【感想・ネタバレ】鑑識写真係リタとうるさい幽霊のレビュー

あらすじ

幼い頃から幽霊が見えるリタは、その力ゆえに孤立し故郷のナボハ居留地を去った過去を持つ。一方で霊能力は鑑識の仕事に役立つ面も。霊が事件の手がかりを示すことがあるのだ。ある日、自分は殺されたと主張する被害者の霊が現れた。強い力を持つ霊に殺人犯への復讐を強いられたリタは独自調査を行うことに――

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Posted by ブクログ

ミステリードラマなどで鑑識のシーンをよく見るが、その中でも写真係を特に意識したことがなかったなあと読みながらしみじみと思った。何時間もかけて遺体や遺留品、事故の痕跡を何百枚、何千枚も撮り続ける仕事は大変なんてものじゃない。まして主人公のリタは更に幽霊が見えてしまう体質なので、霊となった彼らに取り憑かれ振り回されて、時には命も脅かされそうになる。理屈が通らない霊たちはうるさくて怖くて恐ろしいが、リタは逃げ出すことも出来ず、犯人探しをいやいや手伝うはめになる。
そして同時にナバホ族であるリタの生い立ち、居留地での暮らしが豊かに語られていく。霊が見えてしまうリタと、死者を縁起の悪いものとして捉えるナバホ族の考えが相反することから、家族や周囲は折り合いを見つけるのに苦労はするが、祖母をはじめ家族、友人たちが疲労困憊のリタに最後まで寄り添ってくれる。
ナバホ族の風習や、カメラの魅力にハマるところは読んでいて楽しく、一方で誰が味方か分からない事件の展開にはハラハラした。リタを主人公とした小説は、3部作の予定との事。ぜひ続きを読みたい!

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2024年09月10日

Posted by ブクログ

ぐらんぱと坊ちゃん孫って独特の関係性あると思うけど、同じようにぐらんまと嬢ちゃん孫も独特の結びつきがあって、それがぐわんぐわん伝わってきて、ばーちゃんに会いたくなる!

エンディングちょっと力尽きた感あるがしかし、一作目とはびっくり!すごか!

小説とはいえ随所にナバホ族の独自の信仰、死生観とかが描写されててめっちゃ興味深い!
やっぱ先住民て例外なくかっけー!

著者自身が16年間も実際に事故現場とかの映像撮影に携わってたってだけあって、表現がリアルで、遺体とか現場の風景がありありと浮かんでくる!ぐっ!

三部作予定ー!次作はよ!

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2025年03月26日

Posted by ブクログ

最初は、鑑識課の写真係のリタの非常に細かな現場の撮影とその解説から始まる。
その後は、死を恐れるナバホ族の出身のリタ。
「幽霊が見え、話すことができる」という彼女の能力はナバホ族にとっては受け入れることはできない。その辛い経験と事件の展望が、カメラの種類で各年代、事件の順にフォーカスされる展開が気に入りました。
リタが撮影を担当した事件展望は主に終盤に進んでいく。押しの強い幽霊に脅されながら、徐々に真相に迫っていく。
彼女の能力を受け入れてくれる友人や隣人。能力は受け入れなくても支えてくれる祖母やその祖母の友人、押しの強い幽霊に助けてもらいながら、解決していく姿がよく、面白かった。
リタの考え方が最後に少し変わったため、次作も読んでみたいと感じました。

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2024年09月21日

Posted by ブクログ

『鑑識写真係リタとうるさい幽霊』
著者 ラモーナ・エマーソン
訳者 中谷 友紀子

ようやく読み終えました〜
終盤にスリル感が押し寄せてきて、疲れました。(面白かったです)笑
読み応えあります。ただし、生々しいくらいの凄惨な礫死体や事件、事故現場の死者の姿が克明に綴られていますので苦手な方はご注意ください。キツイです。冷静に受け止められるのは、おそらくその描写が“創りもの“ではないからなのかと。著者の経歴に市警や民間会社でカメラマンとして16年間犯罪現場を記録したとあります。

タイトルと表紙のイラストから、ユーモアな作品なのかな?と勘違い、でも、あながちハズレではないんです。構成も上手いです。幽霊が見えてしまうナバホ族出身のリタ。職業が鑑識写真係と、大丈夫なのかしら?と思ってしまいますよね。第一章から事件は始まっています。

『訳者のあとがき』を交えながらストーリーをご紹介します。ある日、高速道路の跨道橋から落下した女性の礫死体の幽霊アーマ。アーマの死の真相を探るその物語の合間に、リタの生い立ちの章がはさまれていく。その交互に重なっていく物語が、大きな事件に巻き込まれていくリタの苦悩と疲労に寄り添うように描き上げていきます。
“緻密でダークな警察小説が展開されるかと思いきや、現れる幽霊たちは恐ろしくも賑やかで、物語はむしろ軽妙に進行していく。謎解きとおかしみと恐怖とスリルが絶妙にブレンドされ、総じてホラー・コメディ・ミステリとでも呼べそうな趣がある。“
まさに、そんな感じです。笑

幽霊が見えてしまうなんて、ホント、大変ですね、汗 序盤は淡々と、終盤はスリルやホラー地味た幽霊たち、そして事件の手に汗握る展開に、心臓が疲れました、、、。(事件はネタバレ厳禁で。)
 最終的にリタは自らをナバホ族の守りや付き纏ってきた幽霊たちに守られて穏やかなエンディング?と思いきや、、、続編がありそうな終わり方ですね〜笑 (著者もナバホ族出身とあります。温かみを感じるのはそういった背景にあるのかな〜と。)

あとがきによると、リタ・トダチーニ・シリーズは三部作が予定されているそうです。
現場の描写に疲れますが汗、一冊を読み終えるとその読み応えから、次作も気になります。
リタとおばあちゃん、好きですね〜

(少し補足しておきますね。)
自分の死の真相を突き止めて欲しいとリタに付き纏うアーマ。彼女は自分の死因が自殺となると、幼い娘に何も遺してやれないからと、母の愛情が執着させているのですね。執念です。その辺りも切ない事情があります。ただただ、うるさく怖い幽霊という訳ではありませんね。涙

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2024年09月03日

Posted by ブクログ

表紙のイメージと内容紹介から、幽霊が見える鑑識写真係リタが、事件の被害者である幽霊とバディを組んで事件解決に奔走するコミカルなミステリーなのかと思ったら、ガッツリシリアスだし、死体描写はリアルすぎて斜め読みしてしまうほどだったし、先住民差別のような社会問題も絡ませてあって、思っていたものとは違っていた。

主人公リタの鑑識写真係として仕事をしている最中に、被害者の幽霊たちに付きまとわれるパートと、先住民ナバホ族の血を汲むリタの半生のパートが交互に描かれる構成。
ナバホ族の人々にとって、死は近づけてはいけないもの。それが故にリタの幽霊が見え会話が出来る能力というのは、ナバホ族の祖母や居留地の人々にとっては気味の悪いものに映ってしまう。
なのにリタの半生は様々な死との遭遇であり、幽霊たちとの遭遇であった。そんな中で唯一、祖母、母、リタから受け継がれたのがカメラであり写真だった。

ミステリー要素、つまり事件の犯人としては幽霊たちの一人が指摘したこともあって早い段階で分かってしまうのだが、この幽霊たちが自分が殺されたその怒りと憎しみをリタにぶつけてしまうので、リタの体調も精神も追い詰められ、不可思議なリタの言動も幽霊のせいですとも言えず、休職を余儀なくされてしまう。
そんな中で、幽霊たちはタイトル通りうるさくつきまとわれ、刑事ではないリタがどう犯人を追い詰めるのかというのが見どころだろうか。

個人的には、祖母とリタとの絆が良かった。
また気休め程度にしか感じていなかった、居留地に棲む呪い師ミスター・ビッツィリーが本当はすごい人だと分かったし、大家のミセス・サンティヤネスが小うるさい人ではなくて、優しい人だと分かって良かった。

全体的には色々盛り込みすぎて、肝心の事件の方が大事件のはずなのにサクッと終わってしまった印象。
リタの側にも事件の側にも民族的差別が根底にあるというのは、結局アメリカは現代も変わっていないということだろうか。

訳者あとがきによると、シリーズらしく三部作が予定されているとのこと。ただ続きは読まなくても良いかな。

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2025年05月24日

Posted by ブクログ

タイトルや装丁のイメージだと、殺された幽霊と悶着しながら事件解決を図るミステリものっぽいのですが、読んでみるとその要素はとても薄く、主人公の幽霊が見えて「しまう」リタの複雑な半生と、死が傍にリアルにいることの辛さが前面に出た作品でした。

コミカルさはほぼなくて、幽霊もほんと「うるさい」という感じで……、ミステリとしては一つの証言でさくっと解決していくので付け足した要素のようにも感じました。

彼女に死んだ者が否が応にも寄り添ってくるために、救えなかった親しい死者への想いや苦しみがいつまでも割り切れない、そういった辛さは克明に描かれていたので、ミステリ要素を入れずにその方面で描ききってくれても良かったかなと個人的には思いました。

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2024年10月11日

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