金城一紀のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この小説は僕の人格を形成する上で多大な影響を与えてくれたものです。もし、これを読まなかったら、僕は新大久保をはじめとするコリアンタウンや、新宿歌舞伎町のコリアンよりの界隈には足を運ばなかったです。
先日久々にこの小説を読み返しました。思えばこれをはじめて読んだのは19歳のころで、後に僕が新大久保や新宿歌舞伎町のコリアンタウンよりの界隈をうろつくようになったのは、この小説の影響が大きかったんだなと、その影響の大きさに改めて気づかされました。
物語は彼の父親から、「広い世界を見ろ、そして自分で決めろ」といわれ、「在日朝鮮人」から「在日韓国人」へと国籍を変え、自分が今までいた民族学校を飛び出して、都内にある「ビーバップ・ハイスクール」のような男子校に入学する。
そんな杉原君の話です。そこで最初にけんかを売ってきて、灰皿で叩きのめした親友でやくざの息子の加藤から誘われた誕生パーティ会場でであった桜井椿との出会いが物語の「軸」です。
物語のあらすじこういう感じですが、作中に目いっぱい詰め込まれている本や映画や音楽のラインナップはものすごい情報量で、一人の人間があれだけの量を見るのは経験則から考えると、それこそ映画、読書、そして音楽鑑賞以外のことは何もしないという生活を2、3年やらないとここまでの蓄積はできないと思っています。
僕にとって一番印象に残っている部分は夜の公園で、父親と対決するシーンで、自らの血で目潰しを仕掛け、子供を完膚なきまでに叩きのめす父親の姿にまず圧倒され、
「汚ねぇぞ…」
と返す杉原に
「悪いな。俺たちはこうやってどうにかこうにか勝ちを拾ってきたんだ。いまさらやり方を変えるわけにはいかねえんだよ」
といってのける父の姿が圧倒的にしびれる場面でした。
映画版では父親を俳優の山崎努さんが演じていましたが、僕はこのシーンを見るためだけに、何回もDVDを見直していたことを思い出します。
桜井との恋の話よりも僕にとってはこっちのほうが面白くて、こういう書き方になりましたが、さまざまなテーマを持った上で、疾走間を保ち続ける小説は稀有なものだと考えています。 -
Posted by ブクログ
『太陽がいっぱい』と『ドラゴン怒りの鉄拳・前編』が描かれた映画篇1は小説を読んでいると二倍楽しめる作品になっていました!自分が好きなのはどちらかというと『太陽がいっぱい』です。(ドラゴン怒りの鉄拳はまだ後編が残っていますし、、、笑)主人公の僕と親友の龍一(リョンイル)は無類の映画好きで在日朝鮮人で父親がいないという共通点を持っており、気の合う二人は小学生の頃から親友でした。しかし龍一は継父の虐待が原因でだんだんと逃げ場が無くなり、暴力を振るう毎日に。一方、僕は小説家になる夢を叶えるために龍一とは違う高校へ。二人の距離はおのずと遠くなっていき、最終的には全く会わない状態に。その後、龍一は高校を中退しヤクザの道へ。僕は一時的にサラリーマンになったものの、本来の小説家になる夢を果たせずにいました。そんなある日、龍一からの突然の電話で二人の運命は急速に変わっていき・・・、最後には小説にもなかった二人のその後が描かれています。とても意外な結末だったので正直驚きました。笑
秋に出る映画篇2も期待大です! -
Posted by ブクログ
多分二度目かな。読むの。
2007年7月の本。
筆者は僕とほぼ同年代。近い地域で生まれたのかな。
あんまりほんとのとこを体験したことはないけど、「差別」やそれに対する反作用の凄さも耳にはしていた。
世の理不尽が、文化や文学を高めるために不可欠、という話は太宰治さんも何かの本に書いていた。
「昇華」というのだろうか。
言葉にすると簡単だけど、普通はそうはならない。
でも、時折そんなことがかたちになることがあるのか。この本にはそんな匂いを感じた。
踏み躙られた痛みが、優しさや強さになること。
多分、同じ時代を同じような地域で生きていないと
嗅ぎ取れないものな気がする。
まず第一に、僕の錯誤でしかないかもしれないんだけど。
「いまでも、僕はこの日のことをよく思い返し、こう考えてみる。もし、こんなひどい茶番劇に巻き込まれなければ、僕と龍一はもっと早く友だちになれただろうか、と。
逆に、この日の出来事が結果的に僕と龍一の結びつきを強くしたのではないか、と。」
p19
友人になるきっかけは、なにか強い嫌なことを共有することからも始まることがあると思う。
石地蔵、激しすぎる良い子ちゃん合戦。
それだけ記しても誰にも伝わらないが…
「準備のできていない人間の前では好きな人は転ばないのではないだろうか。」
P380
出会いについての話。レトリックにすぎないといえばそのとおりだが、後から思えばそういうことだったんだと、素直に思う。人との出会いに限ったはなしでもないけど。そう思うことで、気持ちよく得心できるように思う。 -
Posted by ブクログ
──あがけ、もがけ、闘え。
オチコボレ男子校を卒業を機に、それぞれが己の道をあゆむために解散したゾンビーズ。
彼らとの約束のために大学生となった南方。退屈なある日「行方不明になった親友をさがしてほしい」と依頼される。
高校生の頃の仲間はもういない。それでも、南方は己が培ったもの全てで闘う。
ゾンビーズ時代の無鉄砲さや馬鹿さは少なくて、言動の端々に成長を感じさせる。
読み進めは少し寂しかったけれど、時折大切な友人たちの影が感じられて、南方のなかであの馬鹿馬鹿しくも眩しい日々がちゃんと大切なのが伝わってきてグッときた。
かわっていくもの、かわらないもの、すべて抱き締めて生きていく。 -
Posted by ブクログ
一時期金城一紀さん読んで大好きだった。しばらく小説は執筆してなかったようですが、この度ゾンビーズシリーズの続編が出たとのことで、早速読みました。読み始めてすぐ、懐かしいハードボイルド小説だなぁ!と思いました。でも、ただのカッコいい男の子がカッコよく活躍するだけのハードボイルド小説ではありません!行方不明の友だち(の友だち)を追っていくうちに、人間の欲望や、社会の裏側が垣間見えてくる。
私も自分で選んだ気になって、実は誰かに欲望を掻き立てられて欲しいと思わされたり、満足した気にさせられたりしてるだけ、なんてことがたくさんあるんだろうな。ちゃんと自分の目で見て考え、正しいことを選んでいきたい。
主人公の南方は、損得に関係なく、友を助け、目の前の悪事と対決しようとする。悪事にも色々あって、小さいものから大きいものまで、自分の欲望のための悪事もあれば、人の欲望を操って利益を得るものも。悪事なのに何故か社会に浸透して多くの人が悪いと気づかないものも。
この数年で、マスコミ業界からセクシュアルな問題で姿を消してしまった大物がいるけど、そういう時代背景も踏まえた小説なのかな。世の中が、真っ当な方向に変わっていきますように。そのためにも南方くんこれからも頑張ってください。