逢坂みえこのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
文句なしに面白い
有体に言っちゃうと、絵柄がちょい古臭いな、と感じはするけど、江戸を舞台にした推理劇に、よくマッチしている
基本的に、描写もマイルドなので、あまり陰惨な事件はちょっと、って人でも十分に楽しめる
また、ストーリーとトリックが、シャーロック・ホームズ関連なので、これまた、楽しめる
確かに、この事件を江戸風にしたら、こうなりそうだな、と納得させるだけのクオリティだ
しかも、そこに現代っぽい雰囲気も綯い交ぜにされており、そのバランス感の絶妙さにゃ、拍手してしまう
今も昔も、事件を発端となるのは、人の情なんだろうなァ、そう、しみじみさせる正宗の推理と解決には、読み応えが存分にある
これ、NHKでドラマ化してほしいなぁ
主人公の正宗は、加藤和樹さんにやってほしい。加藤さんは、間違いなく、イケメンだし、演技力も十分だ。アクションシーンはないけれど、推理シーンで、十分に女性ファンの心を掴める気がする
正宗の部下で、新しい商売に手を出すも頓挫続きの佐助は、濱田龍臣さんがピッタリだ、と思う、雰囲気的に
そして、事件の関係者に特撮ドラマ出身者が、次々と出てくれりゃ、嬉しい
どの話も、正宗の頭脳が冴え渡っている。その中でも、個人的に推しなのが、犯人が「まさか!?」と思う人物だった、第一話「そあ橋綺譚」だ
外部からの情報を鵜呑みはせず、被害者を増やさないために、真実の究明に努力は惜しまない正宗、ホント、名探偵の鑑だ
愛は時に、人を狂わせてしまう。ただ、狂うほど、人を想えたら、そう思う時はある
この台詞を引用に選んだのは、深いなぁ、と感じたので
上達するために、上手い先達の模倣をする、それ自体は悪いことじゃないし、間違っちゃいない
でも、その模倣を自分の味、と勘違いしてしまったら、成長は見込めない
模倣をする事で、自分ならこうする、こうできる、と考えて、自分なりのやり方を少しずつ見出して、それを極めてこそ、だ
パクった作品ってのは、一回目こそ面白くても、二回目以上は楽しんでもらえない
小説家を志す私としちゃ、気を付けねば、と自分を戒めさせてもらった
この名言をぶちかました鱗粉亭小蝶は、マツコ・デラックスさんに演じてもらいたいなぁ -
Posted by ブクログ
一人息子太郎君の一歳のお誕生日。奥さんの花歩さんに育児を通じた成長を認められたアスペルガーのプロチチ直は、専業主夫から一歩踏みだし、仕事に復帰しようと模索を始めます。
一巻では「赤ちゃんと一緒にいる」ことで、一度は疎外された社会に再び受け入れられた直ですが、今度は仕事への復帰というさらに高いハードルに挑みます。
という内容ではありますが、この巻での直は恵まれすぎです。
復帰した職場はアスペルガーの特徴を発揮しつつ、なおかつ読書という直の趣味が生かせる書店ですし、職場の上司(書店の店長)と同僚は、奥さんの花歩さんと同様、直の性格とその長所短所にとても理解があります。
この巻でも直のアスペルガー的なエピソードがたくさん語られます。でも、そんな温かい職場ですから、それらのエピソードは、一巻で語られたような、アスペルガー当事者が原作を書いたのではないかと思わせるような生々しいものではなく、どちらかと言えば教科書的です。
「教科書的」な展開が増えるにつけ、生々しさに欠けるが故のつまらなさのみならず、説教臭さが増してくるのではないかと、ちょっと心配になります。
『フルタイムで夜遅くまで働く「母」と子供を保育所に預けてアルバイトをする「父」、ジェンダーを入れ替えてみたら今の日本の働き方が抱える問題点が…』なんてことが帯に書かれるようになってしまったら、この作品はもう胡散臭くて読めたものではなくなります。ここまで直のアスペルガー的言動に大きくうなずきながら楽しんできたのに、三巻以降がそんな展開になってしまわないよう、切実にお願いします。 -
Posted by ブクログ
色々な読まれ方をしていると思います。父親の育児=イクメンだとか、専業主夫=ジェンダー論とか。でも、自分は、アスペルガーの社会復帰のお話として読みました。
とにかく、アスペルガーの主人公、直のアスペルガーらしさが真に迫っています。
冒頭、直が自分がアスペルガーだということに気付いて興奮する場面があるのですが、これ、自分がアスペルガーって自覚がある人は結構共通する思い出があるのではないでしょうか。自分が感じていた「生きづらさ」は、「僕が怠けていたわけじゃなく」「性格が悪いわけでもなかったんだ!」という情報は、アスペルガーの人にとっての福音です。
フラッシュバックの辛さ、会社であまりにも辛い思いをしているがために、家族から優しくされても「…今のは 例の あの」「「社交辞令」 とかいうやつかな」と感じてしまうほどの二次障害・自己評価の低さ、など、生きづらさが生々しく描かれます。
ただ、直はそこで立ち止まらず、「相手の様子や雰囲気を読み取る脳が働きづらいから」「気をきかせたり気を遣ったりが苦手だったんだ」「いや まて! 苦手と決まったわけじゃない 論理的思考は得意なんだから そっちの脳で苦手なほうを補えばいいんだ!」という唯一の解決策、そして、そこから必然的に導かれる「A愛がある B愛がない なら Aの方が望ましいでしょうが」「A愛はあるけど世話しない B愛はないけど世話をする なら Bがベターだと思うのです 特に乳幼児期は」「「愛」はコントロールできないけど」「「世話」は努力で何とかなる」「だから僕は自分にできる最大限の」という育児に関する取り組み方につながります。
直にとって、育児は、冒頭「昔十姉妹にエサやり忘れて」「カブトムシとか」「金魚とか」「僕がきちんとしなかったせいで」「赤ん坊も」という独白、さらに後の巻での金魚の飼い方にもつながってくるように、「愛」などという抽象的であいまいな概念で行うものではなく、キッチリマニュアルどおりに行うべきもの。自分の決めたルールやスケジュールどおりに物事が進むのを好むアスペルガーにとって、予定外のことが起こり過ぎる「育児」は苦痛の連続ですが、その折り合いの付け方が、後半の読みどころです。
そして、「どの転職先でも無視された」「誰も何の期待もしてくれなかった」「その僕が」「今世界中のひとたちから注目され期待されてる感覚だ」「「その子を育てろ」「幸せにしろ」「お前にしかできない事だ」「顔を上げろしっかりしろ」「落ち込んでる場合じゃないぞ」「役立たずとかってスネてる場合じゃない」」「うん そうだ その通りだ 僕は 父親だ」「この子を育てる使命を帯びた父親なのだ」と、プロチチとして目覚めた直は、あんなに受け入れてもらえなかった社会に、赤ちゃんを連れているというだけで向こうからアクセスしてくるという事実に気が付きます。いったんは社会から疎外された直が社会に復帰した瞬間です。
似たような境遇の方には絶対にお勧めです。自分がアスペルガーであるということに気付いたのと同じレベルのカタルシスがあります。
それにしても、アスペルガーに関する的確な描写は、誰のアドバイスによるものなのでしょうか。著者ご自身や著者の配偶者の方は、他の著作やインタビューからアスペルガーには思えないのですが…。