【感想・ネタバレ】警部ヴィスティング 疑念のレビュー

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Posted by ブクログ

司書さんから個人的にお借りした本。
しかし四部作の最終作って…この作者の本初めてなんですけど…。

で、結論としては、私はちょっと納得できなかったのです。
読みが足りないのかもしれません。
いや、きっとそうでしょう。
だけど、納得できないことをここにネタバレなしで書く自信がないので、これからこの本を読む予定の人は、読まないほうがいいと思います。



納得できない部分というのは、殺人事件の犯人として逮捕され、取り調べ中も裁判中も刑に服していた約17年間もずっと一貫して無実を主張してきた人が、しかも逮捕時はまだほんの青年だった彼が、自分の無罪を主張するためとはいえ、いろいろ証拠をでっち上げて刑事を誘導するかな、ということ。
証拠がでっち上げとバレた時点で「やっぱり冤罪じゃなくて、真犯人だったんじゃないか」と思われて終わりじゃない?
しかも、真犯人だったみたいだし。(ここの部分も、はっきりそうだという決め手が私には読み取れなかったから、もしかしたら読みまちがっているかもしれないけれど)

あと、周囲の人々の証言がみんな、彼が犯人であるだろうという前提で、悪いことしか言ってないけど、もともと彼女が彼のどこを好きになったのかが不明のまま、と作中で言っているにもかかわらず、不明のまま終わるのもフェアじゃない気がしました。

あと、アメリカの独立記念日のアリバイについて、ノルウェーとアメリカの時差の関係で、カレンダー的にはアリバイが成立するけれど、実は違う時間帯の出来事だったんじゃないか、と考えましたが、それは考え過ぎだったようです。
え?本当に?
ここも、問題なしという証明がなされていないので、もやもやが残ったまま。

結論としては、最後まで読んでも納得感はなかったです。ごめんね。

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2023年09月10日

Posted by ブクログ

地味だけどカッコイイ!丁寧で本職刑事の捜査を体験できる、警部ヴィスティング・シリーズ第四弾 #疑念

■あらすじ
休暇中のヴィスティング警部のもとに一通の手紙が届く。そこには事件番号と思われる数字のみが書かれていた。
その事件では少女が殺害されており、すでに犯人も逮捕されている。手紙に何らかのメッセージを感じた警部は、その事件を調べ始めるのだった。

■きっと読みたくなるレビュー
地味。鬼のように地味。
しかしこの地味さが本作の持ち味ですね。

まるで本職刑事になったみたいに、丁寧で実直な捜査を体験できる作品です。なにもミステリーにラノベ感抜群のキャラ刑事や、才色兼備なスーパー名探偵が出てくる必要はないですね。現実に居そうな真面目な刑事の捜査を追っていくだけで、十分しっかりと推理小説を楽しむことができます。

何と言っても主役のヴィスティング警部、これがカッコイイのよ。ホント普通の特徴のない、ひとり人間であり、ただの刑事である。しかしながら意思と信条をもって一手一手を指していく。決して正義は語らず事実を追っていく様は、頼りがいのある父親の背中を見るようです。

特に人間性が垣間見えるのは、娘の元夫と対峙するシーン、これは惚れる。私も親なので家族を守る難しさは分かっているつもりです。やるべきことを淡々と進める姿勢に痺れました。

そしてこの事件の真相ですよ…腹立たしい。久しぶりに怒りが沸々と湧き上がってきました。人間は確かに罪を犯す。経済的な事情、幼い時期の不幸、人間関係の軋轢など、いくばくかは私も理解できる。しかし本作の犯人は許せない。なにを基準に生きるべきか懇々と話したいと思いました。

作者が刑事だった時代に、実際にあった事件をもとに作られた未解決事件シリーズ。まだこれまでの作品が読めていないので、挑戦したいと思います。

■きっと共感できる書評
現代のネット社会において、世間をくすぐる情報が発信されるとすぐに炎上する世の中。本人と意図しない文脈で情報が拡散され、関係者はもちろん、様々な人たちが傷ついてしまう。

ただなにも全員が自分本位のことを主張しているのではなく、それぞれの正義感と公正基準が入り交じってしまうだけ。その結果、何が正しい判断かわからなくなるんですよね。

結局は自分自身で答えを出していくしかない。派手な行動より、本作の主人公のように、ひとつひとつ誠実に向き合っていくことが近道ではないのでしょうか。

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2023年08月23日

Posted by ブクログ

休暇中のヴィスティング警部に届いた封書には1999年の事件の番号が書かれていた。17歳女性の殺害事件で、元恋人が逮捕され刑務所に行った。ヴィスティングが担当していた事件の番号も封書で送られ、こちらも女性殺害事件事件で容疑者は獄中で死んでいた。もしかすると真犯人は別にいるのか?

面白かった。封書を送る者の意図、既に刑期を終え出所してるダニーというキャラ、1999年の捜査と現代の捜査の違いなど読みどころたくさん。北欧のミステリーにはご馳走が多し。

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2023年06月07日

Posted by ブクログ

CL 2023.5.19-2023.5.21
ヴィスティングが個人的に捜査を始めて上司に嫌がらせをされて、どうなることかと思ったけど、すぐに正式な捜査になり、ヴィスティングもその捜査に加わることになる。
こういう真っ当なところが好感持てるんだよなーこのシリーズは。

地味だけど飽きさせない、淡々と進んでいるようで起伏に富み、最後の最後まで真相を引っ張る。
読むたびに好きになる作者。

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2023年05月21日

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警部ヴィスティングの未解決事件四部作の最後の事件。今回は休暇中のヴィスティングのもとに、謎めいた手紙が届くところから物語が始まる(いい加減、個人情報や自宅のセキュリティを真剣に考えた方がいいぞ、ヴィスティング)。手紙に導かれるまま、ヴィスティングは過去に解決済みの少女殺人事件に注目する。調べるうちに幾つかの疑問点が明らかに。この事件は本当に解決しているのか。手紙の主に操られているような感覚を覚えつつ、ヴィスティングは過去の事件にのめり込んでいく。スティレルには「あなたが過去の事件を調べるたびに、予想もつかない事態が起きる」と軽口を叩かれる始末なのである。

いい!やはり、このシリーズはいい!何と言ってもヴィスティングの人物像がいいのである。彼には日本のミステリにありがちな超人的な推理能力も、変人じみたキャラ設定も、意味ありげな過去も、類まれな容姿もない。至って実直な中年オヤジであり、娘や孫を愛する家庭人である。捜査方法は現場百遍で堅実そのもの。繰り返し報告書をチェックすることも怠らない。これは自身も本警官だったという作者ヨルン・リーエル・ホルストのこだわりなのだろう。

本作のヴィスティングには、少しずつ変化が見られる。成長した部下の捜査に口を出すか迷ったり、このまま独り身でいいのかと考えたり、身体の不調が出てきたり…そう、我ら中年の悩みをヴィスティングもまた抱えているのである。そろそろ定年も近そうなヴィスティング。この先の彼を見てみたい。ぜひ、シリーズの続刊と、未訳の初期作品の翻訳をお願いしたい。

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2023年05月19日

Posted by ブクログ

〈ヴィスティング〉シリーズのコールドケース四部作のラスト。休暇中のヴィスティングに届いた差出人不明の数字の書かれた一枚の紙。昔に解決されている事件番号が記されていて、さらに別の紙も届く。解決されているはずのものを誰が調べて欲しいのか。そこから見えてくる当時の状況と事件の関係者たちのその後。地道な捜査の描写と終盤の展開の面白さが際立つ今作。コールドケース四部作はこれで終わりだけれどシリーズはまだ続いているらしいのでこの先も読めると嬉しい。

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2023年03月31日

Posted by ブクログ

このシリーズが無性に好きなんです。何故なのかなぁと考えると…

まず、抑制された筆致。淡々と事実が進む中で、じわじわと悲しみとか怒りが滲む。
犯罪もいつも、何かを考えさせられるケースが多い。
捜査手法も多様なやり方を駆使して、ラストに向けて加速して真実に到達するところは、痺れます。
大人向けのかっこいいミステリで、どこか観察日記みたいな、過剰な盛り上がりがないところも、とてもいい。
こういうミステリがもっと読みたい!

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2023年03月13日

Posted by ブクログ

<未解決事件四部作>の最後を飾るシリーズ第十五作目。異色作でもあった前作とは打って変わり、著者の持ち味である地味(誉め言葉)ながらも巧みで堅実な筋運びが展開される。翻訳も中谷友紀子さんによる原書からの直訳に戻っており、最後を飾るに相応しい仕上がり。今作ではリーネの活躍を見られないのが残念だが、定年を間近に控えたヴィスティングの進退が気になるところ。私的に今作を含む三作品は結局のところ「カタリーナ・コード」の完成度を越えられなかったが、次作以降も年一ペースで翻訳を続けてくれると非常に有難いです、小学館さん。

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2023年04月06日

Posted by ブクログ

ノルウェイの警察小説。ヴィスティング警部のコールドケースシリーズ最終作。
人間味のあるヴィスティング警部の地道な捜査がミステリーに留まらずに骨太小説としても楽しめた。

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2023年04月05日

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