江川卓のレビュー一覧

  • 悪霊(下)

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    ちょっと深過ぎる。追いつきたいのと追いつきたくないのと気持ちが揺れる。圧倒的な何かにまったくもって人生観を変えられてしまう気がしてそれでいいのかどうかも分からぬまま見たくないものに覆いをかけるような日々が残された。

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    2024年06月09日
  • 地下室の手記

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    肥大化した自意識と逸脱者の自覚に苛まれる苦悩が徹底的に描かれている特異な名作。どこまでも内向的で否定的でありながら、超然と構えることもできず、外界の些細な出来事に惑わされ、人間関係において言動のすべてが裏目にでてしまう様は、読んでいてヒリヒリする。思考にほとんど飲み込まれながら現実の肉体や情念がそれに抵抗し、退屈や人恋しさ、屈辱に耐えられない。そんな齟齬の内に懊悩する様子は、積極的価値をどこにも見出だせない消極的な否定性の恐ろしさをあぶり出す。
    主人公が縁のあった娼婦と感情をあらわにしあう劇的なクライマックスさえも、もつれきった否定的性格ゆえにカタルシスに昇華することのできない「どうしようもな

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    2024年01月29日
  • 地下室の手記

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    自分の中に主人公がいるし、主人公の中に自分がいる……、、。
    個人的には1週回って笑えた所もあった。
    同族的な所も勿論感じるが、新しい感覚というか、考え方、そういうものにも出会えたと思う。
    読んでよかった。

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    2023年10月03日
  • 地下室の手記

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    虚栄と自己正当化を極めたことで生まれる他者への敵意(そこはかとない同族嫌悪も感じる)、なのに湧き出る人恋しさ。極端ではあるけど、たぶん多数の人が通ったり留まったりしている心理状態だと思うんだよなあ。自分を顧みるきっかけにもなったし。書き手自身が鬱屈した自分を客観視して分析している描写もあるのが面白い。

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    2023年08月21日
  • 地下室の手記

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    ネタバレ

    地下室の住人の捻くれたものの見方への嫌悪感と尊大な自尊心への共感性羞恥に心が掻き乱された。
    ただ、リーザと夜を共にしていながら「こんな世界にへたばっているんだな」と講釈を垂れる男の存在はは現実世界の夜の住人からも聞くし、この地下室の住人が特別醜い人間というわけでもないのでしょうね。
    それにしても、リーザがどうにも従順すぎると感じたのはこの本が随分前に書かれたものだから?

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    2023年05月01日
  • 罪と罰 下

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    高校生の時に読むことに挫折してはや何十年。
    読み終えたことに満足してしまい、なんて書いていいのやら。
    過去に、いや今もこの本についていろいろ書いている人たちがいるので、高尚な感想はその方たちにお任せします。
    読み終えた時に真っ先に思ったのは、宗教をベースにした恋愛小説?って思った。

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    2023年04月29日
  • 罪と罰 上

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    罪と罰をモチーフにした漫画を読んでいたせいか、変な先入観がある。
    ラスコーリニコフは、独善的で妄想狂の異常者にしか見えない。好感どころか嫌悪感しか抱かない。
    このあと、徹底的に打ちのめされてもらいたい。
    ラスコーリニコフの自爆ではなく、理詰めで暴かれて追い込まれてほしい。
    そんなサディスティックな気持ちにさせられる男だ。

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    2023年03月20日
  • 地下室の手記

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    地下室:この手記の筆者も「手記」そのものも、いうまでもなく、フィクションである。
    始:ぼくは病んだ人間だ…ぼくは意地の悪い人間だ。
    終:しかしわれわれもまた、もうこのあたりでとめておいてよかろう、と考えるものである。

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    2023年03月17日
  • 罪と罰 中

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    ネタバレ

    3章
    1 ラスコーニコフの部屋
     ラズミーヒンがドゥーニャ親子を連れ出して、ラスコーニコフの容体は自分が見て、報告するから、ゆっくり休むようにと言う。ドゥーニャ親子はラズミーヒンを親切な人と思います。ただ、ラズミーヒンは自分でも言ってますが、ラスコーニコフの女家主ともいい仲になっているので、単なる親切心からだけではないようです。しかも、ラズミーヒンは、その女家主をゾシートフに押し付けます。
    2 朝が来てラズミーヒン起きる。昨日の酔っ払ったときの行動を後悔している。酒飲みにはよくあることだ。ゾシトーフが入ってきて、二人の会話。ゾシートフが帰り、9時、ラズミーヒンは旅館に行く。ラズミーヒン、ドゥー

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    2023年03月01日
  • 罪と罰 下

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    殺人を犯した人間の心理描写は卓越している。が、いくら精神的に病んでいるとはいえ、知性ある者だけにたかが金貸しばばあの金で人生を好転させようとする筋立ては、現実味に欠ける。

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    2023年01月30日
  • 悪霊(上)

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    「罪と罰」が面白かったので、そのまま本書を手に取った。会えば身内だろうと浮浪者だろうとお金無心されるってどういう状況T_T 価値観ががらりと変わる時代においてインテリたちが苦悶するのはなんか、ちょっと三島とか太宰とかと近いものも感じるなぁ。死の捉え方も興味深いとのがある。登場人物再整理しつつ…下巻に続く。

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    2022年10月23日
  • 地下室の手記

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    ネタバレ


    生きづらさを抱える主人公が孤独に耐えきれなくなって、親しかった同級生を訪ねるが、歓迎されず、それでも同級生たちの集まりに誘われてもないのに参加する場面。主人公は仲良くなかった同級生たちを見下しながらもわざわざ参加する。
    だが、待ち合わせの時間に行っても誰も来ず、あとで時間の変更を知らされてなかったことを知る。その後も職業を訊かれ、答えたら給料が少ないのではないか?とバカにされる。
    屈辱を受けて怒る主人公。
    この集まりに参加しなきゃよかったのにって思ったけど、それ以外につながりがなくてしょうがなかったのかな。今はインターネットでいろんな考えの人を知ることができるけど、昔はもっと閉ざされていて、

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    2022年09月11日
  • 罪と罰 下

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    脇役と思っていた人格が突如主人公と入れ替わり、主人公の一つの面を物語る。その手際良さに圧倒された。ラスコーリニコフが熱に浮かされてみた夢が、パンデミックやSNSの普及、更には昨今の戦争を予言するかのようで、真の名作というのはどの時代にあっても色褪せないのだとつくづく思う。

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    2022年03月06日
  • 罪と罰 中

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    どんどん展開してゆく物語に息をつけないほど。次から次へと仕掛けを叩き込んで来る。最初は読み切るまでに何日かかるかと思ったが、中巻は引き込まれ過ぎて徹夜で完読。古典の凄さを思い知った。

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    2022年03月01日
  • 罪と罰 上

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    ネタバレ

    雑誌で20代の時に読む本と紹介されていたので読んだ

    主人公が家賃を払えず、大家さんにビクビクしながら外出しているのに「俺はいつかビックになる」とか、「考えてるのが仕事」とか、現代の夢見がちな若者と同じことを言っていて、昔も変わらないなんだなと思った

    主人公が偉大な人間になるために行うことが殺人で、これも現代での通り魔的な事件と似ているなと思った

    この本を読んで、殺人した後、どのようになるかを目の当たりにした気がする
    もし、自分に子供が出来たら、読んでほしいと思った

    キチガイとか、証拠もないのにお前が犯人だとか、雑な犯行なのに捕まらないとかは、笑ってしまった

    最後に、ソーニャが何もして

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    2022年01月29日
  • 罪と罰 下

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    ネタバレ

    読み終わって、朗読CDで内容がかなり省略されていたことに気づきました。ただ、裁判でもあれほど多くの人に弁護してもらっていたのを見ると、ラスコーリニコフは決して救いようのないほど不幸というわけではないと思います。いつか再読したい作品です。

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    2022年01月07日
  • 罪と罰 中

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    頭脳戦が多いように感じましたが、ラズミーヒンがドゥーニャにデレデレになっているシーンがあり、若干癒やされました(?)。おどろおどろしい作品ではありますが、こういうややほんわかしたシーンもあるんですね。

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    2022年01月05日
  • 罪と罰 上

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    朗読CDで大体の内容を掴んでから、この本に移りました。再読してみて思ったことなのですが、この作品ではラズミーヒンやナスターシャなどの「良い人」にかなり惹かれるんですよね。

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    2022年01月02日
  • 悪霊(上)

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    文豪による大作。
    一人称になっているが他作品と違って三人称になったりもする形式。
    ワルワーラ夫人の庇護下にあるステパン氏が主役かと思えばそうでは無くステパン氏の教え子ニコライ・スタブローギンが主役。この男、美青年であり教養もあり腕っ節も強くいわゆるイケメンであるがドス黒い過去を持ち合わせており尚且つ登場時には無気力状態という正体不明なカリスマ性があります。今まで読んだドストエフスキー作品の中でかなり個性的なキャラだと思われる。

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    2021年10月06日
  • 地下室の手記

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    最初から最後までインターネットにいるキッッッッッッッッッッショい自我の話が繰り広げられていて、ここまで普遍的な実存の苦しみを、「エッセイ」じゃなくて「小説」として書けるドストエフスキー天才か?となった。今まで読んだドストエフスキー作品の中で一番楽しめたかもしれない。
    自分以外の全ての人間が鈍感で野蛮に見えて、まともな人間はこの世で自分だけなんだと思ってんだけど、そういう風にしか他人を見られない自分のことが惨めでたまらなくて、さらにここまでの思考の道筋を他人の視線に目配せしながら曝け出してしまうの完全にTwitterにいる人(私含む)じゃん…「かくして意識は、二枚の合わせ鏡に映る無限の虚像の列の

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    2021年09月28日