【感想・ネタバレ】警部ヴィスティング 鍵穴  ~THE INNERMOST ROOM~のレビュー

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ネタバレ

ヨルン・リーエル・ホルストのヴィスティング警部、未解決事件シリーズ第二弾。

検事総長直々に、死んだ政治家の家から出てきた高額な紙幣の謎解きを依頼されるヴィスティング警部。秘密の指令のため、必要最小限のメンバーで事件に臨むことが求められる。娘のリーナ等と共に捜査を開始するが、前作で出会った正反対の捜査方法で事件に迫る国家犯罪捜査局のアドリアン・スティレルも絡んできて。。。

今作も読みやすく、ページターナーなところは相変わらず。単純な事件かと思いきや、複数の事件が絡んできて非常に登場人物が多くなる中、収まるところに手堅く収める。派手さはないが、警察小説のお手本のような作品。
コールドケースを扱うシリーズといいつつも、前作以上に現在進行形のサスペンスもあり。読み応え十分。鍵穴に合う鍵さえ見つければ、とんとん拍子にことが進む、納得の題名。

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2023年12月30日

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 『猟犬』『カタリーナ・コード』といい作品を連打しているのに、昨年のこの作品を見逃してしまっていた。今春、新作が出たのを機会に順番に読まねば、との反省読書。とりわけ前作から版元を変えて翻訳出版となった本シリーズは続けての未解決事件四部作である。『猟犬』からは、ヴィスティングの娘リーネの立ち位置、職業、家族環境等が変わっているので、四部作まとめて邦訳とは小学館さん、グッドジョブ! 

 また『刑事ヴィスティング』(ドラマタイトルは警部ではない)の旧作二作(『猟犬』含む)を取りまとめたドラマ・シリーズをWOWWOWオンラインで視聴することができたので、同時に楽しませてもらっている。原作とはイメージが異なるものの、日本の低予算TVドラマに比べると相当に秀逸の映像で、鑑賞に値する。本も動画も人気が出て、他の邦訳も進むと有難い。

 ちなみに『猟犬』では警察官としての職務停止中という境遇だったが、本作では何と、検事総長から直々の特命責任者を命じられ、好きなスタッフを集結させて極秘捜査の任務に当たるという、またまた例外的な境遇で物語をスタートする。このアレンジの幅は、本シリーズの特徴かもしれない。

 本作では、大物政治家が急死した後に遺された大金の謎を極秘裏に究明する任務をヴィスティングが与えられる。情報収集役としてフリーの記者である娘リーネの他、鑑識のモンテルセンを加えて捜査をスタートするが、徐々に事件の裏闇が広がる中、過去の事件の捜査責任者や、未解決事件を専門に扱う機関クリポスの捜査官スティレルも加わってゆく。

 過去を洗い出すと、空港での大金強奪事件、失踪事件、それに纏わりそうな未解決事件が繋がりを見せてゆく。一方で大金を回収した直後、政治家の別荘は放火される。という具合にヴィスティングが関わると、張り巡らされた導火線に一気に火が着くのは、本シリーズの特徴らしい。

 例によってページターナーぶりを発揮させながら、絡み合った複雑な糸のもつれを即席のチームワークで解いてゆくプロットの豊かさは並ではない。

 著者のホルストは、現職警察官として二十年のキャリアを持つという。その経験から生まれるストーリーには、現場リアリズムのような特性がおそらく顕著なのだろう。派手な事件と緻密な捜査、事件を探る個性的メンバーたちの勘どころなど、読むべき点、楽しむべき箇所が随所に見られ、飽きることなく身を任せられるストーリー運びである。

 人の個性をぶつけ合いながら、すべての謎と伏線をしっかりと回収してゆくエンターテインメントの完成度に拍手を送りたく思う。

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2022年04月14日

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ノルウェーの警察小説。ヴィスティング警部のもとに、大物政治家の死後、自宅で大金が発見されたとの連絡があり、極秘捜査を開始。
現金強盗事件と関係があるのか、同日発生した失踪事件とはどうか。
記者の娘も巻き込み、解決へ。
どんでん返しと、人間の性を考えさせられる佳作。

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2021年08月15日

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カタリーナ・コードで知った刑事ヴィスティング。落ち着いた渋い正統派の刑事姿と、事件の舞台となるフィヨルド周辺の透明感が好きになった。本作はカタリーナ・コード以上に深く引き込まれた。最終場面の緊張感も素晴らしい。

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2023年11月14日

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コールドケース4部作の2作目。今回は一気に読みました。犯人に行き当たってしまうところや訪問者が多い割に見つからない証拠品、壮絶な暴力を振るう割に殺害はしない悪人など、ちょっと詰めがな……と感じる箇所もありますが、全体として興味深く読めました。

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2023年08月06日

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ノルウェーの警察小説。
ヴィスティング警部物としては13作目だそう。
「警部ヴィスティング カタリーナ・コード」に続く作品。
未解決四部作(コールド・ケース・カルテット)の2作目とのこと。

大物政治家のクラウセンが急逝。
ラルヴィク警察の主任警部ヴィスティングは検事総長に呼び出される。
クラウセンの別荘で多額の金が詰まった箱が発見されたという。ヴィスティングは現場に向かい、箱を自宅地下に移動するが、翌日別荘のほうは放火されてしまった。何者が動いているのか。

フリーの記者であるである娘のリーネとも協力体制を敷き、鑑識のモンテルセンも加えたチームでの極秘捜査。
過去のいくつかの事件との関係を探っていきます。
極端な設定ではなく、地に足がついた感じが読みやすい。
作者は20年も警察官だった経験があり、地道な描写は安定感があります。
一方では、自宅地下に資料を置いたり、警戒態勢が半端なところが‥いかにもラストの危機のためという設定に見える。
盛り上げるためにはしょうがないのか?(笑)

父と娘の関わりは、ミステリの世界では最後の希望みたいなところもあるようで。
奥さんは警官の仕事が(不規則で危険で忙し過ぎるから)不満で離婚してることが多く、でなければ、殺されたり犯人だったりするから?
警察と記者とが協力し合う形、というのも、現実とは違う展望を描こうというものかもしれませんね。

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2023年08月05日

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ヴィスティング警部シリーズ第13作、邦訳3作目にして、コールド・ケース・カルテットの2作目である。

「今回はいつもと次元の違う捜査になりそうだ」、冒頭でヴィスティングはそう独りごちる。それもそのはず、検事総長に直々に呼び出されたヴィスティングは、先般心臓発作で亡くなった大物政治家バーナール・クラウセンの極秘調査を命じられていた。彼の別邸から、段ボールに詰め込まれた530万ドル以上の、出所不明の大金が発見されたのだ。国内外に知られるこの政治家は不正を働いていたのか。ヴィスティングは部下のモンテルセン、娘のリーネとチームを組み、捜査を開始する。

事件の鍵穴にしっかりはまる鍵は果たして見つかるのか。クラウセンの息子の死、現金強奪事件との関連など、様々なことが絡んできて、最後までまったく読者を飽きさせない。今回も未解決事件ということで、前作でヴィスティング親娘を振り回した国家犯罪捜査局のスティレル捜査官が再登場する。出番はさほど多くないが、味のある役柄を演じている。

本シリーズは親娘の物語でもある。本作のリーネは報道の立場ではなく、非公式ながら捜査協力というかたちで捜査に加わる。父の指揮下に入ることで、普段とは違う父の一面に接し戸惑うものの、随所で父をも超えたひらめきを見せる。しかし…、毎度ながら捜査機密をマスコミの娘に簡単に開示して、あまつさえ捜査チームに加えてしまうヴィスティングはいかがなものかと思うが…。

それはともかく、おもしろい。次の作品が早く読みたい!

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2022年11月30日

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「機会が泥棒を作る」
「人間は全ての行動をコントロールできるわけではない。いかなる場合にも自由意志に基づいた行動が可能なわけではない」
「沈みゆく船の上で、他人に救命ボートを譲るか、自分の安全を確保するかという選択」

未解決事件四部作との事なので翻訳を楽しみに待ちたいと思います。

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2022年08月06日

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ネタバレ

ノルウェー産、正統派警察シリーズもの。
キレの良い直球。完成度高し。

労働党の大物政治家バーナール・クラウセンが急逝した。
死因に不審なところはないが、別荘から多額の現金紙幣が発見される。
検事総長から直々に、警部ヴィスティングのもとへ真相究明の極秘指令が寄せられるところから始まる。

鍵となるのはクラウセン関与について名指しで告発状のあった過去の未解決失踪事件と、同じく未解決の、同日に発生していた空港での現金強奪事件。

『鍵穴』というタイトルながらも印象的なのは、”捜査の喩えにふさわしいのは鍵ではない。ジグソーパズルだ”という示唆。
まさにそのとおりの進行で、外枠が埋まり、次第に図柄が見えてきたところで、ピースのはめ違いやどうしても埋まらないピース、行き詰まりに出会う。
そうかと思えば急に霧が晴れることもある。だがまだ何か足りない。
といった風情で北欧ミステリらしくしっとりとした始まりから、尻上がりに疾走感を増し、最後は息もつかせぬ展開。

前作『カタリーナ・コード』もなかなかの出来。
今作も含めて未解決四部作(コールド・ケース・カルテット)の2作品とのこと。
次作も邦訳済みのようで、期待大。

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2022年05月22日

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シリーズを通して警察が事件を追って行く様子が丁寧に描かれていて、いい意味で地味なのだが面白い。
父親は刑事で娘はジャーナリストという、一見微妙な立場の2人が協力しながら事件を解決する点もいい。
登場人物達のキャラクターもどこか淡々としていて派手さはないのだが、作者本人が警察出身ということもあり、解決していく様子や人間関係に現実味があるからこそ楽しめるのだろう。

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2021年07月22日

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ノルウェー、元大臣クラウセンが心臓発作で死んだ。別荘から多額のユーロやドルの現金が発見され、検事総長より極秘調査を依頼されたヴィスティング警部。現金を運び出したら翌日別荘は放火された。そして、検事総長の元には、昔湖の近くで若者が行方不明になった事件に関してクラウセンを調べろという手紙が来ていた。

登場人物がどんどん増えていってわけわからなくなりつつも、それを上回って面白かった。真相へ迫るプロセスに無理がなく、頁をめくる手が止まらなかった。

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2021年06月13日

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ネタバレ

今回も北欧ミステリーらしい正しい捜査を丹念に描く警察小説で楽しめた。450ページほどで短い方だが充実。
なぜそんな大金を現金で?という理由がとても腑に落ちるものだった。
唯一、ジャーナリストに警察の捜査を任せてよいのか?という疑問は毎度湧き上がるが、もうよいのだということにします。

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2021年05月04日

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派手なカーチェイスや発砲はないけど、地道な捜査の積み重ねが好感持てる。しかもシングルマザーの娘リーネの日常もきちんと描かれていて、主人公ヴィスティング共々決してスーパーヒーローではない点もリアル。前作より好きかも。

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2021年04月18日

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ヴィスティングシリーズ。警察小説として決して派手なものではなく地道に捜査していく展開が個人的には好み。なかなか繋がっていかない捜査と未解決事件を追う難しさが感じられるのもいい。未解決事件四部作ということで残りの二作も早く読めることを期待。

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2021年03月17日

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前作「カタリーナ・コード」に続き、今作も地味ながら地に足の着いた堅実な筋運びで読ませてくれる。複数の事件が入り乱れる分、物語の構図もより複雑になっているが、丹念な地取り捜査により、徐々に全貌が明かされていく展開が毎度素晴らしい。ヴィスティング父娘の危機管理意識など、疑問符が付く場面も多々あれど、このクオリティなら充分満足。帯の謳い文句通りに切ない犯行動機ではあるが、その余波で不幸に見舞われた人々のことを思うと決して擁護は出来ない。<未解決事件四部作>の残り二作品も邦訳されるらしいので、首を長くして待とう。

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2021年05月07日

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閣僚を歴任してきた大物政治家バーナール・クラウセンが心臓発作で急逝した。
直後、ラルヴィク警察の主任警部ヴィリアム・ヴィスティングは検事総長に呼び出される。
クラウセンの臨終に立ち会った労働党幹事長が、機密文書の有無を確認するため故人の別荘を訪ねた際、大金のつまった段ボール箱を発見したのだという
クラウセンは外務大臣を四年務め、議会の防衛委員会の重鎮でもあった。見つかったのは巨額の外国紙幣であり、汚職につながる可能性があった。

鑑識員のエスペン・モルテンセンに声をかけ、ヴィスティングは別荘に向かった。問題の段ボール箱は全部で9箱。紙幣は米ドル、英ポンド、ユーロの三種類で、総額はノルウェーの通貨で8000万クローネを超えていた。

翌日、クラウセンの別荘が放火に遭う。
ヴィスティングは全焼した火災現場で、検事総長から一通の手紙を渡される。
その手紙は、過去に起きたある若者の失踪事件に、当時保健大臣だったクラウセンが関与したことをほのめかしていた。

警部ヴィスティング・シリーズ、翻訳第3作。
最近、陰惨な描写が続く作品ばかり読んでいたので、刺激はさほどない。堅実な仕上がり。
たまたま、WOWOWで今日、ドラマ化作品を放映していたようである。原作は猟犬と、もう一作。

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2022年03月28日

Posted by ブクログ

CL 2021.5.22-2021.5.26

地道な捜査で事件の真相が明らかになっていく過程はしっかりした作りで見事だと思う。
ただ、ジャーナリストで一般人の自分の娘をトップシークレットの捜査に加えるなんて、ちょっと現実離れしていないか?

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2021年05月26日

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