中谷友紀子のレビュー一覧
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ネタバレアメリカの作家、ジェニファー・イーガンの作品。本作を合わせて4作が翻訳。「ならずものがやってくる」でピューリツァー賞を受賞。
第二次世界大戦下のアメリカ。女性や黒人への差別が色濃く残る中、アナは潜水士を目指す。一方、イタリア系ギャングのデクスター・スタイルズは、自身のギャングとしての人生を振り返り、堅気の生活に淡い憧れを持つ…
女性蔑視の中、強く美しく生きるアナに魅せられつつ、アナはデクスターとどう絡むのか、失踪した父はどこに行ったのか、気になる展開で飽きさせない作品。
障害を持つアナの妹リディアとの海のシーンが非常に印象的。作品の中でもターニングポイントとなる場面で、涙が出そうになった -
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ミステリードラマなどで鑑識のシーンをよく見るが、その中でも写真係を特に意識したことがなかったなあと読みながらしみじみと思った。何時間もかけて遺体や遺留品、事故の痕跡を何百枚、何千枚も撮り続ける仕事は大変なんてものじゃない。まして主人公のリタは更に幽霊が見えてしまう体質なので、霊となった彼らに取り憑かれ振り回されて、時には命も脅かされそうになる。理屈が通らない霊たちはうるさくて怖くて恐ろしいが、リタは逃げ出すことも出来ず、犯人探しをいやいや手伝うはめになる。
そして同時にナバホ族であるリタの生い立ち、居留地での暮らしが豊かに語られていく。霊が見えてしまうリタと、死者を縁起の悪いものとして捉えるナ -
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薬物依存を克服し、新しい生活に臨むマロリーは、マクスウェル家でのベビーシッターという職を得る。温かな夫妻に気に入られ申し分のない生活のはずだったのだが、唯一の不安は五歳のテディが描く謎の絵だった。テディの「見えない友達」アーニャの存在、そして過去に起こったアニーという女性が殺されたという事件。やがてテディの絵は不穏さを増していく。随所に挿入された絵が不気味で、とっても楽しいホラーミステリです。
ありがちなテーマかと思いきや、ミステリとしても実に見事。終盤の展開からは目を離せず一気読みでした。ホラーとしての盛り上がりも良いのですが、絵に関しては、子供の稚拙なタッチの絵の方がより一層怖く感じます。 -
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超★5 五歳児テディが描く可愛らしい絵に不気味な女性が… 極上エンタメなホラーミステリ #奇妙な絵
■あらすじ
薬物依存症の治療をうけ回復中の主人公マロリーは、裕福な家のベビーシッターとして雇われることに。その家に住む夫婦は意識が高く、テディは優しく無邪気で、お絵かきが大好きな子どもであった。ある日マロリーは、テディがスケッチブックに奇妙な絵を描いていることに気づく。そこには不気味な女性が描かれており…
■きっと読みたくなるレビュー
面白い!★5
本作は物語が進むにしたがって、五歳児テディがスケッチブックにしたためる絵が挟まれる。昨今は本に興味を持ってもらえないご時世のためか、こういった -
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ネタバレヨルン・リーエル・ホルストのヴィスティング警部、未解決事件シリーズ第二弾。
検事総長直々に、死んだ政治家の家から出てきた高額な紙幣の謎解きを依頼されるヴィスティング警部。秘密の指令のため、必要最小限のメンバーで事件に臨むことが求められる。娘のリーナ等と共に捜査を開始するが、前作で出会った正反対の捜査方法で事件に迫る国家犯罪捜査局のアドリアン・スティレルも絡んできて。。。
今作も読みやすく、ページターナーなところは相変わらず。単純な事件かと思いきや、複数の事件が絡んできて非常に登場人物が多くなる中、収まるところに手堅く収める。派手さはないが、警察小説のお手本のような作品。
コールドケースを扱 -
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ネタバレヨルン・リーエル・ホルストの初読。
ヴィスティング警部の未解決事件シリーズ第一弾。
静かな物語だった。
派手な事件が起きるわけでもなく。外連味があるわけでもない。だけどとんでもなく面白い。
24年前にカタリーナという女性が数字の羅列を残して消えた。ヴィスティング警部はカタリーナの夫マッティン・ハウゼンと、被害者の親族と捜査官を超え、ある種親友のような付き合い方をしている。
一方、26年前の大学生行方不明事件に新たな証拠が出る。その証拠から、カタリーナの夫が容疑者として浮かび上がり。。。
北欧の小説によく見られる、重く暗く残酷な感じは一切せず。ヴィスティング警部らが地道に、コツコツと捜査を -
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超推し★5 閉鎖的、抑圧、混乱、暗闇… おどろきと重い体験ができる名作 #ニードレス通りの果ての家
■あらすじ
アメリカの田舎町、ニードレス通りの果てに一軒の家があった。そこにはテッドが娘ローレンや猫と住んでいた。
テッドはかつて近くの湖で発生した少女失踪事件の容疑をかけられてしまったこともある、訝しげな人物。その後嫌疑は晴れるも、失踪してしまった少女の姉ディーは未だに彼を怪しんでいた。
ディーはテッドの隣に引越し、彼の様子を伺うのだが…
■きっと読みたくなるレビュー
めちゃくちゃ面白い!★5
それなりに読む力が求められますので、時間をしっかりとって、よい環境で読むことをおすすめします。
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またひとつ、面白い北欧ミステリのシリーズを見つけてしまった。嬉しい。
いきなりこう言ってはなんだけど、事件自体は、地味というか、もちろんタイトルにもなっている「暗号」であったり、犯人との駆け引きだったりと盛り上がりも謎もふんだんにあるのだけれど。
私の好きなところは違った、が正しい言い方なのかもしれない。解説の杉江松恋さんにとても共感するのだが、この作品は「人間を描いた」ミステリだと思う。
主人公の警部ヴィスティングは、妻に先立たれ、娘のリーネ(職業は新聞記者)と孫のアマリエと共に(同居ではないものの)暮らしている。仕事一筋。
冒頭のヴィスティングがアマリエ(2歳)の子守りをしていて、ある -
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ニックは34歳、ニューヨークで雑誌のライターをしていたが、電子書籍の隆盛で仕事を失い、2年前に妻エイミーとともに故郷ミズーリ州の田舎町に帰ってきた。
しかし、両親ともに高名な童話作家で、その人気児童文学シリーズのモデルでもあったニューヨーク育ちのエイミーにとって、この田舎町での生活は決して満足するものではなかった。
そんななか、結婚5周年の記念日にエイミーが突如謎の失踪を遂げる。家には争った形跡があり、確かなアリバイのないニックに容疑がかけられる。
次々とニックに不利な事実が浮上するなか、彼はみずから妻探しを始めるが、その一方で何かを隠すかのように嘘を重ねるのだった。
ニックの語る結婚生活と、 -
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ニックは34歳、ニューヨークで雑誌のライターをしていたが、電子書籍の隆盛で仕事を失い、2年前に妻エイミーとともに故郷ミズーリ州の田舎町に帰ってきた。
しかし、両親ともに高名な童話作家で、その人気児童文学シリーズのモデルでもあったニューヨーク育ちのエイミーにとって、この田舎町での生活は決して満足するものではなかった。
そんななか、結婚5周年の記念日にエイミーが突如謎の失踪を遂げる。家には争った形跡があり、確かなアリバイのないニックに容疑がかけられる。
次々とニックに不利な事実が浮上するなか、彼はみずから妻探しを始めるが、その一方で何かを隠すかのように嘘を重ねるのだった。
ニックの語る結婚生活と、