の名前を知り、影と一つになる。
ここ、映像化したら面白いシーンなのだろうなぁと思いながら読んでしまった。最後は圧巻だけど、正直文章だけだと何が起きてるのかわかりづらい部分もある。
最後に気になった部分。
『そなた、エボシグサの根や葉や花が四季の移り変わりにつれて、どう変わるか、知っておるかな? それをちゃんと心得て、一目見ただけでも、においをかいだだけでも、種を見ただけでも、すぐにこれがエボシグサかどうかがわかるようにならなくてはいかんぞ。そうなって初めて、その真の名を、その全存在を知ることができるのだからな。用途などより大事なのはそちらのほうよ。そなたのように考えれば、では、つまるところ、そなたは何の役に立つ? このわしは? さてはて、ゴント山は何かの役に立っておるかな?』32p
ゲドの言葉を受けた、オジオンの言葉。役に立つかどうかではなくて、相手を知ることが大切だと説いている。これが巡り巡って『影(自分の中の邪なる心)』も知る必要があるという物語なのだろうな。
影におびえる必要も逃げる必要も追いかける必要もなくて、それはただ『そこにある』というだけの物語だから、別に影に勝ったわけではないのよね。
『「な、終わったんだ。終わったんだよ。」彼は声をあげて笑った。「傷は癒えたんだ。おれはひとつになった。もう、自由なんだ」』270p
ゲドが共に旅について来てくれたカラスノエンドウに言った言葉。
『ひとつになった』となってるので、影は消えてない。そこにあるものとして、ゲドが影を受け入れてる。戦いだけど、勝敗がない。
これはそういう物語……。 -
Posted by ブクログ
2巻は喰らわれし者となったテナーのお話。
ゲドは1巻の時より少し時が経っているようで、青年から大人になっている?
この間にアーキペラゴの各地を放浪して研鑽を積み、魔法使いとしての腕をかなり上げている模様(妄想)。
テナーの生い立ち、成長、そして解放までのお話なんだけど、ゲドが出てくる中盤くらいから俄然面白くなっていき、テナーとゲドの会話は哲学のよう。テナーは今でいう情弱の極みなので、やはり生きていく上で経験や学習を積む事を厭わない事は非常に大切だなと。(テナー自身のせいではない、環境がそうさせている)
1巻を読んだ時、ジブリのゲド戦記を見た時は両方とも既視感があっただけなんだが、この本はハッキリと過去に読んでいたように思う(最初のシーンが印象的)。
全巻読んだのか、とにかく自分がボケ過ぎててハッキリしないので引き続き読んでいきます。ちなみに3巻目にとりかかってますが未だ既視感無し(笑) -
Posted by ブクログ
ネタバレ3巻から18年を経て刊行されたという4巻
この年月があったから書けたんだろうなぁという内容
1巻のゲド、2巻のテナー、3巻のレバンネンと、ティーンエイジャーを中心に据えてきたのとはガラリと変わり、魔法を失ったゲドと、農園の後家となったテナーの話
3巻の終わりにあったように、ゲドのこの先は誰も知らないめでたしめでたしっていうのも綺麗だけど、たぶん作者が年齢を重ねる中で、めでたしめでたしの先に思いを馳せるようになっていったんだろうなと
男女の間の超えられない差が語られる箇所が多く、女性が書いてるんだなと実感
テルーの存在はいささか突飛 -
Posted by ブクログ
ネタバレ面白かった〜!最後にふさわしい感じだった。ゲド戦記シリーズなんだけど、ゲドはもうクモを倒すのに力を使い果たしたからただのおじいさんで、今回こそ本当になんの活躍もないどころかほぼ話にも出てこなくてそれが悲しい。でも良い感じに完結してくれて満足感。テハヌーはようやく竜になり、レバンネンは最高の伴侶を見つけ、アイリアンも出てきたし、割と大集合な感じ。人と竜は昔ひとつであったが、それぞれ求めるものが異なり、やがて分かれていった。魔法使いという人と竜の中間的な力を持つ者が現れ、死から逃れたいと願い、石垣を作ってしまった。そこでは亡くなった人の魂は浄化されず、永遠に感情もなく彷徨い続けてしまう。
石垣は壊され、竜は西へ飛び、人と永遠に決別した。魔法はきっと、まだ生きてるのかな?
やがてまた、邪な考えを持つ人間、魔法使いが現れて繰り返すのでは?と思ったりもするし、次の大賢人は誰がなる?そもそも大賢人やロークの制度は続くのか?など疑問は残るけど、ひとまずゲドの冒険とゲドの周りの人たちのストーリーはめでたく完結、ということですね。
全体を通して、人の欲、男女間の性差やお互いに分かり合えない部分、愛、友情、魂の高潔さ、結構普遍的なテーマを感じられて考えさせられつつ、ストーリーに魅了された。大人向けファンタジーであることは間違いない。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ今回も面白かった!テルー=テハヌー=竜の子、だったのねー!っていうのはゲド戦記の映画が台無しにしてくれたけど。今までの作品でも、ゲドやテナーが闇と闘う話で、人の心の闇に触れることが多かったけど、今回は根深い現代にもある闇な感じがしたな。魔法は男にしか使えないもので、女は下に見られていて。テルーが強姦され火の中に入れられたりと恐ろしい目にあったことだったり、テナーが自我に目覚めて男とは?女とは?自分の人生や役割とは?ってなるところだったり。大人向けフィクションだと思います。ゲドはついに魔法の力を失って、普通の男として生き、テナーと夫婦になり幸せを見出していきました。