吉永南央のレビュー一覧
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ネタバレお草さんシリーズ第2段。最早日常ものミステリーの枠を超えて、田舎町人間模様短編集という体をなしてきた。ミステリー要素もあるにはあるが、フーダニットはおまけの扱い。紅雲町をとりまく小悪人どもvsお草さん一派の行き詰る日常…これはこれでオモロいけどね。
お草さんの生き方が相変わらず素晴らしい。彼女の凛とした生き方、処世の術を読むにつけ、どんなに困った事態になろうとも日常を丁寧に生きる事の大切さと、それによる強さを思い知らされる。
きっちり掃除し、暖かい旬の手作りの料理を食べ、物を大切に使い、背筋を伸ばして生きることの大切さ。そうやって生きる人の強さ。
やっぱ、このシリーズハードボイルドやわ。 -
Posted by ブクログ
おばあさんが身近な出来事の謎を解く、紅雲町珈琲屋こよみ、シリーズ3作目。
連作短編が繋がって長編になっているような作品です。
珈琲豆と和雑貨の店、小蔵屋を営むお草さん。
白髪をお団子にまとめ、いつも着物姿です。
若くして離婚後実家に戻り、65歳のときに思い立って改装し、十年以上たつ大事な店。
季節を感じながら、馴染みのお客さんや近所の人にも目配りして、丁寧に暮らしています。
今は若くて元気な体育会系の久実が、店を手伝ってくれているのです。
珈琲豆を安くおろしてくれている会社の社長三友が会長に勇退、娘が跡を継いだ。
これまでと同じようには行かないだろうと不安を抱える草。
親友の由紀乃の親戚 -
Posted by ブクログ
ネタバレ前作の最後で幼馴染の由紀乃さんが遠くへ行ってしまい、どうなるのかと思っていたら、
時が巻き戻っていた。
四季折々の話が一つの方向に向かって流れ込むという展開は好きだが、
彫刻家との縁はちょっと唐突かな。
知り合った時も共通点なしの偶然だし、
30年ぶりのこれまた偶然の再会で、
面倒事を頼む方も頼む方だし、受ける方も受ける方だし。
最後の話の親子の確執の決着も、ちょっと安っぽい。
ところどころに心を刺すようなガラスの破片が埋め込まれている良さがあるのに、
切れ味が今一つ鋭くなくて、傷口がじくじく痛むような感じがする。
人の心の綾に痛みを感じさせられるところは、
宮部みゆきにも似ているが、
そ