童門冬二のレビュー一覧
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名君として名高い上杉鷹山関係の書を一度読みたいと思い手に取ってみた。
歴史小説には現代のビジネスに使える作品はあまたあれど、本書はその筆頭と言えるだろう。困窮した米沢藩財政を立て直すため、大リストラクチャリングを実施する奮闘ぶりが描かれている。実施者の上杉鷹山は、藩主と言えども、九州の小藩から迎えられた17歳の若者であり、当然ながら古参重臣の反発を買い、数々の妨害を受けてしまう。それでもめげず、冷静に対応する鷹山。
なるほど、現代で言うところの、外部から企業に迎えられた少壮社長が、生え抜きの古参役員や重役と対立しながら企業改革を実施していくといったところか。
本書には至る所に方法論や名言が練 -
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[ 内容 ]
「人は誰でも一生のうちで突然火花が散ることがある。
それは生命の燃焼といっていい」(「まえがき」より)。
死に臨んで先人たちは何を言い遺したのか―。
それを知ることは、その人の人生のすべてを知ることだ。
磨かれた一言を口にしたときがその人の最期なのだ、とする著者は、日本史に刻まれた“最期の言葉”を幅広く集め、言葉の重みを考えてきた。
血の通った言葉で探る、童門版・日本通史。
[ 目次 ]
第1章 未練を残した最期の言葉(有間皇子;源頼政 ほか)
第2章 武将たちの最期の言葉(太田道潅;毛利元就 ほか)
第3章 天下が治まってからの最期の言葉―政治家・名僧・学者たち(本多正信;由 -
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●安身立命とは、自分が自分らしく生きられる場所、生きなければならない場所をいう。
●親に孝を尽くすとは、親の言いなりになることではない。親に非があるときは、その非を諌めることも孝。
●明徳は人が置かれた立場、境遇、時に応じて臨機応変に現れる。
●愛敬の愛とは人に懇切にして親しむこと。敬とは目上の人を敬い、目下の人をあなどらないこと。
●孝は宇宙万物の本体・太虚。万事は孝から生まれる。
●太虚神明を悟ることによって時・処・位に対して、相応しい愛敬の心を振舞う事ができる。
●文武は両道ではなく合わせて一徳。文は天下国家をよく治めて人間関係を正しくすること。武はこの分の道を妨げた場合に、 -
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中江藤樹の思想・行動を通じて読者自身の日常社会とのかかわりを考えさせる書き方をしている。
戦国武士達の換骨奪胎をはかるために権力者が指定する学問・林羅山の朱子学。これにより権力者にとって聞き分けのいい武士を育成をすすめた。世渡り術としての学問が盛んになり、その結果士風が低下した。
それに対し、中江藤樹は、儒教の本質である明徳を明らかにすること説き続ける。
権力から離れ、学問で聖人の道を志す「処士」。その処士の集まる理想の里・桃源郷づくりを目指した中江藤樹。
●天子から庶民に至るまで、学を修めれば、必ず聖人の域に到達できる。それにはまず人間としての道を究めること。
●処士とは、他