江川卓のレビュー一覧

  • カラマーゾフの兄弟 1

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    15年ぶりの再会。あの過剰な語りをまた経験したくなり、本を開いた。過剰な語りは過剰な感情と行動を伴い、有無を言わさぬ力で、読者を物語の世界へと深く引きずり込む。
    色々と過剰で、化け物のような人々。このような人間がいるのかと思えるほど、感情と行動の起伏が激しい。今巻は特に、カラマーゾフ3兄弟の父親フォードルと長兄ドミートリィが目立つ。序盤の山場は、ゾシマ長老との会食での大立ち回り。強欲で好色なフョードルは、自ら道化のような役回りを演じる。自分でこしらえた感情を自分で真に受けて感動するもんだから、どこまで本気で、どこからが演技か境目が無くなってしまう。その結果、彼の人物像は、凡庸な理解が及ばない、

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    2025年11月24日
  • 罪と罰 下

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    辛く陰うつなストーリーがずっと続いているのに、最後のシーン、寒く荒れ果てた土地で、心の自由?を感じているラストが、印象的だった。

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    2025年11月20日
  • 悪霊(下)

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     大学卒業後は会社に勤めたが、在職1年で「勤務はじゃがいものように飽きあきしました」と語ったドストエフスキーの長編小説。何回も構想を書き直し、史実の事件をもとに構想を練ったこともあった。「成功したいという思いが全く無ければ、生きようとも欲さなくなるかもしれない」ことに気付かされた。「悪霊がいるなら神もいる」という意味で、信仰を語ることへの抵抗を取り除いてくれる一書。

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    2025年10月05日
  • 悪霊(下)

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    11/10

    “生なる者たちの、愛の所有は偽りなり。しかし死して真実にかす。”

    神が宙吊りにされた社会に、解き放たれた悪霊たちが合唱する物語である….

    革命的思想という名の「正義」に偽装された悪霊に取り憑かれた、知識と強欲の白痴たち。ドストエフスキーが映し出すのは、人類とロシアの終曲であり、悲劇の極みである。第一部、第二部で積み重ねられたもの。いや、むしろ最初から計画されていたのかもしれない。それがすべて第三部で解き放たれる。用済みになれば即座に死ぬ。人々が次々と消えていくその様は、究極のカタストロフィだ。そして、それぞれの人物には自分なりの愛があり、崩壊がある。
    だがその愛は饒舌的で偽り

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    2025年09月17日
  • 罪と罰 中

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    ラスコーリニコフの思想を知れる第三部は非常に面白い。

    つまり、根本思想というのは、人間は自然の法則によって、大別してふたつの部類に分けられる、ひとつは低級な(凡人の)部類で、自分の同類を生殖する以外何の役にもたたない、いわば材料にしかすぎない部類と、もうひとつは、自分の環境のなかで新しい言葉を発する天賦の才というか能力を持っている人間です。145

    第一の部類、つまり材料となる部類は、だいたいにおいて、その本性から言って保守的で、礼儀正しい人たちで、服従を旨として生き、また服従するのが好きな人たちです。
    第二の部類は、つねに法の枠をふみ越える人たちで、それぞれの能力に応じて、破壊者ないしはそ

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    2025年08月22日
  • 地下室の手記

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    巷にあまたの自意識コンテンツがあふれかえる現代だけれどもとうの昔にこれだけのことがやってのけられていたのだからひとまずはこれを読めばいい

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    2025年08月12日
  • 地下室の手記

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    テスト期間終わって、久しぶりに読書した。
    最初読みにくかったけど、めっちゃ面白かった。
    難しかったからまた読み直したい。

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    2025年08月10日
  • 地下室の手記

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    人間の意識について考えさせられる。
    手記の著者、すなわち主人公は、自意識が過剰と言うべきか、自己から少しだけ離れたところから自己を見つめていて、恥ずかしさにまみれている。その恥ずかしさのために、他者に対しても憤怒の連続(他者からすると、本当に訳が分からない)が沸き起こっている。
    この主人公のように顕著な行動に出る人は少ないかもしれないが、自意識が過剰なための恥辱は、ごくあり触れると思うし、そこに苦しむ人も少なくないように思える。

    また、自己を少し離れたところから客観的に見ていると思いきや、感情的に湧き起こるものに支配され、全く理路整然としていなくて、いつのまにか意識は自己の中にあって、突拍子

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    2025年07月04日
  • 罪と罰 下

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    訳者あとがきにあるように、一読してある種の熱気や漠とした不安を感じたら、二度でも三度でも読み返せばよい。それに耐えうる読み応えを持つ作品である。
    難解な作品であることは間違いない。一つには、帝政末期ロシアの社会事情に我々の馴染みがないこと、もう一つは主人公ラスコーリニコフがインテリの半狂人ともいうべき心性の持ち主であること、三つ目は凝りに凝った文体が千ページ超のボリュームで展開すること。
    だが凄まじい熱気と激情だけは一読しただけでも感じとることはできるだろう。なんだかよくわからないけど『罪と罰』を読破したってだけでも、ちょっと誇らしく感じることができるのではないだろうか。

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    2025年05月06日
  • 地下室の手記

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    圧巻。手放したくない1冊。表面的な美しさや謎のステータスとやらに踊らされているこの社会に、この本を突き刺してやりたい。

    刑事裁判を彷彿させるシーンもあれば、AIを彷彿させるシーンも。150年近く経つけれど、この本が問うていることや描かれていることは、色褪せない普遍的なテーマで、我々人間は、人間の愚かさや汚さ、そして不合理さをしっかり理解した上で、拗らせながらも自分なりの幸せを見つけて生きていくことが大切なのかもしれない。

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    2025年03月29日
  • 地下室の手記

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    『罪と罰』『カラマーゾフの兄弟』を読み、ドストエフスキーにハマった。『地下室の手記』は彼の転換点とも呼ばれている本だったため、手に取ってみた。
    まるで主人公を実際に見ているかのように引き込まれた作品だった。ぶっちゃけるととてもクズな主人公だと思うが、その中にも共感した部分はたくさんあった。し、文中でも触れられていたが、クズでない人はいないと思う。

    腹を立てる理由など何もないと、自分で承知しながら、自分で自分をけしかけているうちに、ついには、まったくの話、本気で腹を立ててしまうことになるのである。

    この部分が好き。幼少期に悲しいふりをしていたら、実際に泣いてしまったことを思い出した。

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    2025年02月22日
  • 罪と罰 下

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    殺人を犯した青年がある女性との出会いを通して
    罪を自白するまでの物語。巨匠の作品だけあって
    心理描写が細かく惹きつけられるように一気読み
    しました。

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    2024年10月24日
  • 罪と罰 中

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    同じ本を読み返すことがあまりない私だが、初めて訳者違いで読みたいと思った本。
    スヴィドリガイロフとのよくわからないやりとりも、ポルフィーリーとの攻防もおもしろい。
    アリョーシャ、完全にバレてる!と思った次の瞬間にはまだ大丈夫と思っていたり、不安定で忙しい。

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    2024年09月03日
  • 悪霊(上)

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    この作品の持つ魔術的な力は計り知れません。 あくが強い人物たちが一つの舞台でぶつかり合い、自らの存在を主張し合います。 まさに「悪霊」に憑りつかれたごとく、悪役たちは巧妙にそして残酷に社会を混乱に陥れていきます。その過程があまりにリアルで、読んでいてお腹の辺りがグラグラ煮え立ってくるような感情が私の中に生まれてくるほどでした。 やがてそれは生きるか死ぬかの究極の思想対決へと進んで行き、一体これからどうなるのか、彼らの心の中で何が起こっているのかと一時も目が離せぬ展開となっていきます。 これは恐るべき作品です

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    2024年08月14日
  • 罪と罰 上

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    罪を犯した後の生々しい感覚や自己嫌悪の感情が緊迫的に描かれていてすごい。ページを捲る手がどうにも止まらない。人物たちの話が現代にも繋がる感覚があるため、読んでいる途中一旦自分でそのことについて考えを巡らせる時間が発生する。これが最高すぎる。読書であり何かを考える時間。

    ラズミーヒンいい奴。ラスコーリニコフ、苦手な性格と思いきやなんだかんだおもしろくまさしく人間という感じ。酔っ払った女性が男にあとをつけられていて助けようとするも突然「どうにでもなっちまえ」的な感じで急に無関心になるところが何故か印象に残った、どういう思考回路、、?
    ラスコーリニコフってすごいハムレットじゃんと思った。

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    2024年07月15日
  • 地下室の手記

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    ネタバレ

    ネガティブな人はきっと好きだと思う
    でも、社会不適合者じゃない大多数の人にこそ読んで欲しい

    安っぽい幸福と高められた苦悩と、どっちがいいか?
    ぼくらは死産児だ
    のところ、僕もずっとそんなことを考えていたんだ!って泣きそうになった。
    ずっと考えてた人に言えないモヤモヤを言い当ててくれたみたいな清々しい気持ち
    ありがとう

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    2024年05月04日
  • 罪と罰 上

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    初罪と罰は亀山訳だったが、こっちの江川訳の方がなんかしっくりくる感じがある。
    マルメラードフのどうしようもなさ、でも憎めなさ。
    ラズミーヒンいいやつすぎ。

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    2024年04月14日
  • 罪と罰 下

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    最後の方は一気に読んでしまった。外国文学の、あるいは古い作品のあの独特の劇のような語り口は正直得意では無いのだが、主人公の行く末を早く見届けたくて手が止まらなかった。
    罪への意識、というものはかくなるものなのか。

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    2024年02月17日
  • 地下室の手記

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    <ぼくは病んだ人間だ。…僕は意地の悪い人間だ。およそ人好きのしない男だ。ぼくの考えではこれが肝臓が悪いのだと思う。もっとも、病気のことなどぼくにはこれっぱかりもわかっちゃいないし、どこが悪いかも正確には知らない。(P6)>
    元官史の語り手は、おそろしく自尊心が強く、極端な迷信家で、あまりにも自意識過剰で、とても臆病で、際限なく虚栄心が強く、他人との交流もできず、心のなかで鬱屈を抱えている。
    遺産によりまとまった資産を手に入れた語り手はペテルブルクの片隅のボロ家に引き込んだ。そんな生活をしてもうすぐ20年にもなる!やることといえば心の鬱屈を手記にぶちまけるだけ。
    あれも気に食わない、これも嫌い、

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    2023年12月05日
  • 罪と罰 下

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    ネタバレ

    就活をしながらダラダラと読み終わった。
    あまり、タイミングが良くなかったかもしれない。


    罪を犯したが未だ罰せられずにいる主人公は、罪が露見する恐怖や、後ろめたさから生じる孤独感に苛まれる。

    彼が許されざる犯罪を行った理由は、自分や家族が置かれた環境を変えること、そして彼の理論を実証することにあった。

    極貧の中で精神を病み、流行思想にかぶれた彼はついに強盗殺人を実行し、偶然にも成功させてしまう。

    彼は罪を贖うことで恐怖や孤独から解放されたいと感じ、自分が犯人であることを仄めかすような行動を取り始める。

    しかし、彼は自分の理論の正しさを示すため、そして「人間」であろうとするために何度も

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    2023年03月18日