江川卓のレビュー一覧
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物語自体が壮大で複雑だし、ロシア文学特有のとっつきにくさ台詞回しのくどさもあって読みにくいとか冗長とか言う人もいるかもしれないけど、一旦引き込まれると、いっきにのめり込んでしまって、むしろ冗長さと思われたひとつひとつ、台詞回しや登場人物の思考の振れ幅なんかも面白いと感じられました。
ストーリーラインでいうと、風呂敷の広げ方秀逸で、例えば第一部では、ステパン婚約をきっかけに展開が加速していって、スタヴローギンの秘密や人間関係などの伏線が散りばめられつつ、“日曜日”に収束していって、ご本人登場!みたいな展開は、読んでいてとても盛り上がったし、同時につづく章での核心に繋がるヒントや前触れも小出しされ -
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ロシアの文豪・ドストエフスキーの、
五大長編へ続くターニングポイントと位置付けられるような作品。
人間は不合理な本性を持つものであることを暴くように描いています。
著者は、ゆえに、理性できれいに作られる世界なんて絵空事である、
というようなことを第一部では主人公に語らせている。
人の不合理性と世の中が合理性へと進んでいく、
その齟齬を見つめているところは、
現代の僕らがあらためてなぞっておいたらいい。
また、私欲とか理性のくだり、
人間の行動原理についてのところですが、
著者と議論したかったなあと。
<人間は自分にとっての善しか行わない(それは周囲からしたら悪だとしても)>、
<悪だとわか -
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本書の魅力は、登場人物がそれぞれ強烈な特徴を持っていることです。
特にラスコーリニコフは、自らの考えを正しいと信じ、最後まで変わることがありません。自首し投獄される中でも道徳的な罪というものを認めることができずに葛藤します。自分を非凡な人間だと信じる自尊心が強く、高慢で不信心な若者が、人を殺めたときにどう感じるのか、生生しい苦悩の描写に引き込まれました。
ラスコーリニコフがソーニャを罪人だと責める理由が最初分かりませんでした。ソーニャが自分の人生を生きないから、つまり偉大な人生を貪欲に求める彼の思想と正反対だからだと読み終わった後に思いました。
エピローグの結末は個人的に好きです。
時 -
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ネタバレFeBeで聴書
主人公の心の動きを整理してみました。
家族の訪問にて家族との再会に喜ぶも同時に拒絶する。
ソーニャの訪問にてソーニャに惹かれる。
ポルフィーリーのもとへ時計を取り返しに行くと称して偵察に行く。ラズミーヒンを騙す狡猾さが見られる。
スビトリガイロフの訪問に驚く、幽霊の話に自分の経験と重なりあっけにとられる。
ルージンと妹の縁談の破談。家族と絶縁する。罪人としての意識と決心が読み取れる。
ソーニャに会いに行く。彼女を自分と同じ罪人とし、一緒にいるべきだと考える。
警察署にてポルフィーリーと面会する。自白に行くのかと思いきや、ポルフィーリー見抜かれないように振る舞う。手の内を暴こう -
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ネタバレFeBeで聴書
主人公の心の動きを整理してみました。
ある計画が頭に浮かんでいるが、現実味がなく感じている。
マルメラードフとの出会い。自分の惨めな境遇と重なって、彼に共感する。人間どこかに居場所がなくっちゃいけない。
母からの手紙。彼の人柄が分かる。妹想いの兄であること。事の一切を見抜く鋭い利口さがある。ひねくれている。
衝動的に行った外出。偶然に絶好の機会が訪れ、計画の実行を決心する。
計画の決行。精細さを欠いた、行き当たりばったりの行動から決心しつつも、自分の中で受け入れられていないことが分かる。そして、自らが事を起こす前に想像していたにも関わらず、気が動転しこらえきれなくなる。
その -
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ちょっと前に「白痴」も読んだが、ドストエフスキーって長編作家として欠点有り過ぎだと思う。
海堂尊さんは同日に同時並行に起こる事件をデビュー作として書いたが、編集者の助言で「チームバチスタ」「ナイチンゲール」の2作に書き直したという。僕が編集者だったら、この作品をステバン氏、ピョートル、ニコライが主人公の3作に書き直させるな。
終盤のステバン氏の再登場。ロシアの大衆を愛すると云いつつ、世間知らずで、まったく大衆を知らない。知と美に殉じ、変な拘りで自分を追い込んでいく。しかし、ドストエフスキーは愛情をもって、このピエロ的人物を描いている。
その息子、ピョートルは頭に穴が開いたよう軽薄な人間。そ