【感想・ネタバレ】警部ヴィスティング 悪意のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

二人の女性を惨殺し刑務所にいる男トム・ケルが、三人目の被害者を埋めた場所を教えるとのことで、厳戒態勢でケルを現場に連れて行った。すると爆発が起こりケルは逃亡した。共犯者がいたのだろうか。

物凄く面白かった。

無駄のない冒頭からグッと引き込まれる。ケルを逃したのは果たしてヴィスティングの責任なのかという話や、先の読めない展開、全てが良かった。

0
2022年05月07日

Posted by ブクログ

 本書は、連続少女強姦殺人の凶悪犯の逃走という、まるで大団円のようなシーンで最初の100ページが費やされる。最初から手に汗握る設定である。凶悪犯に付き添い、割りを食う役が、我らが主人公ヴィスティングであり、撮影役を請け負うフリーランスの記者であり娘でもあるリーネが、共に冒頭の一大アクションに巻き込まれるという仕掛けである。

 何者かにより、予め計画されたこの闘争劇には、スタン・トルネード弾までが使用され、複数の警察官の重症者も出る。責任問題と事件の収束と、どちらの責任をも双肩に背負うことになったヴィスティングは、世間の耳目を集めるスキャンダラスな脱獄ショーに続く悪夢のような時間を過ごすことになる。

 事件が起こり、誰が犯人かを見極め、解決に至るという、いわゆるミステリーの定番から大きく外れ、本書はいきなりアクション小説としてのスタートを切り、それらの緊張感を伴うままに、過去事件の真相を掘削するという荒療治を行う、緊張感に満ち満ちた力作なのだ。

 もちろん巻置く能わずのノンストップ・ストーリーなので、最後の最後まで、真相に辿り着くための迷路は続く。緊張を緩めることなく読まされてしまう超娯楽作品の仕上がりと言えよう。

 巻末解説にもある通り、現役捜査官であった作者ならばこそ、およそあり得なさそうなアクションと緊張の連続シーンを、リアリズムとして描き切ることができるメリットは大きいように思う。

 下手をしたら子供騙しに陥りがちなトリッキー過ぎる事件とその行方についても、警察捜査の経験という固い地盤を持つ作者だからこそ、説得力のあるプロットに落とし込めているように思う。

 父と娘と、さらにその幼い孫娘と、だれもが見えない危険に曝されながらのリスキー・ホームドラマの要素を巻追う毎に高めながら、本書でもスリリングなエンディングや、意外な真犯人という結末等々、いつもながらのドラマティックな盛り上げぶりで、安定のエンターテインメントを作り出している。

 映像化してほしいほどにスリリングなアクション作品なので、今後のヴィスティング・シリーズの躍動ぶりにさらに期待したい。本書でも、切れ切れの捜査官スティレルと彼を中心としたハイテクな捜査ぶりには、捜査小説の現代性どころか未来をも感じる。

 また、とりわけスマホやその他オンライン機器、カメラ、動画解析技術等々、ハイテク機器が事件捜査に与える影響や効果は、より加速しているように思われる。今年はWOWOWでも『CSIヴェガス』の新ドラマが始まったが、科学捜査の技術スピードは速い。捜査新技術の作品への導入も1970年生まれの比較的若手作者であるホルストならではの特権と言えるかもしれない。未解決事件四部作最終作にも期待する。

0
2022年04月14日

Posted by ブクログ

翻訳が出ているうちの1作目はあまり印象に残らなかったが、2作目からじわじわと面白くなってきた。
丁寧に事件を追っていく様子が淡々と描かれており、地味なのだが全く飽きさせないのが凄い。

0
2022年04月12日

Posted by ブクログ

二人の女性に対する暴行・殺人・死体遺棄の罪で服役中の男が、第三の殺人を告白した。殺害した二人の女性と同時期に失踪したもう一人も自分が殺したという。
21年の禁固刑を言い渡されていたその男トム・ケルは、死体を遺棄した場所を自供する見返りに、世界一人道的だと言われるハルデン刑務所への移送を要求した。

ケルが供述した遺棄現場はラルヴィク警察の所轄区域内だった。主任警部ヴィリアム・ヴィスティングらが厳重な警備態勢を敷くなか、国際犯罪捜査局のアドリアン・スティレルや弁護士とともに、ケルが現場に到着した。

ケルには手錠と足枷がつけられていたが、二度も転んだため足枷が外された。自由を得たケルが一瞬の隙をついて走り出すと、直後手榴弾が爆発した。多数の警察官が負傷し混乱する中、ケルは姿を消す。
爆風に吹き飛ばされる直前にヴィスティングが見たのは、森へと走り去るケルだった。

過去に残虐な犯罪を繰り返してきたケルには、アザー・ワン──共犯者がいるとされていた。今回の逃亡にもその人物が関与したと確信した警察は、二人の行方を追い始めた。

今回はテンポのよいアクション編。今後も楽しみだが、まずは未翻訳分を出していただきたい。

0
2022年03月30日

Posted by ブクログ

「警部ヴィスティング」シリーズ。冒頭から引き込まれる展開でそこから一気読みの面白さなんだけれど、なかなか捜査が進まず物語が動かないその具合がとても好みで中盤あたりまでの遅々とした感じがいい。警察小説としての魅力とヴィスティングと娘のリーネの物語でもあって色々な角度から楽しめるシリーズ。ノルウェーではたくさん出ているらしいのでこの先もどんどん読めるようになると嬉しい。

0
2022年03月19日

Posted by ブクログ

趣きは前2作と異なるけど、余韻はいい感じ。
(1番最初のハヤカワ・ミステリのはあんまし記憶にないもんで)

0
2022年03月13日

Posted by ブクログ

ノルウェーの警察小説、ヴィスティング警部シリーズのコールド・ケース・カルテット3作目。

今回は少し違う雰囲気で物語が始まる。2人の女性への暴行・殺人・死体遺棄の罪で服役中の男トム・ケルが、第3の犯罪を告白。自供の裏付けのため、刑務所から搬送し、死体を遺棄したという現場を確認させることになった。しかし、当日の警備を任されたヴィスティングやスティレルたちの目をすり抜け、共犯者アザー・ワンの手引きで、ケルはまんまと逃走してしまう。ケルはどこにいるのか、アザー・ワンとは果たして誰なのか。警備体制の不備を指摘され、内部調査の対象となったヴィスティングは苦しい立場に置かれ、自身も己のとった行動を自責する。

人間の悪意を大きなテーマとして、物語は過去シリーズ中でも動きの大きい作品となっている。娘のリーネがやはり重要な役割を果たすが、本作ではいつも以上に暴走気味。今回、リーネを捜査に巻き込んだのは、なんと未解決捜査班クリポスの曲者スティレル。どうやら2人の距離が少し縮まりつつあるらしい。
しかし毎度ながら、身内のマスコミ関係者を捜査班に加えるのは不思議で仕方がない。ノルウェーではOKなのだろうか。周囲もまたリーネの越権行為には甘い。リーネを巻き込んだスティレルにヴィスティングが「どうしてリーネなんだ」と詰問するシーンがあるが、今まで散々一般人のリーネに捜査機密を漏洩してきたヴィスティングにそれを言う資格はないのでは…。

悪意というタイトルについては、そのテーマをもう少し深掘りしてほしかった。コールドケース4作目の訳出を待ちたい。

0
2022年12月11日

Posted by ブクログ

なぜ、警察にも撮影のプロがいるだろうに民間人で素人のリーネを使うのだろう。無理やり親子を事件に関与させている、そんなことが気になって物語に集中できない。

0
2022年09月23日

Posted by ブクログ

CL 2022.8.7-2022.8.9
正統派警察ミステリ。
地味だけど丁寧に描かれている。
娘のリーネがややうっとうしい。単に警察とは違う視点があったほうがいいということなんだろうか。
主人公の身内であり、警察とは一線を画す立場であり、非力な若い女性。どうにも座りが悪いのよねー

前2作より主人公たちの感情がよく出ていて輪郭がはっきりしてきた。
それにしても北欧ミステリの事件は、特に女性に対して凄惨で残虐なものが多いよね。

0
2022年08月09日

Posted by ブクログ

裏表紙の粗筋を読んで違和感を覚えた通り、今作は過去三作品に類を見ない派手な脱獄シーンから物語が始まる。勿論、堅実かつ丹念な筋運びは健在で、徐々に犯人へと肉迫する警察小説の醍醐味は十分に味わえるのだが、持ち味でもあった良い意味での地味さは薄れ、悪意を纏った犯人達のある種ステレオタイプな人物造詣に人間味も悲哀も感じられず、このシリーズならではの特色が希薄になった為、些か物足りない仕上がり。今作から訳者も変わり、翻訳も英訳版からの重訳となっているが、四部作完結編となる次巻以降の邦訳はやはり期待薄なのですかね…。

0
2022年04月20日

「小説」ランキング