佐々木敦のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
浅田彰「構造と力」を起点として2020年代までのニッポンの思想を鳥瞰できる一冊。とはいえ、著者の解釈がふんだんに盛り込まれており淡々と歴史を述べていくだけの解説書とは異なり、熱量を感じさせる。
2025年も年の瀬の現在。果たしてニッポンの思想の行く末はどうなっていくのかと思慮してみる。本書では千葉雅也と國分功一郎という二大スターを終点としているが、彼らはともに70年代生まれ。昨今80-90年代の思想家・批評家・文筆家の台頭が著しいと一種の期待感も込みで感じている。
言わずもがな文芸評論家にしてマルチ活動目覚ましい三宅香帆や谷川嘉浩、戸谷洋志などが頭によぎる。その他人文書を読んでいると同世代 -
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Posted by ブクログ
良質なブックガイドである。
参照される作家たちの書くことへの向き合い方、そこから生み出される唯一無二の作品。通り一辺倒のビジネスライティングでは感じられない、滲み出てくるその人らしさを味わうこと、さらには本書の読者である私たちにもその独自性はすでに備わっているのだよ、という。
著者の執筆スタイルである「書きながら読み返す、修正を行う」は、自分の文章の初めての読者としての書き手との共同作業。さらには想定読者たちとも作品のその先を紡ぎつづけていく。書くこととは、始まりから終わりがある一過性のものではない。そのような感じ。
直近で三宅香帆『「好き」を言語化する技術』を読んで、本書との親和性を感じ -
Posted by ブクログ
文章を書くということについて、特に「表現」について、章ごとに異なるテーマで編まれている。
最初の数章はいかにも哲学という趣で、新書ながらやや敷居の高さを感じたが、具体的な文章作法がテーマとなる中盤は読みやすくなる。
最初の数章は決して読者を篩い落とすためのものではなく、この書のスタンスを明らかにするためのものだったりするので、確かに最初に読むのが適当ではある(こうした議論が好物の読者もいるだろう。私も実は好み)が、気になる章だけ読んでも良いだろう。
ビジネスに必要とされる「伝達」のための文章の書き方ではなく、表現するための文章の書き方が主題。
ここ最近の「言語化」ブームの流れを一部汲んでいる -
Posted by ブクログ
書店で目に留まり、帯の推薦文で購入に至ったもの。著者については、以前、文学史や思想史についての新書を読んだことはあるけど、そんなにはっきりした好悪などは印象に残っていなかった。でも本作は素敵。何か書きたいことがあって手に取ったものではないけど、それでも、モノを書くことに対する気構えみたいなのは変わった気になっちゃう。そんな簡単なものではないけど。主題からは離れるけど思わず首肯してしまったのは、同じものは基本的に読まず、多少なりとも違った別のものを読んでしまう、ってところ。基本的に、同じものを繰り返し丁寧に、っていう考えが大勢を占める中、確実に少数派であろうこの意見を目にすると、俄然嬉しくなっち
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