童門冬二のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
他家から養子ながら、藩士や領民に対し愛と信頼をベースにした政策を実行し、米沢藩のの危機的財政難を凄まじいスピード感で立て直し、人々の心までも蘇らせた上杉鷹山。現代の経営立て直しにも通じる事例が江戸時代にあったことに驚きです。
鷹山の改革の手腕はもちろんのこと、改革に対する執念や信念、真摯さ、公平さ、藩士や領民に対する感謝や思いやりなど、経営をする者としての心構えを学べる一冊だと思います。
江戸中の商人に借金を断られ、幕府に大名家返上を本気で検討するほど危機的な財政状況。
それを打破する具体的な手法として、以下4つを実行。
1.可視化=財政状況の見える化、情報公開
2.コストダウン=質素倹約、旧来のしきたりによる出費の削減
3.生産性向上=権威付けのためだけの城内の仕事や管理のための管理などのBullshit JoBの廃止、管理職(=侍)の現場(農林業、産業)への投入
4.高付加価値製品の開発(鯉、縮、木工細工など)
特に、3の生産に実質貢献していなかった、労力(侍とその家族)の現場投入は、現代でも難しい課題で、財政改革にとって本質的に大切なものは何か、今手元にある資産活用できるものは何かを考えた上で、旧来の常識を覆す最大の功績に思った。
鷹山は実際の改革にあたって、最も大切なものは、米沢の人々の心を変えることと説く。小説内のメタファーでは、燃え尽きたように見える灰の中にもまだ赤く燃えているものがある。それがあなたにあるのなら、どうか周りの人にもその火をくべてほしい途いう。実際に鷹山は、以下3つのことを行い、人々の心を変えたと思う。
1. 共通のビジョンの制定=火種の話、領民ファースト、三助(自己、相互、公共)など
2.自己貢献感の醸成=日々の米沢が良くなっていることに対し、藩士・領民自信が貢献している気持ちの醸成
3.愛と信頼の政治=藩士・領民に対し、思いやりと感謝を藩主自ら率先して示す
改革の道は決して平坦なものではなく、旧重臣たちの屈曲した改革批判や妨害行動、藩邸の火事や冷害などの災害、改革当初からの信頼する仲間の不正行為など、数々のトラブルに見舞われた。それらトラブルすべてを真摯に受け止め、決して感情に流されることなく、公明正大に藩士の意見も聞きながら、執念深く信念をもって改革を進めた鷹山の器の大きさ脱帽するばかりである。
大きなビジョンに向かう途中、困難に当たった時、本書を読み返し、鷹山ならどうするか、そんな問いを立てるために傍に置いておきたい本です。 -
Posted by ブクログ
江戸時代、米沢藩(今の山形あたりにあった)の藩主で、財政難に苦しむ藩を大胆な改革により立て直した上杉鷹山の歴史小説。なせば成る なさねば成らぬ 何事も 成らぬは人の なさぬなりけり、という名言は広く知られているが、彼が実際に何を行ったかを知る人は少ない。
息子がいなかった米沢藩藩主のもとに九州から婿入りし、17歳で藩主になった。政治腐敗が進み、侍にも藩民にも意欲がなく、藩は巨額の負債を抱えていた。若くして藩主になったはいいが、古い体質の藩では拒絶反応がすごく、ひどい妨害やいじめにあう。彼が目指したものは、藩士(侍)だけでなく、農民や商人を大事にし、皆が富める藩であった。藩民に示すために自ら倹約につとめ、付加価値が高い産物を作ることを奨励した。
興味深いのは、古い体質を壊すために、外れ者たちを集めて改革をさせたことだ。だんだん鷹山の周りに賛同者が集まり、侍も開拓をしてくれるようになったという。とにかく誠実な人柄で、実務的で、引退してからも呼び声が高く、再び政治に復帰したというから驚きだ。
この本の特徴は、読みやすさである。歴史小説はどうしても時代背景を理解しながら読み進むので難しいこともあるが、とても平易に書かれている。著者の鷹山への尊敬が浮き出ている。他の登場人物の描き方もうまいと思った。上杉鷹山の話は他の小説で読んだ気がしていたが、後で調べたら案外少なかった。
故ケネディ大統領が最も尊敬する日本人として上杉鷹山の名を挙げたという逸話も嬉しかった(内村鑑三の書を読んだという)。 -
Posted by ブクログ
江戸時代の企業再生ならぬ、藩再生。
経営って結局、金でしょ?とか、
経営する人って何考えてるんだろう?
って思っている人には是非ご一読お勧めします。
過ちて改むるに憚ることなかれ
根本に優しさといたわり、思いやり
まず気づいた方から自分を改める
書を捨てて町に出よ
大会議の全員ヒアリングからの大決断
泣いて馬謖を斬る
など、たった500円で、自分が大切にしたい経営観を学びました。今読み返しても、ああここ、最近怠ってるななど反省します。
ひとつ、そんな立派な鷹山をもってしても、身分の違いからくる「越えられない壁」はあったようです。それについては一度はアプローチしたがその後はとやかくしなかった、と。
社会学でも同様のことは言われており、自分の介護施設での経験を考えても、ここは今、ただ見つめることしか出来ておりません。 -
Posted by ブクログ
榎本武揚の生涯川わかる内容になっています。私は勝海舟に興味がもともとありましたので、二人の共通点を、知ることになりました。それは二君につかえた点です。そのこと福沢諭吉が痛烈に批判していますね。当時の思想背景からすれば武士の世界では切腹もんでした。今の現代社会ではヘッドハンティング等の言葉でもわかる通りむしろカッコいいことのような意味があります。昔は考え方が窮屈でしたよね。でも考え方一つで命を自らたったりしますから、思想ほど恐ろしいことはありません。この事からも。どうしたら所願満足の人生を、送ることができるかやはり法華経の思想に学ばなければなりませんね。
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Posted by ブクログ
長年気になっていて、ようやく読むことができました。予想以上に感動的な歴史小説でした。
財政難で今でいえば倒産寸前の米沢藩に九州の小藩から養子に来て藩主となった治憲(のちの鷹山)。わずか17歳にして、トップダウンの倹約、殖産興業の施策を打ち始めます。彼の素晴らしさは、改革は幹部のためでなく、藩の民が幸せになるために行うという信念を貫いたこと。古い慣習に染まった反対派の強い抵抗を乗り越え、ついに米沢藩を立て直すことに成功します。やがて、改革は上からやらされるものではなく、民が自ら考え実行するものに根付いていったといいいます。
危機における組織改革、リーダーシップ、部下の扱い方、評価の仕方など、そのまま現代の企業に置き換えて非常に参考になるストーリーです。1995年の作品ですが、25年後の今も色あせていませんね。 -
Posted by ブクログ
竜門冬二による「上杉鷹山」の上下巻は事実に基づく歴史小説。17歳で米沢藩主となった上杉鷹山の責任と、それに押しつぶされない鷹山の成熟した価値観、若く鋭い感性、改革の勇気、そして元来もつ人間に対する愛や人権尊重の心に感銘を受けた。熱中してあっという間にこの本を読み終えた。
江戸時代のこれほど重要な人物について、本を通して出会い学ぶことができたことを嬉しく思う。
この本の時代背景は江戸時代であるが、現代にも通ずるものの考え方が豊富に盛り込まれており、いかに上杉鷹山が慧眼の持ち主であったか、優れたなリーダーであったかを実感した。
国を変えたいなら、改革を進めたいなら、まず自分自身が変わる必要がある、との鷹山の言葉は印象的。
鷹山は、米沢藩の藩士や藩民に希望がない様子を燃えたあとの灰と比喩し、その中で鷹山の意志を理解し改革を共に進めていくわずかな人材を、灰の中でわずかに燃えていた火種に例えた。
鷹山を中心とした改革が進む中で、わずかな火種が大きく広がっていく様子は米沢藩の人々に希望が宿る輪の広がりと重なっていく。
鷹山の優れたリーダーシップのもとに改革されていった政治は当時の侍中心の考え方を覆し、何より人民に寄り添い大切にする社会を実現していく。
この本は、また何度も読み返したいと思う。