江川卓のレビュー一覧

  • 地下室の手記

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    書いてる言葉や言い回しは分かりやすいんだけど、話が重く、感情が生々しいせいで読むのにかなりの体力を消費した。しかしその分主人公の気持ちに感情移入出来て、読み終わったあと大きな満足感を得ることが出来た。

    呼ばれてもないパーティーに無理やり主人公が参加するシーンは読んでて凄くムズムズした。共感性羞恥というか、、、

    苦痛で死んでしまいたいという絶望の中に快楽がある~みたいな話はめちゃくちゃ共感した。そこそこの気分の時に、中途半端に失敗して落ち込むのが1番嫌なんだよね。

    何もかもが決定された世界では人間は生きる意味を見出すのだろうか?意外とそんな世界でも楽しくやって行けるものなのかな?

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    2023年03月15日
  • 罪と罰 上

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    ネタバレ

    オーディオブックで聴きました。以前、罪と罰を読んだ時は、登場人物の呼び方が複数あり分かりにくかった。そのため、登場人物やあらすじを見ながら聞きました。

    1章1 老婆からお金を借りる。
     ラスコーニコフは、ある計画実行のために老婆からお金を借りる。その後、近くの汚い居酒屋に初めて行き、ビールを飲んで落ち着く。
    1章2 ソーニャの父マルメラードフに絡まれる
     酔っ払いの話がダラダラと続くのだか、思わず笑ってしまう。
    「私が酒を飲むのは、この酒の中に苦しみを、共感を見出すためなんです。苦しみたいから飲むんです。」・・・よくわからない。
    酔っ払いのマルメラードフが家に帰り、妻に髪をつかみ部屋に引っ

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    2023年06月19日
  • 地下室の手記

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    何とも心にずっしりと重い。その重さの原因は、まるで自分自身の事を誇張して語られているような主人公の語り。自分が何故苦しみながら生きないといけないのか?知能が低い故にその苦しさに気付かない人たちは羨ましい。自分は優れているが故にその苦しみに気が付いてしまう、というのが主旨かと思うが何か共感できる。

    このような面倒くさい主人公に共感できてしまう事は何とも心地悪いが、そういえば『賭博者』でも賭け事好きな人の心理を極限まで突き詰めたような感じだった。人の心にあるドロドロした部分に焦点をあてた内容は通じるものがある。

    今はまだうまく咀嚼できてないけど、心にズーンと来るものがある小説には中々出会えない

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    2023年02月04日
  • 罪と罰 下

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    ものすごい量だったけど、読み終わったぜー。今年の冬から読み始めて、ゴールデンウイークでなんとかケリつけた。苦行だったけど、読み終わった後にはものすごい爽快感が。是非とも読むべき。色んな日本の小説やアニメを思い出しながら読んだ。宮崎駿は特にヤバい。魔女の宅急便も猫の恩返しも、もう純粋な目では見られない。

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    2022年05月08日
  • 罪と罰 下

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    貧困と混沌とした社会で苦悩し、葛藤する人々の物語。人の心を守り正しい方向(平和、自由、人権尊重といった現代の我々が持つ普遍的な価値観)に導いてくれるのが愛情であり、信仰なのだと思った。
    ラスコーリニコフは、大きな罪を犯しながらそれを悔悟したが、周りの人たちの愛情によって救いを得ることができた。
    彼ほどの極端な思想がなくても、我々誰しもが、心の中に善と悪の2つの心を持ち、過ちを犯し、罪の念に苦しみ、苛まれている。また、極端に親の愛情を受けなかった子供が犯罪者になる割合が高いという。
    人の心を救い、正しい方向に向かわせるのは愛であり、未来への希望なんだろうと思った。
    ラスコーリニコフ、ラズミーヒン

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    2022年03月21日
  • 地下室の手記

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    「 たまたま何かのきっかけで勇気をふるうことがあったとしても、そんなことでいい気になったり、感激したりしないがいい。どうせほかのことで弱気を出すにきまっているのだから。」

    「 だれかに権力をふるい、暴君然と振る舞うことなしには、ぼくが生きていけない人間だということもある……」

    「 安っぽい幸福と高められた苦悩と、どちらがいいか?」

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    2022年02月12日
  • 罪と罰 下

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    主人公がもし、満たされていて幸せなら金貸しを殺したりしなかっただろうし、どんな人でも環境が悪化して強いストレスに晒され続けたら凶行に及ぶ危険性があるんじゃないかと思った。
    ドストエフスキーは読む時に多大な集中力を必要とするから結構疲れる。貧しき人びとが一番好きー。

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    2021年08月29日
  • 罪と罰 上

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    上中下を読み終わったのでこちらに感想など。

    大学生ぐらいの時も「罪と罰」を読んだのだけど、その時はさっぱりと面白さが分からなかった。ドストエフスキーの饒舌な文体の癖もあるんだと思うのだが、文章が冗漫すぎて意味が理解できなかった。

    この岩波の新しい版は、翻訳が易しくて読みやすいと思う。結構、現代的な語り口に直されていて、物語それ自体の面白さが伝わりやすくなってると思う。

    「罪と罰」それ自体が物語としてスリリングで面白い作品なのだとこの本を読んで思った。

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    2021年05月19日
  • 罪と罰 上

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    『あれはどこで?』ラスコーリニコフは先へ歩きながら考えた。『どこで読んだんだっけ?なんでも死刑を宣告された男が、死の一時間前に言ったとか、考えたとかいうんだった。もしどこか高い岩壁の上で、それも、やっと二本の足で立てるくらいの狭い場所で、絶望と、大洋と、永遠の闇と、永遠の孤独と、永遠の嵐に囲まれて生きなければならないとしても、そして、その一アルシン四方の場所に一生涯、千年も万年も、永久に立ち続けなければならないとしても、それでも、いま死んでしまうよりは、そうやって生きた方がいい、というんだった。なんとか生きていたい、生きて、生きていたい!どんな生き方でもいいから、生きていたい!……なんという真

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    2020年08月07日
  • 悪霊(下)

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    下巻では、シュピグーリン工場の連中が起こした火事を契機に、物語が一気に加速する。
    ピョートルを中心とする《五人組》と呼ばれる組織がロシアの転覆を企てている。
    それを背後で動かしているのはスタヴローギンなのか?
    その人間像は僕には最後までわからなかったが、彼が自殺したときの衝撃は忘れないだろうと思う。
    『カラマーゾフの兄弟』よりもはるかに重く、難解な小説である。

    「リャムシンさん、お願いだからやめてください、あなたががんがんやるものだから、何も聞きとれやしない」びっこの教師が言った

    リャムシンが席を蹴った。「だいたいもう弾きたくなんかない!私はお客に来たので、ピアノをぼんぼん

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    2020年05月28日
  • 悪霊(上)

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    これまでに何冊か読んだドストエフスキーの小説の中で、最も難解な作品。
    主人公はステパン・トロフィーモヴィチではなく、ニコライ・スタブローギンだとわかるまでに時間がかかった。
    上巻のクライマックスは、ニコライとガガーノフの決闘であろうか。

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    2020年05月28日
  • 罪と罰 下

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    19世紀ロシアの小説家ドストエフスキー(1821-1881)後期の長編小説、1866年。

    一般的には、実存思想の先駆とも云われ、思想小説と見做される。しかし、主人公ラスコーリニコフが殺人に到るまでの心理描写や、予審判事ポルフィーリイとの論争場面、さらに終盤のスヴィドリガイロフとドゥーニャとの緊迫したやりとりなどには、推理小説さながらの迫力と戦慄が感じられる。さらに、都会の貧苦に喘ぐ人々を描いた社会小説とみることも可能であろうし、エピローグに於けるラスコーリニコフとソーニャの姿は深遠な愛の物語ともなる。ドストエフスキーの作品には、小説という文学形式の多様な相貌が詰まっているように感じる。ときに

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    2018年07月21日
  • 罪と罰 下

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    後半のスピード感はすごい。登場人物の性格の複雑さといい、展開の予測できなさといい、意外と普通に読んでも楽しめるレベルではないか。初めてドストエフスキーで完読できた。

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    2017年08月28日
  • 罪と罰 下

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    いよいよ完結の『罪と罰』
    自らの罪と向き合い翻弄するラスコーニコフの絶望的だが、希望のある終末へと向かっていく。はっきり言ってしっかりと読み込めているとは思えない。ただなんというか、意識の大きなうねりに身をゆだねていくうちに、様々な感情のぶつかり、葛藤を感じ、その波にのまれていった読書体験。最後ラスコーニコフのソーニャへの態度に何か救いを感じた。人間としてまっとうに生きるというのが正しい言い方ではないのかもしれないが、それでもやはり神のもとに生きる一人の人間としての生を取り戻すところは、一人の人間の再生の物語とも感じた。
    さていよいよそろそろカラ兄かな。

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    2016年11月04日
  • 悪霊(下)

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    スタヴローギンなしには、物語の精彩を欠いていただろう。そこに精神のもがきがあるからだ。あとは俗悪で、または、単に俗っぽさがあるのみだ。ステパンの最後の独白も良かった。良心があった。別立てにされたスタヴローギンの告白はやはり本編に含めるべきだろう。でないと、最後の彼の自殺が物語の救いにならなくなる。色々なことが明晰になるし、チホンとの対話が抜き差しならず、スタヴローギン性がより深みを増すからだ。あとは火事場の描写が迫真だった。

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    2016年11月03日
  • 悪霊(下)

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    上巻で詰みそうになったけれど踏ん張って読んでよかった。下巻に入ってからは面白くて面白くて一気読みだった。最も印象に残ったのはキリーロフだった。
    いろいろと考えあぐねているし、これからも年単位で考え続けることになりそう…

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    2015年12月19日
  • 悪霊(上)

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    再読である。まるで初めて読むように味わうことができた。日本の近現代文学にも影響を与え続ける名作をたっぷりと味わえ、普段の読書より濃密な時間を過ごすことができた。スタヴローギンがやはり気になる。彼の最後が暗示する「未来」とは予想してみたくなる。ステパンもカルマジーノフも滑稽でもあるが、生きることに真摯で好感持つことができた。「スタヴローギンの告白」にもある通り、作者のこの作品にかける情熱は熱く沸き立っている。

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    2015年08月14日
  • 悪霊(上)

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    ネタバレ

    この作品の中で語られる思想的な側面についての批評は、多くの方々の先行するそれをご覧ください。他のレビュアーの方々の批評はもちろん、これに関する論文等、読み込めば読み込む程の面白さがあると思います。

     私はむしろ、ドストエフスキーという名前、作品の分量、そして「思想的な」難解さという、この作品についてまわるイメージ・評価が先行しているようにな印象を受けます。
     本作の思想的な対立軸や、対決の内容自体を追いかけて読むことも面白いと思います。しかしそもそも、それ以前に、この作品は物語として、読者をこれでもか、これでもかと引き込んでくれる面白さ、楽しい(というとやや語弊があるか?)仕掛けに満ちていま

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    2014年12月30日
  • 悪霊(下)

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    非難する術を持たぬ子どもの無意識の威嚇、愚かしくて痛ましいほどの無防備な絶望の姿。それは確かにこの世に数少ない、まるで心臓に釘を刺すように胸を打つものである。それがスタヴローギンの感じた(自分では感知できない)唯一の良心の在り処だったのかもしれない。

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    2014年05月24日
  • 罪と罰 下

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    『思弁の変わりに生活が登場したのだ。』
    自分の世界から世界の中の自分に移行できるかどうかが鍵だなあと思った。人を否定しているのに人に助けや愛を求めてしまう自分を罵って逃避するのではなく、そうでしか生きられない自分の存在を真摯に見つめてまず認めること。生身の体の伴わない思弁からでなく、自分自身から始めること。

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    2014年05月18日