江川卓のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
9/10
真実は文字の向こう側に存在する。
第一部は長尺であり様々な登場人物の相互関係が描かれ、クロニクル的で、極めて難解だが、止まらない。この部が悪霊の土台を作ると思うから、何があっても無視してはならない。中には無視をする人もいるらしいが、勿体無い。そしてニコライとピョートルが出てきた場面は、突如の登場で、ようやく来たか!と素直に思ってしまった。まるで霹靂を感じた。そこから、一気に面白くなる。革命が起こる前の、この不安定な空調がしみじみ、最初っから感じることができる。第二部はもうたまらなく面白い、難しいのは難しいが、ピョートルとニコライの隠された謎と不気味な空気がドストエフスキーでは感じ -
Posted by ブクログ
なぜ人は罪を犯すのか、それを背負ったままどのように生きているのかの一つの回答が得られそうだなと思った。
「なぜほとんどの犯人がその痕跡をああも明瞭に残していくのだろうか?(中略)犯罪者自身が、それもほとんどすべての犯罪者が、犯行の瞬間にら意志と判断力の一種の喪失状態におちいり、そればかりか、判断力と慎重さがもっとも必要になるまさしくその瞬間に、めったにない子どものような軽率さにとりつかれる。」150
「彼の判断力と意志は、その目論見を実行していく全過程を通じて、いささかもくもらされることがない、と決めこんでしまった。その理由はただひとつ、彼の目論見が「犯罪ではない」からである...」150 -
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久々の再読。
ドストエフスキーって、ホントしつこいというか、まあ最初の「地下室」で今時の読者は挫折すると思う。地下室に引きこもっている40代の語り手が、とにかく俺はこう思うって話を、情景描写も人物描写もほとんどなく、延々と熱く鬱陶しく語るんだから。もう、うんざりという気持ちにほとんどの人がなると思う。しかし、ここは我慢して読む。
次の「ぼた雪にちなんで」になると、彼が24歳の時のエピソードとなり、他の人物も出てきて読みやすくなる。彼がなぜそうなったのかが徐々にわかってくる。
しかし、貧しく、見た目も悪いだけでなく、自意識過剰でプライド高く、あらゆる人をバカにしているので、決して読者が好きになれ -
Posted by ブクログ
肥大化した自意識と逸脱者の自覚に苛まれる苦悩が徹底的に描かれている特異な名作。どこまでも内向的で否定的でありながら、超然と構えることもできず、外界の些細な出来事に惑わされ、人間関係において言動のすべてが裏目にでてしまう様は、読んでいてヒリヒリする。思考にほとんど飲み込まれながら現実の肉体や情念がそれに抵抗し、退屈や人恋しさ、屈辱に耐えられない。そんな齟齬の内に懊悩する様子は、積極的価値をどこにも見出だせない消極的な否定性の恐ろしさをあぶり出す。
主人公が縁のあった娼婦と感情をあらわにしあう劇的なクライマックスさえも、もつれきった否定的性格ゆえにカタルシスに昇華することのできない「どうしようもな -
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ネタバレ3章
1 ラスコーニコフの部屋
ラズミーヒンがドゥーニャ親子を連れ出して、ラスコーニコフの容体は自分が見て、報告するから、ゆっくり休むようにと言う。ドゥーニャ親子はラズミーヒンを親切な人と思います。ただ、ラズミーヒンは自分でも言ってますが、ラスコーニコフの女家主ともいい仲になっているので、単なる親切心からだけではないようです。しかも、ラズミーヒンは、その女家主をゾシートフに押し付けます。
2 朝が来てラズミーヒン起きる。昨日の酔っ払ったときの行動を後悔している。酒飲みにはよくあることだ。ゾシトーフが入ってきて、二人の会話。ゾシートフが帰り、9時、ラズミーヒンは旅館に行く。ラズミーヒン、ドゥー