江川卓のレビュー一覧
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村上春樹「騎士団長殺し」にドストエフスキーの悪霊の〇〇のような、との比喩があった。単身住まいで手元に本がないが、スタヴローギンのような、という文だったんだろう。
兎も角、そんな切っ掛けで悪霊を読んでみる気になった。
悪霊がどんな小説であるかは裏表紙にある。無神論革命思想に憑かれ破滅した青年たちを実在の事件を元に描いたと。冒頭には、プーシキンの悪霊に憑かれた姿を描く詩とルカの福音に描かれる悪霊に憑りつかれて湖に飛び込んでいく豚達の文が引用されている。
最初の登場人物はステバン氏。歴史学者で活動家と紹介されるが、卑小な存在だったとあけすけなく綴られる。そして、彼のパトロン、ワルワーラ夫人。登場 -
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ネタバレ途中でマルメラードフという中年のおじさんが出てくる。彼は仕事をしない。家で酒を飲んでクダを巻くだけなので、代わりにまだ若い(幼い)娘が体を売り、それでどうにか弟妹を養っている。彼の妻は典型的なヒステリーで、侯爵家に生まれたという虚しい過去の栄光が精神の支え。
マルメラードフは仕事を得る。得るって言っても妻がなんとか斡旋してくれただけでこの人自身は何もしない。妻は大喜びでなけなしの金をはたき、新品のシャツ、きれいな靴、汚れてない帽子、そんなものを買ってきてくれる。弟妹にも久々に温かいスープなんかが出されて、さていよいよ初出勤という日、マルメラードフは職場にいかずに酒屋で飲んだくれ、当たり前だがク -
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自分は非凡だと確信している青年が、その非凡さ故に金貸しの
ああもう無理だ。面倒だ。
要するに馬鹿が金貸しババァの頭を斧でかち割って、勝手に怯え続けるだけの話だよ。
古典として読んでおくと色々と他のお話を読む、観るにあたり
良い予備知識となるし
ロシア人ってのは寒くて薄暗い部屋の中でじっとしてるからこんな鬱々としてひたすらに長ったらしい文章を思い付くんだよ
っつーか何よあの言語形態。長ったらしい上に書き辛くてボフボフ何云ってんだがわかんない言語。
そんな生活してっからそんな言葉思い付くんだよとか思ったり
あー夏目漱石とか、こういうのの影響受けまくってたりするんじゃね?
っていうか、この当時の -
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初ドストエフスキーで,たまたま以前何かの講義で「悪霊」の話が出てきていたので読んでみた。
なんかとてつもなく深いな,ということは感じられた。前半~中盤はまったりとした流れで,登場人物の名前が覚えられず苦労した。本の最初に登場人物一覧みたいなのがあればよいのにと思った。
中盤以降は差し迫った場面が増えてどんどん読み進められたが,如何せん個々の登場人物のことをよく理解できていないためか,それで何なのか?という感じだった。
総じて,書かれた当時のロシアについての背景知識がないと本質的な部分は分からないのかな,と思う。そういう意味では,ロシアに興味を持ったし,またいずれこの深そうな作品に挑戦してちゃ -
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老婆を殺害するという犯罪を犯してしまったラスコーリニコフ。彼は自らを愛する者たちに対しても警戒と不信を抱き、愛すべき母と妹を悩ませる。
そして妹に結婚を申し込んだルージンとの争い──そんな中で、「事件」の衝撃から立ち直れないラスコーリニコフは、心清らかなソーニャとの交流を次第に深めていく。
人を殺すということは、紛れもなく大きな罪である。たとえ一時の激情に任せたとはいえ、老婆を殺害したラスコーリニコフの心の苦しみと家族への葛藤、そして苛立ち。
様々な人間模様が交錯する中で、ラスコーリニコフの行動を不審がる者たちの心の動きまでを、作者は巧みな筆さばきで描き出している。