金城一紀のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
過去に読んだ入間人間の六百六十円の事情とは比べ物にならないくらい洗練された群像劇。
各エピソードそれぞれなにかしらの映画が出てくる。
"太陽がいっぱい"にて最後の数ページが段落下げされている内容、それは実際の龍一の話なのか、それとも主人公がもう会えない龍一に対して物語の中だけでも龍一を救おうと書いた物語なのか。
"ペイルライダー"は後半の演出がやりすぎかな?と感じたが、この恐怖演出のおかげでペイルライダーという存在をより際立たせるために成功している。
特に自分が読み込んだのは最終章"愛の泉"で、特にそこに登場する浜石教授の言葉がとても良かった。
「君が人を好きになったときに取るべき最善の方法は、その人のことをきちんと知ろうと目を凝らし、耳をすますことだ。そうすると、君はその人が自分の思っていたよりも単純ではないことに気づく。極端なことを言えば、君はその人のことを実は何も知っていなかったのを思い知る。そこに至って、普段は軽く受け流していた言動でも、きちんと意味を考えざるを得なくなる。この人の本当に言いたいことはなんだろう?この人はなんでこんな考え方をするんだろう?ってね。難しくても決して投げ出さずにそれらの答えを出し続ける限り、君は次々に新しい問いを発するその人から目が離せなくなっていって、前よりもどんどん好きになっていく。と同時に君は多くのものを与えられている。たとえ、必死で出したすべての答えが間違っていたとしてもね」
や
「easy come, easy go」 : 簡単に手に入るものは、簡単に手から離れていく
など。
また直接物語には関係してこないが、映画の豆知識やメタファーの説明も出てくる。例えば映画ショーシャンクの空にの挿入歌の説明など。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ底辺男子高校生”ザ・ゾンビーズ”のどこまでも純粋な友情の話。学園モノによくある打算的だったり利己的だったりが一切なく、とにかくみんな強さ弱さ良さ悪さ含め友達の全てを真っ直ぐに愛している。三話一貫して語り手を担う「僕」も、常に直接的な言葉で彼らに対する愛を伝えている。舜臣の強靭さと差別意識をしっかり認めているし、アギーには抱かれたいし、萱野のことは大好きだし、”引きのない男”山下の様々なやらかしにも、むしろ一種の期待と尊敬を込めて受け入れる。だからその分、夭折する親友・ヒロシの快活なキャラクターとその喪失が時折とても苦しかった。弱冠18歳の少年がこんなにも早く身近な「死」を意識しなければいけないなんて。
また、そんな彼らの周囲にいる大人たちも印象的。日常には顕在化しないまでも決してなくならない在日への差別と、その表象にも思える血の気の多いマンキー猿山。対称的に常に彼らの背を押し、ザ・ゾンビーズの結成のきっかけにもなる言葉をくれたドクター・モロー。日雇いの仕事をくれるランボーさん。全員様々なやり方で、多感な男子高校生に良くも悪くも「刺激」を与えている魅力的な人々ばかり。
”異教徒たちの踊り”のヒロイン吉村恭子は勿論、個人的には”ラン・ボーイズ・ラン”で初めて手を握ったロミオ役の彼女が好き。色々と誤解が生じたけれど(彼女に姉がいて、その姉の影響を受けているのは『GO』の桜井と共通している)同作の最後にはうまくいったようで何より。
会合とかストーカーを捕まえるとか、やっていることはいかにも無謀で子供っぽいんだけど、とにかく溢れんばかりの友情と熱意でずっと汗と涙にキラキラし続けている小説。かつ極限まで薄められているけれど(だから「深く考えさせる」ってほどくどくない、本筋の邪魔をしてない)、同時に確かにそこに存在している人種差別や在日問題が時折顔を覗かせるという点が、他の少年向けのYA小説と一線を画している感じ。そう、ここの「時折」度が物凄く現実に即しているのだ。間違っても表面化しない、それどころか現代日本ではある意味タブー視さえされているのに、「ないもの」として無視することは叶わないというギリギリのラインを狙っているというか。
なにがあっても踊り続けるんだ。
この「なにがあっても」に物凄く色々な事柄が詰まりまくっている。続編も是非追いたい。 -
ネタバレ 購入済み
ドラマとは違う事件。
死者の側にも暴かれたくない秘密があったりして、被害者だからといって何でも話してもらえるわけではない所が深く考えさせられる作品。 -
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大切な人が死んだ。その死に関わってるやつがいる。そいつは今でも平然と生きてる。だったら、そいつをぶっ飛ばす!
よくある話。よくある物語。
悪を懲らしめるっていう"平凡"なお話。
それだけなら。
この『SPEED 』には、作者からのメッセージが込められていると思う。
アギーは言う。「こんなもんか、なんて思って闘いから降りちまうのは、ババアになってからでいいじゃねぇか」
自分がおかしいと思ったら、闘う。
ジジイババアになるまでは、闘う。
主人公の女の子を介して、ザ・ゾンビーズが読み手に尋ねる。
「で、おまえはどうするよ?」
負けちゃいそうになったときは、この本を読む返す。
また、闘うために。 -
Posted by ブクログ
「愛してるぞ」なんて、仲間に面と向かって言える奴らの物語。
登場人物はバカばっか。
市場最悪のヒキを持っていたり、シュショーになろうとしていたり、抜群なルックスとでかいアレが武器だったり。
バカだらけだから、やることも頭が悪い。
とりあえず仲間内で喧嘩したり、外の奴らと集団で殴りあったり、集団で学校をサボったり。
品なんてこれっぽっちも持ち合わせていない。
動機も単純。
女の子とお近づきになるため、仲間の借りを返すため、仲間に会いに行くため。
でも、それでも、カッコいい。
それは多分、全力だから。
本気で怒るし、本気で殴るし、本気でやる。
ザ・ゾンビーズのメンバーは、みんな全力で生きている。全力で目の前の敵と戦っている。
ボロボロになっても、ボコボコにされても、必死で。
そんな姿がカッコいい。
男だったら、間違いなく憧れる。
俺が女だったら、間違いなく好きになる。
一番好きな作家の、一番好きな小説。 -
Posted by ブクログ
『犬神家の一族』の「佐清(スケキヨ)」が可笑しくて、ほかの本でその描写に行き当たるたび、笑ってしまった時期があります。スケキヨ死亡のシーンはご存じの方がほとんどでしょう。湖面からズボッと2本、突き出た足。かの有名な「波立つ水面から突き出た足」のシーンです。
この『SPEED』は映画化された『フライ,ダディ,フライ』(2005)と同じく、落ちこぼれ男子高校生たちが活躍する“ゾンビーズ”シリーズ第3弾です。ヒロインの女子高生を救うため、他校に侵入した彼ら。メンバーのひとりに必ず何かやらかしてしまう山下くんという子がいて、このときも見事作戦成功かと思いきや、山下くん、行方不明。発見された姿は「校舎脇の植え込みに、逆立ちするみたいに頭から刺さっていた」。メンバーの声にふきました。「スケキヨを助けに行くぞ!」
こんなピンポイントな感想ですみません。(^^; -
Posted by ブクログ
霊能×刑事系でもズバ抜けて、読み手にインパクトを与える作品だった
『おっとり捜査』を描いた小手川先生だからこそ、金城先生のレベルの高い原作に潰されず、それどころか、逆に金城先生自身も気付いていなかった『BORDER』の魅力を引き出せたのだろう。ホント、相性って大事だな
正義と悪の境界線、刑事と犯罪者との境界線、そして、生者と死者の境界線
多くの越えてはいけない一線を、大きくないが、いつまでも頭の芯に残る声で問うてくる漫画だった
ドラマ版のラストも衝撃的だったが、この漫画版も結構、キツいので注意
曲げられなかった信念が、行ってはならない「あちら側」へ向かって背中を押してしまうのだから皮肉なもんだ
石川の最期を見たかった、そう思う反面、この作品はこの終わり方でこそ読み手を納得させる、と思う。なので、あえて、続編は求めない・・・・・・出たら読むと思うけど
あとは、小説版だけか。きっと、ドラマ版と漫画版と違う最後になっているのは確かだろうけど、ショックに耐えられるかなぁ。少々不安
この台詞を引用に選んだのは、時に人間は、自分でも何故、そうするのか、解からない行動を取る時がある。けど、解からないからこそ、迷わずに誰かのために、無茶な行動を出来る。それが人間の強さなんだろう