Posted by ブクログ
2015年07月11日
おばあさんが身近な出来事の謎を解く、紅雲町珈琲屋こよみ、シリーズ3作目。
連作短編が繋がって長編になっているような作品です。
珈琲豆と和雑貨の店、小蔵屋を営むお草さん。
白髪をお団子にまとめ、いつも着物姿です。
若くして離婚後実家に戻り、65歳のときに思い立って改装し、十年以上たつ大事な店。
季節...続きを読むを感じながら、馴染みのお客さんや近所の人にも目配りして、丁寧に暮らしています。
今は若くて元気な体育会系の久実が、店を手伝ってくれているのです。
珈琲豆を安くおろしてくれている会社の社長三友が会長に勇退、娘が跡を継いだ。
これまでと同じようには行かないだろうと不安を抱える草。
親友の由紀乃の親戚で美容師のミナホ。
弱ってきた由紀乃の髪の手入れに家に来てくれているのだが、たまには気晴らしに連れ出せないかと考え始める草。
一方、大学生の頃から知っている萩尾が、近くの八百屋に産地偽装の疑いがあると取材に来た。
この萩尾は新聞記者だが、地元での歴史研究も熱心に続けていて、ミナホの父である教授の弟子でもあった。
何年も前のことだが、円空仏が発見された後で行方不明になった事件があり、萩尾と教授とミナホは何かこだわりを抱えているらしい。
少しずつ関わって行く草は、淡々と見守るようで、ここぞというときには、きっぱりと物を言う。
秘めた悲しみや年月の重みを感じさせるような、ほろ苦い事件が多いのですが、意外にふっと軽くなる展開もあります。
きれいなリヤカーで野菜を売ろうとする若者に親切に場所を紹介してあげたり。若者のパワーも、時には光ります。
ほっこりというよりは、しみじみかな‥
読後感は悪くないです。
生活を楽しむには、センスって大事だな!と思います。
丁寧に年を重ねたから気づくことや言えること。
衰えにも目を逸らさず、重く考えすぎず、出来ることをしていきたい気分になりますね☆