凪良ゆうのレビュー一覧
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読み終わったあと、しばらく動けなかった。
「汝、星のごとく」は、いわゆる綺麗な恋愛小説じゃない。
むしろ、どうしようもない現実の中で、それでも誰かを想ってしまう人間の弱さと強さを突きつけてくる作品だった。
環境とか、家族とか、選べないものに人生を引っ張られながら、それでも「誰かと生きたい」と願ってしまう——その感情があまりにもリアルで苦しい。
タイトルの“星”は、手の届かない存在の象徴なのかもしれない。
近くにいられなくても、消えることはない。むしろ遠いからこそ、ずっと残り続ける。
読後に残ったのは、温かさというより、静かな痛み。
でもその痛みが、確かに「生きている実感」だった。
たぶんこれは -
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こんなにも重たくて、丁寧で、美しい。本作や『流浪の月』など、凪良ゆうさんの作品はいつもそういった印象だ。元々BLを書かれていたそうだけど、同性愛はつながることができないからこそ言葉がとても多い印象だ。そこから今に至るのかなと思う。ここまで人の感情を丁寧に丁寧に紐解くことができるなんて。
櫂が言うように、きっと凪良さん自身もこの作品を書いていて痛くて痛くて仕方なかったのではないだろうか。それを思うと苦しい。櫂と尚人と同じくクリエイティブな世界に、そして文章を書く世界にいるが、書くという作業ら本当に本当に痛い。どうでもいいWEB記事は痛くない。自分を切り出して書くことこそが痛くて仕方がない。痛い -
Posted by ブクログ
この本を読んでいるときに感じた既視感は朝井リョウの「正欲」だった。
題材に近しいものがあるからかもしれないが、ノーマルとされるものから外れる悲しさと疎外感、怒り、苦しみ、などが描かれ、アンチテーゼを突きつけられる感覚が似ていると感じたのだと理解。
解説で、この物語が何を描いているのかが分かりやすく整理されていた。
他人が嫌がることはしない、が自分が嫌だと思わなければ他人にもして良いということではない、というのは大変耳に痛い。
優しさでしたことは批判の対象にならない、という自分勝手で無責任な振る舞いを自分もしたことがあるはずだ。
常に他者の背景を読み取って行動をする、発言をすることは不可能に近い -
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ネタバレ去年初読していたけど映画化の話を聞き再読。
高校生のときから重い荷物を背負され、早く大人にならざるを得なかった恋人たちの十数年に渡る夕星のような恋物語。
子どもは親も生まれる環境も選ぶことができない。私自身も2人とは違う荷物ではあるけど、たくさんの荷物を背負って早く大人にならざるを得なかった過去があって、暁海と櫂への共感が読むたび湧き出て止まらなくなります。
作中では2人の生い立ちをヤングケアラーという言葉で表しているのですが、2人のなかに育った肉親への利他的で自己犠牲的な思考パターン、行動規範は大人になってからも様々なところで2人の人生を蝕み苦しめ続けます。(自分のために自分の人生を生き -
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『汝、星のごとく』感想
美しい文体と、高い解像度で描かれる登場人物たち。
置かれた環境を変えることの難しさの中で、苦しみ、もがきながら成長し葛藤していく姿が丁寧に描かれている。全体を通して見たときの物語構成の美しさも印象的だった。
物語は櫂と暁海、2人の視点が交互に描かれていく。
京都から瀬戸内へ越してきた櫂と、瀬戸内で生まれ育った暁海。どちらも複雑な家庭環境を抱え、島という閉鎖的なコミュニティの中で“消費される側”にいる。そんな孤独を抱えた2人が惹かれ合うのは、ごく自然な流れに感じられた。
高校卒業後、漫画家を目指して東京へ出た櫂と、母を案じて島に残ることを選んだ暁海。
同じ環境にいた