金城一紀のレビュー一覧
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ネタバレタイトル通りのスピード感とテンポに乗せられて、あっという間に読み終えてしまった。主人公の佳奈子はごく普通の、どこでもいる高校生。日常に対して特に不満を抱いていなかったが、家庭教師の死、『ゾンビ―ズ』のメンバーと出会いを機に変わっていく。その様子は、萎れていた植物が、水をもらい生き生きとするような、瑞々しさがあって、気持ちがよかった。
「頭で納得できても心が納得できなかったら、とりあえず闘ってみろよ」
は、登場人物の言葉だが、私たちは「こんなもんか」「しょうがない」と思うことがなんと多いことだろう。
佳奈子のように、あることがきっかけで、当たり前と考えてきたことに対して、疑問を持つというのは、震 -
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この小説は僕の人格を形成する上で多大な影響を与えてくれたものです。もし、これを読まなかったら、僕は新大久保をはじめとするコリアンタウンや、新宿歌舞伎町のコリアンよりの界隈には足を運ばなかったです。
先日久々にこの小説を読み返しました。思えばこれをはじめて読んだのは19歳のころで、後に僕が新大久保や新宿歌舞伎町のコリアンタウンよりの界隈をうろつくようになったのは、この小説の影響が大きかったんだなと、その影響の大きさに改めて気づかされました。
物語は彼の父親から、「広い世界を見ろ、そして自分で決めろ」といわれ、「在日朝鮮人」から「在日韓国人」へと国籍を変え、自分が今までいた民族学校を飛 -
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『太陽がいっぱい』と『ドラゴン怒りの鉄拳・前編』が描かれた映画篇1は小説を読んでいると二倍楽しめる作品になっていました!自分が好きなのはどちらかというと『太陽がいっぱい』です。(ドラゴン怒りの鉄拳はまだ後編が残っていますし、、、笑)主人公の僕と親友の龍一(リョンイル)は無類の映画好きで在日朝鮮人で父親がいないという共通点を持っており、気の合う二人は小学生の頃から親友でした。しかし龍一は継父の虐待が原因でだんだんと逃げ場が無くなり、暴力を振るう毎日に。一方、僕は小説家になる夢を叶えるために龍一とは違う高校へ。二人の距離はおのずと遠くなっていき、最終的には全く会わない状態に。その後、龍一は高校を中
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ネタバレ昔どハマりしたゾンビーズが帰ってきた。
ゾンビーズシリーズだとSPEEDが一番好きであの疾走感がたまらなく好きだった。
今作はゾンビーズが高校卒業し解散後の話であり、南方以外のメンバーは出てこない。
また、要所要所で過去作の登場人物や事件についても出てくるので過去作を読み返してたらもっと話にのめりこめて楽しめたかもしれない。
前作を読んでからかなりの時間が経ったとは言えやはりゾンビーズメンバーの活躍が見たかったのが本音であり、今作は前作ほど疾走感もない気がする。
とはいえ、話は面白く一気に読んでしまったのでシリーズを読んでた人にはお勧めできる作品。
作者のnoteに続編を書く準備を -
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ネタバレ本作『GO』は、在日コリアンの主人公・杉原が民族の壁に葛藤しながらも、ヒロインとの出会いを経て成長していく青春物語。筆者金城一紀氏は在日コリアンとして生まれ、慶應義塾大学を卒業。本作で第123回直木賞を受賞。彼の作品には、映画化・ドラマ化されたものも多く、『GO』もその一つ。
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いやあ、良かった。
甘酸っぱい青春小説という要素をふんだんに取り入れながら、そこに正面から民族・出自の問題を取り扱っているところがわたくし的には琴線に響きました。
同じ日本生まれ・日本育ちでありながら、国籍が違うだけで差別される現実。
その現実を半自伝的に捉えた本作は、ほとんどの読者を当事者に置かせること -
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ネタバレ朴舜臣
パクスンシン。在日朝鮮人の高校生。佳奈子が襲われているところを助けた。高三。停学中で土方のアルバイトをしていた。
南方
岡本佳奈子
十六歳。聖和女学院の女子高生。割りと有名なお嬢様進学校。
ママ
毎年十一月に習い事を始める。
上原彩子
都内の有名私立大学の四年生。家庭教師。校舎から謎の飛び降り自殺をした。
谷村
ゼミの教授。
パパ
南田
スーパーハイミスと呼ばれている担任。
中川
彩子と法学部の同級生。永正大学。
麻生
永正大学商学部一年。佳奈子を襲った。
萱野
山下
咲子
佳奈子と仲が良かったがシカトする。
絵里
佳奈子と仲が良かったがシカトする。
アギー -
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ネタバレ鈴木一
四十七歳のサラリーマン。東京生まれの東京育ち。大手家電メーカーの子会社の経理部長。渋谷から私鉄の急行で四十分ほどの新興住宅地の一軒家に住む。結婚生活二十二年目。
夕子
一のひとつ年下の妻。大学のサークル《映画研究会》で知り合って結ばれた。
鈴木遥
一の娘。十七歳。新宿区の女子高・聖和女学院に通っている。渋谷の街を徘徊していた時、ある高校生と偶然出会い、誘われて一緒にカラオケボックスに行く。些細な理由で諍いを起こし、男のほうが遥に手を上げた。
藤田
一の同期であり直属の上司。
平沢章吾
海南高等学校の教頭。
安倍
海南高等学校の教諭。
石原勇輔
海南高等学校ボクシング部。高校 -
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最初は、ちょっと風変わりな高校生たちの冒険を「山下はやっぱり山下だなあ」とほほえましく見守りながら読んでいるのに、気づけば物語はギアを上げて加速し、終盤はまるで風を切って駆け抜けるような爽快感があります。
ページをめくる手が止まらず、読後には心地よい余韻が残り、毎回読んでよかったと思わせてくれるシリーズです。
印象に残ったところ
将来の可能性をきちんと見据えるんだ。一時の感情に流されて浅はかな選択をすると、人生が台無しになってしまうんだぞ
いまの学校にいてわかったことがあるんだ。なにかが間違ってるのに、それが当たり前になってたら、そのままにしておいちゃいけないんだ。間違ってるぞってちゃん -
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金城一紀が好きだ。柚月裕子、伊坂幸太郎、道尾秀介、福澤徹三、町田その子、花村萬月。好きな作家さんはたくさんいるが、金城一紀が一番好きかもしれない。
とにかく文体がいい。なんとなくキザに聞こえてしまう言い回しも、微妙にそう思わせないでいてくれるし、ヤンチャな男の子の一人称が『僕』ってのもいい。そして表現だ。このゾンビーズシリーズには『とろけるような笑み』って表現があるけど、それがとにかく好き!
前作『レボリューションNo.0』でもう終わりなんだろうなぁと思っていたから、とにかくこの『友が、消えた』が出たのを聞いた時には耳を疑った。それにしても、色んなことを忘れている。ただ、前回までの内