江川卓のレビュー一覧

  • 悪霊(上)

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    「ニコライ・スタヴローギンは事実、部屋の中にはいっていた。彼はごく静かに部屋にはいってくると、一瞬戸口で立ちどまり、もの静かな眼差しで一座をみわたした。」

    やっと出てきたか、と言いたいけど、スタヴローギンの登場で物語は動き出す。

    ヒントは二つある。

    (ヒントその1)
    ミハイル・バフチンはドストエフスキー小説の特徴を、

    「自らの意思と声を持つ、自立的な存在としての登場人物を設定し、

    相違なる思想同士の、事件に満ちたポリフォニー(多声楽)のような対話が実現している。

    そのジャンルは民衆的な笑いの文芸、カーニバルにたどりつく。」と述べている。

    (ヒントその2)
    ドストエフスキーは世界中

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    2012年10月23日
  • 悪霊(下)

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    ドストエフスキーのなかでも、なぜだか今まで読むことをためらっていた一つ。(タイトルがタイトルだからでしょうか)

    しかしながら、そうしておいて良かったように思える。

    高校生ぐらいの自分が、スタブローギンに出会ってしまっていたら、完全にハマってしまっていたでしょうよ、恐ろしいことに。

    非常に魅力的な作品。

    10年ぐらいしたら、もう一度読もうと思って、傍線をいくつも引いておいた。。。

    そういえば、大江健三郎氏の作品で、この悪霊が根柢のトーンとなっているものがありますので、ご興味ある方はどうぞ。

    キリーロフがシャートフに”永久調和の訪れ”を告白するシーンは、大江氏の『洪水は我が魂に及び』の

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    2012年09月22日
  • 悪霊(下)

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    ネタバレ

    こんなに好きな作品にめぐりあったことに感謝してます・・・。
    人によってはこれ以上ないというほどハマれる作品ではないでしょうか。
    ドストエフスキー独特の思想がこれでもかというほど盛り込まれてて、謎もあふれかえるほど出てきます。
    主人公のスタヴローギンのように考えて考えて苦しみ続けたい人にオススメ!

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    2012年06月13日
  • 罪と罰 中

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    ネタバレ

    上巻の冗長さが嘘のように、中巻以降は山場につぐ山場である。息もつかせぬ展開と言ってもあながち過言ではなく、いよいよ作者の本領発揮という感じだ。

    中巻の見どころは、主人公ラスコーリニコフと予審判事ポルフィーリイの2度にわたる対決と、ラスコーリニコフとソーニャの密会である。中でも、ラスコーリニコフとポルフィーリイの初回の対決は際立ってエキサイティングだ。推理小説ばりの心理戦が展開されるだけなく、ここで初めて主人公の思想の全容が明らかになるからだ。上巻でちらりと示されたテーマが、さらに過激な形をとって再び読者に提示される。

    すなわち、人間は「凡人」と「非凡人」に大別される。凡人は従来の思想の枠組

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    2022年09月06日
  • 罪と罰 中

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    話も少しややこしいしロージャの目くるめく心境の変化に混乱しそうになるけど、何が一番取っ付きにくくしてるかっていうとロシア人の名前長い。いろんな形で呼ばれててわかるまでややこしい。ロジオン・ヌマーヌイチ・ラスコーリニコフ(ロージャ)。ながい!

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    2011年11月04日
  • 悪霊(上)

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    結構難しい。いや、かなり。
    カラマーゾフの兄弟と並ぶドストエフスキーの思想書と書かれてるけど、こっちの方がより観念的というか。最初のほうとか、ステパン氏の説明にどれだけ割くんだという感じ。

    それでもさすがなのは、読ませられる。各キャラクターが非常に際立ちます。ピョートルはいけすかないし、悪魔超人スタヴローギンは、全く嫌いになれないし、それらを取り巻く社交界のこの毒な面面や、シャートフの悲惨さ。ドラマドラマで、楽しい。

    1か月かかりました。持ち運びが大変。

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    2011年08月22日
  • 悪霊(下)

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    やはり世紀の傑作と呼ぶに相応しい作品であることは間違いない。
    とりわけ下巻に関しては、上巻では恐怖の対象でしかなく、
    もはや完璧と思われていたスタヴローギンやピョートルといった
    革命的思想をもった若者たちの化けの皮が剥がれるかのごとく、
    ある意味、誰よりも人間味というものが垣間見えた気がした。
    その中でも物語が佳境を迎える舞踏会の混乱から放火事件への流れは、
    完璧に組み立てられた構成に変な話しだが美しくもさえ感じてしまった。
    全てにおいてドストエフスキーの描く人間模様というものは
    現代においても決して色褪せることなく、通ずるものがある。
    それはスタヴローギンが選んだ結末においてもだ。

    巻末に

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    2011年08月19日
  • 悪霊(下)

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    ドストエフスキーといったら、やっぱり衝撃作「罪と罰」?名作中の名作「カラマーゾフの兄弟」?もちろんそれらは外せないけど、この「悪霊」も彼の思想がぎっしり詰まった必読書です。

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    2011年08月01日
  • 悪霊(上)

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    農奴解放令によっていっさいの旧価値が崩壊し、
    動揺と混乱を深める過渡期ロシア。
    悪霊に憑かれた豚の群れが、
    湖に飛び込んで溺死するという聖書の記述から
    無神論的革命思想を悪霊と見立て、
    それに憑かれた人々とその破滅を描く。
    そんな裏表紙の触れ込みのドストエフスキーの大作、悪霊。

    罪と罰で遅かれ、初めてドストエフスキーに触れ感銘を受け、
    そして次に選んだのがこの悪霊。
    罪と罰で慣れたのか、今回は読みやすく感じる。
    やはり人間の心理描写を描くのにすごく長けているというか、
    時代性というものを感じずに読み進めることができる。
    とても100年以上前の作品とは思えない、ある意味新しさがある。

    重苦し

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    2011年05月18日
  • 罪と罰 中

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    登場人物が皆魅力的過ぎる。ドゥーネチカもソーニャもラズミーヒンも真っ直ぐでとても魅力的。でも読めば読むほど何よりラスコーリニコフの思想と意志の強さに惹かれていきます。

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    2010年11月07日
  • 悪霊(下)

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    「革命運動の誹謗書」という本書に対する評価が、ロシアでは根強いようです。
    確かに同じ感想を持ちました。左翼革命が結局のところ帰結するところになるおぞましさを見た感があります。「ソ連とは壮大な実験の失敗ではなかったか」という教科書の一文を思い出しました。

    ただこれが革命誹謗のみを目的とした書であるとは思えません。
    残念ながら自分の読解ではこの感想に至り得ませんでしたが、「ロシア的なものの悲劇性(=スタヴローギン)」を結晶させた、という裏表紙の説明がしっくりきているように思われます。
    己のあらゆる点における底の浅さ自覚し、自殺したスタヴローギン。ウォッカがないとロシア人はみんなこうなってしまうの

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    2010年10月21日
  • 悪霊(上)

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    「無神論を悪霊に見立て、それにとりつかれた人々の破滅を描く―」
    裏表紙の文です。
    シャートフやニコライ、またそれに迫るピョートルなど、確かに破滅の足音が聞こえてくる感があります。

    しかし正直「白痴」同様読みにくさを感じました…。

    ステパン氏とは何の描写なのでしょうか?
    アンチ無神論者であるが滑稽に描かれている彼の様は何の意味を持っているのでしょう。

    風車に向かうドン・キホーテのような無謀な挑戦をする存在としてでしょうか?つまり新時代の自由思想に無謀にも向かっていく、哀れな過去の遺物という役割を背負わされているのか。

    悪霊という題は何を意味しているのか?
    ただ単に著者の嫌悪感を表している

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    2010年10月21日
  • 罪と罰 中

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    生とは?死とは?
    善とは?悪とは?

    善の為の殺しは善なのか?悪なのか?

    小野不由美【屍鬼】もお薦め.

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    2010年09月30日
  • 悪霊(下)

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    禍々しい表紙とは裏腹に、滑稽な描写が目立った上巻。しかし、下巻も中盤以降に入ると、じわりじわりとその禍々しさが露見してくる。表紙に内容が追いついた、とでも言えようか。

    本編を読んだ段階では、『悪霊』と形容できる具体的人物はスタヴローギンではなくピョートルであるように感じた。上巻のおしゃべりはどこへやら、極悪非道の限りを尽くすピョートルに、あるいは魅せられる人もいるのではないだろうか、と思うくらいだ。事実、巻末解説によると、元来は主人公はピョートルであり、ドストエフスキーはその設定で700枚以上の原稿を書いていたらしい。

    ここで注を入れておくと、物語冒頭で引用されている聖書の中の、悪霊に

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    2010年06月10日
  • 罪と罰 中

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    5点では足りない。

    第4部。
    ルージン氏との会食の場面。
    ソーニャに『ラザロの復活』の朗読を強制する場面。
    予審判事ポルフィーリィの尋問の場面。
    怒涛の展開が、雪崩のように押し寄せてくる。
    尋常ならざる緊張感。
    今までの数多の伏線が収斂し、今まさに爆発せんとする。
    その興奮が。

    早く下巻を購入しないことには。

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    2009年10月04日
  • 悪霊(下)

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     様々な人物達の想いや情動の織りなしして繰り広げられる壮大な物語である。同じような行為を行う他の同志とは一体化できない孤独さをもった怪物、ニコライ・スタヴォーギンの哀しみ、そして最後の自決シーンが、とても印象に残った。 2008.8.4-7.

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    2009年10月07日
  • 地下室の手記

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    ネタバレ

    ちょっと衝撃。
    読んでいて、凄く恥ずかしく屈辱的な気持ちになった。本を読んで初めての気持ちかも。
    苦痛は快楽の意味はわからない(笑)
    最初の方の独白は笑う、1人コントや。
    けど、同級生との話に入ったとたんやばい!ってなった。恐らく自分を重ねて読んでいた。凄く共感できると思いつつも、そう思う自分を悲しいとも思ってしまう。胸の痛くなる話だったな。ドストエフスキーは初めて読んだけど、ハマってしまうかも。罪と罰は積読しているけど、いつ読もうかと楽しみ。
    えー、ちょっとすごい本を読んでしまった。

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    2026年06月07日
  • 地下室の手記

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    ネタバレ

    主人公の哲学、半生を描いたもの。
    主人公の醜悪な性格、言動の矛盾など現代でも共感力の高いものだと思う。救われなさがとても辛いところがあったが。
    みすぼらしい格好、低賃金の職についていながら、それでも恥に敏感で、虚飾に塗れる姿。
    他人との交流を願い、かつての学友にぞんざいに扱われることに憎悪しながら、自分より立場の低い人に対して支配的になる姿。

    これらが巧みな筆致でありありと描かれておりとても面白かった。

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    2026年05月28日
  • 地下室の手記

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    風俗に行って女に説教するタイプのキモイ男をとんでもない語彙で書き上げた本。
    太宰治とよく比べられてるイメージがあるけど、ネガティブ度合いのベクトルが異なってる気がするなと。

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    2026年05月07日
  • 地下室の手記

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    長い間、読まなきゃ読まなきゃと思い続けた一冊である。

    読んでて爆笑させられるのなんてなかなかないが、思い切り笑わせてもらった。

    これは「ドストエフスキーの全作品を解く鍵」と言われるが、ネタバレにすぎる気がする。

    そして、これは彼の問題にとどまるものではない。「現代小説かな?」と首を傾げたくなるほど今日的な感じがした。

    改めて、ドストエフスキーって面白い作家だなと唸らされた。まだ読んでない彼の小説も多いので、読むのが楽しみだ。

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    2026年03月19日