【感想・ネタバレ】「書くこと」の哲学 ことばの再履修のレビュー

あらすじ

読み終えると、なぜか「書ける自分」に変わっている!
37年間、書くことで生きてきた著者が明かす、技術よりも大事な思考と実践。

書くことは考えることーーあなたはなぜ「書けない」のか?

千葉雅也氏、推薦!
「より自由に書くための基礎理論がここにある。
僕も何度も読み返すことになるだろう。
何かを書こうとするすべての人にお薦めする」

<本書の内容>
第一部 「書けなさ」から脱出するためのマインドセット/マインドハック

第一講 日本語を「外国語」として学びなおすこと
第二講 「ことばにできないもの」はどこにあるのか?
第三講 書いてはならない?
第四講 上手な文章、下手な文章
第五講 ことばの多様性
第六講 ロジックとレトリック
第七講 話し言葉と書き言葉
第八講 反射神経について
第九講 スローライティング
第十講 ことばと思考

第二部 書き終えるまで

第十一講 書き始めるまえに
第十二講 書き始めるために
第十三講 書き進めるために
第十四講 書き続けるために
第十五講 書き終えるために
第十六講 書き終えたあとに

補講一 人称について
補講二 外国語について
「書くこと」の倫理について──あとがきを兼ねた補講三

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Posted by ブクログ

様々な例が挙げられており、また一つ読みのポイントを見つけられた。
とりわけ「第七講 話し言葉と書き言葉」が興味深い内容だった。

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2025年09月30日

Posted by ブクログ

良質なブックガイドである。
参照される作家たちの書くことへの向き合い方、そこから生み出される唯一無二の作品。通り一辺倒のビジネスライティングでは感じられない、滲み出てくるその人らしさを味わうこと、さらには本書の読者である私たちにもその独自性はすでに備わっているのだよ、という。

著者の執筆スタイルである「書きながら読み返す、修正を行う」は、自分の文章の初めての読者としての書き手との共同作業。さらには想定読者たちとも作品のその先を紡ぎつづけていく。書くこととは、始まりから終わりがある一過性のものではない。そのような感じ。

直近で三宅香帆『「好き」を言語化する技術』を読んで、本書との親和性を感じた。三宅は推しに対する漠然とした好きという気持ちを、自分のコアな部分から表出し表現できることで自分への理解度が高まる、推しへの愛が自分に還元する大切さを語っていたと思う。
本作は、具体的な目的に向かうことは強調されず「書くこと」や「表現言語」とは何かという根幹部分を見つめ直している。
この二つのいいとこどりで、私は「推し」への愛を語りながら自分のことばの私らしさへの発見も同時に画策していこうとモチベるのです。

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2025年08月25日

Posted by ブクログ

文章を書くということについて、特に「表現」について、章ごとに異なるテーマで編まれている。
最初の数章はいかにも哲学という趣で、新書ながらやや敷居の高さを感じたが、具体的な文章作法がテーマとなる中盤は読みやすくなる。
最初の数章は決して読者を篩い落とすためのものではなく、この書のスタンスを明らかにするためのものだったりするので、確かに最初に読むのが適当ではある(こうした議論が好物の読者もいるだろう。私も実は好み)が、気になる章だけ読んでも良いだろう。

ビジネスに必要とされる「伝達」のための文章の書き方ではなく、表現するための文章の書き方が主題。
ここ最近の「言語化」ブームの流れを一部汲んでいるのだと思うが、より文芸的な表現もカバーしているところに特色がある。
ビジネス的な情報の伝達を目指した時には悪手とされがちな書き方も、身体感覚や感情・感覚を表現する方法としては意味を持ちうることがさまざまな文章例から示される。(もちろん、ある程度の計算や、全体の設計や技法があって成立するものではありそうだが)
文章の「上手さ」は単純な数直線的評価軸によって測れるものではなく、もっと自由で多様性があるものだと示されることによって、書けと促されたわけでもないのに文章を書きたくなる。

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2025年08月25日

Posted by ブクログ

書店で目に留まり、帯の推薦文で購入に至ったもの。著者については、以前、文学史や思想史についての新書を読んだことはあるけど、そんなにはっきりした好悪などは印象に残っていなかった。でも本作は素敵。何か書きたいことがあって手に取ったものではないけど、それでも、モノを書くことに対する気構えみたいなのは変わった気になっちゃう。そんな簡単なものではないけど。主題からは離れるけど思わず首肯してしまったのは、同じものは基本的に読まず、多少なりとも違った別のものを読んでしまう、ってところ。基本的に、同じものを繰り返し丁寧に、っていう考えが大勢を占める中、確実に少数派であろうこの意見を目にすると、俄然嬉しくなっちゃう。さしあたって、私も今の姿勢を続けよう、と。

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2025年06月30日

Posted by ブクログ

批評家による書くためのマインドセット。独特の視点を感じる。スティーヴン・キングの影響か,小説は一気に書き切って1割削るというイメージが強かったので,行きつ戻りつ書くというのは記述論的には新鮮な方法。

多和田葉子,磯﨑憲一郎,レーモン・クノー『文体練習』,佐藤信夫『レトリック感覚』,R・F・クァン『バベル オックスフォード翻訳家革命秘史』

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2025年10月02日

Posted by ブクログ

即物的なノウハウではなく、物書きとしてのあり方のようなものを解く講義の書籍化といった感じ。哲学とまで語ると仰々しいが、文章読本の一種として触れてみてもいいと思う。

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2025年08月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

#感想
「ブックガイド」と表現している方がいたが言い得ていると思う
普段小説等を読まない自分にとっては、文章表現の図鑑のような純粋な楽しさもあった

「上手い文章」などというハードルから離れて自分の言語表現をしてみようと勇気が持てる一冊


#メモ
「書けなさ」だって書くことができる
「書けない」が書くモチベーションになることだってある

考えるは、(考える)を意識した状態
考えてなくても我々は常に考えているのではないか
考えてると思ってなくても、考えている

様々な文章・文体の提示を通して、「上手い文章」などは存在しないこと
マニュアル化などできない
方法や意識については語られているが

そして完璧な文章などもない
自分自身が変化しているので翌日「なんだこれ」と思うのは当たり前
それでも書くんや。

計画性と即興性のバランス
そして即興性もだんだんと真の即興ではなくなってゆく…

言葉を思うことと、書いて「現実世界に起こす」ことは全くもって訳が違う
メモにはそういう効果がある
覚えておくとか、考える〜とかではなく、
「現実に起こすことをすること」自体に意味がある

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2025年08月30日

Posted by ブクログ

書きたい、のに書けない。
書ける気がしなくて、最初の一文目が書けない。

本書を読んで、最近感じている「書くこと」への障害物が明らかになった気がした。

ここのところ、「書くこと」に対峙するといつも、「厳しい批評家」がポワンと頭の中に登場する。たぶん、それはそれで必要なんだけど、最近の批評家くんは厳しすぎてパワハラレベルかもしれない。もうちょい優しくなってもらおう。それと、天使と悪魔じゃないけど、最初の一文目を、「それで、それで??」と先へ先へと促してくれる、面白がりの読者を(頭のなかに)持つこと。

だとしたら、生身のわたしは、とりあえず一文目を書く(考える)だけでいい。2文目からは、面白がりの読者と二人三脚で書いていけばいいんだから。批評家くんにときどき突っ込んでもらいながら。

>>
「次の一文」を更新し続けるためにこそ、読み直しと書き換えを絶えず繰り返す必要があるのです。私は全部書き終わってから推敲するよりも、こうした細かい行きつ戻りつの方がはるかに有効だと思っています。自分の内なる「作者」と「読者」に対話をさせながら書いていくこと。そしてこの「対話」は何よりもまず楽しくなければならない。
 だから、このとき気をつけるべきは、自分の中の「読書」を厳しくし過ぎないことです。自分の文章を読み直すという行為は、どうしても「客観視する」という意識が強くなるので、それは一種のダメ出しのような感じになってしまいがちです。もちろん厳しい視点も必要ですが、あまりに過剰だと、否定的な気持ちが勝ってしまい、続けられなくなってしまう。
(p.223 「第十四講 書き続けるため」により)

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2025年08月04日

Posted by ブクログ

説明がややくどい部分もあったが、全体的には面白かった。
全体構成を考えすぎず、まず書いてみて、適宜推敲し、書き終えたら別のことを書く。

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2025年12月05日

Posted by ブクログ

高松市の本屋さんルヌガンガで購入。

別に難しいわけではないのだけれど、文章がどうにもくどく感じてしまい、肌に合わず、読みすすめるのがかなり苦しかった。

レトリックについての佐藤信夫という人の文章の引用部は、文体に対して感じていたことを細大漏らさず言い当てていて、膝を打つ思いだった。

*****
p104-105

いずれも、数学の教科書や交通法規のような一色で均等に塗られた無地の文章ではなく、地の上に、部分的に目立つ柄や模様がある。文章がのっぺりした平面ではなく、その表面を指でなでてみると、ところどころ、凹凸や起伏の感触があるようだ。

ことさらに指摘してみれば他愛もないような柄であり凹凸であるが、私たちは実際に、しばしばそういう仕組みによって作用を受ける。ふだん文章に接するとき、人は決してことばの模様を観察する>のではなく、たいていは無心に<読む)。けれども、知らず識らず、私たちはそのことばづかいによって、快感をおぼえたり、退屈したり、ときには反感をいだいたりする。そこにレトリックがある。

*******

後半にチャンドラーの作品の翻訳を三つ掲載して比較できるところがあったが、村上春樹の翻訳は、情景が無駄なくニュートラルに伝わり、目前に浮かんでくるようで、やっぱりすごいなあと感嘆した。

本文で紹介されていたバベルという本は言語間を行き来する仕事をしている自分としては、是非読みたいとおもう。

この2点が私にとって収穫だった。

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2025年10月25日

Posted by ブクログ

書くためのマインドセット、書き始めてから書き終えるまでのこと。言葉未満と言葉の芽の往復、繰り返しで書けるようになってくる。

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2025年10月21日

Posted by ブクログ

スローライティングはなるほどと思った。ただし、他の章は自分には概念的すぎて、活かし方が思い付かなかった。

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2025年09月11日

Posted by ブクログ

この本を読んでいきなり書けるようにはならない。書くということよりも、以前より文章の読みかたが変わる気がする。

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2025年09月03日

Posted by ブクログ

プレスリリースや商品説明などを書くことが多いので手に取ってみたが、随筆や批評、小説など自分の考えを文に起こしたい人向けの本だった。

ただ、自分も読書が好きなので読む側の人間として、書く側の人の思考や葛藤が垣間見えたり、文章をどう受け取るか考えたりする機会になった。

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2025年08月27日

Posted by ブクログ

前半の哲学の話は面白かった。
後半は前向きな迷路の例えや、とにかく書こうという積極的な内容と村上春樹の引用があった。後半はまあ…という手ごたえだった。自分にとって前半が価値ある内容だった、というだけで別のタイミングに見たらまた異なると考えられる。
書けるようになりたい、書くとは何か考察したい人におすすめ。

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2025年08月18日

Posted by ブクログ

タイトルから受けた印象とは、ちょっと方向性が違った。How to である必要はないけれども、もう少し具体的なアプローチがあっても良いのではないかと思った次第です。。。。

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2025年08月18日

Posted by ブクログ

良くも悪くもベテランのライターさん的に感じた(と書くと、またこの著者の格好のエサになりそうだが)。カッコ書きや言い換えが多く、どうにも自分語り調になっているところが、読み進ませにくさを感じさせる。
だがその文調、文体に慣れてくると、言いたいことがわかってきて、半分くらい読んだところでなるほどそうだよなと納得しながら読むスピードが上がる自分がいた。
この山を登るまでは少し時間はかかるが、諦めずに読んでみると収穫があるのではと思う。

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2025年08月01日

Posted by ブクログ

技術的な書き方ではなく、自由にかくための哲学的な一冊
後半の英語から日本語への翻訳は、Iという翻訳一つとっても、日本語には様々な訳があり、伝えるという言葉の難しさを感じました。
以下、何となく自分の中で、気になった言葉です。

現在進行形とは「部分/断片」であり、全体とは「過去完了形」(98)

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2025年07月27日

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