中谷友紀子のレビュー一覧
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ノルウェーの人気ミステリ、警部ヴィスティングもの。
「猟犬」もとてもよかった、あのシリーズです。
ノルウェーの地方都市ラルヴィク警察の警部ヴィリアム・ヴィスティングは誠実な男。
24年前に失踪したカタリーナ・ハウゲンの事件をいまだに気にかけていました。
カタリーナ・コード(暗号)とは、台所に残されていたメモのことで、意味が解らないまま。
失踪した10月10日には、カタリーナの夫マッティンを訪ねて、語り合うのが習慣となっています。
ところが今年、行ってみるとマッティンは留守。
国家犯罪捜査局(クリポス)未解決事件班の捜査官アドリアン・スティレルがやってくる思いがけない事態に。
26年前のナデ -
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『猟犬』『カタリーナ・コード』といい作品を連打しているのに、昨年のこの作品を見逃してしまっていた。今春、新作が出たのを機会に順番に読まねば、との反省読書。とりわけ前作から版元を変えて翻訳出版となった本シリーズは続けての未解決事件四部作である。『猟犬』からは、ヴィスティングの娘リーネの立ち位置、職業、家族環境等が変わっているので、四部作まとめて邦訳とは小学館さん、グッドジョブ!
また『刑事ヴィスティング』(ドラマタイトルは警部ではない)の旧作二作(『猟犬』含む)を取りまとめたドラマ・シリーズをWOWWOWオンラインで視聴することができたので、同時に楽しませてもらっている。原作とはイメージ -
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人間に寄り添った小説、と巻末解説でミステリ評論家杉江松恋が書いている。ミステリ―国籍では珍しいノルウェイ。人口2万3千の地方都市ラルヴィクは著者の住む町でもある。ヒーローは初老の警部ヴィスティング警部。ジャーナリストの娘リーナは、組織的に対立に近い立場でありながら、作品の一方のヒロインでもある。
この地方都市にやって来たのは、出世頭であり冷血ぎみの手段を択ばぬ実績主義者の捜査官スティレル。鑑識技術の進歩により、27年前の未解決失踪事件の新たな証拠が出たという。ヴィスティング担当した25年前の別の未解決事件の被害者の夫がスティレルの第一容疑者として狙われる。マッティン・ハウゲンは妻が暗号を -
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すんごい本だった。最高。ぞっくぞくしてた。星100個ぐらい付けたいくらい。
上巻を三ヶ月くらい前に読んでそのときはレビューした通りニックが犯人の殺人事件なんだろうと、まんまーと単純に思ってた。下巻をついに買って、読んで本当によかったですわ
サスペンスなのかと思ってたら、最後の方、エイミーが戻ってきてからニックが逮捕に導くのかと思ったからつまらないなと思ったけど、最後の最後の終わり方は本当にサスペンスじゃなくてもう
男と女の関係、現代の夫婦関係、人間について
の話なのだと分かった。
最後の方ニックの父親が死んだときの記述「女に囲まれて死んだ」って文が、結局彼も女を毛嫌いしていたけど生死の力になっ -
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間抜けな男を翻弄する悪女を描いた作品と単純化すれば身も蓋も無いが、ひたすらに構成の巧さに唸る秀作だ。
早くも倦怠期を迎えた若い夫婦、夫は独白、妻は日記という交互の視点で語っていく。発端で既に妻は失踪し、その日記は過去のエピソードから始まっている。妻殺しの疑いを掛けられた夫の状況と、行方不明の妻の「いま」がいつ交差し、どのような過程を経て謎が解明されていくのかという構成の妙が冴える。さらに、極めて生々しい感情を互いに記録しながらも、読者には二人が果たして真実を語っているのかが分からない。極限まで各々追い詰めらていく男と女。その立場は時に逆転し、自己防衛の為の策は新たな暴力へと繋がり、事態をさら -
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一気読みできたので、良い正月となった。
たくさんの人に支持される小説がしばしばそうであるように、この小説もいろんな分野の共感スイッチがあった。
わたしのスイッチは、まず、ニューヨークと中西部の対比。自分自身も東京から地方の田舎町に移り住んでいるので、その価値観の相違、都会人の上から目線などが書きたてられている。西川美和監督も、北関東あたりの田舎町のねっとりした息苦しさを描くのがすごくうまいといつもうなるが、フリン氏もなかなかである。ジャンクな、あるいは野暮ったい食べ物、近くのモールで買う服、建売住宅、ウワサ好きの閉塞的な土地柄など、具体例をこれでもかと出してアメリカの田舎の退屈さ、醜さを訴え -
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2015.1.25父親がアルツハイマー、その世話をしていた母親が癌になり、化学療法が必要たとの知らせを双子の妹が、マーゴか、受け、ライターをクビになって生活が行き詰まっていたこともあって、ニック・ダンはニューヨークでの暮らしを捨て、故郷ミズーリの田舎町に帰ってくる。妻、エイミーは心理学者の両親が書いた児童小説シリーズ『アメージング・エイミー』のモデルになった都会的で美しい妻だった。妻の資産を元に「ザ・バー」という酒場を開く。最近、妻との仲は冷えきっていた。そして、二人の結婚記念日にエイミーは失踪する。荒らされた家の様子にただならぬ気配を感じたニックは警察に通報し、捜査を待つのだが…。
失踪当 -
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先が気になってページをめくる手が止まらない、なんて久しぶりのことで、読みながら歓喜の声をあげていました。「すごいぞ! これはすごい!」
『元雑誌記者のニックは、癌を患った母の看病のために妻のエイミーとミズーリ州に帰郷した。慣れない田舎暮らしでも順調な結婚生活を送っていたが、5回目の結婚記念日にエイミーが突然行方不明に。家族や近隣住民、警察が捜索を開始。すると愛妻家と思われていたニックに、少しずつ不審な点が現れる……』
この本の最大の魅力は違和感だと思います。 地の文は夫の一人称で、途中妻の日記が挿入されていますが、読み進めるうちに2人の話に食い違いがあることに気づきます。ジワジワと迫る違和