金城一紀のレビュー一覧
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ネタバレ底辺男子高校生”ザ・ゾンビーズ”のどこまでも純粋な友情の話。学園モノによくある打算的だったり利己的だったりが一切なく、とにかくみんな強さ弱さ良さ悪さ含め友達の全てを真っ直ぐに愛している。三話一貫して語り手を担う「僕」も、常に直接的な言葉で彼らに対する愛を伝えている。舜臣の強靭さと差別意識をしっかり認めているし、アギーには抱かれたいし、萱野のことは大好きだし、”引きのない男”山下の様々なやらかしにも、むしろ一種の期待と尊敬を込めて受け入れる。だからその分、夭折する親友・ヒロシの快活なキャラクターとその喪失が時折とても苦しかった。弱冠18歳の少年がこんなにも早く身近な「死」を意識しなければいけない
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ネタバレ 購入済み
ドラマとは違う事件。
死者の側にも暴かれたくない秘密があったりして、被害者だからといって何でも話してもらえるわけではない所が深く考えさせられる作品。 -
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大切な人が死んだ。その死に関わってるやつがいる。そいつは今でも平然と生きてる。だったら、そいつをぶっ飛ばす!
よくある話。よくある物語。
悪を懲らしめるっていう"平凡"なお話。
それだけなら。
この『SPEED 』には、作者からのメッセージが込められていると思う。
アギーは言う。「こんなもんか、なんて思って闘いから降りちまうのは、ババアになってからでいいじゃねぇか」
自分がおかしいと思ったら、闘う。
ジジイババアになるまでは、闘う。
主人公の女の子を介して、ザ・ゾンビーズが読み手に尋ねる。
「で、おまえはどうするよ?」
負けちゃいそうになったときは、この本を読む返す。
ま -
Posted by ブクログ
「愛してるぞ」なんて、仲間に面と向かって言える奴らの物語。
登場人物はバカばっか。
市場最悪のヒキを持っていたり、シュショーになろうとしていたり、抜群なルックスとでかいアレが武器だったり。
バカだらけだから、やることも頭が悪い。
とりあえず仲間内で喧嘩したり、外の奴らと集団で殴りあったり、集団で学校をサボったり。
品なんてこれっぽっちも持ち合わせていない。
動機も単純。
女の子とお近づきになるため、仲間の借りを返すため、仲間に会いに行くため。
でも、それでも、カッコいい。
それは多分、全力だから。
本気で怒るし、本気で殴るし、本気でやる。
ザ・ゾンビーズのメンバーは、みんな全力で生 -
Posted by ブクログ
『犬神家の一族』の「佐清(スケキヨ)」が可笑しくて、ほかの本でその描写に行き当たるたび、笑ってしまった時期があります。スケキヨ死亡のシーンはご存じの方がほとんどでしょう。湖面からズボッと2本、突き出た足。かの有名な「波立つ水面から突き出た足」のシーンです。
この『SPEED』は映画化された『フライ,ダディ,フライ』(2005)と同じく、落ちこぼれ男子高校生たちが活躍する“ゾンビーズ”シリーズ第3弾です。ヒロインの女子高生を救うため、他校に侵入した彼ら。メンバーのひとりに必ず何かやらかしてしまう山下くんという子がいて、このときも見事作戦成功かと思いきや、山下くん、行方不明。発見された姿は「校舎